安全・安心情報
更新日:2024年9月24日
ここから本文です。
日本銀行富山事務所長
藤澤 知行
富山県の景気は、回復に向けた動きがみられています。
昨年末の時点では、富山県の景気は緩やかに回復していましたが、元日の地震の影響により、一旦、落ち込みました。その後、被災地域は未だ復旧の途上にありますが、全体としてみれば個人消費や生産等でみられた地震の影響は着実に薄らいでいます。
最終需要をみると、個人消費は回復に向けた動きがみられています。住宅投資は、足もとは減少しています。設備投資は、増加しています。公共投資は、足もと増加しています。生産は持ち直しつつあります。この間、企業の景況感は改善しており、雇用・所得環境は、着実に持ち直しています。
先行きについては、所得環境の持ち直しが下支えする形で、回復に向けた動きが続くと見込まれます。もっとも、海外需要の不確実性に加え、人手不足、仕入れコストの上昇などの影響については注視する必要があります。
個人消費は、回復に向けた動きがみられています。もっとも、日用品を中心に、物価上昇等を背景にした消費者の節約志向の高まりを指摘する声が聞かれています。また、日本全体ではインバウンドや国内客による旅行需要は好調ですが、このところ、県内宿泊施設への宿泊者数が減少している点にも留意が必要です。
7月の小売6業態(百貨店、スーパー、コンビニ、家電専門店、ドラッグストア、ホームセンター)の売上は、猛暑などの影響により高水準となった前年並みの水準となっています。内訳をみると、ドラッグストアでは、顧客の「ついで買い」需要や節約志向の取り込みに向けた商品の拡充などにより、前年比で高い伸びを続けています。一方、百貨店・スーパーや家電専門店からは、梅雨明けが遅れたことで季節商品の動きの鈍さを指摘する声が聞かれています。
乗用車新車登録台数は、年明けから一部メーカーの生産停止等の影響により、大きなマイナスとなったあと、生産の再開などもあって、7月はプラスに転じています。もっとも、先行きについては、当面は供給制約の影響が続くとの声が聞かれています。
第2四半期(4~6月)の県内延べ宿泊者数は、前年が高い伸びとなったこともあって、前年割れとなっています。宿泊施設別にみると、温泉旅館などは堅調ですが、ホテルでの減少が大きくなっています。もっとも、8月のお盆期間については「新幹線延伸により北陸全体の注目が高まっており、高い稼働率となった」との声が聞かれているほか、先行きについても、北陸地域を対象とする大型観光キャンペーンの効果を期待する声が聞かれています。
設備投資は、能力増強・省力化投資、脱炭素・環境対応投資に加え、新規事業向けの投資に踏み切る動きがみられるほか、地震による修繕等への投資もみられていることから、増加しています。
企業の生産動向については、持ち直しつつあります。電気機械は、スマホ向け等を中心に持ち直しています。化学は、医薬品を中心に緩やかに増加しています。金属製品は、リフォーム需要やオフィス需要を背景に下げ止まっています。汎用・生産用・業務用機械は、海外向け等を中心に持ち直しの動きがみられています。
県内の有効求人倍率(受理地ベース)は、高水準で推移しているほか、雇用者所得は、着実に持ち直しています。
短観(2024年6月調査)の富山県分の集計結果をみると、企業活動の全体感を示す業況判断DI(富山県・全産業)は+10と、前回調査(3月)の+5から改善しました。製造業では、内外需要の持ち直しや価格転嫁の進捗を理由に判断を好転させる先がみられます。非製造業でも、個人消費の改善や設備投資関連需要の増加を背景に判断を好転させる動きがみられています。
なお、短観の次回調査(2024年9月調査)は10月1日に公表します。
お問い合わせ
関連情報
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください