安全・安心情報
更新日:2022年1月18日
ここから本文です。
日本銀行富山事務所長
小川万里絵
富山県の景気は、持ち直しています。
個人消費については、昨年秋以降、新型コロナの感染状況が落ち着く中で、県民割引キャンペーンの効果等もあり、これまで下押し圧力の強かった飲食・宿泊等の対面型サービスが改善しています。生産についても、引き続き情報通信関連の好調や国内外における経済活動の回復を受けた設備投資需要の回復等から持ち直していますが、一部には部品の供給制約や、原材料、輸送費の高騰を懸念する声もきかれています。なお、有効求人倍率、企業の業況感は改善後横這い圏内の動きとなっています。
先行きについては、引き続き緩やかな回復基調を辿ると見込まれるものの、足許の新型コロナの変異株への置き換わりによる感染拡大が、再び個人消費、とくに対面型サービスにどう影響するかが注目されます。
富山県の個人消費は、昨年10月以降県内の新型コロナ感染状況が落ち着く中、人の動きが増えたことや、県民割引キャンペーンの効果等もあり、飲食・宿泊サービスにもようやく明るさが見えています。
小売6業態の売上の前年比は、前年比プラスで推移しています(図表1)。ホームセンターや家電量販店では、家中需要が一服した感がありますが、ドラッグストアは好調を維持しているほか、買い物客が増えている百貨店・スーパーでも前年比プラスとなっています。年末年始も感染状況の落ち着きから、前年対比で帰省客が増えたことや、これまで抑制していた消費意欲が出てきたこと等により、これらの売上は好調を維持しています。
新車販売は、昨年夏以降、自動車メーカー減産の影響により納車が遅れていること等から、前年比マイナスで推移していますが、マイナス幅は縮小しつつあり、購入意欲は強いとの声が聞かれています(図表2)。
県内の延べ宿泊者数をみると、昨年3月以降大幅に落ち込んだ状態で推移していましたが、2020年秋、2021年3月、7月と回復しかけては、新型コロナの感染拡大やそれに伴う公衆衛生上の措置の影響を受けて減少するという動きとなっています。前述のように昨年秋以降感染状況が落ち着いたことから、10月以降は再び回復傾向となっています(図表3)。
県内企業の設備投資について短観[2](2021年12月調査)でみると、2021年度の計画は、製造業では、前年度に先送りした案件を再開する先が多くみられているほか、足許の業況改善を踏まえ将来に向けた製造設備効率化投資を追加する先等もあることから、+30.3%と前年度比大幅増となっています。非製造業は前年度並み(+1.3%)の計画であり、全産業でも+14.6%の増加となっています(図表4)。
企業の生産動向については、国内外の経済回復等に伴い、鉱工業生産指数(総合)の水準は持ち直しています(図表5)。
業種別にみると、電気機械が、堅調なデジタル需要に支えられているほか、汎用・生産用・業務用機械も海外・国内の設備投資需要の回復により好調を維持しています。県内でウエイトの大きい医薬品も横ばい圏内にあります。
県内の有効求人倍率(受理地ベース)は、新型コロナ感染拡大の影響を受けて悪化した後、2020年12月以降緩やかに回復していましたが、足許では、全国対比高めながら横這いの動きとなっています(図表6)。
企業の業況感を短観(2021年12月調査)の業況判断DI(全産業)でみると、+1と、前回調査(21年9月、以下同じ。)から不変でした(図表7)。
業種別にみると、製造業については、電気機械や汎用・生産用・業務用機械は「良い」超を維持していますが、医薬品を中心とする化学やその他製造業等の「良い」超幅が縮小したこと等から、+4と前回調査(+8)から悪化しました。非製造業については、新型コロナの感染状況が落ち着き、人の動きが回復したことから対面型サービス関連業種で改善したため、▲2と、前回調査(▲5)比「悪い」超幅が縮小しました。
先行きについては、「最近」からやや悪化し、▲3とわずかながら「悪い」超となりました。製造業では、供給制約や原材料価格の上昇等の影響を懸念する先がみられること等から、「最近」からやや悪化し+1となりました。非製造業でも、建設が先行きの受注動向を慎重にみていること等から、「最近」から悪化し▲7となっています。
お問い合わせ
関連情報
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください