令和2年度富山県民経済計算の概要について

1.はじめに

　富山県では、令和5年4月に令和2年度富山県民経済計算の推計結果を公表しました。今回はその概要についてご紹介します。
　なお、とやま経済月報では「はじめての県民経済計算Q&A」と題し県民経済計算について初めての方にもわかるようにQ&A形式でご紹介しています。「県民経済計算という言葉は聞いたことがあるけど、いま一つよくわからない…」という方はそちらも併せてご覧ください。
　1基本編（別ウィンドウで開きます）
　2生産・支出編（別ウィンドウで開きます）
　3県民所得・分配編（別ウィンドウで開きます）
　4基準改定編（別ウィンドウで開きます）

2.富山県経済の概況

　令和2年度の県内総生産は、名目で4兆7,299億円、実質で4兆6,821億円となり、経済成長率（県内総生産の対前年度増加率）は、名目で3.2％減（令和元年度1.1％減）、実質で4.0％減（同1.3％減）と、名目、実質ともに2年連続の減少となりました。
　これは、主力産業である製造業が名目で3.9％減、実質で5.4％減となったほか、卸売・小売業が名目で9.5％減、実質で11.7％減、宿泊・飲食サービス業が名目で38.6％減、実質で38.4％減となるなど、前年度の県内総生産を下回ったことによるものです。
　また、県民雇用者報酬、財産所得及び企業所得を合わせた県民所得は、3兆2,286億円（前年度比6.8％減）となり、1人当たり県民所得は、3,120千円（同6.1％減）となりました。

図　県内総生産（名目）の推移

図　経済成長率の推移

表　富山県及び国の状況

2.経済活動別県内総生産（名目）

　令和2年度の県内総生産（名目）は、4兆7,299億円、前年度比3.2％減（令和元年度1.1％減）と2年連続の減少となりました。
　産業別の動きをみると、第1次産業では、林業が6.7％増（同0.4％減）となったものの、大きなウエイトを占める農業が5.3％減（同5.4％減）となるなど、総じて4.0％減（同7.3％減）と4年連続の減少となりました。
　第2次産業では、建設業が4.1％増（同3.4％増）と2年連続の増加となったものの、大きなウエイトを占める製造業が3.9％減（同4.0％減）と2年連続の減少となり、総じて2.7％減（同3.0％減）と2年連続の減少となりました。
　第3次産業では、専門・科学技術、業務支援サービス業が6.1％増（同2.8％増）、不動産業が2.0％増（同1.6％増）、情報通信業が7.0％増（同5.8％減）となるなど一部の業種で増加したものの、卸売・小売業が9.5％減（同1.2％減）、宿泊・飲食サービス業が38.6％減（同7.4％減）、運輸・郵便業が9.0％減（同0.3％増）となるなど、総じて3.3％減（同0.4％増）と4年ぶりの減少となりました。
　また、製造業の内訳では、金属製品が2.8％増（同6.1％減）、一次金属が3.1％増（同17.8％減）となったものの、はん用・生産用・業務用機械が7.1%減（同3.1％減）、輸送用機械が27.3％減（同1.5％増）、電子部品・デバイスが9.0％減（同2.1％減）となりました。

表　経済活動別県内総生産（名目）
（別ウィンドウで開きます）

3.県民所得（分配）

　令和2年度の県民所得（分配）は、3兆2,286億円、前年度比6.8％減（令和元年度1.7％減）と2年連続の減少となりました。
これは、県民雇用者報酬が前年度比1.0％減（同0.6％減）、財産所得が前年度比2.2％減（同2.9％減）、企業所得が前年度比21.0％減（同3.9％減）といずれも減少したことによるものです。
　この結果、1人当たり県民所得は、3,120千円、前年度比6.1％減（同1.1％減）となりました。

図　県民所得の推移

4.県内総生産（支出側）（名目）

　令和2年度の県内総生産（支出側、名目）は、4兆7,299億円、前年度比3.2％減（令和元年度1.1％減）と2年連続の減少となりました。
　需要項目別に見ると、大きなウエイトを占める民間最終消費支出は、5.6％減（同0.1％減）と2年連続の減少となりました。地方政府等最終消費支出は、2.1％増（同1.0％増）と2年連続の増加となり、県内総資本形成は、4.8％減（同0.7％増）と2年ぶりの減少となりました。

図　県内総生産（支出側、名目）の推移

5.おわりに

　本稿では令和2年度富山県民経済計算の概要をご紹介いたしました。
　統計表などを含めた詳細な推計結果については次のサイトをご覧ください。
　とやま統計ワールド―県民経済計算（別ウィンドウで開きます）