安全・安心情報
更新日:2022年5月13日
ここから本文です。
ニュースでよく聞く「国内総生産(=GDP)」とは何かと聞かれたら、あなたならなんと説明しますか?
国内総生産とは、1年間に日本国内で新たに生み出された付加価値の合計です。これは、国が行う国民経済計算の結果、推計されるもので、国の経済活動状況を知ることができます。
それでは、「県内総生産」や、「1人あたり県民所得」はご存じですか?これは各都道府県がそれぞれ行う県民経済計算の結果、推計されるものです。
本稿ではそんな「富山県版GDP」とも言える「県内総生産」と「県民経済計算」について、はじめての方にもわかるようにQ&A形式でご紹介します。
A.県民経済計算は、個人、企業、政府等のすべての経済活動を対象としており、県の経済全体について、<生産>、<分配>、<支出>といった3つの面から包括的に表している唯一の統計です。(<生産>、<分配>、<支出>についてはQ5~Q7で紹介します。)
指標として具体的な数字で表せば、県内の経済活動についてたとえば次のような検討や考察を行うことができます。
〇過去からどのように変化してきたか
(例:富山県の経済活動別県内総生産は北陸新幹線開業後はどう変化した? など)
〇他県と比較して富山県はどうか
(例:近県と比較して主力といえる産業は何か?人口や面積が同じくらいの県との比較結果はどうか? など)
県(国)内総生産(名目値)の推移
県(国)内総生産(実質値)の推移
名目値・実質値の違いについてはQ4にてご紹介します。
A.県内で行われた生産活動によって得られた物やサービスの生産額から原材料費等を除いた付加価値の合計額が県内総生産です。
“県内”ですので、他県在住の人が富山県内で生産した物やサービスの付加価値は含まれますが、富山県在住の人が他県で生産した物やサービスの付加価値は含まれません。
A.県民経済計算は、様々な統計調査の結果をもとに推計を行っています。
よく知られている統計調査では5年に1度実施される国勢調査がありますが、ほかにも経済センサス-活動調査、経済センサス-基礎調査、工業統計調査、毎月勤労統計調査など、様々な統計調査の結果を組み合わせて推計しています。
上記のような調査票を配布し回答を集計して作る統計は調査統計(または一次統計)と呼ばれており、ほとんどの統計調査は調査統計にあたります。
それに対して県民経済計算は、調査統計や業務統計、その他の資料を利用して加工・集計を行っており、加工統計(または二次統計)と呼ばれています。
A.「名目値」とは、その年度で実際に取引された価格をもとに付加価値を求めた値です。同じ年度どうしで他県との比較をしたり、県内の産業構造を分析したりする際には名目値を使用するのが適しています。
「実質値」とは、物価変動の影響を取り除いた値です。一つの県について異なる年度での比較をする際には実質値を使用するのが適しています。
仮に、前年から本年にかけて、全ての物価が2倍に上昇したとすると、実際に行われた経済活動が同じ規模だったとしても付加価値(=県内総生産)の名目値も2倍になってしまいます。これでは前年と本年の経済活動の規模を比較する指標としては正しく機能しませんので、物価変動の影響を取り除く必要があるのです。
現時点での最新の県民経済計算である令和元年度(2019年度)分では、平成27年(2015年)の物価を基準として、県内総生産の実質値を求めています。
A.経済活動によって生産された物やサービスの付加価値額の合計です。
県内総生産(生産側)=付加価値額=(産出額-中間投入額) となります。
産出額:物やサービスの総額
中間投入額:原材料費、光熱水費など
A.県内総生産が給料や企業利益などとして、どのように分配されたかを見るものです。
この時、県内総生産に含まれる固定資本減耗や税は分配されませんので除きます。
(県内総生産-固定資本減耗-税+補助金+県民が県外で行った経済活動で得た所得(注)) が県民所得として分配されることになります。
県民所得の分配先を見ると
県民所得=(県民雇用者報酬+企業所得+財産所得) となります。
県民雇用者報酬:県民が受け取る給料、雇用主が負担する社会保険料など
企業所得:法人の経常利益など
財産所得:企業からの配当、賃貸料、利子など
「1人あたり県民所得」とは県民所得を県の人口で割ったものですので、上記からわかるように「県民1人が受け取る給料の平均」という意味ではありません。
(注)県民所得は県”内”所得ではないため、富山県民や富山県内の企業が県外で行った経済活動に対する給与や利益なども含まれます。
A.分配された所得は、家庭や政府などで最終消費され、企業などでは設備投資などに使われます。
県内総生産(支出側)=(民間最終消費支出+地方政府等最終消費支出+県内総資本形成など) となります。
民間最終消費支出:家計の飲食費、光熱水費、交通費など
地方政府等最終消費支出:地方公共団体等が生産したサービスの自己消費
県内総資本形成:県内の民間法人や家計、政府などの生産者としての支出のうち中間消費とならないもの
(例:家計の住宅の建設費は消費ではないため、民間最終消費支出ではなく県内総資本形成に含まれます。)
<生産>、<分配>、<支出>の関連を令和元年度の県民経済計算の推計結果で示すと、下図のようになります。
県民経済計算の概念と相互関連図(令和元年度県民経済計算推計結果)
今回は「1 基本編」ということで、県民経済計算の全般的な概要を簡単にご説明いたしました。
各系列や基準改定についての詳細な説明は、「2 生産・支出編」、「3 県民所得編」、「4 基準改定編」(それぞれ仮題)として7月以降に順次掲載していく予定です。
令和元年度の県民経済計算推計結果は下記の「関連リンク」よりご覧ください。
(注)説明を簡略化しているため、本稿に用いている用語の説明は実際の県民経済計算の推計に用いている厳密な定義と異なる場合があります。
お問い合わせ
関連情報
目的別情報
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください