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更新日:2023年2月17日
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令和5年2月17日(金曜日)知事記者会見 【1.令和5年度当初予算案について】(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます) 【2.令和5年度の県庁活性化の取組みについて】(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます) |
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今日は予算案、そして県庁活性化方針、さらに成長戦略、ウェルビーイング指標、4項目あります。大変ボリューミーですが、どうかよろしくお願いします。
最初は、2月24日開会の富山県議会定例会に提案をいたします令和5年度の予算案についてご説明をいたします。
一般会計の予算額は6,326億5,505万円となり、令和4年度当初予算の6,333億円とほぼ同規模のマイナス0.1%ということになります。ただ、検査・医療提供体制、ワクチン接種などの新型コロナ関連経費を除きますと過去最大の規模となります。
なお、当初予算案とともに2月定例会の冒頭に提案をしてご議決をいただく2月補正予算案を合わせますと、合計は6,364億3,132万円となります。
補足ですが、新型コロナ関連経費について、令和4年度当初予算では通年分を計上しておりましたが、今回は5月8日から5類への移行という政府の方針が示されているので、それに対応しまして、基本的に現行制度を前提として第1四半期の3か月分のみを計上することとしておりますことを申し添えます。
それでは、令和5年度当初予算案のポイントをご説明させていただきます。
まずはエネルギー価格や物価の高騰、新型コロナの影響を踏まえ、県民や事業者の皆さんの暮らしや事業活動への支援について、スピード感を持って最優先で取り組みます。
令和4年度中にも、6月、9月、11月と数次にわたり必要な補正予算を編成してきたわけでございますが、本年4月以降には電気料金の値上げも予定をされています。引き続き県民の暮らしを守るための予算として、2月補正予算案を含めてエネルギー価格・物価高騰対策617億円、それと新型コロナ対策69億円を合せまして686億円を計上しております。これらの事業を通じ、県民目線、現場主義で生活者支援、事業者支援に取り組んでまいります。
個別の支援メニューなどについては後ほどご説明をさせていただきます。
ポイントの2点目は新規重点事業です。
「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山」を目指していくこども政策をはじめ、本県の未来づくりに積極的に取り組むため、新規重点経費として96億円を計上しております。その主な柱は資料に記載のとおりです。
まずはこども政策ですが、本県において少子化は危機的な状況にあります。特に若者、若年女性の県外流出などによる婚姻数の減少が顕著です。一方で、児童虐待や不登校を含め、子供を取り巻く課題は多岐にわたっています。そのため、未来を担う子供たちへの投資として、少子化対策、あるいは子育て環境の充実などに重点的に取り組み、「こどもまんなか共生社会」の実現、そして若年層、特に若い女性の本県への転入、そして定着を目指してまいります。
次に、ウィズコロナの経済活性化です。
本県の成長戦略に掲げるKPIの達成に向けて、スタートアップ支援を強化するほか、北陸新幹線の敦賀開業を見据えた取組み、これは関係人口の増加につなげます。また、コロナ禍から経済を活性化させる年にしたいと考えています。
そして、DXやカーボンニュートラルの推進です。
これまでもDXにつきましては、基本方針に基づき各種の取組みを着実に進めてまいりました。また、カーボンニュートラルにつきましては本年度中に戦略を策定する予定です。来年度以降、民間部門と公共部門が一体となりまして、DXやカーボンニュートラルを一層推進していくために必要な経費、予算を計上しております。
最後のポイントですが、人への投資です。
生産性向上などに資する県内企業のリスキリングへの支援やDX人材の育成など、人への投資に積極的に取り組みます。
これらの重点政策をはじめとする新規重点事業を通じ、県民のウェルビーイングの向上を目指してまいります。
関連する個別事業につきましては後ほどご説明いたします。
なお、記載はありませんが、令和3年、4年度と続けてまいりましたサンドボックス予算につきましては、令和5年度も引き続き各部局に1,000万円ずつ、合計1.3億円を計上しております。これは各部局長のリーダーシップの下、現場の視点やアイデアを活かし、新たな課題に迅速に果敢に対応していただきたい、そのために活用してほしいと願っています。
3点目ですが、既存事業の抜本的見直し・再構築です。
行財政を取り巻く環境は予断を許さない状況にありますことから、新規重点事業には積極的に取り組む一方で、マンパワーや財源、本県の持つリソースを効率的に、効果的に配分していく必要があります。そのために、令和4年度に続き令和5年度当初予算の編成においても、長年にわたり継続している事業については、県民や事業者、関係団体の現場の声に加えまして、デジタル技術の進展など、現下の社会情勢の変化を踏まえ、事業の統廃合を含めて抜本的に見直しを行いました。
その結果、令和5年度当初予算における見直し額は、事業費ベースで10億5,000万円となりました。見直し額は、初年度である昨年度の18億2,000万円を下回りましたが、官民協働事業レビューを踏まえた県民目線での見直しや伝える事業の強化など、多くの分野で効果的な見直しが行われたと考えます。
各部局における主な見直し事例は記載のとおりです。
今後も官民協働事業レビューの継続や公共施設の整備運営への民間活力の導入など、前例にとらわれることなく事業内容や手法の見直しに取り組んでまいります。
次に、参考ですが、中期的な財政見通しと県債残高の概要をご説明いたします。
まず、中期的な財政見通しです。
昨年10月、予算編成方針を発表した段階では、令和5年度に20億円の要調整額、財源の不足額を見込んでおりました。そのため予算編成に当たっては、先ほど申し上げたように事業の見直し、あるいは重点化、効率化を図りますとともに、知事会などを通じて国への働きかけを含めて、税収をはじめとする一般財源の確保に努めてきたところです。
歳入については、当初予算ベースで実質税収を過去最大と見込み、地方交付税などを含む一般財源も、昨年度より増額して確保いたしました。
また、歳出につきましては、エネルギー価格や物価の高騰への対策に加えまして、新規重点事業に積極的に予算配分する一方で既存事業の抜本的見直し・再構築に取り組み、結果としまして、令和5年度の要調整額当初マイナス20億円と見込んでおりましたが、これは解消することができました。
一方で、今回の予算案や今後の事業見込みを踏まえまして、令和6年度以降の歳入歳出を試算しますと、これは今後の経済情勢にもよりますが、今のところの試算では一定の要調整額が発生します。令和6年度には25億円、令和7年度には32億円が見込まれます。今後も歳入歳出の両面で収支改善に向けた取組みを進めるなど、不断の努力に努めてまいりたいと考えます。
また、県債残高ですが、全国的な地方税の増収に伴う臨時財政対策債の発行額の減少などによりまして、令和4年度末、令和5年度末にかけて減少傾向が続きます。その結果、令和5年度末には県債残高が1兆1,345億円となります。
令和5年度当初予算案の規模やポイントについては以上になります。
続きまして、重点政策別の主な事業について説明をいたします。
初めに、県民の暮らしを守るためのエネルギー価格・物価高騰対策です。
子育て世帯など生活者への支援として、県内のひとり親家庭の皆さんに対し、県産食品や生活必需品などの応援セット、1万円相当ですが、これを提供いたします。
また、こども食堂の活動が維持・継続されるよう支援をいたします。
県民の消費や暮らしを支え、地域経済の活性化を図るために、商工団体や商店街によるプレミアム商品券の発行を支援します。
また、県内中小企業における賃上げを後押しするため、国の業務改善助成金に上乗せして支援をします。
一方、県内事業者の経済活動への支援については、昨年の11月補正予算で、中小企業ビヨンドコロナ補助金を10億円前倒しして計上し、省エネや省資源、計画策定を含むDXやカーボンニュートラルの推進を支援してきました。このため、4月以降の電気料金の引上げも見据え、2月補正予算案で5億円増額します。それによって、生産性向上による賃上げに向けた取組みに対しては補助率を引き上げ、支援を一層強化してまいります。
あわせて、賃金の引上げには原材料の高騰や労務費の上昇分を適切に価格転嫁できる環境を整えることも重要と考えます。このため来週22日、水曜日になりますが、「富山県中小企業の振興と人材の育成等に関する県民会議」を予定しております。県内各界、経済界の皆様にお集まりいただく会議です。ここで、パートナーシップ構築宣言の普及など、価格転嫁につながる取組みについて議論・検討する予定です。
このビヨンドコロナ補助金の増額も含めまして、賃上げ、あるいは生産性向上に向けて企業の努力を後押しする体制を整えます。一方で、その企業内の取引関係において価格転嫁が順調に、円滑に進むように、来週の会議でそのようなことを経済界の代表の皆様に、ぜひ話し合っていただきたいと思います。県からもお願いをしたいというふうに考えております。
このほか、県内の中小企業が経営改善などに取り組む際の資金繰りに対しまして、県独自に保証料率を引き下げた上で支援するとともに、商工会連合会、商工会議所に対し、経営相談に対応する専門指導員の配置支援をしてまいります。
また、来年度にかけて、引き続き交通事業者や農林水産事業者に対し、燃料費の高騰分などを業界ごとに支援をするスキームもつくっております。
少子化対策です。
先ほど申し上げましたとおり、本県においても残念ながら少子化が一層進行している状況にあり、県の成長戦略会議におきましても、ウェルビーイングプロジェクトチームの下に新たに特出しで少子化対策・子育て支援専門部会を設置し、対策を協議しているところでございます。
出生数の増加につきましては、子供を持つ基盤となる婚姻件数の増加、夫婦間の子供の数の増加、この2つのポイントが当然必要になってまいります。若い就職期の女性と、「子育て世代から選ばれる富山県になるために」、これをキーワードにしまして、以下、令和5年度の事業についてご説明いたします。
まず、とやまマリッジサポートセンターの運営につきましてですが、新たに結婚支援コンシェルジュを配置し、市町村や民間企業との連携を強化するとともに、会員へのフォロー体制を充実いたします。
また、男性の育児休業取得者と、その事業主に補助金を交付し、育児休業の取得を促進するほか、子育て家庭に配慮したサービスの提供や、授乳スペースの整備などに取り組む民間施設を支援します。小さなお子様をお持ちのママたちが、外に出て気分転換や、あるいはお買物もあるでしょう。そんな時に外で授乳をする必要性も出てきます。そのスペースがあれば便利ではないかと、そのようなことに配慮いただける企業を、あるいはお店を支援してまいります。
このほか、若者のUIJターン・Tターン就職を促進するため、県内外の大学生などに対して、県内企業や就職支援に関わる情報発信を強化しますとともに、IT・オフィス系の企業立地助成金を新たに今年度創設したわけですが、さらにこれを拡充し、女性活躍を推進する進出企業に対する助成期間を、これまでの3年から6年に延長をいたします。
加えて、企業成長×女性活躍プロジェクト推進事業では、企業経営者向けにセミナーを開催いたします。経営者の理解が何よりも大切だと考えております。それとともに「とやま女性活躍企業」、本年度、32社を認定しておりますが、それをさらに増加していくよう取り組んでまいります。
次に、子育て支援の強化です。
まず、妊娠から子育て期における支援として、市町村と連携の上、将来、子供を望まれる夫婦を対象にプレ妊活検診を実施します。
また、国による応援交付金、2回に分けて計10万円相当ですが、これと本県で行ってきました子育て応援券を統合して新たなポイント制度として展開をするとともに、妊娠時から出産、子育て期まで、一貫した伴走型相談支援を行います。
この県の子育て応援券につきましては、令和5年度以降の出生児を対象に一律3万円に拡充します。これまでは1子、2子、3子と順次増やしていったのですが、これからは一律3万円ということで、これは拡充になります。支給の時期は1歳、あるいは1歳半にさせていただきます。これは市町村ともいろいろご相談した結果、このタイミングがよいのではないかと、市町村としても業務が円滑に進むのではないかということで、このような時期に支給をさせていただきます。国の10万円、そして1歳から1歳半児に3万円ということになります。
さらに、産後ヘルパーの派遣体制を強化するほか、県内医療機関における新生児の聴覚検査に必要な自動ABR機器の新規導入、これは県議会でもいろいろと議論になりまして、大切なことだと考え、今回新規導入を支援したいと考えます。
次に、子育て環境の充実としまして、先ほども説明しました子育て家庭お出かけ推進事業に加えまして、子育て支援AIチャットボットを活用し、必要な情報をセグメント配信するほか、病児・病後児保育について、インターネットにより予約を可能とします。これによって利便性は大きく向上すると期待をしております。
また、引き続き未就学児を対象に、インフルエンザの予防接種費用を助成いたします。なお、都道府県による一律助成は、本県のみの取組みとなっております。
このほかに、不適切な保育がありました。これを未然に防止するために、新たに外部の視点を取り入れた研修を実施します。現場での聞き取りによりまして、このような外部の視点を入れることが大切ではないかということで、このような事業を実施してまいります。
次に、新川こども施設ですが、今年度の民間活力導入可能性調査を経まして、設計、建設、運営、維持管理を一括で発注する「PFI-BTO方式」が最も適していると決定をいたしました。この詳細については本日別途お知らせするほか、ホームページにも掲載をいたします。詳細は担当課にお問合せいただければと思います。
来年度は、整備・運営を行うPFI事業者の選定手続きを進めてまいります。
次に、教育環境の充実として、国より2年先行する形で、来年度は35人学級を小学校6年生まで拡大します。
また、教育相談体制を充実させるため、スクールカウンセラーの「スーパーバイザー」を配置するとともに、事例検討会やフリースクールとの連携強化などに取り組みます。
また、子育て世帯の教育費負担の軽減を図るため、私立高校授業料の減免補助を拡充しまして、年収590から910万円未満の世帯に対し、国の就学支援金に月額6,600円まで上乗せをいたします。
次に、様々な困難を抱える子供への支援として、学校以外の居場所で安心して過ごせるよう、こども食堂における学習支援の取組みや民間団体による居場所づくりを支援いたします。NPOなどとも連携をしていきたいと考えております。
また、こども食堂とフードバンクとの連携を強化するとともに、ヤングケアラーを支援する体制を整備いたします。
富山児童相談所の機能強化につきましては、検討会を踏まえて、検討会では整備予定地などについても議論されたところでございますが、児童相談所の移転改築及び心理治療施設の開設に向けて、来年度、基本設計・実施設計を進めてまいります。
また、引き続き児童精神科医の養成など、県内の小児医療の充実・強化を図ってまいります。
次は、女性が活躍する環境づくりです。
2030年までのジェンダー平等の達成を目指し、アンコンシャス・バイアス解消アクションなどを実施するとともに、「とやま女性活躍企業」の認定数の増加などに取り組みます。
また、県内企業における女性の活躍分野の拡大や健康課題への対応など、各種の取組みへの支援について、例えば企業における搾乳室などの設備導入を支援します。
女子高校生と県内企業の女性管理職との交流会を通じまして、ライフプランやキャリア形成について考える機会を提供します。これも成長戦略の専門部会から出てきた提案でございます。大学進学において、県外に出られてより知見を広げる、あるいは独り暮らしなども経験する、これはこれで人生にとって大切な時期だと思いますが、ただ、そのまま県外で就職されるのではなくて、県内にもいろんなよい企業がある、働く場所があるということを早めに打ち込んでおく趣旨で、この企業の女性管理職と女子高校生との県内交流会というものを計画することでございます。
さらに、デジタルスキルの導入講座などを通じまして、女性のキャリア形成を支援するほか、「働き方改革サポーター」の登録促進、「働き方改革女性活躍推進宣言」の拡大など、働き方改革の横展開を図ってまいります。
次は、ウィズコロナの経済活性化です。
まず、スタートアップ支援です。企業につながるエコシステムの形成に向けて、今、様々な取組みを進めておりますが、県内のスタートアップを集中的に支援するとともに、県内企業や団体によるネットワークの構築を図ってまいります。
また、県内における創業を支援するため、国のスタートアップ創出促進保証を利用する企業に対しまして、県独自に保証料の一部を補助します。
さらに、昨年10月に運用を開始した「SCOP TOYAMA」の認知度向上や交流の拠点化に向けまして、地域交流イベントを開催いたします。
このほか、農業分野では新規就労者の育成確保に向けて、「とやま農業未来カレッジ」の研修内容を充実するとともに、就農コーディネーターによる就農相談などに取り組みます。
次に、関係人口の増加についてです。
高岡テクノドーム別館の建設工事や運営事業者の選定を進めるほか、北陸新幹線の敦賀開業を見据え、北陸三県が連携し、関西圏における情報発信拠点、これは大阪の梅田地区の再開発ビルを想定しておりますが、これの開設準備やプロモーションに取り組んでまいります。
令和6年の秋には「北陸デスティネーションキャンペーン」がありますが、これに向けまして本県への誘客を一層促進するほか、富山への移住を促進するため、満足度の高いイベントや、バーチャルリアリティを活用した相談対応を実施するとともに、ウェブサイト「くらしたい国、富山」、移住を考えられる方向けのサイトですが、これをリニューアルいたします。
次に、新産業の創出・産業競争力の強化です。
産学官連携による取組みとして、アルミのリサイクルに向けた研究開発、人材育成や「くすりのシリコンバレーTOYAMA創造コンソーシアム」における医薬品の研究開発・人材育成、グリーン成長戦略分野に関連する研究開発を支援します。
加えて、県の制度融資、「設備投資促進資金」により、エネルギー効率の向上や炭素排出量の削減に資する設備投資を支援いたします。
また、「富山県ものづくり総合見本市」を4年ぶりにリアル開催いたしますとともに、米国オレゴン州への職員の派遣、アメリカでの富山フェアの開催などを通じて、県内企業の海外展開を促進いたします。
さらに、本県産業の承継を支援するために、事業承継に際し必要となる活動費を補助するほか、伝統工芸品については継承者の技術習得を支援するとともに、AI技術を活用した技術継承の効率化により、後継者の育成強化や生産性の向上を目指してまいります。
最後に、ブランディング・情報発信強化事業ですが、これは国の観光再始動事業を活用の上、「寿司」をフックとした特別な体験を提供するイベントを開催し、本県への誘客促進や農水産業などの周辺産業の高付加価値化を図ります。
次は、健康寿命の延伸や医療・介護人材の確保です。
まず、健康寿命の延伸については、特定健診の受診率向上に向けて、県内の4市町でPFS、Pay For Success、成果連動型民間委託、これを活用したモデル事業を実施いたします。
そのほか、「かがやきウォーク」をアプリ提供して実施しておりますが、この機能をより拡充するとともに、官民連携によるPRイベントを開催するなど、生活習慣の改善を促進してまいります。
また、高齢者のフレイル予防を推進するために、官民が連携して効果的な啓発に取り組むほか、令和3年7月の県薬事審議会の提言を踏まえて、薬機法違反の再発防止と信頼性確保に向けた取組みを一層強化します。
このほか、睡眠をテーマとして、企業の健康経営を考えるシンポジウムなどを開催します。歩く量が足りない、睡眠の質があまりよくない、これが富山県の健康に関する弱点であります。このあたりをしっかりテコ入れしてまいりたいと考えます。
次に、医療・介護人材の育成確保です。
まず、介護ロボットやICTの普及を促進するため、新たに「とやま介護テクノロジー普及・推進センター」を設置運営するほか、県内の介護施設や介護福祉士養成校における外国人介護人材を受け入れるための環境整備を支援します。
また、薬剤師の確保に向けましては、公的病院における短期インターンシップの開催や、薬剤師のキャリアを紹介するウェブサイトの制作、PRに取り組むほか、看護師等の就労促進に向けて、就労相談に加え、新たにeラーニングを導入し、再就業の支援の研修会を開催いたします。
さらに、県特別枠の医学生が自ら企画立案する「卒前支援プロジェクト」を実施いたします。地域医療に対する意識を高めてもらうほか、歯科衛生士や歯科技工士の養成所を含む富山県歯科医師会館の耐震改修工事に対し支援をいたします。
次に、産学官の連携によるデジタル化の推進です。
民間部門につきましては、ビヨンドコロナ補助金や各種講座の開催を通じて、中小企業におけるDXを促進します。
また、企業が保有する先進的なデジタル技術を活用し、地域課題の解決を実証するほか、建設現場の業務効率化に資するデジタル技術の導入を支援いたします。
一方、行政部門ですが、自治体のデジタル化やシステム調達などの知見を有する専門人材を配置し、市町村のDXを支援するほか、県の複数のアプリやサービスを連携させるために、共通の基盤となるプラットフォームなどを整備し、県民の利便性向上、地域課題の解決を図ります。これまではバラバラと、それぞれ申し訳ないのですが縦割りで、アプリを開発し提供してまいりました。プラットフォームをつくり、一括して統一的に推進をする、このような体制を遅ればせながら整備したいと考えております。
県立高校の入学者選抜手続きをデジタル化するほか、県の除雪情報システムにAIで路面の積雪を判断する機能を追加することで、積雪情報を視覚的に発信してまいります。
また、メタバースを活用しデジタル広聴に取り組むほか、「ワンチームとやま連携推進本部会議」では引き続き自治体行政のデジタル化を16自治体共通のテーマとして、県と15市町村で協議・検討を進めてまいります。
また、来年度中にデジタル関連の条例を制定する予定にしておりますが、これに併せて現行の「DX働き方改革推進基本方針」を見直し、「富山県DX推進計画」の策定をいたします。
DX人材の育成ですが、まず、富山県立大学においてデータサイエンスなどの専門教育を行う「情報工学部(仮称)」の開設に向けた準備を進めるほか、産学官金の連携拠点として、既に整備しております「DX教育研究センター」において、これを大いに活用してオープンイノベーションやDXを担う人材育成を推進してまいります。
また、今年度に引き続きまして、県内企業の「DXサポーター」を養成していくほか、小学生・中高生を対象に、高度なプログラミングスキルや課題解決能力を持つ突き抜けたDX人材の育成を図ってまいります。
また、eスポーツを通じた教育プログラムの実証にも取り組んでまいります。
次は、農林水産業の振興です。
稼げる農林水産業の実現につきまして、地域商社を中心とした輸出プラットフォームの形成、リーディングプロジェクトの支援、アジア地域でのフェア開催などに取り組みます。
富山米「富富富」の生産拡大や「とやま和牛酒粕育ち」のブランド化を推進するとともに、とやま食材マッチングサイトの利用拡大、県産食材のPRに取り組むほか、新幹線や航空機輸送による販路拡大を進めます。
さらに、園芸生産の拡大を図るため、リーディング経営体の育成に向けた機械・施設の導入、労働力の確保の支援をいたします。
このほか新たな取組みとして、県産米粉を活用した商品開発や販売を支援するとともに、大消費地と連携した消費拡大キャンペーンを実施してまいります。
次に、担い手の育成・確保です。
来年度は、本県において「第18回食育推進全国大会inとやま」を開催し、本県ならではの食の魅力や食育の取組みを県内外に発信してまいります。
また、新規就農者の担い手の育成・確保を強化するとともに、本県の農業振興に関する継続的な研究、学びの場として、新たに富山大学に、農業経済学に係る寄附講義を設置いたします。この火を何とか絶やさずに続けていきたいという趣旨でございます。
このほか、林業の担い手の育成・確保に向けて、新たに林業事業者によるインターンシップを支援するほか、近々策定する「富山県みどりの食料システム基本計画」に基づき、有機農業などを推進します。
次に、地域交通ネットワークの活性化です。
来年度は、持続可能な公共交通の確保に向けて、法定計画である「富山県地域交通戦略」を策定する年となります。
また、戦略の策定に先駆けまして、市町村と連携の上、富山地方鉄道による鉄軌道の安全性、快適性向上への支援を強化するとともに、万葉線における交通系ICカード設備の導入に対し支援をいたします。
さらに、城端線・氷見線における利便性、快適性の向上について調査・検討を一層進めるほか、人口減少や高齢化の進展に対応するため、地域の移動を支える新たなモビリティサービスの導入を支援いたします。
また、MaaSアプリにおきまして、「とやまロケーションシステム」との連携を強化するほか、北陸新幹線の敦賀開業に向けて、北陸三県で連携したキャンペーンにより並行在来線の利用を促してまいります。
次は、持続可能な地域づくりです。
来年度は、本県において「全国過疎問題シンポジウム」が開催をされます。過疎地域の活性化に係る議論を深め、全国の優れた取組みに触れる機会とする予定です。
中山間地域における物流モデルの早期実装化に向けて、官民協働の協議会を設置するほか、コミュニティビジネスに取り組む地域への支援として、経営の専門知識やノウハウを習得する研修を実施します。
このほか、地域の共助の担い手である防災士の養成を強化してまいります。
通学路の危険箇所に対し防犯カメラを貸し出し、設置を促進してまいります。
「令和の公共インフラ・ニューディール政策」につきましては、必要額を確保し、土木、農業関係をはじめとする社会資本の整備や、通学路などの歩道整備、県立高校の特別教室への空調整備、交通安全施設の新設・改良、各種施設の維持修繕に計画的に取り組んでまいります。
次は、23ページになりますが、カーボンニュートラルの推進です。
民間部門の取組みに対しては、自家消費型の太陽光発電設備や、再エネ熱利用設備の導入を支援するほか、電気自動車や商業施設などでの充電設備の導入を支援してまいります。
また、既存住宅の省エネ改修を支援するとともに、本県が目指すべき省エネ住宅、「富山型ウェルビーイング住宅(仮称)」ですが、この性能及び推進方策に係る検討を進めてまいります。
さらに、県内中小企業を対象に、脱炭素経営に関するセミナーや検討会を開催し、脱炭素経営のモデル企業を育成するほか、カーボンニュートラルに対する県民や県内事業者の理解を深め行動変容を促すため、民間事業者からの提案を募集します。
さらに、小水力発電の導入拡大に向けまして、河川や上下水道を対象に、導入可能性調査を実施してまいります。
一方、公共部門では、県庁の率先行動目標の達成に向けまして、県有施設や信号機、学校照明のLED化、県有施設への太陽光発電設備の設置に計画的に取り組んでまいります。
加えて、資料には記載してございませんが、こうした省エネルギーなどに関する事業における資金調達として、来年度より新たに全国で共同発行する予定の「グリーンボンド」、これに本県も参加をし、手始めですが20億円程度を発行する予定としております。昨年来、全国市場型公募債を2年続けて発行しましたが、またこれも新たな資金調達の道ということで、ご理解をいただきたいと思います。
SDGs・多様性の推進についてです。
SDGsの推進につきましては、廃プラスティックの排出事業者とリサイクル事業者、プラスティック製品メーカーによる新たな連携を支援してまいります。
また、特別支援学校に新たに医療的ケア指導チームを配置するほか、インクルーシブ教育の理念の普及を図るために、教育委員会内にインクルーシブ教育推進員を配置いたします。
このほか、雇用ゼロ企業など法定雇用率未達成の企業を対象に、労働局の指導と連携した講座を開催するほか、就労支援事業所における障害者の工賃向上を図るため、企業や官公庁向けのPRを強化します。
このような取組みで、ダイバーシティ&インクルーシブな社会を推進してまいります。
次は、スポーツ・文化の振興です。
スポーツについて、県民のスポーツ活動への参加を促進するため、体験型スポーツイベントを開催するほか、プロスポーツの資源・ノウハウを活用しまして、小・中学生を対象に技術指導に取り組んでまいります。
文化につきましては、県民が文化に触れる機会をより多くするために、活動依頼に応じまして、県内の芸術家などを派遣する事業を行ってまいります。
また新たに、日本三霊山の魅力を発信するため、富山、石川、静岡三県知事による鼎談を開催するとともに、立山博物館において三霊山に関する展示や調査研究を行いますほか、高志の国文学館においては、新しい館長の就任を契機に、幅広い世代にとっての学びの場や憩いの場を目指し、新たなイベントを開催してまいります。
また、勝興寺が国宝に指定されたことを記念し、県、高岡市、そして勝興寺の共同により宝物展を開催するほか、立山博物館など立山エリアをはじめとして、本県の文化観光を推進してまいります。そのために、文化施設をめぐるバスツアーの造成やデジタルチケットの販売を支援してまいります。
次は、教育の充実です。
まず、初等・中等教育の充実については、35人学級の拡大により少人数教育を推進するほか、教員の負担軽減を図るために、市町村と連携の上、引き続きスクール・サポート・スタッフを配置します。
また、教育相談体制を充実するほか、休日の部活動の地域移行を支援します。
県内で働く教員確保に向けては、教員UIJターンセミナーや教員養成講座、PR動画などを通じ、教員の魅力を発信するとともに、県外出身の県外大学生を教育実習生として募集する新たな試みもする予定です。
さらに、県立青少年教育施設において、教員を目指す高校生や大学生が企画運営に携わり、小学生を対象とした交流合宿を開催いたします。
このほか、中学2年生を対象とした職場体験活動「14歳の挑戦」について、企業へのPRなど支援を強化するとともに、G7教育大臣会合の開催が迫る中、富山市と連携した機運醸成として、県立特別支援学校において、G7参加国にちなんだ特色ある給食を提供したいと考えます。
次に、魅力と活力ある高校教育です。
本日、今年度5回目の会議を開催しております、「令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会」を、来年度は発展的に改組いたしまして、新たな検討会議を設置します。引き続き高校再編に関わる基準など、基本的な方針について議論・検討を進めてまいります。
また、県立学校において、プロジェクト学習やSTEAM教育を推進するとともに、地域課題などをテーマとした探究活動について、新たに学校と地域や企業をつなぐコーディネーターを配置します。これまではPTAや先生などにお願いをしていたことを、新たにコーディネーターを配置することによって、より促進をしてまいります。各学校の先進的な活動内容を広くPR、横展開することにつながればと考えます。
また、G7教育大臣会合の開催に合わせまして、県内の高等教育機関の特色ある取組みを発信するシンポジウムを開催するほか、県立高校の農業学科に実践的で高度な知識・技能を身につけるための先進農業機械を整備してまいります。
県立図書館ですが、利便性向上のための改修を実施するとともに、デジタル化の進展などを踏まえ、今後の在り方を検討いたします。
次は、人への投資です。
国の人材開発支援助成金と歩調を合わせて、県独自で県内企業が行う従業員のリスキリングを支援するほか、産業界の人材ニーズや休職者の訓練ニーズを踏まえ、富山県技術専門学院において学科の見直しなど訓練環境の整備に取り組みます。
また、「とやま農業未来カレッジ」において、既に就農されている方向けの園芸研修を盛り込むなど、カリキュラムを強化するとともに、定員拡充に向けた検討準備を進めてまいります。
さらに、本県の優れた伝統工芸品の継承者に対し技術習得を支援するほか、県立大学における「情報工学部(仮称)」の設置などを通じてDX人材の育成を図ってまいります。
最後に、観光振興など選ばれる県づくりです。
まず、観光振興による誘客促進につきましては、令和6年の「北陸デスティネーションキャンペーン」に向け、北陸三県が連携し全国的な誘客キャンペーンを行うほか、全国宣伝販売促進会議、プレDCにおいて効果的な情報発信、PRに努めます。
さらに、関西圏における情報発信拠点の整備を進めます。
インバウンドの回復に向けた取組みですが、新たに高付加価値旅行者向け宿泊施設の誘致検討委員会を設置しまして、立地に向けた方策を検討してまいります。
また、欧米・オーストラリアを対象に、観光コンテンツの磨き上げやホームページ、SNSによる発信強化、現地を活用したコンサルティングに加えまして、今年度に引き続きロンドンでのプロモーションも予定をしております。
さらに、令和6年に一般開放が予定されている黒部宇奈月キャニオンルートについては、引き続きガイドの養成、開業プレイベント、国内外の各種媒体を活用したPRなどにより、魅力の向上、発信を図ってまいります。
サイクルツーリズムの推進についても、SNSを活用した情報発信や北陸三県で連携したモバイルスタンプラリーなどに取り組みます。
さらに、国の全国旅行支援を活用した観光事業喚起策についても、引き続き実施してまいります。
空港の活性化ですが、まず、台北の定期便の運行再開に向けて観光プロモーションを強化するほか、国際線の運行再開を見据え、情報収集や分析をし、旅行商品の造成支援などに取り組みます。
また、ANAと連携したプロモーション、個人向け搭乗キャンペーンなどを通じまして国内線の利用促進をするほか、東南アジアなどにおけるエアポートセールス、チャーター便の運航支援を実施します。
さらに、富山空港における混合型コンセッションの導入に向けては、空港施設の資産などを調査するとともに、民間事業者の公募に向けた作業を進めてまいります。
重点政策別の主な事業の説明は以上となります。
なお、令和5年度当初予算案を反映した8つの重点政策、88の具体策のロードマップにつきましては、机の上に配布させていただいておりますとおりでございます。本日、県のホームページでも公表をいたします。
続きまして、令和5年度の県庁活性化の取組みについてご説明申し上げます。
昨年10月に、県庁活性化に向けた検討の方向性を、これは新しい試みになりますが、県庁活性化方針として定めまして、新年度の当初予算編成と県庁の活性化を一体的に推進することにより、県民ニーズに対応した持続可能な県政推進体制の構築を図ることとしました。
この方針に沿って、令和5年度に取り組むことにしております具体的な内容について説明を申し上げます。
まず、組織の見直しですが、広報・ブランディング施策の強化、こども家庭施策の総合的・戦略的な推進、薬務行政の強化、これを主なポイントとして見直しを行いました。
知事政策局に「広報・ブランディング推進室」を設置し、県のブランディングに係る企画立案・情報発信の司令塔となる体制を強化します。広報・ブランディング推進室は、広報課と新たに設置するブランディング推進課の2課体制とします。
観光推進室の「立山黒部観光戦略班」と「広域観光推進担当」を統合して、「立山黒部・広域観光戦略班」を設置します。黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放や、北陸新幹線の敦賀開業時に向けたプロモーション体制の強化を図ることが目的です。
航空政策課に「空港コンセッション導入準備班」を新たに設置し、富山空港を県が保有したまま民間事業者に運営権を設定する混合型コンセッションの導入に向けた準備を進めてまいります。
こども家庭室内に「こども政策課」を設置し、国のこども家庭庁の体制に沿った3課体制といたします。こども政策課は政策の企画立案・総合調整を担当、こども家庭政策の推進体制を強化します。また、専任のこども家庭支援監を配置し、こども家庭施策を総合的・戦略的に推進してまいります。
くすり政策課を「薬事指導課」及び「くすり振興課」に改組します。薬事指導課は、医薬品の安全性や品質の管理などの規制部門を担当し、「企画係」、「薬事係」、「指導第一係・二係」を設置します。また、くすり振興課は薬業の振興などの振興部門を担当し、「企画・振興係」、「くすりコンソーシアム推進班」を設置します。
企業局水道課に「機能維持推進班」を設置します。目的は、老朽化が進む水道用水供給事業及び工業用水道事業の機能の維持に向けた体制を整備し、安定的な生活用水及び工業用水を供給していきたいと考えるためです。
人事委員会事務局の「職員課」と「任用課」を統合し、「企画・任用課」を設置します。課の統合により指揮命令系統を一本化し、人材確保対策及び給与制度の見直しに一体的に取り組んでまいります。
次は、組織の活性化と多様な人材の活用についてご説明申し上げます。
今年度から、多様化する行政課題に対応するため、個別の重要課題ごとに部局の枠を越えたプロジェクトチームを設置して取り組んでまいりました。現在、3つのプロジェクトチームを設置しておりますが、役割を終えたものは廃止し、新たに加えるものを合わせまして6プロジェクトチームに拡充します。
今年度から継続するこども未来PT、農産物輸出促進リーディングPTに加えまして、新たなテーマのPTとして、NHK跡地や県庁前公園などの有効活用や必要な整備について検討する県庁前周辺県有地有効活用検討PT、北陸新幹線延伸等を見据えた大阪事務所の在り方について検討する大阪戦略PT、伝統工芸品産業の振興・活性化を図るためのプロジェクトを推進する伝統工芸品産業振興PT、効果的・効率的な社会資本の管理運営や担い手確保を目指す土木農林DX・働き方改革PT、これらを設置し、部局横断的に施策の推進を図ってまいります。
庁内副業制度は、職員がこれまでに培った専門知識や業務スキル、多彩なキャリアを有効に活用できるよう、現在の所属部門に籍を置きながら、プロジェクトチームや他部門の事業などに従事できる制度です。今年度、制度を創設したわけですけれども、ウェルビーイング意識調査や働き方改革ラボのPRといった業務に副業で取り組んでいます。
また、職員のやる気を引き出し、挑戦意欲に応えるため、人事異動に際して事業単位で意欲ある職員を公募するジョブチャレンジ制度も実施しているところです。
これらを、効果がありニーズもあるということが確認できましたので、引き続き実施します。職員の自己成長やウェルビーイング向上を図っていきたいと考えます。
外部人材の活用につきましては、県ではこれまで専門的な知識・経験や民間ならでは感覚・発想を県政に取り入れるため、民間企業との人事交流や外部人材の登用を進めてまいりました。これらに加えまして、地域課題を解決する熱意とスキルを持つ外部人材を副業・兼業により積極的に活用してまいります。
例えば、広報・PRの知見を活かした県職員の発信強化の取組み支援や、EC、電子商取引でのマーケティングの知見を活かしたふるさと納税PRの支援などといった業務への活用を想定しております。
次に、職員の育成確保についての説明です。
社会状況の変化に柔軟に対応し、持続可能な行政サービスの提供体制を構築するためには、限られた人材、人の宝を最大限に活用して組織力を強化していかなければなりません。このため、職員研修の計画などを定めた現行の方針を見直し、人材をマネジメントする視点に立ち、人材育成の取組みを総合的に進めるための基本方針を新たに策定します。これまではあくまで研修計画と言っていたものを、より高度なレベルで人材のマネジメントを行うための改革です。
変化への適応に必要なスキルを獲得するリスキリングを職員研修体系に位置付けるとともに、職員が取り組みやすい環境の整備を進めてまいります。
令和5年度は、大規模オンライン講座MOOCのプラットフォームを活用して、様々な分野の知識やスキルを自ら身につけることのできる環境を整備し、まずは試行的に運用してまいります。この運用具合を見て、さらに次年度以降どうするか考えたいと思っております。試行といいましても、1,000のアカウントを設定しまして、言わば1,000人が使えるような仕組みにいたします。また無料のものは、このアカウント以外でも使えるので、意欲ある多くの職員が様々なリスキリングに挑戦できる体制を整備いたします。
また、組織や地域の枠を越えて、多様な主体と連携をしまして、地域課題の解決に取り組む越境人材の育成をさらに進めるために、一般社団法人地域活性化センターと連携して実施するフィールドワーク研修、これは引き続きになります。また、官民連携の多様なスキルを学ぶ都市経営プロフェッショナルスクール、富山県のために北陸校も開設していただいておりますが、これも引き続き実施してまいります。
職員の採用につきましてですが、技術職種を中心に、年々採用の厳しさが増してきています。これに対応するために、受験時期の早期化、機会の拡大と受験しやすさへの配慮をポイントに、職員採用の在り方を見直すこととしています。
具体的には、既に人事委員会が公表しているとおり、上級試験の受験申込み開始時期の前倒し、上級試験の技術職種における教養試験の廃止、初級試験に総合土木の新設などの見直しを行います。
また、特に採用が困難となっている獣医師及び薬剤師につきましては通年募集をかけることとしまして、採用状況に応じて年4回程度、先行実施しておりますが、この第1回目の申込み開始時期及び試験日をそれぞれ前倒ししてまいります。
さらに薬剤師につきましては、行政部門、研究部門、病院のいずれもが勤務先となり得るのが現在のやり方でありますけれども、それではご応募に当たり、どこに行くか分からない不安というものがあるという声もありまして、従来の採用枠に加えまして、継続して病院で勤務できる病院採用枠というものも新設をいたします。
これら、決して民業を圧迫するつもりではございません。民間と同じスタートラインに立ちたいという、そのようなことでの改革でございます。これまでは遅れておりました。
次に、カムバック採用制度を新たにつくるということについて説明申し上げます。
かつて県庁で働いておられ、育児や介護などの何らかのやむを得ない理由によって退職された職員が、その後の状況の変化により、再びその知識・経験を活かして働きたいと希望する場合に、職員として3年以上在籍し、退職してから10年以内であれば、面接などの簡単な選考により、再び正規職員として採用できるカムバック採用制度を創設いたします。いわゆるリボルビングドアと呼ばれるような制度ですが、これを本県でも創設したいと考えます。
次に、定員の管理についてご説明申し上げます。
一般行政部門について、令和4年4月を基準とした3年間の定員管理計画を新たに策定いたしました。これは、県政の重要課題や新たな行政需要に対しまして、事務事業の見直しなどにより生み出した人員の範囲内で必要性を厳選の上、配置することを基本としています。
具体的には、新型コロナへの対応により増員となった令和4年4月の定員3,211人を基準として、3年間はその定員3,211人は維持する一方で、段階的な定年引上げに伴い正規職員の、これはフルタイム勤務の方ですが、増加が見込まれることなどから、3年間で32人を増員する計画としています。
なお、定員管理計画の数値目標とは別に災害派遣枠を設けております。これは、県外被災地などへの中長期派遣要員を確保するとともに、平時には技術職員が不足傾向にある県内市町村を支援するため、土木などの技術職員の増員を図っていくということであります。今年度までに6人確保したところであり、令和7年7月には15人まで拡大する目標としております。
次に、教育部門について説明します。
教育部門については、教員を除く学校事務、実習助手などの職員を対象に、令和2年4月の定員を維持する3年間の計画となっています。令和5年4月は最終年度となりますが、865人となり、令和2年4月の定員を維持することになりました。
警察部門です。
警察部門につきましては、警察官や鑑識などの専門的業務従事者を除く職員数について、県民の安全・安心の基盤となる警察力を維持するため、令和3年4月の定員を維持する3年間の計画となっています。令和5年4月は前年と同数となる見込みです。
次に、公営企業などについてご説明申し上げます。
公営企業などについては、独立採算制を原則としており、普通会計である一般行政部門、教育部門、警察部門とは取扱いが異なりますが、他部門の取組と同様、組織の効率化に努めるとともに、必要な部門には所要の人員を配置しています。
うち、中央病院につきましては、診療体制の強化のため医師・看護師等を増員したことから、令和5年4月は16人増える見込みとなっています。
教員、警察官などを含めた全部門では、業務の見直しによる減員を行う一方、病院の診療体制の強化、厚生センターや児童相談所の充実などについて増員を行い、差し引きで前年度より19人多くなる見込みです。これにより、令和5年4月の職員数は1万5,358人となる見込みです。
次に、業務の抜本的見直しです。
まず、官民協働事業レビューの実施についてですが、今年度、既存事業の改善を図るため、県民との協働による事業レビューを20事業において本格実施をいたしました。無作為抽出によりご参加いただいた県民評価者の積極的なご意見や評価結果を参考に事業の在り方を検討し、令和5年度予算に反映しました。
見直し状況については、抜本的改善が6事業、一部改善が10事業、現行どおり継続が2事業、拡充して実施が2事業となっております。本年度は、対象の20事業について予算編成過程の見える化を実施し、予算要求の状況や予算査定の経過などについて、県のホームページに公開して見える化をしております。
また、事業レビューの成果を県民の皆様に説明していただく報告会を来週2月21日火曜日に開催することとしております。事業レビューにおいて、各委員や県民評価者の皆様から数多くいただいた貴重なご意見を通して、各事業の課題や論点が明らかになり、見直しを行っていく上で大変参考になりました。また、職員の意識改革にもつながっております。
そのため、令和5年度においては対象事業を4つ増やしまして24事業とし、事業レビューを実施いたします。また、事業費の縮減の観点からの見直しを一層推進してまいりたいと考えます。さらに、今年度の県民評価者の意見などを踏まえましてインターネットライブ配信を実施し、県民参加を促進してまいります。
次は、業務の効率化についてです。
職員が新たな課題に積極的に取り組めるよう、事業の統廃合、業務の簡素化、ICTの活用、ペーパーレス化などの観点から、既存業務をゼロベースで総点検し、抜本的に見直すこととしました。県庁全体で1,078件の業務の効率化を実施し、年間で5万5,162時間分の業務量を削減します。
見直しの内訳は表のとおりです。また、それぞれの区分ごとの具体的な見直し内容につきましては、次の28ないし31ページまでのとおりご覧ください。
次は、DX・働き方改革について説明申し上げます。
まず、スマート県庁の推進について説明申し上げます。
県民が時間や場所にとらわれず、利便性の高い行政サービスが受けられるよう、行政手続の電子化をさらに推進します。
具体的には、県への行政手続約6,000件の約9割弱に当たる5,300件の行政手続について、令和5年度末までにスマートフォンやパソコンで電子申請が可能となるよう電子化を進めます。
収入証紙の見直しについては、長い間手数料などの支払いに使用されてきた収入証紙につきまして、令和7年度中までの廃止を目指して検討してまいります。
見直しに当たっては、費用対効果も考慮しながら、県民の利便性確保と業務の効率化を第一に、行政手続の電子申請、電子納付の推進、電子申請と電子納付できない県民の手続きに対応するため、窓口におけるキャッシュレス決済など、デジタルデバイド対策の検討など、適切に対応してまいりたいと考えます。
次に、デジタルを活用した働き方改革についてご説明申し上げます。
働き方改革ラボでは、令和3年度からモデル的な部門での挑戦を通じて、働き方改革の事例の積み上げを行ってまいりました。今後はこれまでの取組みを整理し、よかった事例について新たに全庁的に実施していくこととします。
また、職員が働き方改革に取り組みやすくなるよう、庁内掲示板に働き方改革ラボ専用ページを設け、これまでの事例やノウハウを見やすい形で共有するほか、個別の相談にも対応してまいります。
次に、AI-OCRとRPAを活用し、簡易・定型的な支払い書類を自動作成する仕組みを全面的に導入します。
また、県庁における業務効率化及び生産性向上を図るため、新たなグループウェア・メールシステムを導入いたします。
次に、DX人材の育成・確保についてですが、市町村と連携した取組みとして、今年度は県単独で行ってきたDX人材育成研修を、来年度は市町村と協働で実施をいたします。
また、市町村のDX人材を強化するため、新たに専任の主幹を配置するとともに、民間人材を雇用いたします。
官民・大学連携の取組みとして、コンピューターサイエンス分野でアジアトップクラスのシンガポール国立大学と連携し、官民連携でDX施策の高度化に取り組みます。
また、県立大学の学生と協働して、デジタルツールを活用した県庁の業務の効率化に引き続き取り組みます。
次に、テレワークの拡充について説明申し上げます。
業務の効率化、生産性の向上やワークインライフの実現に向けた、柔軟で多様な働き方の基盤となるテレワークを拡充します。引き続きテレワーク対応PC台数を順次拡大するとともに、ペーパーレス化など仕事の進め方を見直し、希望する職員がテレワーク可能な体制をより一層整備してまいります。
令和5年度中の新たなグループウェア・メールシステムの導入に併せまして、職員の勤怠管理や業務の進捗管理の方法について見直しを進めます。テレワークの推進が働き方改革の肝だと考えております。これを一層進めてまいります。
次に、健康経営の推進です。
フリーアドレスにも対応可能な執務環境を整備するとともに、これまで省エネルギーや地球温暖化対策として夏に取り組んでいた職員の軽装を通年で励行することとします。職員の自主性や個性を重んじた快適で働きやすい服装で勤務を行うことにより、公務能率や県民サービスの一層の向上に取り組みます。
これまで、働き方改革や新たな人事制度、研修の創設など、様々な取組みを実施してまいりましたが、こうした取組みの成果分析や課題の把握のため、組織への共感度ややりがい、成長実感などに関する職員のアンケート調査を実施します。調査項目の検討には、外部人材や若手職員にも参画いただくことを考えています。こうした調査により、取組みの効果や課題の見える化を図り、職場にフィードパックするとともに、改善策を検討・実施することで、職員の仕事への働きがい、あるいはウェルビーイングの向上につなげてまいりたいと考えます。
次に、公共施設マネジメントの推進についてご説明申し上げます。
先般の高校再編により閉校となりました旧泊高校、旧南砺福光高校の跡地活用につきましては、引き続き地元市町や関係機関とも緊密に連携協力しながら、地域の新たな活性化につながるように取り組んでまいります。
また、県庁周辺の県有地について、まちの活性化にもつながるような効果的な活用方法を検討してまいります。
そして、カーボンニュートラルを推進するため、県有施設への太陽光パネルの設置などに計画的に取り組んでまいります。
次に、官民連携、民間活力の活用についてご説明申し上げます。
官民連携・規制緩和推進体制の強化については、新たに私がトップとなる官民連携・規制緩和推進本部を設置し、全庁的な意識醸成、事業推進体制を構築してまいります。
また、今年度から設置している官民連携・規制緩和推進デスクの取組みの強化にも努め、先月、株式会社ゴールドウィン、南砺市と共同で発表したPLAY EARTH PARK事業などのプロジェクトについて引き続き取り組んでまいります。
とやま地域プラットフォームの運営につきましては、事務局を富山市から県に移管し、県内市町村と連携したPPP/PFIの推進を強化してまいります。
最後に、外郭団体・指定管理者制度の見直しについてご説明申し上げます。
外郭団体については、官民協働事業レビューなどを活用した見直しを検討してまいります。
指定管理者制度の見直しについては、県内事業者が県外事業者のノウハウを活用して多様な提案をしていただけるよう、共同企業体、いわゆるJVを構成する場合の要件を緩和いたします。
具体的には、これまで全ての構成員に県内事務所の設置を求めていたわけですけれども、令和5年度からは県内事務所設置要件を緩和いたしまして、県内事業者が代表企業を務める場合には、県内に事務所を有しない県外事業者ともJVが構成できるように変更をいたします。具体的な制度設計は、今後詳細を詰めてまいります。
次は、富山県成長戦略アクションプランについてご説明を申し上げます。
この度、成長戦略会議やプロジェクトチームでの議論を踏まえ、戦略のビジョン実現に向けた令和5年版の富山県成長戦略アクションプランを取りまとめました。
この場を借りまして、これまで真摯にご議論いただいた成長戦略会議の委員、プロジェクトチーム委員をはじめ、ヒアリングなどにご協力いただいた県内外の関係の皆様に感謝を申し上げます。
アクションプランへの掲載事業数は196事業となりまして、昨年度の154から大幅に増加しています。令和4年度を成長戦略実行の年と位置付けて取り組んでおりますが、成長戦略の取組みが各戦略の分野で一層拡大をしております。
また、今年度は各プロジェクトチームにおきまして、社会情勢の変化なども踏まえ、戦略のビジョン実現に向けて資源を集中して重点的に取り組むべき取組みを議論いただきました。その結果を重点事業としてアクションプランに反映しており、掲載事業196事業のうち重点事業は95事業となっております。
以下、6つの戦略の重点的な取組みについてご説明申し上げます。
ウェルビーイング戦略では、ウェルビーイング指標を県の政策形成プロセスで活用し、県民の多様なニーズに届く施策の実現を目指してまいります。詳しくは後ほど説明します。
また、ウェルビーイング指標を7色の花に見立て分かりやすく発信するとともに、県民自らウェルビーイングが高まる行動や取組みを後押ししてまいります。
そのため、令和5年度予算案において、以下に記載したような事業を計上いたしました。
また、本県では若い女性の県外流出が喫緊の課題となっておりますことから、女性のウェルビーイング向上に重点的に取り組みます。
次に、まちづくり戦略においては、富山らしい個性的で居心地のよいまちづくりに向けて、市町村や民間事業者などの多様な主体が連携し、地域の特色や強みを生かして取り組むリーディングプロジェクトの支援、あるいは本県の美しい景観を活かし、人と自然が共存できる持続可能で空間価値の高い田園地域の創出に向けた取組みを進めてまいります。
次のスライドですが、ブランディング戦略では、富山県の強みと世界の潮流を踏まえた戦略的な視点で選択と集中を図りながら、県内外に「富山=ウェルビーイング」のイメージを発信していきます。富山が誇る雄大な自然や豊かな食文化はウェルビーイングの基盤であり、「富山=ウェルビーイング」のイメージづくりの重要な要素です。
そこで、まずは「「自然×美食」といえば富山」のイメージを創出するために、富山県の強みと和食への注目という世界的な潮流とが重なり合い、また、県民にとって当たり前の日常の暮らしや地域文化の入口として分かりやすい素材である「寿司」に焦点を絞り、一点突破を図ってまいります。
具体的には、寿司に関わる料理人、工芸作家、酒造家など、一流のクリエイターが富山に集まり、育つ環境や象徴的な場を創出してまいります。
また、寿司を起点に、その素材そのもの、それらを育む自然、環境、文化などを発信し、来県した人が満足できるラグジュアリー環境の整備や日常の暮らし、地域文化に触れ合える仕掛けなどを創出してまいります。
新産業戦略では、新たな世界の潮流に合った産業構造の実現を目指しており、その取組みは8つの施策分野にわたります。アクションプランでは、そのうちプロジェクトチームで特に重点的に議論いただいた分野について、重点的な取組みとして整理をしております。
まず、自立した経済圏に向けて、エネルギーの地産地消などのレジリエンスの強化に向けた対策や、地産地消型などの企業の育成を支援する取組みを進めてまいります。
また、アルミ・くすり、リサイクル等のコンソーシアムでの取組みなどを推進し、産業力強化に向けた提携を進めてまいります。
スタートアップ支援戦略におきましては、上場に対する起業家の意識を高めるとともに、ロールモデルの創出を図ってまいります。
また、スタートアップエコシステムの形成に向けて、県内企業・団体が行う創業スタートアップ支援を促す試みを進めてまいります。
最後に、県庁オープン化戦略においては、新たに定めた令和5年度県庁活性化方針に基づき、県庁組織の活性化、職員のウェルビーイング向上につながる取組みを進めますとともに、組織の垣根を越えて活躍する越境人材を育成してまいります。
また、デジタルプラットフォームの整備などにより、住民サービスの向上や住民参加、行政の効率化を進めてまいります。
これら6つの戦略に資源を集中して重点的に取り組むことで、成長戦略のビジョン、「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」を実現していきたいと考えております。
次は、令和5年度ウェルビーイング指標の活用についてご説明を申し上げます。
先月公表しました指標により、多様な県民意識をウェルビーイングの観点から可視化し、また、政策形成に活かしていきたいと考えています。
指標の全体像を改めてお示ししています。
総合指標、分野別指標、つながり指標、3つの大きな区分で10の指標に分かれます。指標及びその基礎データを主要データとして活用し、県民の実感向上の効果検証、県民目線からの課題ニーズを可視化、県政のリソースの効果的な配分、横連携の展開につなげていきたいと考えております。
指標の公表時に、ウェルビーイングの「ウェル」と語呂合わせをした言葉を使って、県庁の政策プロセス、行動・意識を県民ウェルビーイング向上につなげていこうという指針を掲げました。
まずはミエル(見える)幸せ実感です。本当に目指すべき県民の実感を意識し、政策効果を厳しく検証してまいります。
次は、ミエル(見える)県民の姿と課題・ニーズです。これまでは課題やニーズの顕在化により、受動的に政策を組むこともあったかもしれません。これからは県民目線で課題・ニーズを主体的に見つけにいく、そして政策につなげていきたいと考えます。
次は、カエル(変える)視点・アプローチ、コエル(越える)政策間の壁です。政策を提供する行政側からの視点ではなく、県民の皆様の実感を起点に効率的、効果的な政策につなげていきたいと考えております。私が日頃から職員に求めております県民目線をより意識し、実践するものであり、政策間の横連携も促してまいります。県民ウェルビーイング向上へ、県政リソースのフル活用につなげてまいります。
今回の予算編成では、県民の皆様のウェルビーイング向上をより一層意識して進めてきました。一方で、指標につきましては政策形成の具体的かつ効果的な活用方法の整理と、職員の十分な理解が必要であると考えており、発表が先月となったこと、時間的な制約もあったため、今回は今後の本格活用に向け、一部の事業で試行的に取り組むこととしておりますことをご理解いただきたいと思います。
このため、来年度は具体的な事業計画、実施、効果把握の段階で指標等を活用するため、まず、ウェルビーイング指標の活用を試行する事業を新規重点事業などの中から、指標の体系ごとに選定をしております。
また、政策立案のモデル的な活用として、新たに県民ウェルビーイング政策構築事業を実施し、県庁横断的な取組みにつなげていきたいと考えます。
ウェルビーイング指標の活用を試行する事業ですが、なないろ指標、つながり指標ごとに整理し、関連する指標も併せて記載をしております。これは、先ほど長く説明した次年度の予算の中に含まれている事業たちを、この指標に基づいてそれを検証するために、それぞれを記述してございます。
また、指標活用の大事な視点として、具体的に誰の、どの実感の向上でウェルビーイングにつなげていくかということを意識するため、事業の主な対象、効果を届けたい対象についても記載をしています。
なお、総合指標につきましては、選定した全ての事業に関連するという整理をさせていただいております。
9から17ページまでは、それぞれの指標ごとに整理した試行事業の一覧を掲載しておりますので、後ほどご覧いただければと思います。最初の予算発表とも重複することなので、考え方のみ今説明をさせていただきます。
最初の心身の健康実感には3つの事業が並んでいます。いずれも健康づくり、スポーツと県民の皆様の健康維持向上を意識した取組みとなっています。一方で、それらの事業には、その他の点からもウェルビーイング向上に資するという視点も持つことが大事だと考えます。
例えば、働き盛りの健康づくり支援(健康ポイント)事業は、アプリやポイントなどの仕組みで目標へのチャレンジを促し、また、それらを達成していく中でやりがいも増していきます。さらに、友人や家族、職場などで一緒に取り組む人を広げていくことで、つながりの実感を向上させていきます。
とやまフレイル予防普及啓発事業は、高齢者の虚弱状態の予防の取組みを推進し、健康実感だけではなく、生きがいやつながり実感の向上も期待ができます。
県民スポーツ機会創出事業は、健康づくりだけではなく余暇活動の充実、生きがいや楽しみ、人とのつながりを促してまいります。
これらの事業を一つの視点からのみ捉えるのではなく、ウェルビーイング向上を意識して事業展開を行い、施策の対象となる県民の皆様の主観的な実感の向上、課題解決の効果の検証を行っていきたいと考えております。こうした観点で整理したものが、17ページまで続いているわけです。
今、説明したことは、これまでも事業はもちろん毎年実施してきたわけですが、我々職員自らのハードルを上げることをやろうとしているのです。それは県民の税金をお使いし、そして県民の皆様の税金から給料を払っている職員、この我々の県庁リソースをより効果的に、効率的に、そして県民の皆さんに届く政策を行うために、このウェルビーイング指標を活用していく、事業をより一層厳しく検証していく、そのようなためにこのウェルビーイング指標を活用していこうということであります。あくまで本年度については、今説明した17ページまで記入してある事業について試行的に行います。来年度、令和6年度以降はこれを、できましたら全てに適応していきたい、対応していきたい、そのような狙いでいるということです。自らハードルを上げる努力を、どうかご理解いただければというふうに思います。
スライドの18ページ、次に、政策立案から指標の活用を促す県民ウェルビーイング政策構築事業を説明いたします。
これは、今説明をしました17ページまで記入しております既存の政策からではなく、県民の皆様のウェルビーイングの状態を起点として政策立案につなげていくものです。全てを次年度からはできなかったので、こういった視点で幾つかの政策立案をやってみようということで、トライアルであります。
まずは、ひとり親家庭の親子など、特に横断的な取組みが必要だと思われる方々を想定して、指標データなどから状態を分析します。その上で、その方々のウェルビーイング向上のため、必要と思われる分野で重点テーマを設定してまいります。テーマの対象となる方々の状態をさらに丁寧に調査分析し、関係課に加え、外部の関係者なども含めミーティングなどを重ねながら、課題やニーズを洗い出し、必要な政策立案につなげてまいります。
全体をウェルビーイング推進課がリードしながらではありますけれども、関係部局、課、対象者や関係者と協力し、施策をつくり上げていき、早ければ令和5年度の補正、そして令和6年度当初で予算化していきたいと考えております。こうした試行的・モデル的な取組みを通じて、指標を活用した政策形成プロセスを確立していきたいと考えているからです。
指標及び主観的なデータを政策に反映していく、これは先ほども申し上げました大変なチャレンジです。しっかりと県民の皆様に政策の効果が届いているのかどうか、そこまで主観的な面から評価することは、我々にとってもハードルを上げることになりますが、何とかこれをやり遂げていきたいと考えております。チャレンジです。しかし、この挑戦は、県民の皆様のウェルビーイング向上、または幸せ実感のためにはとても大きな意味があると考えています。果敢に取り組んでまいりたいと思います。
最後に、指標を活用した情報発信の取組みについて説明します。
来年度、ウェルビーイング推進事業を実施し、県民の皆様にも参加いただける事業展開を通じて、ウェルビーイングへの認知、意識、また自らのウェルビーイングが高まる行動へとつなげていただければと考えます。
ウェブサイトは今年度中に、自らのウェルビーイングを設問に答えていくことでお花ができ上がる機能を設置しますので、その利用促進や、県民、企業の皆様の取組みも幅広く発信していきたいと考えています。
気の早い方は待ち切れないということで、既に発表している資料を基にやってみた、花をつくってみたという方もおられます。そんな方もおられますが、もう少しお待ちいただければウェブサイト上でできるようになります。お楽しみにしていただきたいと思います。
また、成長戦略プロジェクトチームでも提案があった、絵本を作成しまして、子供や、その保護者の皆様にも分かりやすく発信していきたいとも考えております。そして、日常の中での行動促進のためのキャンペーン、ウェルビーイング経営の普及、継続的なウェルビーイング調査も引き続き、続けてまいります。
県民お一人お一人が積極的にウェルビーイングを意識していただき、自ら高めていくことはもちろん、周りの人、社会のウェルビーイングのことも考え、行動できる人がたくさんいる富山県にしていきたいと考えます。そういう気持ちを改めて強く感じています。そして、それが本当のウェルビーイング先進地域ということになるのだと考えます。そのために、本県としてこの指標を羅針盤として、県民の皆様の意識と行動を後押しする、豊かで潤いのある環境をつくるために、ウェルビーイングの普及向上の施策をしっかりと展開してまいります。
令和5年度におけるウェルビーイング指標の活用に関する説明は以上です。
詳細は担当課であるウェルビーイング推進課にお問合せいただければと思います。
冒頭、私からの説明は以上です。ありがとうございました。
【記者】
今回の予算案の中で、とりわけ少子化対策、子育て支援対策というところに力点を置いているように見えるのですが、その理由、その思いを聞かせてください。
【知事】
富山県の未来を考えますと、もちろん課題は山積しているわけでございますが、あえて最大の課題といいますと、この少子化が一つであります。そして、少なく生まれてこられるお子さんたちをしっかりと育てていきたい、そのための子育て支援、この2つが富山県にとって今一番大切なことだと思い、それに特に力を入れることにしたわけでございます。
具体的にもう少し申し上げますと、民生費と教育費ということで限って見た場合、ほかの項目もいろいろあるのですが、子育て環境の整備に関する予算額の合計は、令和4年度当初予算と比べまして26億5,000万円増えております。令和4年度は359億5,000万円だったものが、令和5年度386億円と、26億5,000万円増やしております。
主な要因ですが、国の出産・子育て応援交付金、これは国の進められることですが、これが10万円相当であります。それと、県独自で実施してきた子育て応援券を、先ほど説明したように拡充をします。また併せてポイント制にして、そういう制度をつくりますが、そういった経費もあります。
また、富山児童相談所の移転改築、児童心理治療施設の新設も計画しています。また、国の計画を2年先行して、小学校6年生の35人学級を実現する少人数学級を推進します。私立高等学校の授業料の減免額を拡充いたします。県立高校の環境改善や長寿命化対策など、ハード面ですが整備していきます。これもやっぱり子供たちのためです。
このほか、こども未来プロジェクトチームを本年度走らせていますが、ここでの議論を踏まえまして、例えばとやまマリッジサポートセンターの機能を強化しています。市町村や民間との連携強化のために、結婚支援コンシェルジュを配置しました。先ほど説明したことと大分かぶっておりますが、特出しで申し上げているわけであります。
また、妊娠・出産に影響する疾患の早期発見・治療につなげるためのプレ妊活検診、さらに病児・病後児保育の利便性向上、これまで市町村を越えての予約とか、なかなかできなかった、空き状況も分からなかったのが、インターネットで分かるようにします。
子育て家庭がお出かけしやすい環境づくりに向けて、子育て家庭に配慮したサービスの提供、さっき言った授乳のスペースを確保するとか、あるいは企業において搾乳室を整備するとか、そのようなことの支援についてです。
また、不登校やいじめなどの課題を抱える児童・生徒や、その保護者への支援を強化します。NPOとも連携をしてまいります。また、教職員のカウンセリング機能の向上など、教育相談支援体制も強化・充実します。
そして今、子供たちの居場所の一つになっておりますこども食堂と学習支援ボランティアとのマッチング、そして民間団体、NPOなどによる居場所の開設や特色ある取組みを支援します。行政として、なかなかかゆいところまで手が届かない部分は民間、あるいはNPOなどの力を期待し、そちらを支援するほうがより効果が上がるというふうに判断をしたことでございます。
本年度当初予算に計上した事業をはじめ、あらゆる施策を総動員しまして、「こどもまんなか共生社会」の実現に取り組んでいきます。
【記者】
この「こどもまんなか共生社会」というのはどのような社会なのか、もう少し具体的にお聞かせいただければと思います。どのような社会が理想とする「こどもまんなか共生社会」ということになるのでしょうか。
【知事】
まず、多くの子供が生まれてくる社会、これが1つです。脱少子化ですよね、これにまず取り組み、何十年取り組んできてなかなかまだ成果が日本全体として出ていないわけでありますが、国のほうも今、次元の異なる少子化対策を打たれるということを言っております。それに呼応しまして、国と県のやり方はまた違うわけでありますけれども、県としても少子化対策を徹底して行う、これがまず入口だというふうに思います。
そして、50年前に比べて40%しか生まれていないお子さんを大切に育んでいく、もちろん健康に成長されているお子様は、よりそれを伸ばしていく。中には様々な課題を抱えられる子供たちもおられます。苦労されている保護者の方もおられます。その方々にはしっかりと寄り添って支援をしていく、少なく生まれてくる子供をより一層大切に育てていく、そういった社会が私は「こどもまんなか共生社会」(だと考えています)。これを行政だけが行うのではなくて、社会がそれを理解して民間に、あるいは地域の中にもそのような動きが自律的に、自発的に行われていく。
かつて子供は地域で育てていました。今、核家族化もあり、それから社会のつながりの希薄化もあり、例えば町内会活動などもあまり活発になっていません。そういった人と人とのつながり、もう一度しっかりとさせる、そのようなことも取り組んでいきたいと考えますが、行政が一人でやるのではなくて、民間企業も、あるいは民間の団体も、そして地域でも子供を中心にして育んでいく、それが目指す「こどもまんなか共生社会」という意味です。
【記者】
全体的な話で、知事が就任して2年余りたちます。今いろいろ県庁組織の活性化改革をされていますけれども、就任2年余りで職員の意識であるとか、県庁の組織風土みたいなものは、知事が目指すところに近づいているでしょうか。
【知事】
はい。これはもう、皆さんももう耳にタコだと思いますが、現場主義、スピード感、そして県民目線、これを事あるごとに言い続けております。幹部の集まり、あるいは新任管理職の研修など、私が話せる機会の全ての場においてこれを言い続けており、それはしっかりと浸透してきていると実感をしております。
ただ、私はやっぱり職員の仲間ですので、ひいき目に見がちかもしれません。県庁外の方の評価を聞いても、結構そのような声をよく聞くようになりました。私に直言してくれる方はそう多くはないのかもしれませんが、最近とにかく明るくなってスピード感が出てきたと、あるいは結構県庁の人がうち(企業)に来るようになったと、そんな声も聞くようになっております。
2年3か月でスピード感、現場主義、そして県民目線、そういうことが、もちろんそれまでもゼロだったわけではないわけですから、それを徹底しましょうと言っているわけであります。それが浸透していると、私は実感をしています。
【記者】
今回の予算案、知事がどれほどまで自分の思いというか考えを予算に反映できたか、その手応えと、今回の予算案に何かキャッチフレーズをつけるとしたらどう言うか、もしあればお聞かせください。
【知事】
お約束の質問ですから、一応令和3年度、4年度と一言で言えばというのを発表してきたので、途切れさせるのもどうかと思って考えております。それはちょっと冗談めかした話ですけれども、やはり思いは込めております。あえて名付けるならば、「コロナ禍を超えて、3B予算(Build Back Better)」ということです。BBB、3B予算です。コロナ禍を超えて復興する、元に戻すのではなくて、よりよく変えていくという、そういう意味を込めて「コロナ禍を超えて、3B予算」と言いたいと思います。
今回の予算案、総額ではこの2年間とほぼ同じ6,300億円内外であります。でも、コロナ経費は大幅に減っているのです。だけれども、総額においてほぼ一緒ということは、それ以外の経費を増やしたということです。なぜならば、今このエネルギー高、あるいは原材料高、それで苦しんでおられる企業がおられる。コロナ禍を何とかしのいできたと思ったら、これが来たということですね。ここをしっかりと手当てをして経済を再興させたい、ただ戻すのではなくて前より元気にしたい。これは新たにDX、GX、そのような視点がここに入ってくるからです。ですから、前よりよく戻すことは可能だというふうに、そんなところにしっかりと目配りをしていきたいということ。
もう一つの柱が、最初にご質問いただいた「こどもまんなか共生社会」をしっかりとつくっていくこと。今回の予算案で私が特に思いを込めたところでございます。
【記者】
予算と直接関係しないのですが、政府が東京23区の大学の定員規制を、デジタル人材の育成に限って緩和するという方針を打ち出して、昨年の中部圏知事会議でも、地方の取組みを無視するものだというような議論があったと思うのですが、今回のこの予算にも大きく関わってくると思います。知事の受け止めをお聞かせください。
【知事】
あの方針があったものですから、急いで県立大学にデータサイエンスの学科をつくるべく頑張ってまいりました。幸い来年、令和6年4月から、仮称ですが情報学部、そしてその中にデータサイエンス学科、定員40人、これを新設できる方向で今進めているところです。なのにあの報道、私はとても残念に思っています。
審議会の委員の一人に山口県の村岡知事が入っておられますので、かなりご意見を表明されたというふうに聞いておりますが、でも、方針は一応決定されたという報道ですのでこれは致し方ないとして、今後詳細な設計の中では全国知事会として大いに声を上げていきたいし、物を申していきたいというふうに考えております。
【記者】
何か反対の声を上げるというような意味合いでということですか。
【知事】
反対の声を上げてきたのですが、それでも有識者の皆さんの結論として、ああいう方向になったということですから、ここはいかにそれを地方にとって意味のあるものにしていくかということにおいて、発言をしていきたいと思います。
【記者】
まず、今回の実質税収が過去最高に達したということですけれども、この要因や、過去最高になった受け止めをお伺いできますでしょうか。
【知事】
日銀などの発表でも、経済は緩やかに回復してきているのだと思います。ただ、それは業種によってばらつきはあります。比較的製造業がよいということでありまして、そこにおいて強みである製造業の集積が分厚い富山県において、それがプラスに出ているのだというふうに思います。ですから法人税収が増えているということ、これが本県の税収を押し上げている、上振れさせたということにつながっていると思い、これはこれでもちろんありがたいことだと考えております。
【記者】
先ほどの質問に重複するかもしれませんが、過去2年はコロナ対策でかなり経費を割いて、なかなか思うような予算編成というのができなかった面もあるかとは思います。これまでの2年間と新年度で、この予算編成に当たっての違いというかはありますでしょうか。
【知事】
まさにそのコロナのことですよね。最初にお見せした図表にあったかと思いますが、コロナに関わる、食われると言ったほうがいいのでしょうか、経費が大幅に減った。だけれども総額はほぼ変わらない、まさにそれ以外の経費を増やすことができたことです。
ただ、また(ウイルスの)変異ということもあり得るので、もしそんな兆候があれば速やかに対応していかなければなりませんが、今の傾向が続いてくれるならば、コロナ対策の経費が小さくなり、それ以外の本来やりたかった、やるべきことにリソースを割けるということにつながっていくところです。お金だけではありません、コロナ対応に本当に多くの人員も割いてきました。そんなリソースをできるだけ、もっとやるべきこと、やりたいことに割くようになりつつあるということでございます。
【記者】
今回、富山県武道館の債務負担行為設定はなかったかと思うのですけれども、この見送った理由についてお伺いできますでしょうか。
【知事】
武道館の件は、これまでもこの場で何度も話題になっておりますが、そういう意味では前言を翻したことになって大変にこれは心苦しいのですが、これまでは2月の議会に建設費などの債務負担行為を設定して提案することとお答えをしてまいりました。それが今回できなかったということ、これはまずお詫びをしたいと思います。その理由について説明させていただきますが、これは繰り返しになりますが、87.4億円と見積もっていた経費、これが上振れをしております。基本設計の方向性を維持しながら、いろいろと節減をして試算した結果、109.9億円というところまで、今のところ試算をしております。ただ、今後も物価動向によってはさらに上振れすることは懸念されているわけです。
そんな中で、この当初予算編成に関して、県議会の各派とも意見交換をさせていただきました。その中で、例えば自民党県議会議員会さんからは、今の状況を踏まえると基本設計にこだわる必要はないのではないか、市町村ともっと役割分担、市町村もいろんな設備を拡充されたところもあるので、そことの役割分担も考慮したらどうかというご意見もありました。また、立憲民主さんからは、これは財政に大きな影響を及ぼすことであると、必要性や整備の時期、規模を見直す大胆な転換が必要ではないか、こんなようなご意見もいただきました。
そういったご意見があったということとともに、客観情勢として、この武道館の構想が最初に語られてから4年ないし5年の歳月もたっているということ。この間に、やはりいろんな変化もあります。この資材費や建築費の上昇だけではなくて、様々な変化もあります。こういったことを踏まえまして、一旦ここで少し立ち止まってみようということでございます。その結果、2月議会での債務負担行為の設定は見送ることにさせていただきました。
今もこの予算編成作業の傍ら、基本設計の取扱いについて、あるいは基本計画策定後の建設予定地の周辺の変化、周辺における環境変化なども踏まえて、機能あるいは規模の見直しなどについて、いろいろ頭の体操も含めて、いろんなことを考えているところでございます。
ただ、できましたら、開館の時期は当初目指しておりました令和9年度中ということ、これは何とか目指していければと。期待をしている子供たちも多くおられますので、子供たちを中心に様々な方々もおられますので、その開館時期は何とか維持できればなとも思っております。大変に悩ましい状況であることはお察しいただきたいと思います。
【記者】
武道館で確認ですが、今回の予算案でPFI法に基づく委託2,000万円の予算が出ていますが、令和9年度(の開館)は維持したままでいきたいということですと、大幅な規模縮小ということになるのでしょうか。また、PFI法に基づくと書いてあるので、この予算を計上しているということは、PFIという選択肢はまだ捨てていないということなのでしょうか。
【知事】
アドバイザリー業務の経費のことですね、そうですね、はい。まず、状況は今ほど説明した状況であります。その中で、何でそういう経費がということですが、このPFI事業者選定アドバイザリー業務委託費というもの、これは令和4年度の当初予算で、令和4年度から5年度にかけての債務負担行為1,800万円掛ける2年間、あくまでこのアドバイザリー業務委託費ですよ、そして2年間にわたる債務負担行為を設定して認めていただいております。それで、既にその業者さんとは2年間の委託契約を締結しています。ですから現時点では、仮に機能や規模を見直すことになったとしても、PFIを導入する前提で検討しておりますために、この契約に基づいて、また債務負担行為に基づいて、必要な予算を令和5年度当初予算案にも計上したところであります。ご理解いただきたいと思います。
【記者】
令和9年度までに完成させたい、完成年度は維持したいということになると、設備としては、多目的機能を見直すであるとか、あるいはその規模の縮小というのを選択することが有力になってくるのですか。どういう方向性になるのでしょうか。
【知事】
この予算を上げておりますので、現時点では、仮に機能や規模を見直す、あるいは場所を見直すということになったとしても、PFIを導入する前提では検討しているということです。ですからこの予算は残っているということです。
【記者】
場所の検討も、選択肢として検討材料に入っているのですか。
【知事】
今、いろいろな頭の体操をしているところです。
【記者】
LRTですけれども、今回、城端線・氷見線の活性化調査等事業ということで500万円というのがありますが、これまでは事業名自体、予算の項目名自体にLRTという言葉があったと思います。今回、LRTという言葉が外されているということは、何か意味があるのでしょうか。この間の435億円、これは高過ぎるので、いわゆる低床車両でやるというのはもうなくなったという意味ではないですよね。これはどういう理由から外されたのでしょうか。
【知事】
2月2日に城端線・氷見線の5回目の検討会がありました。その検討会の名前はLRT化検討会という名前です。その場で、繰り返しになりますが、9つのパターンをご説明しました。435億円から131億円までの9パターンを説明しました。年度内にもう一回この検討会を開きまして、その場で1つに絞り込みたいと考えております。あの場では、LRTによるパターン、LRT化については全ての出席者の方からネガティブなご意見が出ました。ですから、まだ会議は開いておりませんが、それを受けまして、役所としてはこの予算をつけて提示しなきゃ駄目なので、おっしゃるようにLRTの文字は抜いたということであります。
ただ、まだ正式に決まったわけではないですよ。ですけれども、そこら辺はおもんばかってフライングかもしれませんが、予算の名称からは抜いたということです。
【記者】
これをもって低床車両がなくなったというわけではない。
【知事】
そうですね、はい。年度内に1つあたりには絞り込みたいということですね。
【記者】
万葉線のICカードですけれども、今日、万葉線さんで発表されるのですか。いつ頃ICカードが導入されるのかとか、その辺のことってお分かりになりますか。担当課に聞いてもよく分からないので。
【知事】
それは私もまだそこまでは(分かりません)。
【記者】
万葉線から導入という正式な発表はまだされていないので、どうなのかなと。
【知事】
あちら(万葉線)にお聞きいただきたいと思います。
【記者】
富山県武道館のことについて確認ですが、これまでコスト縮減とか、いろいろそういう話はありましたけれども、あくまでゼロベースで検討をし直すということは、可能性としてはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
【知事】
ゼロベースというのは、やる、やらないも含めてということですか。
【記者】
場所の話ですとか、これまで基本設計をしたこととか、予算も使っていらっしゃると思いますが、そういったことを参考にされて新たに進めていくのか、そうではなくて、そういったものを一旦なしにして、もう一回ゼロからスタートするという可能性もあるのか、ないのか、ここを確認させてください。
【知事】
はい。何度も言っていますように、いろんな可能性を含めて検討はしているところです。頭の体操も含めてですね。
【記者】
いろんな可能性もあるということは、(ゼロベースで考えることも)ないわけではないという理解でよろしいでしょうか。
【知事】
ゼロベースというのは、やる、やらないも含めてという意味ですか。やることはやる方向です。
【記者】
やるということは分かりました。やる方法について、これまで積み上げてきたものを一回廃止して、もう一回ゼロからいろんなものを考えていくという可能性があるのか。これまで積み上げてきたものを活かしてやるのか、全く一回白紙にして考えていくという可能性があるのか、ないのかというところで。
【知事】
何をどうすればゼロベースで、どうすれば活かしているかという判断は難しいところですけれども、17万(※11万)(人)でしたか、署名がありました。それを富山県としては重く受け止めて、この整備構想ができ、そして手順を踏んできたわけであります。ですから、今から全く白紙に戻すということはあり得ない選択だと思っています。武道館は必要ですよね、造りましょうねということ、そういう意味では、これまでの方針は続くということですね。
【記者】
これまで予算を使っていろんなことをされてきていらっしゃると思いますので、そのあたりは少し危惧をしておりました。今のお話ですと、これまでのことを積み上げてきたものは活かしながら、新たなものを考えていかれるというような、そういう理解でよろしいですか。
【知事】
そうですね。せっかく積み上げてきたものですから、極力活かしたいとは考えていますが、そこで先ほど来言っていましたように、4、5年もたっているわけです。だから、いろいろと変わった面もあると思います。そんなことを考慮して、全く基本計画、基本設計どおりで整備できるかどうかは分からないと思いますね。それが適切かどうかは分からない。
【記者】
そこを含めて考えていかれるということは分かりました。
あと、予算とは違いますが、富山市のジェネリック医薬品メーカー日医工さんが、今日臨時の株主総会を開かれまして、経営再建に関する関連議案が承認されたというようなことがあったようです。これに対する率直な受け止めをお聞かせください。
【知事】
ADRというスキームで出資者も決まり、パートナーも決まり、再生に向けて歩み出されるということを聞いております。新しい社長さんも内定しているというふうに聞いております。経営陣が、言わば全く変わる形だというふうに聞いています。新経営陣の下で、基本的なスキーム、方針に基づいて、一日も早く企業として再生いただき、そしてまた、医薬品メーカーとして安定供給できる体制に一日も早く戻り、そしてまた、さらなる成長を目指していただきたい、それを期待しております。一日も早く新しい社長さんとお会いでき、意見交換する場があれば、そんな期待を直接また申し上げたいと思います。
【記者】
富山県民で従業員の方、またその家族の方、雇用が守られるのかということに関して非常に心配されている声も聞いております。これについてはいかがでしょうか。
【知事】
ADRの計画の中では、そのように工場売却とか人員削減とか、そういったことはしないと理解をしております。
また、ジェイ・ウィル・パートナーズさんというファンドのこれまでの実績を見ましても、結構地方案件が多くて、地域に根差して、また、地域の地方銀行さんと結構密接に関係をつくって企業再生を進めてこられるファンドだというふうに理解をしております。そういう意味では、この富山県においてもこれまでと同様に、いわゆるハゲタカと呼ばれるような、企業を切り刻んで売り払ってキャピタルゲインだけを取るというよな、そんなような方々ではないというふうに理解をしています。ですから、雇用などは引き続き維持されるものというふうに認識しています。
【記者】
まず、財政状況についてですけれども、先ほど県武道館のお話もありましたが、今後警察署の再編など、ハード整備が続いていくと思いますけれども、今後も含めて、現在の県の財政状況をどのように見ているか、改めて教えてください。
【知事】
決して楽ではないことは言うまでもありません。1兆2,000億円の借入れがあるわけですから、少しずつ減ってはいますけれどもね。決して予断は許さないことだと思いますし、冒頭に申し上げたように、本年度の収入の不足は何とかカバーできましたが、来年、再来年もまだ二、三十億円内外の要調整額が見込まれるという状況なので、決して楽ではないということはご理解をいただきたいと思います。
その主な理由は、いわゆる扶助費という科目ですが、医療費や福祉の費用などが今後どんどん上がっていくということが予想され、それが基本的に財政を厳しくさせていることでございます。
ただ、そんな中でも必要な社会資本整備、あるいは公共施設の拡充というものはやっていかなければならない。県立学校だって体育館一つ直せばすぐに2億円かかります。そんなことは子供たちのために計画的にやっていかなければならない。ご質問に戻ると、厳しい状況ではありますが、今回予算提案しているぐらいの投資はできない規模ではないというふうに考えております。
【記者】
もう一点、カーボンニュートラルの推進のところで、冒頭でご説明があったグリーンボンドの発行について、それは法人向けなのか個人向けなのか、償還期間、利率について詳細がもし決まっていれば教えてください。
【知事】
それは今、私、把握していません。
【記者】
その調達した資金の活用方法というのは、具体的にはどのような事業を想定されているのでしょうか。
【知事】
今のところ、初めてなので20億円程度を予定しております。資金の充当先ですが、当然ですが省エネルギーに関すること、例えば照明のLED化などですね。それから運輸部門のグリーン化、これは例えば公用車の電動化ということです。それから気候変動への適用に関することですとちょっと幅が広がりまして、河川の護岸の整備、あるいは河川の堆積土砂の撤去、このようなものも適用可能と考えております。
【記者】
重点政策の中で子育て支援に関するところ、スライドの9ページ目にあるのですが、私立高校の授業料減免の補助金と、こどもの居場所づくり推進についてですけれども、こちらはたしか昨年から今年年明けにかけて、学校関係の団体さんですとか民間の団体などから、こうした支援をしてほしいという要望があったかと思います。そういった要望を受けて今回取り組まれようと思ったのかということと、特にこどもの居場所づくりについての推進ですと、その要望の場で、知事が予算編成途中なので、すぐに反映させることは難しいかもしれないけれども、また事例とかいろいろお話を伺いたいというようなお話をされていたかと思います。そういうふうに回答されつつも、今回の新年度予算にこのように反映されたということで、かなり力を入れたいのかなというふうに感じたのですが、そこら辺についての思いを聞かせていただいてもよろしいでしょうか。
【知事】
まず、私立高校の授業料への補助ですけれども、これはもう毎年、私学の団体からは要望を受けておりました。ただ、なかなかお応えはできなかったのですけれども、今、県立高校のあり方というものを一方で考えています。私は将来的には県立高校と私立高校、それぞれ本当にフラットな競争環境で、競争というかフラットな状況で子供たちが選べるようになってほしいと思っています。県立高校のよさ、特色もどんどんこれから磨いていく、そのために令和の特色ある県立高校の検討会等もずっと重ねております。一方で私立高校は、そもそも建学の精神というものがあり、それに基づいてこれも特色のある教育をやっておられます。子供たち、あるいは保護者の皆さんが、全くその学校の特色、魅力、精神に応じて選べるようにしていきたい。そこにおいて、ここに行きたいけれどもお金がね、ということにはなるべくしたくないですね。その一歩でも、今、近づけておこうということであります。
それから、もう一つのご質問ですけれども、年末でしたか、不登校を考えるネットワークというNPOの集まりの皆さんのお話を聞きました。大変に真剣に取り組んでおられると分かったので、確かにその皆さんとの面談を受けて、そういったところに目配りをしようということで予算付けにつながったというのは事実です。
【記者】
今おっしゃられた私立高校の補助についてですけれども、そういったフラットな状況で子供たちが選べるようにというお話ですが、今回、これまでの補助の3,300円から、月額6,600円で倍増されたということですけれども、これでもまだちょっと、1万6,000円ちょっと、1万7,000円弱ぐらいは実費負担が発生する状況にはなるかと思います。例えば全国で、少しの学校ですけれども、私立の授業料を一律無償にされている都道府県とかもあると思うのですが、今後のさらなる増額の検討とか、そこら辺の状況は、今現時点で知事はどのように考えておられますか。
【知事】
完全にフラットになっている地域もあるとは承知をしておりますが、今はそこまではできないことです。ただ、一歩は近づけたということですね。
【記者】
観光関連ですけれども、来年、北陸新幹線敦賀延伸ですとか、黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放ですとか、観光振興につながるような大きなトピックが集中していると思います。新年度予算案の中でも、これらを意識したハード整備ですとかプロモーションの予算というのが多く盛り込まれていると思うのですけれども、その辺に込めた知事の思いを改めてお聞かせください。
【知事】
まず前提は、観光産業というのは、今本当に大きな産業に育っているということです。ですから、このコロナ禍で特に大きな痛手を被った産業でもありますが、それをこれからビルドバックベターでよりよく戻っていく中で、この観光にもう一遍、力をしっかりと発揮をしてほしいということを思っています。
さらに、今チャンスだということです。言うまでもなく、北陸新幹線の敦賀開業、それに伴って令和6年秋のJRグループさんのデスティネーションキャンペーン。それでJRさんのキャンペーンに至るまで、様々な旅行業者さんの団体のキャンペーンもずっとシームレスで続いていきます。そんな状況です。さらに本県では、瑞龍寺に続く2つ目の勝興寺という大きなコンテンツ、強いコンテンツも国宝となったということなどなど、本当に今チャンスだと思います。新しい宿泊施設も立て続けに開業していきます。ここがやっぱり攻め時だと思い、この観光関連の予算を拡充したところです。
【記者】
もう一点、新川こども施設についてですけれども、これはご説明のあったとおり、民間事業者に設計段階から建設、運営も含めて一体的に委ねるということで、知事は日頃から民間活力の導入というところに高い意識をお持ちだと思うのですけれども、新川こども施設にその手法を導入することによる効果ですとか期待すること、必要な機能とかについて、その思いをお聞かせください。
【知事】
私が知事に就任した段階で、このような施設が3つ、先ほど来話題の武道館、それから高岡テクノドーム別館、そしてこの新川こども施設が進みつつありました。
初めの2つは、既にある段階まで進行していました。一方、この新川こども施設につきましては、有識者の会議は行われていましたが、そういう意味では、まだ実務的には全く白紙の状態で私は引き継ぎました。ということで、このPFIの適用という意味でも、全くゼロからのPFIの適用が可能だったのは、この新川こども施設であります。その結果、フルに民間活力を導入するという、このPFI-BTO方式ということで決定をしたわけでございます。
ですから、特にこのノウハウですね、いろんな運営の仕方、子供たちがワクワクするような、毎週週替わりでいろんなソフトメニューが提供できるような、そんなところにおいて民間のノウハウ、私たち役人がやるよりも、とてもワクワクするようなノウハウを発揮していただきやすい状況ができるのではというふうに思います。もしかしたら、財政的なメリットまでも期待できるかもしれません。そんなことで、大いに期待しているところです。
【記者】
その新川こども施設の完成予定時期ですけれども、有識者の検討会では、できるだけ早期の完成を求める声が目立っていました。この手法を採ることによっていつ頃を想定しているのかということと、従来の指定管理方式を採る場合と比べてどうなのかというところをご説明お願いいたします。
【知事】
今のところ令和9年度中を目指しております。これは、令和7、8(年度)と基本設計、実施設計、そして令和8、9(年度)と建設工事に入り、9年度中には完成、オープンということを目指しておりますが、計画の時は対象年齢だったのに、できた頃はもう大きくなっちゃったというのではかわいそうなので、少しでもショートカットできないか。例えば、事業者の選定手続、あるいは設計の作業、この中で、少しでも短縮できないかということは、一生懸命詰めていきたいところです。できるだけ早期開館はしたいと思っております。
【記者】
従来の方式と比べてどのくらい遅れるとか、その辺の比較はどうですか。
【知事】
これについては、従来ならいつというところまでも行っていなかったので、ほかの施設、2つの施設は従来方式でしか考えていなかったものですから、開館がこの頃というのは目途がありました。これは全くそういうことが白紙だったので、従来と比較することはできないですね。普通に考えれば、PFIでやるよりは少しは早かったのかもしれません。
【記者】
先ほどの敦賀延伸に関連して、大阪の拠点を新しくつくるということ、それからプロジェクトチームをつくるということについて、狙いを聞けたらと思います。
北陸新幹線の金沢開業後、富山と大阪の距離が少し離れつつあるということがあって、テコ入れなのかなと思ったので、改めて狙いを聞けたらと思います。
【知事】
おっしゃるように、歴史的には私は北陸地方というのは、東京か関西かというと、やっぱり関西との関係が非常に強かった地域だというふうに思っていますし、また、その恩恵もいろいろと受けてきたことです。それは商売だけという意味ではなくて、例えば富山県の優秀な方々といえば、関西の大学にも多く行っておられました。本県でもたくさん関西の大学出身の優秀な方はおられますけれども、それが2015年の北陸新幹線富山・金沢開業で、がらりと絵が変わったと思っています。もちろん東京から多くの人が、関東から多くの人が来られ、そういったメリットも享受をしているわけですけれども、関西との関係が希薄になったと常々考えておりました。
それで、今回、来年度末までには敦賀まで延びるということ、まだ大阪まで届いたわけではないですけれども、新幹線部分が延びるわけですから、当然乗換えがあるとしても、時間・距離は縮まります。これは大きなメリットだというふうに思っています。もう一度、関西との距離を縮めるチャンスだというふうに思っています。
そんなことを実は石川県でも考えておられたし、福井は元々関西とは近い、意識的にも近いのですけれども、それで私ども、大阪に拠点をいずれというふうなことは思っておりました。もちろん今の事務所はあるのですが、物を売ることや観光PRなど、そこまではあまりやっておらず、企業立地とか、あるいは移住のことの出先があるのですけれども、ここは観光のPR、あるいは物産、県産品のPR、そのような拠点もやっぱりつくるべきときだろうということで、これは思いました。
そんなことを三県の知事で話し合っていたら、一緒にやるのもいいのではないかという話になって、今の富山・石川・福井が同じスペースの一体感を持ちながら、でも、それぞれの特徴を活かしながら、そんな関西での拠点構想につながっているということであります。
【記者】
もう一点、くすり政策課の組織改編のことですが、規制と振興部門に分けるということで、薬事指導課が何個か係ができていて、今後の人員の拡充の方針とか、あるいは審査強化に向けての考え方みたいなことについて聞けたらと思います。
【知事】
本県においての薬事行政を担うこのくすり政策課というのは、実は平成14年度に改編がありました。もう21年前ですか。そういう意味では、元に戻った、平成14年以前に戻ったという感じです。平成14年度に薬事監視部門と薬事振興部門を一体的にやった方がいいと、その時の判断で一緒にされてくすり政策課ができました。
しかし、それはそれで、その趣旨はしっかりと当初の目的を発揮してきたのだというふうに理解していますが、ここのところ、令和3年3月以降、不適切な医薬品の製造事案が連続して起きたことでございます。それを受けまして、私としては、やっぱり規制部門と振興部門を再度分けるべき時ではないかというふうに思い、このような薬事指導課とくすり振興課に分けたということでございます。
これは民間企業でもそうですけれども、組織というのは本当に伸びたり縮んだり、積んだり崩したりということ、またトップの考えにもよって変わることもあります。今回の場合は、現状を踏まえたら、やっぱり分けたほうがいいのではないかということ、そういった考えでこのようにしたことであります。
どちらもむしろパワーアップすると思っていまして、しっかりとした医薬品の安定供給体制をつくるべく業界を指導する役目、それから、産官学でやっております、くすりのシリコンバレーTOYAMA創造コンソーシアムをはじめとする医薬品産業の振興の仕事、これはどっちもパワーアップすることにつながるというふうに思います。
実はいろいろリサーチしました。例えば厚生労働省の本省は、もう局も違うのですね。規制の部門と振興の部門は局も分けて、言わばファイアーウォールといいますか、その様になっていますが、本県ではやっぱりそこまではできずに、というかそこまでやる必要もないだろうと思いまして、厚生部の中で課を分けようということで落ち着いたわけでございます。
【記者】
2つに分けた以上、パワーアップするとしたら人員の拡充みたいなことをすると思うのですが、その方針についてはどうですか。
【知事】
人員はこれまでも拡充してきているので、それが2つの課に分かれるということになります。
【記者】
薬剤師とかは確保が難しいかと思うのですが、確保を進めていく上での富山県としての工夫や、どういったことに尽力していくかなどを聞けたらと思います。
【知事】
おっしゃるように薬剤師の確保は苦労しておりますが、今のところは、これはやっぱり規制の部門が結構忙しくなってきていたので、それは現場の求めに応じて拡充はしてきているところです。現時点では大丈夫だと思います。
ただ、今後も引き続き薬剤師の不足というのはあります。そこで、これは富山大学さんから提案が、アカデミーと懇談する場で提案がありまして、やっぱりそういう枠をつくったらどうかというご提案がありました。お医者さんの場合ではそういう枠をつくって、富山大学と金沢大学で富山(県特別)枠というものをつくっています。お願いしています。それを薬剤師でもやったらどうかというご提案がありました。こんなことを前向きに、ぜひ考えていきたいと思います。
【資料1-1】令和5年度当初予算案について(PDF:4,058KB)
【資料1-2】令和4年度2月補正予算(案)(PDF:138KB)
【資料1-3】八つの重点政策・八十八の具体策ロードマップ(令和5年2月時点)(PDF:2,685KB)
【資料2-1】令和5年度の県庁活性化の取組みについて(PDF:650KB)
【資料2-2】令和5年度組織改編の内容(PDF:301KB)
【資料3-1】富山県成長戦略アクションプラン(令和5年度版)について(PDF:859KB)
【資料3-2】富山県成長戦略アクションプラン(令和5年度版)(PDF:1,509KB)
【資料4】令和5年度でのウェルビーイング指標の活用について(PDF:1,487KB)
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