2024年初頭から流入が見られているJN.1は、BA.2.86のスパイク部分の455番目のアミノ酸がL(ロイシン)からS(セリン)に変化することにより、高い免疫回避能力を獲得しているとの報告(Yang et al., Lancet Infect Dis. 2023)があります。また、JN.1は先祖株であるBA.2.86やEG.5より基本再生産数が高く、より高い伝播力を有するとされています(Kaku et al., Lancet Infect Dis. 2023)。米国CDCによれば、以前のXBB系統と比べ、JN.1による感染者の重症度は高まっていません。
2024年5月からは県内で、JN.1の派生株である、KP系統株とりわけKP.3が主流になっています。富山県でも8月までに100%を占めるに至っています。KP.3を含むKP系統株は既存の流行株より高い伝播力を示します。JN.1感染者の回復期血清において、KP.3に対する中和抗体価はJN.1より有意に低下していることが報告されており(806 vs. 452, -43.9%)、JN.1対応ワクチンはKP.3に対して発症予防効果がある程度低下する可能性が示唆されます(Kaku Y, et al. Lancet Infect Dis. Published Online June 27, 2024)。