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富山県衛生研究所

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富山県衛生研究所

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〒939-0363 富山県射水市中太閤山17-1
TEL 0766-56-5506
FAX 0766-56-7326

1. 当所で実施している調査研究課題一覧

調査研究「事前」計画(平成28年度から開始される研究テーマ) 15課題

部名 研究年度 研究課題名
1 がん研究部 28~29 新生児マススクリーニング対象疾患早期診断のための指標測定法の確立
2 28 流産胎児検体の染色体検査における偽性モザイク検出率を低下させるための検討Ⅱ
3 28 羊水染色体検査事業40年の総括
4 28~29 タンデムマススクリーニングにおけるイソ吉草酸血症の検査指標イソバレリルカルニチン(C5)高値例の2次検査法に関する研究
5 ウイルス部 28~30 胃腸炎事例の原因ウイルスにおける少数遺伝子型の解析
6 28~29 野生げっ歯類からのSFTSV抗体検出
7 28~30 腸管系ウイルス流行探知のための下水流入水ウイルス調査
8 28~30 原因の特定されない感染性胃腸炎検体の網羅的ウイルス検索
9 細菌部 28~30 レジオネラ症の感染経路を探るための環境調査(免疫磁気ビーズを用いた原因菌の選択的分離)
10 28~30 大気バイオエアロゾルにおけるレジオネラ属菌の動態に関する研究
11 28~30 河川水由来サルモネラの薬剤耐性状況
12 化学部 28~30 金属イオンとの配位を利用した新規分析法の開発 Ⅱ
13 28~30 大量注入装置付きGC/MSによる水質規制農薬の高速一斉分析法の開発
14 28~30 環境菌で臨床的に重要な病原細菌の感染リスク評価のための検査システムの開発とその応用-レジオネラ属菌をモデルとして
15 環境保健部 28~30 腎機能低下に伴う骨質劣化に関する調査研究

調査研究「中間」報告(現在、研究中のテーマ) 19課題

部名 研究年度 研究課題名
1 がん研究部 27~28 検査・診断に応用可能なDNA修復能解析法の確立
2 ウイルス部 25~28 富山県における呼吸器ウイルスの流行実態調査
3 26~28 富山県における野生動物を介した人獣共通感染症の病原体の検索
4 25~28 市街地等に生息するマダニ類からの病原体検出
5 27~29 手足口病の原因ウイルスの抗原性状変化と周期的流行に関する分子疫学的研究
6 27~29 富山県におけるダニ、蚊など衛生動物の分布状況と病原体保有状況
7 27~29 下水流入水中及び患者から検出されるロタウイルスA群に関する研究
8 細菌部 27~28 薬剤耐性菌届出株の細菌学的性状に関する調査
9 26~29 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌のプラスミド検査法の開発
10 27~28 ゲノム解析に資する下痢原性細菌感染症サーベイランスの強化及びゲノム解析を利用した迅速診断法の開発に向けた研究(EHECのゲノム配列解析)
11 27~28 集団食中毒事例で検出された新規Stx2ファージの機能解析と疫学研究
12 化学部 26~28 加工食品中の残留農薬分析法の検討
13 27~28 HPLCによる品質保持剤(プロピレングリコール)分析法の検討
14 27~30 自由形状3次元流路分離・分析チップの開発
15 26~28 マイクロチップ分析型キャピラリー電気泳動装置を用いた病原性大腸菌の検出
16 環境保健部 26~28 有機リン系農薬の代謝物の残留と摂取の可能性に関する研究
17 27~28 健康診断受診者におけるインスリン抵抗性の追跡的観察
18 25~29 骨質からアプローチする骨粗鬆症研究
19 27~28 神通川流域住民健康調査結果の地域疫学的検討

調査研究「終了」報告(平成27年度で終了した研究テーマ) 13課題

部名 研究年度 研究課題名
1 がん研究部 24~27 新生児マススクリーニングにおける確認検査法の確立
2 26~27 流産胎児検体におけるモザイクの検討
3 ウイルス部 25~27 網羅的遺伝子解析法を用いた胃腸炎ウイルス解析
4 21~23 腸管系ウイルスの環境水からの効率的な検出法の開発と応用
5 22~24 麻疹排除のための麻疹ウイルス検査法の検討
6 25~27 原因の特定されないウイルス感染症の網羅的ウイルス検索
7 細菌部 25~27 レジオネラ症患者からのレジオネラ属菌の検出と分離菌の解析
8 23~27 環境由来レジオネラ属菌の遺伝子解析
9 25~27 富山県内で分離されたカンピロバクターの薬剤耐性に関する研究
10 27 食中毒菌のゲノム配列を利用した広域食中毒等に対応する手法の開発
-「地方衛生研究所の連携による食品由来病原微生物の網羅的ゲノム解析を基盤とする新たな食品の安全確保対策に関する研究」
11 27 尿路病原性大腸菌O2の病原性の解析
12 化学部 25~27 金属イオンとの配位を利用した新規分析法の開発
13 26~27 イオンクロマトグラフを用いた巻貝中のテトラミン迅速定量法の開発

2. 主な調査・研究概要

  1. 先天性代謝異常等の検査法の開発・改良
  2. ウイルス感染症の流行状況に関する調査
  3. 病原細菌の感染経路に関する調査研究
  4. 薬剤耐性菌に関する調査研究
  5. 食品等の検査法の開発、改良などの研究
  6. 液クロを用いた新規分析法の開発の研究
  7. 骨粗鬆症予防研究

1.先天性代謝異常等の検査法の開発・改良

研究課題 疾患を早期に発見するための鑑別検査法の確立
研究期間 平成28年度~平成29年度
担当部 がん研究部
背景・目的 新生児マススクリーニングの新たな検査法としてタンデムマス装置による分析法(タンデムマス法)が導入されたことにより、対象疾患数が増えました。その中にはすぐに治療を開始しなければならない緊急性のある疾患も含まれています。
対象疾患数が増加したことにより、検査での異常例も多く発見されるようになることから、これらの異常例が緊急性のある疾患かどうかを早期に判断することが必要になります。
その判断の一助となる鑑別検査法を確立することで、迅速で確実に疾患を発見できるマススクリーニング体制を構築します。
期待される学術的又は行政的意義又は効果 新生児マススクリーニングで発見される疾患は、早期に対応しなければ、発育不全や発達遅延を引き起こし、重症の場合は、呼吸不全等で死亡にいたる例もあることから、早期の処置が必要となります。
また、タンデムマス法が導入されてからは、医療機関からのハイリスク児の緊急検査の依頼が増えています。
これらに対応するために、新生児マススクリーニング用の濾紙血液を用いた鑑別検査法を確立することは、新たな採血を必要とせず、より確実な情報を医療機関に迅速に提供することを可能にします。このことは、疾患の早期診断、患者の早期治療開始に繋がり、心身障害の発生を防止または軽減することができます。
本研究は、将来を担う子どもたちの健やかな成長を支援するものです。

2.ウイルス感染症の流行状況に関する調査

研究課題 富山県における呼吸器ウイルスの流行実態調査
研究期間 平成25年度~平成28年度
担当部 ウイルス部
背景・目的 インフルエンザウイルス以外の呼吸器ウイルスの中には、ヒトメタニューモウイルスやRSウイルスなど乳幼児の下気道炎や喘息増悪に関わる臨床的に重要なウイルスが含まれています。しかし、県内におけるインフルエンザウイルス以外の呼吸器ウイルスの流行実態は明らかではありません。そこで、本研究では協力が得られた県内の小児科医院から通年で検体を収集して、呼吸器ウイルスの検出・同定を行い、県内で流行している呼吸器ウイルスの種類や季節消長などを監視します。
期待される学術的又は行政的意義又は効果 インフルエンザ以外の急性呼吸器感染症の起因ウイルスは200種類以上ありますが、それらウイルスの疫学およびウイルス学的データは非常に乏しいのか゛現状です。したがって、データを蓄積することは学術的に有意義なばかりでなく公衆衛生対策上も重要です。また、平成24年にみられたようなRSウイルス感染症の全国的大流行が起きた場合などに、流行ウイルス株に関して速やかな情報発信が可能となります。

3.病原細菌の感染経路に関する調査研究

研究課題 レジオネラ症の感染経路を探るための環境調査
(免疫磁気ビーズを用いた原因菌の選択的分離)
研究期間 平成28年度~平成30年度
担当部 細菌部
背景・目的 富山県におけるレジオネラ症の罹患率は2014年を除き、全国でワースト1であり、その対策が急務となっている。感染源のおよそ4割を占める浴用水での衛生管理を強化し、前年度には患者発生時の対応要領ができたところである。その中で、患者喀痰の確保と検査体制が明記され、また、これまでの研究から菌が分離されなくても遺伝子型別できる事例も示された。
したがって、今後は患者喀痰もしくは分離菌から得られる遺伝子型情報を有効に活用、すなわち、環境検体(おもに浴用水・シャワー水)から患者喀痰と同じ遺伝子型のレジオネラ属菌を分離し、感染源を特定することが求められる。
そこで、患者喀痰から分離されるレジオネラ属菌のおよそ9割を占めるL. pneumophila SG 1の膜抗原と反応する抗体を感作した「免疫磁気ビーズ」を作製し、選択的に分離することを検討する。
期待される学術的又は行政的意義又は効果 環境検体からL. pneumophila SG 1が有意に分離されるようになれば、患者の感染源を特定する確率が上がることが期待できる。

4.薬剤耐性菌に関する調査研究

研究課題 薬剤耐性菌届出株の細菌学的性状に関する調査
研究期間 平成27年度~平成29年度
担当部 細菌部
背景・目的 平成26年9月に感染症法が改正され、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE、carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)感染症が5類全数把握疾患に追加された。本感染症は世界的な規模で急速に広がっており、国内の医療機関においてもアウトブレイクが報告されている。
本調査では、富山県内のCREのサーベイランスを実施し、その細菌学的性状を解析する。
期待される学術的又は行政的意義又は効果 平成27年4月 厚生労働省医政局からの「薬剤耐性菌対策に対する提言」では、
・薬剤耐性菌の解析等の専門性を通じて地域連携ネットワークに積極的に貢献すること
・CRE感染症は感染症発生動向調査事業における病原体検査の対象疾患となったことから患者由来分離株を収集・解析すること
・CREについては耐性遺伝子の確認とプラスミドの性状解析、遺伝的同一性の確認をすること
などが地方衛生研究所に望まれており、これを可能とすることが、医療機関で発生する薬剤耐性菌のアウトブレイクの早期探知や発生時の感染源ルートの解明に寄与すると考えられる。

5.食品等の検査法の開発、改良などの研究

研究課題 加工食品中の残留農薬検査法の検討
研究期間 平成26年度~平成28年度
担当部 化学部
背景・目的 平成20年に中国産冷凍餃子への農薬混入事件が発生したことを受け、平成21年から外国産冷凍加工食品を対象とした農薬分析を行っています。平成26年1月には、パイシート等の冷凍加工食品へのマラチオン混入事件が発生し、これらの検査を実施したが、従来測定しているGC/MS法では妨害ピークが検出され、別の分析法(GC-FPD法)で確認を行いました。
食中毒、混入事件など、健康危害をもたらすような場合においては、その検査結果について慎重な取り扱いが必要となる。検査結果について確認が必要な場合は、再検討は必要であるが、さらに別の方法で分析し、結果を確認することが有用であります。
そこで、加工食品中の残留農薬をLC/MSで測定する方法を検討します。加えて、平成24、25年度に検討してきた、加工食品の前処理法についても検討を進めます。
期待される学術的又は行政的意義又は効果 加工食品はその成分が非常に多岐にわたり、複雑であります。そのため、同じ処理をしても、特定成分の分析が困難な食品があります。このような場合でも分析法を複数確保することは、事件発生時や基準違反の疑いがある時に、結果の信頼性を保つことができます。

6.液クロを用いた新規分析法の開発の研究

研究課題 金属イオンとの配位を利用した新規分析法の開発Ⅱ
研究期間 平成28年度~平成30年度
担当部 化学部
背景・目的 親水性化合物を金属イオンとの錯体形成能を利用し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により、分析する新たな分析法の開発を目的とします。
HPLCの分離モードの中でも固定相との疎水性相互作用に基づく逆相モードは最も汎用性の高いモードであるが、親水性の高い化合物に対しては十分な保持や選択性を示しません。このため高親水性化合物を分離する際には、イオンペア試薬を用いた逆相カラム、イオン性を利用したイオン交換カラム、また近年ではHilicカラムなどが用いられています。
このような高親水性化合物に金属イオンを配位させた場合、その金属錯体は立体的に、また電荷的に元の化合物とは異なる性質をもつようになることから、もとの化合物とは異なる分離パターンで分析することが可能と考えられます。そこで、親水性化合物を既存の分離モードに配位能をプラスした新規な分離モードを用いてHPLC分析する方法を開発します。
期待される学術的又は行政的意義又は効果 本研究では、移動相に添加した金属イオンを固定相ではなく分析対象と配位させ、これまでのHPLCで用いられてきた、逆相モード、イオン交換モードまたは親水モードなどの分離モードに配位能をプラスした新規な分離モードで分離します。
この方法が確立することにより、金属イオンと配位するさまざまな医薬品や抗生物質、農薬等を分析することができると期待されます。

7.骨粗鬆症予防研究

研究課題 骨質からアプローチする骨粗鬆症研究
研究期間 平成25年度~平成29年度
担当部 環境保健部
背景・目的 平成23年の要介護者数は516万人であり、約10年間で倍増しており、今後も後期高齢者の増加と共に、要介護者が増加していくことが予想されます。また、寝たきり状態になる可能性が高い大腿骨頸部骨折の推計発生件数は年々増加しており、骨粗鬆症及び骨折予防は高齢者の健康寿命延伸に必須の課題であります。 現在の骨粗鬆症研究で最も注目されているものの一つに骨質があります。骨質は骨密度以外の骨強度を決める因子で、骨密度が正常でも骨質が劣化していると骨折しやすい状態になります。
現在の骨質研究では、骨質劣化者の骨折リスクについての検討は行われていますが、骨密度低下+骨質劣化状態の人についての骨折リスクに関しての報告はありません。
そこで、骨密度低下者に対して骨質評価指標の測定を行い、骨密度低下+骨質劣化状態である者の骨折リスクを検討することで、骨粗鬆症予防の基礎資料とすることを目的としています。
期待される学術的又は行政的意義又は効果 本研究により骨密度低下者の骨質の実態、骨密度低下+骨質劣化者の骨折リスクが明らかとなれば、骨質も考慮に入れた、より効果的な予防法、治療薬の選択が行われ、高齢者の健康寿命の延伸に繋がると考えています。
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