更新日:2021年3月23日

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食中毒の検査

食中毒とは、食品を摂取することで健康被害が起きることを指します。原因としては、微生物(細菌・ウイルス)、寄生虫、化学物質、自然毒およびそれらから発生する毒素があります。

1.細菌性食中毒

細菌性食中毒は感染型食中毒と毒素型食中毒に大きく分けられます。感染型食中毒は、食品に付着した(汚染した)生きた細菌が経口的に摂取され、腸管内で増殖して食中毒症状を起こします。これに対し、毒素型食中毒は、食品の中で細菌が大量に増殖し、産生された毒素を摂取することで食中毒症状を起こします。感染型食中毒を起こす細菌としては、サルモネラカンピロバクター腸炎ビブリオ大腸菌、エルシニア、アルベルティイ菌、ウエルシュ菌などがあります。この中には、腸管内でエンテロトキシン(腸管毒)を産生する大腸菌やウエルシュ菌、ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌などがあり、生体内毒素型食中毒と呼ばれることもあります。毒素型食中毒を起こす細菌としては、黄色ブドウ球菌(エンテロトキシン)、ボツリヌス菌(ボツリヌス毒素)、セレウス菌(セレウリド)などがあります。毒素型食中毒は食品を摂取してから症状が出るまでの時間(潜伏時間)が4~12時間と短いのが特徴です。セレウス菌を原因とする食中毒では、下痢毒(エンテロトキシン)による場合もあり、潜伏時間は8~16時間と長くなります。

1999年4月からは、二類感染症(現在は三類感染症)に位置付けられた細菌性赤痢、コレラ、腸チフス、パラチフスも食品を汚染し、食中毒を起こすことがあるため、食中毒疑い事例の場合は、原因菌を追求する際の検査対象となります。

細菌部では食中毒を予防するため、食品検査や食品衛生に関する研修会等を実施しています。また、事件が発生した場合には、原因物質(細菌)や原因食品の特定、患者および食品から分離された菌について分子疫学的解析、薬剤感受性試験などを行います。これらの結果を還元することで、食中毒事件の解明と今後の食中毒発生予防に役立てています。

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2.ウイルス性食中毒

胃腸炎を引き起こすウイルスとしては、ノロウイルス(Genogroup (G) I、GII)、サポウイルス、ロタウイルス(A群、C群)、腸管アデノウイルスなどが挙げられます。

これらのウイルスは、毎年冬季を中心に流行し、食中毒の原因となることがあります。

富山県では、県内で発生する感染性胃腸炎や食中毒の原因ウイルスを調査しています。その結果、乳幼児の散発例ではA群ロタウイルス、ノロウイルスGIIのほか、サポウイルス、アデノウイルスなど多様なウイルスが検出されました。

また、学校などでの集団発生事例や食中毒では、ノロウイルスGIIがほとんどを占め、その他にノロウイルスGI、まれにサポウイルスやC群ロタウイルスなどが検出されました。

このように、乳幼児の間では多様なウイルスが胃腸炎の原因となる一方、それ以外の世代ではノロウイルスが主な原因となっています。また、ノロウイルスはウイルス性食中毒の原因ウイルスとしても注目されています。ノロウイルスによる食中毒では、生ガキ等が原因となることがあります。海水がウイルスに汚染されると、カキなどの二枚貝がウイルスを大量に中腸腺に蓄積し、これをヒトが食べることにより感染します。

また、近年、ノロウイルス感染者の糞便等から、人の手を介して食品が汚染され、食中毒を起こすという事例が非常に多くなっています。調理に携わる方は、健康管理に注意するとともに、よく手洗いをすることが大切です。

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3.寄生虫性食中毒

寄生虫性食中毒の原因としては、クリプトスポリジウム、シアルジア、サイクロスポーラ、クドア・セプテンプンクタータ(粘液胞子虫)、アニサキス(線虫)、ザルコシスティス・フェイヤー(住肉胞子虫)などがあります。

クリプトスポリジウムは塩素が効かないため、水道水、簡易水道水などに混入しても不活化されないため、クリプトスポリジウムが検出されると、水道水を止め、水道管を消毒するなどの対応が必要となる場合があります。予防のためには日常的に水道水を監視する体制が重要となります。

アニサキスは、クドア、サルコシスティスと共に、2012年に食中毒の病因物質として個別に取り上げられるようになりました。2019年には食中毒事件の病因物質として、事件数で1番多く報告されています。詳しくはこちら(細菌部のアニサキス検査へリンク)をご覧ください。

細菌部では、まれな寄生虫検査に対応できるよう、日頃から検査技術の維持に努めています。また、近年増加傾向にあるアニサキス等の検査については、迅速に鑑別できるよう検査法を検討しています。

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4.自然毒と化学物質による食中毒

動植物の中には、天然に有毒成分を含む種があり、これらを喫食することで食中毒を起こすことがあります。動植物固有の有毒成分としては、フグ毒、魚介毒のような動物性自然毒と、きのこ毒、その他の植物塩基や配糖体などの植物性自然毒があります。

また、主に魚介類のタンパク質やアミノ酸が腐敗して生成されるヒスタミンの他、食品の生産、流通、消費の過程で混入した農薬などの有害な化学物質が食中毒の原因となることもあります。

衛生研究所では、これらの自然毒、化学物質についても、食中毒が発生した場合に検査を行っています。

自然毒と化学物質による食中毒について(化学部のトピックス)

 

さらに詳しい情報を知りたい方は、厚生労働省の食中毒ホームページへ

厚生労働省の食中毒ホームページ(外部サイトへリンク)

 

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お問い合わせ

所属課室:厚生部衛生研究所 

〒939-0363 射水市中太閤山17-1

電話番号:0766-56-5506

ファックス番号:0766-56-7326

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