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更新日:2025年10月31日
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こどもは、一人一人がかけがえのない大切な存在です。
こどもは、周りの人に温かく見守られ、支えられることによって、心身ともに健やかに育ち、失敗を恐れずに挑戦でき、
将来を切り開くことができます。
また、こどもにとって、自分の意見が大切にされる経験は、自己肯定感や自己有用感を高め、自分らしく生きていくこと
につながります。
我が国は、児童の権利に関する条約を結び、すべてのこどもは大人と同様に権利の主体であり、一切の差別的取扱いを
受けないこと、命を守られながら、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう支えられること、その意見が尊重
され、その最善の利益が優先して考慮されることを約束しています。
しかしながら、いじめ、虐待、貧困及びヤングケアラー並びにインターネットの利用に関する問題等、こどもを取り巻く
状況は厳しさを増しています。また、高い共働き世帯率、核家族化の進行や地域のつながりの希薄化等により、家族や地域が
こどもを見守り、支える機能が低下し、こどもや保護者の不安感や孤立感が高まっています。
こうしたことから、こどもが、不安や悩みを解決したり乗り越えたりしながら健やかに成長できるよう、県はもとより、
国、市町村、保護者、こどもの学びや育ちに関する施設等関係者、事業者及び県民が相互に連携し、社会全体でこどもを支え
る基盤を築く必要があります。そのためには、こどもの個性や多様性が尊重され、こどもが様々な支援を受けながら意見を表
明し、社会に参画できる環境づくりを進めることが重要です。
ここに私たちは、未来を担うすべてのこどもが、誰一人取り残されることなく、自立した個人として健やかに成長すること
ができ、心身の状況や置かれている環境等に関わらず権利の擁護が図られ、身体的、精神的、社会的に将来にわたって幸せな
状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指すため、日本国憲法、児童の権利
に関する条約及びこども基本法の精神にのっとり、この条例を制定します。
第1条 この条例は、こどもの健やかな成長を支援するための基本理念を定め、こどもにとって大切な権利を明らかにすると
ともに、県等の役割及びこどもの支援に関する基本的施策等を定めることにより、とやまの未来をつくる子育て支援その他
の少子化対策の推進に関する条例と相まって、こどもの支援のための施策を総合的に推進し、もって未来を担うすべてのこ
どもが、誰一人取り残されることなく、自立した個人として健やかに成長することができ、心身の状況や置かれている環境
等に関わらず権利の擁護が図られ、身体的、精神的、社会的に将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができる社会
(以下「こどもまんなか社会」といいます。)を実現することを目的とします。
第2条 この条例において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいい、こどもの支援の対象となるこどもの範囲は、
支援ごとに定めるものとします。
2 この条例において「こどもの支援」とは、こどもの権利擁護に関して行う次に掲げる支援をいいます。
⑴ こどもの健やかな成長に対する支援
⑵ こどもの健やかな成長を支える者(保護者及びこどもの学びや育ちに関する施設等関係者をいいます。以下同じで
す。) に対する支援
3 この条例において「保護者」とは、こどもを現に監護する者をいいます。
4 この条例において「こどもの学びや育ちに関する施設等関係者」とは、学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規
定する学校をいいます。以下同じです。)、児童福祉施設(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉
施設をいいます。以下同じです。)その他これらに類する施設等関係者をいいます。
第3条 こどもの支援は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとします。
⑴ すべてのこどもについて、一人の人間として権利があり、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるととも
に、差別的取扱いを受けることがないようにする等、日本国憲法、児童の権利に関する条約及びこども基本法(令和4年
法律第77号)の精神にのっとり、こどもの有する権利が尊重され、擁護されること。
⑵ すべてのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな
成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法(平成
18年法律第 120号)の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。
⑶ すべてのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係するすべての事項に関して意見を表明す
る機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。
(4) すべてのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮
されること。
(5) こどもが心身ともに健やかに成長することができるよう、国、県、市町村、こどもの健やかな成長を支える者、事業
者及び県民が相互に連携し、及び協力して、社会全体でこどもを支えるための取組を推進すること。
第4条 すべてのこどもは、健やかに成長するため、次に掲げる権利が尊重されます。
(1) 心身ともに健康でいられ、必要な医療、保健、福祉等の支援を受けられること。
(2) かけがえのない存在として周りの人に温かく見守られ、支えられること。
(3) 遊び、学び、スポーツ及び文化芸術活動等様々な活動が体験できること。
(4) 希望と意欲に応じて好きなことや夢に向かって挑戦できること。
(5) 自分の成長に役立つ情報を入手することができ、自分の権利や社会に関する正しい知識に基づき将来を自ら選択でき
ること。
(6) 自分の意見をもつための様々な支援を受けることができ、その意見を表明し、社会に参画できること。
(7) 不安や悩みを解決したり乗り越えたりするために助けを求めることができ、適切な助言や支援が受けられること。
(8) 虐待、いじめ等困難な状況から心身が守られ、差別的取扱いや不利益を受けたり、孤立したりすることなく、 安全で
安心して過ごすことができる居場所をもつことができること。
2 こどもは、自分の権利が他者から尊重されることと同じように、他者の権利を尊重しなければなりません。
3 こどもの健やかな成長を支える者は、こどもの権利が侵害されていないか注意深く見守るよう努めなければなりません。
第5条 県は、第3条に定める基本理念(以下「基本理念」といいます。)にのっとり、こどもの健やかな成長を支える者によ
る主体的かつ自主的なこどもの支援のための取組を尊重しつつ、こどもの支援のための施策を策定し、及び実施するものと
します。
第6条 保護者は、基本理念にのっとり、こどもが自立した個人として健やかに成長することについて第一義的責任を有する
ことを認識しつつ、こどもを見守り支えるものとします。
2 県及びこどもの学びや育ちに関する施設等関係者は、保護者とともに、こどもが自立した個人として健やかに成長するよ
う見守り支えるものとします。
第7条 こどもの学びや育ちに関する施設等関係者は、基本理念にのっとり、学校、児童福祉施設その他こどもの居場所にお
ける安全を確保するとともに、こどもが安心して学び育つことができる環境づくりに努めるものとします。
第8条 事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する者がそのこどもに接する時間を十分に確保するため、職業生活と家庭
生活との両立が図ることができるよう必要な雇用環境の整備に努めるものとします。
第9条 県民は、基本理念について理解を深め、こどもの支援のための施策について関心を高めるとともに、県及び市町村が
実施するこどもの支援のための施策に協力するよう努めるものとします。
第10条 県は、こどもの支援のための施策の実施に当たっては、市町村と連携するとともに、市町村が行うこどもの支援の
ための施策に協力するものとします。
第11条 県は、この条例、児童の権利に関する条約及びこども基本法の趣旨及び内容について、広報活動等を通じてこども
を含めた県民に普及啓発を図り、その理解を得るよう努めるものとします。
2 県は、前項の広報活動等を行うに当たり、市町村及びこどもの健やかな成長を支える者に協力を求め、気運の醸成を図る
ものとします。
第12条 県は、誰一人取り残さずすべてのこどもが安全で安心して過ごすことができる居場所づくりを促進するとともに、そ
の希望や意欲に応じて、遊びや学び、スポーツ及び文化芸術活動等様々な体験活動に接する機会を得ることができるよう
支援するものとします。
第13条 県及びこどもの学びや育ちに関する施設等関係者は、こどもの健やかな成長に対する支援が、その心身の発達
の過程を通じて切れ目なく行われるよう、相互に連携し協力して取り組むものとします。
第14条 こども又は保護者その他こどもに関わる者は、こどもの健やかな成長に関して関係機関及び関係団体に相談すること
ができます。
2 県は、いじめ、虐待、貧困及び家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められること並びにインタ
ーネットの利用に関する問題等、不安や悩みを抱えるこどもが安心して適切な助言や支援を受けることができるよう相談体
制の充実を図り、こどもに寄り添ったきめ細かな支援に取り組むものとします。
第15条 県は、こどもの支援を実施するための計画又はこどもの支援のための施策を策定し、実施するに当たっては、当該計
画又は施策の目的等に応じて、こども等の幅広い意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとします。
2 前項の意見の聴取に当たっては、社会的養護下にあるこどもをはじめとした、様々な困難な状況にあるこどもの意見も聴
取するものとします。
第16条 県及びこどもの健やかな成長を支える者は、こどもがその健やかな成長のために必要な知識を得ることができるよ
う、こどもの視点に立って分かりやすく情報を提供するとともに、こどもが理解を深められるよう学ぶ機会の提供に努める
ものとします。
第17条 県及びこどもの健やかな成長を支える者は、こどもの年齢や発達の程度に応じた意見を言いやすい環境づくりに努
めるものとします。
第18条 こどもの悩みの解決に向けた支援を行う機関として、富山県こども支援委員会(以下「委員会」といいます。)を設
置します。
2 委員会は、次条第3項に規定する知事の求めに応じて、次に掲げられた職務を行います。
(1) こどもの置かれている状況の改善のため、こどもと次条第2項の申立てに関係する者(以下「関係者」といいます。)
との調整を行うこと。
(2) 次条第2項の申立てに関して知事に対し意見を述べること(以下「意見表明」といいます。)。
(3) 第1号に規定する調整のため必要な調査を行うこと。
3 委員会は、知事の求めに応じて、こどもの権利擁護に関して県が行う普及啓発活動について意見を述べることができ
ます。
4 委員会は、公平かつ適正にその職務を行い、こどもの気持ちを尊重し、その最善の利益を考慮して職務を行うものと
します。
5 委員会は、委員5人以内で組織します。
6 委員は、こどもの権利擁護に関し優れた識見を有する者のうちから知事が任命します。
7 委員の任期は、3年とします。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。
8 委員は、再任されることを妨げられません。
9 委員会に専門の事項を調査審議するために必要があるときは、専門委員を置くことができます。
10 委員及び専門委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはなりません。その職を退いた後も同様とします。
11 この章に定めがあるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。
第19条 第14条第1項の相談をしたこども又は保護者は、関係機関又は関係団体が助言等の対応を尽くしてもそのこどもの
置かれている状況が改善していないと判断したときは、富山県行政組織規則(平成6年富山県規則第14号)第133条に規定
するこども相談センターに助言を求めることができます。
2 こども又は保護者は、前項のこども相談センターが助言をしてもそのこどもの置かれている状況が改善しないときは、知
事に対し、当該事案を解決するための調整及び調整に必要な調査(以下「調整等」といいます。)の申立てをすることがで
きます。
3 知事は、前項の規定による申立てに係る事項についての調整等を委員会に求めるものとします。
第20条 委員会は、前条第3項の求めがあった場合には、当該申立てに係る事項について調査するものとします。ただし、当
該申立てが次の各号のいずれかに該当すると認められる場合は、この限りではありません。
(1) 判決により確定した権利関係又は執行機関の附属機関等が認定した事実関係に関する事案であるとき。
(2) 裁判所において係争中の事案又は執行機関の附属機関等において審議中の事実関係に関する事案であるとき。
(3) 議会に請願又は陳情を行っている事案であるとき。
(4) 前各号に掲げるもののほか、調整等を行うことが適当でない事案として規則で定めるものであるとき。
2 委員会は、調査のため必要があると認めるときは、関係者に対し資料の提出及び説明を求めることができます。
3 委員会は、第18条第2項第1号に規定する調整又は同項第3号に規定する調査のため、関係機関及び関係団体に協力を求め
ることができます。
4 委員会は、申立てに係る事案が解決したときはその結果を、第1項ただし書の規定により調整等を行わなかったときは、
その旨を理由を付して、知事に報告するものとします。
5 知事は、前項の報告があったときは、速やかに申立てを行った者及び関係者に通知するものとします。
第21条 委員会は、調整等を開始した後においても、前条第1項ただし書に該当することとなったときは、調整等を中止する
ことができます。
2 委員会は、調整等を中止したときは、その旨を理由を付して、知事に報告するものとします。
3 知事は、前項の報告があったときは、速やかに申立てを行った者及び関係者に通知するものとします。
第22条 委員会は、申立てに係る事案が解決した場合において、法令に基づく救済制度が存するときを除き、こどもの
権利擁護又は相談支援体制の充実のため、知事に対し、必要な措置を講じるよう意見表明をすることができます。
2 知事は、前項の規定による意見表明を受けたときは、これを尊重しなければいけません。
3 知事は、第1項の規定により意見表明があったときは、その措置状況について委員会に対し報告するものとします。
4 知事は、第1項の規定により意見表明があったとき又は前項の報告をしたときは、速やかにその内容を申立てをし
た者及び関係者に通知するものとします。
第23条 委員会は、調整等を尽くしても事案の解決が見込めないときは、出席委員全員の一致により調整等を終了する
ことができます。
2 委員会は、前項の規定により調整等を終了したときは、その旨を理由を付して、知事に報告するものとします。
3 知事は、前項の報告があったときは、速やかに申立てを行った者及び関係者に通知するものとします。
第24条 委員会は、その活動状況について、毎年度1回、公表するものとします。
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