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更新日:2026年2月24日
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こどもは、一人一人がかけがえのない大切な存在です。
こどもは、周りの人に温かく見守られ、支えられることによって、心身ともに健やかに育ち、失敗を恐れずに挑戦でき、将来を切り開くことができます。
また、こどもにとって、自分の意見が大切にされる経験は、自己肯定感や自己有用感を高め、主体的に、自分らしく生きていくことにつながります。
我が国は、児童の権利に関する条約を結び、すべてのこどもは大人と同様に権利の主体であり、一切の差別的取扱いを受けないこと、命を守られながら、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう支えられること、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されることを約束しています。
しかしながら、貧困、虐待、いじめ、ヤングケアラー、インターネットの利用に関する問題等、こどもを取り巻く状況は厳しさを増しています。また、高い共働き世帯率、核家族化の進行、地域のつながりの希薄化等により、家族や地域がこどもを見守り、支える機能が低下し、こどもや保護者の不安感や孤立感が高まっています。
こうしたことから、こどもが安心して成長できる環境が整うよう、こどもにとって大切な権利を明らかにするとともに、県はもとより、国、市町村、保護者、こどもの学びや育ちに関する施設等関係者、事業者及び県民がそれぞれの立場から又は相互に連携し、困難な状況にあるこどもの権利擁護を図ることが不可欠です。また、こどもが権利について学び、様々な支援を受けながら意見を表明し、個性や多様性が尊重され、主体的に、自分らしく生きることができるよう支援していかなければなりません。
ここに私たちは、未来を担うすべてのこどもが、誰一人取り残されることなく、自立した個人として健やかに成長することができ、心身の状況や置かれている環境等にかかわらず権利の擁護が図られ、身体的、精神的、社会的に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指すため、日本国憲法、児童の権利に関する条約及びこども基本法の精神にのっとり、この条例を制定します。
第1条 この条例は、こどもの健やかな成長を支援するための基本理念を定め、こどもにとって大切な権利を明らかにするとともに、県等の役割、こどもの支援に関する基本的施策等を定めることにより、とやまの未来をつくる子育て支援その他の少子化対策の推進に関する条例(平成21年富山県条例第28号)と相まって、こどもの支援のための施策を総合的に推進し、もってこどもまんなか社会(未来を担うすべてのこどもが、誰一人取り残されることなく、自立した個人として健やかに成長することができ、心身の状況や置かれている環境等にかかわらず、権利の擁護が図られ、身体的、精神的、社会的に将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができる社会をいいます。)を実現することを目的とします。
第2条 この条例において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいいます。
2 この条例において「こどもの支援」とは、こどもの権利擁護に関して行う次に掲げる支援をいい、こどもの支援の対象となるこどもの範囲は、支援ごとに定めるものとします。
⑴ こどもの健やかな成長に対する支援
⑵ こどもの健やかな成長を支える者(保護者及びこどもの学びや育ちに関する施設等関係者をいいます。以下同じです。)に対する支援
3 この条例において「保護者」とは、こどもを現に監護する者をいいます。
4 この条例において「こどもの学びや育ちに関する施設等関係者」とは、学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校をいいます。第7条において同じです。)、児童福祉施設(児童福祉法(昭和22年法律第 164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設をいいます。第7条において同じです。)その他これらに類する施設の設置者、管理者、教員及び職員その他こどもの教育又は福祉に関する職務に従事する者をいいます。
第3条 こどもの支援は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとします。
⑴ すべてのこどもについて、一人の人間として権利があり、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにする等、日本国憲法、児童の権利に関する条約及びこども基本法(令和4年法律第77号)の精神にのっとり、こどもの有する権利が尊重され、擁護されること。
⑵ すべてのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法(平成18年法律第 120号)の精神にのっとり、教育を受ける機会が等しく与えられること。
⑶ すべてのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係するすべての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。
⑷ すべてのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。
⑸ こどもが心身ともに健やかに成長することができるよう、国、県、市町村、こどもの健やかな成長を支える者、事業者及び県民が、相互に連携を図りながら協力して、社会全体でこどもを支えるための施策及び取組を推進すること。
第4条 すべてのこどもは、健やかに成長するため、次に掲げる権利が尊重されます。
⑴ 心身ともに健康であり、必要な医療、保健、福祉等の支援を受けられること。
⑵ かけがえのない存在として周りの人に温かく見守られ、支えられること。
⑶ 遊び、学び、スポーツ、文化芸術活動等様々な活動が体験できること。
⑷ 希望と意欲に応じて好きなことや夢に向かってのびのびと挑戦できること。
⑸ 自分の成長に役立つ情報を入手することができ、自分の権利や社会に関する正しい知識に基づき将来を自ら選択できること。
⑹ 自分の意見をもつための様々な支援を受けることができ、その意見を表明し、社会に参画できること。
⑺ 不安や悩みを解決したり乗り越えたりするために助けを求めることができ、適切な助言や支援を受けられること。
⑻ 虐待、いじめ等困難な状況から心身が守られ、差別的取扱いや不利益を受けたり、孤立したりすることなく、安全で安心して過ごすことができる居場所をもつことができること。
2 こどもは、自分の権利が他者から尊重されることと同じように、他者の権利を尊重しなければなりません。
3 こどもの健やかな成長を支える者は、こどもの権利が侵害されていないか注意深く見守らなければなりません。
第5条 県は、第3条に定める基本理念(以下「基本理念」といいます。)にのっとり、こどもの健やかな成長を支える者による主体的かつ自主的なこどもの支援のための取組を尊重しつつ、こどもの支援のための施策を策定し、及び実施するものとします。
第6条 保護者は、基本理念にのっとり、こどもが自立した個人として健やかに成長することについて第一義的責任を有することを認識しつつ、こどもを見守り支えるものとします。
2 県及びこどもの学びや育ちに関する施設等関係者は、保護者とともに、こどもが自立した個人として健やかに成長するよう見守り支えるものとします。
第7条 こどもの学びや育ちに関する施設等関係者は、基本理念にのっとり、学校、児童福祉施設その他これらに類する施設における安全を確保するとともに、こどもが安心して学び育つことができる環境づくりに努めるものとします。
第8条 事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する者がこどもに接する時間を十分に確保するため、職業生活と家庭生活との両立を図ることができるよう必要な雇用環境の整備に努めるものとします。
第9条 県民は、基本理念について理解を深めるとともに、こどもの支援のための施策及び取組について関心を高め、協力するよう努めるものとします。
第10条 県は、こどもの支援のための施策の実施に当たっては、適切な役割分担を踏まえ、市町村と相互に連携を図りながら協力するものとします。
第11条 県は、この条例、児童の権利に関する条約及びこども基本法の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて普及啓発を図り、それらの理解を得るよう努めるものとします。
2 県は、前項の広報活動等を行うに当たり、市町村、こどもの健やかな成長を支える者、事業者及び県民に協力を求め、気運の醸成を図るものとします。
第12条 県は、すべてのこどもが、安全で安心して過ごすことができる居場所をもち、その希望や意欲に応じて、遊び、学び、スポーツ、文化芸術活動等様々な体験活動の機会を得ることができるよう、こども及びこどもの健やかな成長を支える者に対し、必要な支援を行うものとします。
第13条 県及びこどもの学びや育ちに関する施設等関係者は、こどもの健やかな成長に対する支援が、その心身の発達の過程を通じて切れ目なく行われるよう、相互に連携を図りながら協力するものとします。
第14条 県は、貧困、虐待、いじめ、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められること等、不安や悩みを抱えるこども又は保護者その他こどもに関わる者が、安心して相談し、適切な助言や支援を受けることができるよう、体制の充実を図り、こどもに寄り添ったきめ細かな支援を行うものとします。
第15条 県は、こどもの支援のための計画又は施策を策定し、及び実施するに当たっては、当該計画又は施策の目的等に応じて、こども等の意見を聴取し、その反映状況について説明するために必要な措置を講ずるものとします。
2 前項の意見の聴取に当たっては、社会的養護下にあるこどもをはじめとした様々な困難な状況にあるこどもの意見も聴取するものとします。
第16条 県及びこどもの健やかな成長を支える者は、こどもがその健やかな成長のために必要な知識について、こどもの視点に立った分かりやすい情報の提供を行うとともに、こどもがその理解を深めるために学ぶ機会を得ることができるよう努めるものとします。
第17条 県及びこどもの健やかな成長を支える者は、こどもの年齢及び発達の程度に応じた意見を言いやすい環境づくりに努めるものとします。
第18条 こどもの悩みの解決に向けた支援を行う機関として、富山県こども支援委員会(以下「委員会」といいます。)を設置します。
2 委員会は、知事の求めに応じて、次に掲げる職務を行います。
⑴ 第21条第1項に規定する調整等を行うこと。
⑵ 第25条第2項に規定する意見表明を行うこと。
⑶ こどもの権利擁護に関して県が行う普及啓発活動について意見を述べること。
第19条 委員会は、委員5人以内で組織します。
2 委員は、学識経験を有する者のうちから知事が任命します。
3 委員の任期は、3年とします。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。
4 委員は、再任されることができます。
5 委員会に委員長を置き、委員の互選によりこれを定めます。
6 委員長は、会務を総理し、委員会を代表します。
7 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長の指名する委員が、その職務を代理します。
8 委員会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができます。
9 専門委員は、学識経験を有する者のうちから知事が任命します。
10 専門委員は、当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとします。
11 この章に定めがあるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。
第20条 委員は、こどもの気持ちを尊重し、その最善の利益を優先して、公平かつ適正にその職務を行うものとします。
2 委員及び専門委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはなりません。その職を退いた後も同様とします。
第21条 こども又は保護者は、こどもの健やかな成長に関して富山県行政組織規則(平成6年富山県規則第14号)第133条に規定するこども相談センターに相談して支援を受けてもなおこどもの置かれている状況が改善しないときは、知事に対し、当該事案を解決するための調整及び調整に必要な調査(以下「調整等」といいます。)の申立てをすることができます。
2 知事は、前項の申立て(以下単に「申立て」といいます。)があったときは、調整等を委員会に求めるものとします。
第22条 委員会は、前条第2項の規定による求めがあったときは、申立てに係る事案について調整等を行うものとします。ただし、申立てに係る事案が次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、調整等を行わないものとします。
⑴ 判決により確定した権利関係又は県若しくは市町村の附属機関等が認定した事実関係に関する事案であるとき。
⑵ 裁判所において係争中の事案又は県若しくは市町村の附属機関等において審議中の事実関係に関する事案であるとき。
⑶ 前2号に掲げるもののほか、調整等を行うことが適当でない事案として規則で定めるものであるとき。
2 委員会は、調整等のため必要があると認めるときは、申立てに係る事案に関係する者として委員会が認めるもの(以下「関係者」といいます。)に対し、資料の提出及び説明を求めることができます。
3 委員会は、申立てに係る事案が解決したときはその結果を、調整等を行わなかったときはその旨を理由を付して、知事に報告するものとします。
4 知事は、前項の報告があったときは、速やかに、申立てを行ったこども又は保護者(以下「申立人」といいます。)及び関係者に通知するものとします。
第23条 委員会は、調整等を開始した後においても、前条第1項ただし書各号のいずれかに該当すると認められるとき又は申立人が申立てを取り下げたときは、調整等を中止するものとします。
2 委員会は、調整等を中止したときは、その旨を理由を付して、知事に報告するものとします。
3 知事は、前項の報告があったときは、速やかに、申立人及び関係者に通知するものとします。
第24条 委員会は、調整等を尽くしても申立てに係る事案の解決が見込めないと認めるときは、出席委員全員の一致により調整等を終了することができます。
2 委員会は、調整等を終了したときは、その旨を理由を付して、知事に報告するものとします。
3 知事は、前項の報告があったときは、速やかに、申立人及び関係者に通知するものとします。
第25条 知事は、委員会に対し、申立てに係る事案に関連する県の施策について意見を求めることができます。
2 委員会は、前項の規定による求めがあったときは、申立てに係る事案に関連する県の施策について必要な措置を講ずるよう意見を述べること(以下この条において「意見表明」といいます。)ができます。
3 知事は、意見表明があったときは、これを尊重しなければなりません。
4 知事は、意見表明があったときは、その措置状況について委員会に報告するものとします。
5 知事は、意見表明があったとき又は前項の報告をしたときは、速やかに、申立人及び関係者に通知するものとします。
第26条 委員会は、その活動状況について、毎年度1回、公表するものとします。
第27条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めます。
この条例は、令和8年4月1日から施行します。ただし、第3章の規定は、同年10月1日から施行します。
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