更新日:2021年2月24日

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第2章 森林文化活動の展開

森林文化とは、森林と人間とがひとつに融け合ってつくりあげた文化である。有峰において多様に展開される森林文化活動を、遊びながら「憩う」、親しみながら「学ぶ」、愛しながら「守る」の三つに整理してみた。

それぞれの活動(カルタ)は、憩う、学ぶ、守るの三つの要素を持っているものの、一つに限定されるものではない。いろいろの活動からなる憩う、学ぶ、守るは、「命の息吹を感じる」、「共生と循環を五感で感じる」、そして「自然への畏敬を感じる」といった精神の高揚を通じて、基本理念「水と緑といのちの森を永遠に」につながっていく。

この概念図は、諸活動が憩う、学ぶ、守るのどれか一つに属すると決められないこと、白地の活動があること、活動の組み合わせによって無限な楽しさの生まれることを表現している。こうした自由度の高さを保つことが、魅力的な有峰森林文化村をつくるために重要な視点である。

次に、これら活動をより豊かに展開するための支援策を、便宜的に、憩う、学ぶ、守るに分けて記述する。

1 憩う

(1) 探勝コース

  • ア 組み合わせの楽しさ
    主な探勝コースとして、猪根、冷タ谷、大多和、東西半島、砥谷半島、折立の各遊歩道がある。これらは、距離、勾配だけでなく、道幅、植物、野鳥、景色などにおいて、それぞれに個性豊かである。
    展望台は、それぞれの遊歩道に設置されているほか、林道沿いに、有峰湖、祐延湖、小口川線有峰湖などの展望台がある。さらに、冷タ谷キャンプ場を通りぬけると、有峰湖畔の水辺に出ることができる。
    これら遊歩道、展望台、湖畔と、有峰ビジターセンター、有峰青少年の家、キャンプ場、有峰記念館、有峰ダム、亀谷温泉などを組み合わせ、さらに、年齢と季節、天候を加味して変化をもたせることによって、いろいろな憩い、学びの場とできる。
    後述する総合案内では、来訪者の希望を聞きながら、それぞれに適したコースの組み合わせを紹介する。
  • イ 遊歩道情報の提供
    入口、延長、所要時間、難度、トイレ位置、さらにクマやハチを回避する方法などの基本情報を、現地案内板、印刷物、ありみネット等で表示する。
  • ウ 地図の作成
    遊歩道毎に、目安となる樹木、谷、鉄塔、ベンチ位置などを番号で表示し、現在自分がどこを歩いているかわかる地図を作る。また、児童生徒に地図づくりを体験させる。
  • エ 名札や図鑑などの整備
    巨木、名木に薬師太郎、花子といった愛称をつけ、地図に表示するとともに、現地に表示板をつける。図鑑、ワークシート(※1)などをビジターセンター等に備える。
  • オ 眺望の確保と道標、休憩施設の整備
    有峰湖や薬師岳などの眺望を楽しめるよう、樹木の枝を整える。道標等を統一整備するとともに、トイレ、ベンチなどの小休止できる場所を整備する。

(2) 有峰散策バスの誘致

森林文化村会議が、児童生徒あるいは一般対象の有峰散策バスを誘致する。
また、有峰を回る低公害車の運行を検討する。

(3) 村祭りの開催

岐阜県神岡町、上宝村との交流も加えて、森林美にあふれた有峰の魅力を村民がこぞって楽しむ村祭りとして、「飛越交流サマー in 有峰」などを開催する。

2 学ぶ

(1) 学校森林環境教育

有峰は、自然体験を通して心豊かな児童生徒を育てる格好の教育の場である。

その理由としては、

  • 自由度の高い学びの場であること。
  • 優れた森林の生態系、水などの循環、また水力発電についての理解を深める学びの場であること。
  • 富山県の近代史において有峰が、重要な場所であったこと。
  • 郷土富山県に対する敬愛や愛惜が、自ずと培われること。

などを挙げることができる。

ブナ、ミズナラ、トチノキなど落葉樹林の森の明るさと靴底に伝わる柔らかなクッションを楽しみながら、森の中を静かに散策すれば、自ずと、「いのちとはなんだろう、生きるとはなんだろう」という想いがわきあがってくる。こうした体験が、児童生徒の生きる力を育むことになる。

学校行事としての有峰散策バスや有峰青少年の家を利用した森林環境教育を誘致する。このため、有峰が森林環境教育の適地であること、とりわけ、遊歩道等を組み合わせることが主体的な学習展開に適していることを、教員に理解してもらうための見学会を開催するなど、県、市町村の教育委員会と連携して積極的な誘致活動を行う。

(2) 有峰語り部講

  • ア 語り部
    語り部とは、有峰における森林環境学習を支援する人をいう。有峰森林文化村の理念を伝える人、有峰の歴史を語る人、遊歩道を歩きながら自然を解説する人は、全て語り部に含まれる。
    語り部を養成するための研修会を開催するとともに、語り部相互の研鑚を支援する。
  • イ 有峰語り部講
    有峰語り部講とは、語り部が主宰する森林環境学習で、自然体験的なものも含め、野外、屋内を問わず、不特定多数の人々を対象として行われるものをいう。
    例としては、植物講、鳥獣講、有峰歴史講、星見講、地学講、エネルギー講など多様である。
    複数の有峰語り部講が連続して開催される夏期大学を、大山町民生涯学習大学、富山県民カレッジと連携して開催することを検討する。

(3) 下流域との連携と世界への発信

有峰の森林は、平野部や富山湾の豊かさを支えている。森に囲まれた日本海は、世界的に稀有な海である。

その日本海を囲む豊かな森を代表する一つが有峰である。こうした有峰の姿を、日本海学(※2)とも連携しながら中流域、下流域の人々のみならず世界に伝える必要がある。

このため、有峰語り部講などの機会を通じて、有峰の価値を伝える。また、有峰森林文化村の活動を、全国はもとより世界に向けて情報発信する。

(4) 発電施設等の見学

学校などの団体を対象に、有峰ダムや発電施設などを見学できるようにする。また、森林保全のための施設や下流の施設見学も、有峰散策バスや有峰語り部講に組み入れることを検討する。

(5) 有峰歴史民俗資料の収集展示

有峰に関する記録映画、写真、文献、狛犬等を、大山町歴史民俗資料館、有峰記念館、有峰ビジターセンター、有峰青少年の家で常設展示あるいは企画展示を行う。

3 守る

(1) 自然の保全

村の区域は、有峰県立自然公園区域であり、同時に、水源かん養保安林、土砂流出防備保安林、保健保安林、鳥獣保護区等に指定されており、貴重な自然を守る上での大きな支えになっている。その結果、全国の水源の森百選やとやま森林浴の森に選ばれている。

有峰森林資源の充実と公益的機能をより高度に発揮させるため、水土保全、森林と人との共生、資源の循環利用の目的別に森林を区分し、その適正な管理に努める。

貴重な動植物などの環境が守られるよう、生態系調査を実施し、保護対策の充実を図る。

森林の公益的機能に対する理解を深めるため、有峰森林にかけた費用とその効果の対比を、環境会計の考えに基づき試みる。

(2) 林道の管理

今後とも、県の有料林道とし、通行車両の安全確保を図るため、引続き猪根平に常駐職員を置いて管理する。

(3) マナーの徹底

  • ア 有峰森林レンジャーの結成
    来訪者に村民としてマナーを守ってもらうため、遊歩道などの巡回指導や助言をする有峰森林レンジャーを結成する。また、レンジャーには、自然や災害に関する情報、特に、遊歩道に関する情報を報告してもらう。
    レンジャーは、有峰村民及び常駐職員で構成する。
  • イ ゴミ持ちかえりの徹底
    森林環境保全のために、ゴミの持ちかえりを徹底する。
  • ※1 ワークシート → ワークシートとは、遊歩道などで自然観察をするときに使う教材のこと。動植物の姿、地図、説明が書きこまれた紙の表面に、フィルムを貼ったものが、よく使われる。
  • ※2 日本海学 → 日本海学とは、環日本海地域及び日本海を一つの循環・共生体系としてとらえた総合的、学際的な学問のこと。

お問い合わせ

所属課室:農林水産部森林政策課 

〒930-0004 富山市桜橋通り5-13 富山興銀ビル4階

電話番号:076-444-3384

ファックス番号:076-444-4428

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