更新日:2025年6月10日
ここから本文です。
本日の定例県議会に提出しました案件の説明に先立ちまして、当面の諸問題について申しあげます。
まず、令和6年能登半島地震からの復旧・復興につきましては、県ではこれまで、ロードマップの点検・見直しを図りつつ、住宅の復旧や被災者の生活支援、中小企業等の生業支援、公共土木施設や農林水産業施設等の復旧などに、スピード感を持って対応してきました。特に被害の大きい液状化対策については、被災市において検討が進められているところであり、対策効果の継続的発揮につながる財政支援を国に働きかけるなど、引き続き、市町村等とも連携し、早期の復旧・復興に最優先で取り組んでまいります。
また、地域防災力の向上については、災害対応の検証結果等をふまえ、去る3月に改定した県地域防災計画に基づき、先月、災害時の応援・受援業務に関する研修を北陸三県、市町村と連携して実施したほか、避難所の環境改善に資する災害時応援協定を各種関係団体と順次締結しているところです。加えて、国が検討を進めている防災庁の設置については、去る4月に、赤澤亮正防災庁設置準備担当大臣に対し、本県への設置を要望したところであり、引き続き、国会議員や県議会議員の皆様のお力添えもいただきながら、戦略的に誘致活動を展開してまいります。
つぎに、本県の経済・雇用情勢等について申しあげます。
本県経済につきましては、生産は弱含んでいますが、個人消費は緩やかに持ち直しています。また、雇用情勢は、有効求人倍率が1.44倍となるなど、景気は一部に弱い動きがみられ、横ばいとなっています。先行きについては、米国の通商政策の影響をはじめ、物価上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要があります。
特に米国の関税措置については、今後、国内産業・経済及び国民生活等への影響が懸念されるところであり、国においては、去る4月に決定した「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」に基づき、その影響を把握・分析しつつ、必要な対応を行うとされています。
県としましても、製造業や農林水産業をはじめ様々な県内産業や地域経済、雇用や消費などに影響が及ぶ可能性があることから、速やかに、金融特別相談窓口の設置や県ホームページでの特設サイトの開設を行ったほか、経済団体や業界団体等で構成される米国関税情報連携会議を開催し、県内関係団体との情報共有や意見交換を行いました。また、全国知事会農林水産物輸出拡大プロジェクトチームのリーダーとして、農林水産大臣等に対して緊急要請を実施したところであり、今後、各都道府県とも連携し、必要な対応を進めていくこととしています。今後とも、国の動向を注視しつつ、県内経済への影響把握と分析に努め、関係機関と連携し、対応に万全を期してまいります。
なお、近く閣議決定される予定の「骨太の方針」には、人中心の国づくりや人口減少下における持続可能な経済社会の構築を基本的な考え方とし、賃上げを起点とした成長型経済の実現に向け、物価上昇を上回る賃上げの普及・定着、地方創生2.0の推進などの方針が盛り込まれる見込みです。
本県においては、社会経済情勢の変化をふまえ、県民一人ひとりの豊かで幸せな暮らしを実現するため、新たな総合計画の策定に向けた検討を進めており、先月開催した総合計画審議会において、未来に向けた人づくりと新しい社会経済システムの構築を政策の柱とする骨子案が取りまとめられました。引き続き、県議会はもとより、市町村長や関係団体との意見交換を行うとともに、私が全市町村を訪問して直接県民の皆さんのご意見をお聴きするなど、県民が主役の計画づくりを進めてまいります。
こども・子育て施策の推進につきましては、去る3月、新たな基本計画である「とやまこども・若者みらいプラン」を策定しました。また、4月に開設した「こども総合サポートプラザ」については、開設から2か月近くが経過し、先週、私も改めて現場の連携体制を確認したところです。引き続き、いじめやひきこもりなど様々な相談にきめ細かく対応してまいります。さらに、こどもの権利に関する条例(仮称)の制定に向けて、児童養護施設や特別支援学校などの児童生徒の皆さんと意見交換を行いました。なお、先月には、こどものウェルビーイングに関する調査結果を公表したところです。引き続き、こどもたちに寄り添い、こどもまんなか社会の実現に向けて取り組んでまいります。
高校教育につきましては、去る3月に取りまとめた「新時代とやまハイスクール構想」基本方針に基づき、先月、今後の県立高校づくりに関する検討会議を設置したところであり、引き続き、構想の推進に向け、丁寧に議論を進めてまいります。
人材確保・活躍の推進につきましては、人口減少に歯止めがかからないなか、エッセンシャルワーク業種を中心とした人手不足の深刻化が切実な課題であることから、去る4月、人材確保・活躍推進本部を設置しました。今後、各業種の現状を把握・分析し、部局横断的に議論を行うなど、実効性のある対策について検討を進めてまいります。
女性活躍の推進につきましては、来月、県内企業や市町村等からなる女性の活躍促進官民連携会議を立ち上げ、フォーラムの開催などを通じ、優れた取組みの横展開を図ることとしており、女性が働きやすい職場環境づくりを官民一体で推進してまいります。
外国人材の活躍や多文化共生の推進につきましては、有識者による検討会を開催し、在留外国人との共生社会を実現するための条例(仮称)の制定やプランの改訂に向けて議論いただいたところです。今後、市町村や外国人受入企業、外国人コミュニティ等の幅広い関係者からもご意見をお聴きし、検討を進めてまいります。
スタートアップ支援につきましては、石川県、福井県と連携した「北陸スタートアップ・エコシステム・コンソーシアム」が、今月4日、国の第2期スタートアップ・エコシステム拠点都市に選定されました。今後、北陸三県の産学官の連携を一層強化し、地元企業等とのマッチング支援やグローバル展開などに取り組んでまいります。新産業戦略の推進につきましては、去る4月、ジェトロ富山と連携し、インド経済デスクを開設したほか、先月、企業誘致推進会議を開催し、市町村や民間事業者等の方々から企業誘致戦略案についてご意見をいただいたところであり、本県の特色・強みを活かした戦略の策定に向け、引き続き取り組んでまいります。
農林水産業の振興につきましては、令和6年度の県産農林水産物等の輸出額が過去最高の約59億円となったところであり、引き続き、近隣県等と連携し、海外でのプロモーションに取り組みます。また、とやま農業未来カレッジに園芸経営実践コースを新設し、研修体制を充実したところであり、今後も、農業の担い手の確保・育成に努めてまいります。
ブランディングの推進につきましては、今月12日、北九州市長と「すし会談」を実施することとしており、それぞれの強みを活かした情報発信やプロモーションを展開し、「寿司といえば、富山」のさらなる認知度向上を図ってまいります。
大阪・関西万博につきましては、今月27日から29日に出展し、本県の豊かな自然・食・文化・伝統工芸等の多彩な魅力、ウェルビーイングな環境等を、寿司を入口として広く発信することとしています。あわせて、HOKURIKU+において万博記念フェアを開催することとしており、観光誘客や関係人口の拡大、ウェルビーイングの向上につなげてまいります。
観光の振興につきましては、去る4月に、馳石川県知事にもご参加いただき、富山湾岸サイクリングを開催しました。春の富山湾の魅力を、参加された多くの方々にアピールできたほか、被災地に賑わいと活気がもたらされました。また、県内の春の祭りにおける収益化の取組みを支援してきたところであり、引き続き、多様な観光資源を活かした誘客促進に取り組んでまいります。
北陸新幹線につきましては、先月、北陸新幹線建設促進同盟会、沿線府県議会協議会、北陸経済連合会、関西経済連合会および関西広域連合の5団体合同で、政府・与党に対し、小浜京都ルートによる一日も早い大阪までの全線開業を強く要請したところです。今後とも、沿線自治体や経済界などと連携し、国会議員や県議会議員の皆様のお力添えもいただきながら、政府等に対し強力に働きかけてまいります。
城端線・氷見線につきましては、先月開催した再構築会議において、新型車両のデザインが決定されたところであり、引き続き、沿線4市や鉄道事業者とともに、利便性・快適性の向上に取り組んでまいります。
スポーツの振興につきましては、先月、官民連携によるスポーツコミッションが発足しました。今後、情報発信の強化や大会の開催支援等に取り組むこととしており、スポーツを通じた関係人口の創出と地域活性化を図ってまいります。
官民連携の推進につきましては、Park-PFIの枠組みを活用し、去る4月に太閤山ランドのアクティビティ施設や五福公園のカフェがオープンしたところであり、引き続き、民間のアイデアやノウハウを活用し、県立都市公園の魅力向上を図ってまいります。
県庁周辺エリアの有効活用につきましては、今月2日、有識者からなる検討会を設置し、県庁舎本館のあり方などについて様々なご意見をいただきました。今後、若者や関係機関等からも幅広くご意見をお聴きし、今年度中の基本構想の策定に向け取り組んでまいります。
このほか、人口減少やデジタル技術の進展といった社会経済情勢の変化や、多様化・複雑化する県民ニーズに的確に対応するため、先月、有識者からなる検討会を設置したところであり、今後、持続可能な行政サービスのあり方を未来志向で検討してまいります。
つぎに、今回提出しました案件について申しあげます。
まず、補正予算について申しあげます。
補正予算の規模は、
一般会計 33億9,377万円
企業会計 3,639万円となっています。
以下、補正予算の概要について申しあげます。
能登半島地震に係る復旧・復興ロードマップへの対応につきましては、被災した中小企業等に対し、なりわい再建支援補助金により施設・設備の復旧等を引き続き支援するとともに、震災対策特別融資の取扱期間を延長し、資金繰りを支援してまいります。
教育の充実につきましては、国の施策に対応し、高校の授業料等の支援対象世帯の拡充に必要な予算を計上するとともに、公立高校等に通う非課税世帯の第一子に対する教育費への支援を増額します。
医療の充実につきましては、医療機関が行う生産性向上・職場環境改善等に対する支援を増額するとともに、病床数の適正化等を進める医療機関を支援します。また、地域で安心してこどもを産み育てる体制を維持するため、分娩取扱施設等の経営改善を支援するほか、大規模災害時の歯科保健医療体制の確保のため、必要となる車両や診療機材等の導入を支援します。
地域の活性化につきましては、本年秋、東京において外務省との共催で各国大使等を対象としたレセプションを開催し、本県の食や伝統工芸などの魅力を国内外に発信します。また、スマート農業機械を導入する農業支援サービス事業者を支援するほか、企業からの寄附を活用して、無花粉スギの植栽を推進します。
以上が補正予算の概要となります。
つぎに、予算以外の議案について申しあげます。
条例としましては、改正するものとして、「富山県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」など10件を提案しています。
条例以外の議案としましては、工事請負契約の締結に関するものなど2件を提案しています。
報告案件につきましては、地方自治法第179条および同法第180条の規定による専決処分ならびに令和6年度継続費繰越計算書等について報告するとともに、環境の状況および施策に関する報告書を提出しています。
なお、令和6年度一般会計の決算につきましては、現在、調製中ですが、実質収支は7億円台の黒字となる見込みです。今後とも、適正で効率的な予算執行に努めてまいります。
以上をもちまして、今回提出しました諸案件の説明といたします。
なにとぞ、慎重ご審議のうえ、適正な議決をいただきますようお願い申しあげます。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
議会中継・会議録
県民にわかりやすい、より開かれた議会へ