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更新日:2025年9月8日

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令和7年9月定例会 知事の提案理由説明

 本日の定例県議会に提出しました案件の説明に先立ちまして、ひとこと申しあげます。

 去る7月20日に行われた参議院議員通常選挙におきまして、県民の衆望を担ってめでたく当選されました国会議員各位に、心からお祝いを申しあげます。今後のご活躍を期待申しあげますとともに、県政につきましても積極的なご尽力を賜わりたいと存じます。

 先月7日から県内では、記録的な大雨となり、人的被害のほか、家屋の浸水被害に加え、公共土木施設や農林業施設等において、大きな被害が発生しました。亡くなられた方とそのご遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた多くの方々に心からお見舞いを申しあげます。

 県では、今般の大雨に際し、夜間の非常配備職員を増員するとともに、常時連絡可能な体制の構築や現地情報連絡員の派遣により、関係機関との迅速かつ効率的な情報共有を図ったほか、県民の皆様へ危険箇所や避難場所の確認といった事前の備えをお願いするなど、情報発信に努めたところです。今後、被災箇所の復旧に向けて速やかに取り組んでまいります。

 また、昨日、石破茂内閣総理大臣が退任の意向を示されました。大変重い決断と受け止めています。就任以来、地方の実情に耳を傾けていただき、令和6年能登半島地震からの復旧・復興や地方創生の推進にご尽力いただきました。県民を代表して感謝を申しあげます。

1.当面の諸問題について

 つぎに、当面の諸問題について申しあげます。

(1) 令和6年能登半島地震からの復旧・復興について

 まず、令和6年能登半島地震からの復旧・復興につきましては、県ではこれまで、ロードマップの点検・見直しを図りつつ、住宅の復旧や被災者の生活支援、中小企業等の生業支援、公共土木施設や農林水産業施設等の復旧などに、スピード感を持って対応してきました。一方で、今もなお、県民生活に影響がみられるなど、復旧・復興は道半ばであり、特に被害の大きい液状化対策については、被災市において地下水位低下工法を軸に検討が進められていますが、将来にわたる住民負担が大きな課題の一つとなっています。このため、被害を受けた皆様の将来負担に対する不安を払拭し、液状化防止対策を加速化するため、県独自で新たに宅地液状化防止対策加速化事業を創設することとしました。引き続き、国に対し財政支援を働きかけるとともに、市町村とも連携し、最優先で取り組んでまいります。

 また、地域防災力の向上のため、今月末に砺波市、南砺市を中心に実施する総合防災訓練において、孤立集落へのドローンでの物資輸送や能登半島地震の被災家屋を用いた救出救助訓練など、より実践的な訓練を行うこととしています。引き続き、市町村等と連携し、防災体制の充実・強化を図ってまいります。

(2) 本県の経済情勢等について

 つぎに、本県の経済情勢等について申しあげます。

 本県経済につきましては、生産は弱含んでいますが、個人消費は緩やかに持ち直しています。また、先行きについては、米国の通商政策の影響をはじめ、物価上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要があります。

 こうしたなか、米国の関税措置については、去る7月、日米協議において、自動車等への追加関税及び相互関税の見直しなどの合意がありました。県では、今回の合意による本県産業への具体的な影響を精査するため、先月27日に米国関税情報連携会議を開催し、関係機関と意見交換するとともに、今後の対応について協議したところです。今後とも、国と緊密に連携しながら、適時適切な対応を講じてまいります。

 新たな総合計画につきましては、県議会をはじめ、市町村長や関係団体に加え、全市町村で開催した未来共創セッションでの県民の皆さんからのご意見をふまえ、今月4日の総合計画審議会において、計画の素案が取りまとめられたところです。今後、パブリックコメントを実施するなど、丁寧にご意見をお聴きし、年内の策定に向け取り組んでまいります。

 こども・子育て施策の推進につきましては、こどもの権利に関する条例(仮称)の制定に向け、先月、直接こどもたちと意見交換するとともに、国等と共同で開催したシンポジウムを通じ、保護者の皆さんからのご意見もお聴きしたところです。引き続き、いただいた様々なご意見をふまえ、条例案の検討を進めてまいります。

 教育の振興につきましては、教育行政の基本方針となる大綱の改定に向け、先月開催した総合教育会議において骨子案を示し、ご意見をいただいたところです。今後、有識者をはじめ幅広い方々のご意見をお聴きしながら、今年度中の策定に向け検討を深めてまいります。

 高校教育につきましては、先月、「新時代に適応し、未来を切り拓く人材の育成」を基本目標とする「新時代とやまハイスクール構想」実施方針の素案を取りまとめました。これまで、意見交換会やパブリックコメントを通じ、県民の皆さんのご意見をお聴きしているところであり、引き続き、構想の推進に向け、丁寧に議論を進めてまいります。

 人材確保・活躍の推進につきましては、推進本部での議論に加え、中堅・若手職員主体のワーキンググループにおいて、業種ごとの現状や今後の方向性等について議論を重ねているところです。来月には対策の骨子案を取りまとめることとしており、実効性のある対策となるよう検討を加速させてまいります。

 女性活躍の推進につきましては、多様な人材が能力を発揮できる職場環境の整備を推進するため、企業内で意思決定を担う幹部等を対象に「DEI企業成長塾」を新たに開講したところであり、引き続き、女性が働きやすい職場環境づくりを官民一体で推進してまいります。

 大阪・関西万博につきましては、去る6月に本県ブースを出展したところ、3日間で想定を大きく上回る約5万人の皆様にご来場いただき、本県の豊かな自然・食・文化・伝統工芸等の多彩な魅力を最大限にアピールすることができました。今後、観光誘客や関係人口の拡大、ウェルビーイングの向上につなげてまいります。

 観光の振興につきましては、外国人旅行者の富山と高山の周遊を促進するため、成田空港や東京駅においてジャパンレールパスを活用したPRを実施するほか、高山からの旅行者の動向を調査することとしており、さらなるインバウンド誘客の促進に取り組んでまいります。また、HOKURIKU+が開館1周年を迎え、これまで170万人を超える来店があったところであり、今後とも北陸三県が連携して、観光誘客や関係人口の拡大、移住促進、県産品の販路拡大等につなげてまいります。

 富山空港につきましては、官民連携による空港を拠点とした地域の活性化を図るため、先般、混合型コンセッション導入に係る民間事業者を選定したところであり、来年4月の事業開始に向け、着実に準備を進めてまいります。

 中小企業等の振興につきましては、適切な価格転嫁に向けた支援体制を構築するため、新たに県内金融機関の職員等を価格転嫁推進サポーターに登録し、今月11日のキックオフイベントを皮切りに活動を展開してまいります。また、来月末からは富山県ものづくり総合見本市「T-Messe2025」を開催し、本県が誇るものづくりの技術や製品を国内外に発信してまいります。

 スタートアップ支援につきましては、先月、大きな成長が期待される県内企業5社を選定し、集中的な支援を開始したほか、今月には、県内企業や支援機関などの交流促進イベントを開催することとしており、引き続き、スタートアップエコシステムの形成を進めてまいります。

 農林水産業の振興につきましては、去る7月の全国知事会議において、農林水産物輸出拡大プロジェクトチームのリーダーとして提言をとりまとめ、先月、小泉進次郎農林水産大臣に対し、海外での販路開拓・拡大等への支援を要望したところです。また、本県では来月からアメリカやフランスでのプロモーションを実施することとしており、さらなる輸出拡大に取り組んでまいります。

 なお、6月下旬から記録的な少雨や高温が続き、ダムの貯水率の低下や農作物への影響が生じたことから、先月、渇水対策会議を開催するとともに、ダムからの放流量の制限や農業用水の適切な運用・管理に対する指導、ポンプ車等による緊急給水への支援などを行ったところです。引き続き、気象状況等を注視しながら適切に対応してまいります。

 スポーツの振興につきましては、先月からスポーツコミッションにおいて、県内チームを応援する機運醸成のためのスタンプラリーを実施しており、引き続き、スポーツを通じた関係人口の創出や地域活性化に取り組みます。また、富山県武道館については、先般、実施設計を取りまとめたところであり、令和9年度中の開館を目指して着実に進めてまいります。

 文化の振興につきましては、先月から今月にかけて、舞台芸術公演「SCOTサマー・シーズン2025」が開催されています。世界的な演出家である鈴木忠志さんが南砺市利賀村で活動を開始されてから50年目を迎えたところであり、今後とも、世界に誇れる芸術文化の創造と振興の拠点として、国内外にその魅力を発信してまいります。

 また、先般、伝統的な髹漆の技法を高度に体得された高岡市在住の林曉さんが、いわゆる人間国宝として認定されることになりました。このたびのご栄誉は、本県の伝統技術の振興に大きな励みとなるものであり、今後とも優れた文化財の保存と活用に努めてまいります。

 ブランディングの推進につきましては、先月、本県と北九州市、JR西日本の三者による、すし連携協定を締結するとともに、大阪市において試食会の実施などによるPRを行ったところです。今後、三者が連携した情報発信により、「寿司といえば、富山」のさらなる認知度向上を図ってまいります。

 国際交流の推進につきましては、今月26日から28日までの3日間にわたり、本県では初めて県人会世界大会を開催します。この大会では、国内外から本県ゆかりの方々が参加し、今後の連携などについて意見交換を行うなど、若手世代をはじめとした相互の交流を深めることとしており、ネットワークの構築・強化につなげてまいります。

 ツキノワグマ対策につきましては、市町村長の判断により銃での捕獲が可能となる緊急銃猟制度の円滑な運用を図るため、先月、市町村職員や猟友会などを対象とした対応訓練を実施しました。また、この秋の平野部でのクマの出没が懸念されることから、今月4日には「ツキノワグマ出没警報」を発令するとともに、対策会議を本日開催し、関係機関との情報共有体制等を確認することとしています。引き続き、市町村や警察、猟友会などと連携し、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。

 このほか、官民協働事業レビューにつきましては、県事業への理解促進のため、新たにテーマごとに事業を選定するとともに現地視察を実施し、3テーマ14事業を対象に多くの県民評価者の皆様に事業評価を行っていただきました。今後、各事業のあり方を検討し、来年度予算に適切に反映させてまいります。

2.提出案件について

 つぎに、今回提出しました案件について申しあげます。

(1) 補正予算について

 まず、補正予算について申しあげます。

 補正予算の規模は、

一般会計 110億5,227万円

特別会計 3,446万円

企業会計 1,821万円

となっています。

 

 以下、補正予算の概要について、4つの施策の柱に沿って申しあげます。

 

 1つ目の柱は、「能登半島地震からの復旧・復興の加速化」です。

 液状化対策につきましては、宅地液状化防止対策加速化事業の実施にあたり、将来にわたって必要となる経費について、長期的な運用により安定的な財源を確保するため、新たに基金を創設します。また、被災した農業施設等の再建や住宅の浄化槽の更新等に対する支援を増額するほか、県総合防災情報システムを改修し、情報発信の強化を図ります。

 

 2つ目の柱は、「県民の安全・安心の確保」です。

 米国関税措置への対応につきましては、関税措置の影響を受ける中小企業の資金繰りを支援するため、経済変動対策緊急融資に米国関税対策枠を創設します。

 今般の大雨による被災箇所の復旧等につきましては、道路、河川、農地等の迅速な復旧に取り組んでまいります。

 福祉・医療の充実につきましては、障害者就労施設が行う地域資源を活用した6次産業化の新たな取組みに対して支援するほか、安心して医療的ケア児を預けることができるよう、障害児通所支援事業所の非常用電源配備を支援します。また、病床数の適正化や感染症対応力の強化に取り組む医療機関への支援を増額します。

 社会資本の整備につきましては、道路や港湾などの公共事業を増額するとともに、通学路の交通安全対策など安全・安心な県土づくり、地域の生活基盤の整備等を推進します。

 

 3つ目の柱は、「地域経済の活性化」です。公共交通につきましては、富山空港への混合型コンセッション導入に向け、円滑な業務開始に向けた運用体制を構築するとともに、令和8年度から10年間の運営及び施設等の更新に係る債務負担行為を設定します。また、上海便の旅客需要を喚起するため、上海の旅行会社を招へいし、本県の通年の魅力をPRします。さらに、バス運転手の確保に向けて、映画を活用したイベント開催を支援し、担い手の掘り起こしに取り組みます。

 農林水産業の振興につきましては、農業分野の担い手確保のため、トライアル雇用を行う農業経営体を支援するほか、持続可能な森林の利用と保護を図るため、森林管理・加工に関する国際認証の取得を支援します。また、漁業協同組合等が行う海業に係る事業計画の策定等を支援するとともに、ホタルイカ漁況の早期予報の可能性について、国と共同で調査を実施します。

 

 4つ目の柱は、「教育の充実」です。高校教育につきましては、砺波工業高校の建設系コース設置に向けた環境整備に係る実施設計を行うほか、企業版ふるさと納税を活用し、高校生を対象とした首都圏でのインターンシップを推進します。このほか、戦後80年の節目にあたり、北方領土からの引揚者の歴史を継承するため、史料の整備を黒部市とともに支援します。

 

 いずれも、前回議会後に生じた事情の変化に対応するものであり、以上が補正予算の概要となります。

(2) 予算以外の議案等について

 つぎに、予算以外の議案について申しあげます。

 条例としましては、新たに制定するものとして、「富山県宅地液状化防止対策加速化支援基金条例」を、改正するものとして、「富山県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」など5件を提案しています。

 条例以外の議案としましては、工事請負契約の締結に関するものなど5件を提案するとともに、令和6年度歳入歳出決算および令和6年度企業会計決算6件につきまして、監査委員の意見を付して提出しています。

 報告案件につきましては、地方自治法第179条および同法第180条の規定による専決処分ならびに令和6年度継続費精算報告書などについて報告しています。また、令和6年度決算に基づく健全化判断比率、内部統制評価報告書等について監査委員の意見を付して報告するとともに、県の出資等に係る法人の経営状況に関する説明書などを提出しています。内部統制評価報告書においては、運用上の重大な不備を1件報告しており、再発防止に引き続き努めてまいります。

 

 以上をもちまして、今回提出しました諸案件の説明といたします。

 なにとぞ、慎重ご審議のうえ、適正な議決をいただきますようお願い申しあげます。

お問い合わせ

所属課室:議会事務局  

〒930-8501 富山市新総曲輪1-7 

電話番号:076-444-3405

ファックス番号:076-444-3471

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