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更新日:2025年11月28日

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令和7年11月定例会 知事の提案理由説明

 本日の定例県議会に提出しました案件の説明に先立ちまして、当面の諸問題について申しあげます。

1.当面の諸問題について

(1) 令和6年能登半島地震からの復旧・復興等について

 まず、令和6年能登半島地震からの復旧・復興等について申しあげます。

 令和6年能登半島地震からの復旧・復興につきましては、県では、ロードマップに基づく取組みを着実に進めているところです。特に被害の大きい液状化対策については、先月、石川県、新潟県と合同で、国に対し、液状化対策工事に対する継続的な財政支援や施設等の長寿命化への支援を要望してきました。また、被災市においては、地下水位低下工法の実証実験に向けた準備が進められるなか、先般、将来にわたる住民負担を求めない方針が示されたところです。今後とも、市町村とワンチームとなり、被災者に寄り添った支援に努めていきます。

 さらに、地域防災力の向上については、トイレトラックの導入など、避難所の環境改善に向けた資機材の整備を進めるほか、防災士を対象とした実践的な研修を開催したところであり、引き続き、地域における防災体制の充実・強化に取り組んでまいります。

 全国的に増加しているツキノワグマ被害につきましては、本県は9月下旬から出没件数が大幅に増加し、10月は昨年の10倍以上の421件となったほか、人身被害も発生しています。被害を受けられた方々に心からお見舞いを申しあげます。県では、「ツキノワグマ出没警報」を発令するなど、県民に対し注意喚起を行うとともに、緊急銃猟制度の円滑な運用を図り、これまで県内で4件の緊急銃猟での捕獲が行われました。こうしたなか、国において、今月14日に、国民の命と暮らしを守るための追加的・緊急的な対策を含む「クマ被害対策パッケージ」が取りまとめられたところです。県としても積極的な活用を図りながら、引き続き、市町村や猟友会、警察などと連携し被害防止対策を進め、県民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。

(2) 本県の経済情勢等について

 つぎに、本県の経済情勢等について申しあげます。

 本県経済につきましては、生産は弱含んでいますが、個人消費は緩やかに持ち直しています。また、先行きについては、米国の通商政策の影響をはじめ、物価上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要があります。

 こうしたなか、国においては、今月21日に、物価高への対応などを柱とする「強い経済を実現する総合経済対策」を閣議決定し、その内容を盛り込んだ補正予算の年内成立を目指すこととされています。県としては、引き続き、国の動向を注視するとともに、県内にも経済対策の効果を早期に波及させるため、積極的な活用を図ってまいります。

 新たな総合計画につきましては、県議会をはじめ、市町村やパブリックコメントでのご意見等をふまえ、今月18日の総合計画審議会において、計画の答申案を示し、ご了承いただいたところです。今後、来月中に計画を正式決定し、基本理念である「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」の実現に向けた取組みを着実に進めてまいります。

 こども・子育て施策の推進につきましては、こどもの権利に関する条例(仮称)について、先月、有識者会議を開催し、こども等の意見を反映した素案をお示ししました。今後、パブリックコメントを実施し、県議会をはじめ幅広い県民の皆様のご意見をお聴きしながら、今年度中の制定に向けて検討を進めてまいります。

 県リハビリテーション病院・こども支援センターにつきましては、医療的ケア児のご家族や医療関係者等からのご意見・ご要望をふまえ、来年度に予定していた病床移行を取り止めることとしました。今後、医療的ケア児への支援について、県内の潜在的なニーズを含めた実態調査を行うとともに、協議の場を設け、支援体制のあり方の検討を進めてまいります。

 教育の振興につきましては、先月開催した総合教育会議において、「一人ひとりの可能性を引き出す質の高い教育の実現」など4つの教育方針からなる富山県教育大綱の改定の素案を示し、ご意見をいただいたところです。今後、パブリックコメントでのご意見もふまえ、今年度中の策定に向けて取り組みます。また、「新時代とやまハイスクール構想」については、来年1月頃までに実施方針を取りまとめることとしました。引き続き、構想の推進に向け、丁寧に議論を進めてまいります。

 出会い・結婚支援につきましては、今月22日、若者を対象に広く出会いの機会を提供するイベントを開催したところ、定員を大幅に上回る応募をいただきました。引き続き、若者等のニーズをふまえながら、出会いや結婚の希望を叶える支援に取り組んでまいります。

 人材確保・活躍の推進につきましては、先月、人材確保・活躍推進本部において、人材確保、働き方改革、人材育成、省力化・省人化の4つの柱を軸とした対策の骨子を取りまとめました。今後、この骨子に基づく対策パッケージを来年2月に取りまとめることとしており、人が集まり活躍する好循環サイクルにより、持続可能な発展を目指す「人材確保・活躍の富山モデル」の構築に向け、実効性のある対策となるよう検討してまいります。

 スタートアップ支援につきましては、今月18日、関係機関の有機的な連携に向け、民間企業や支援機関等からなる会議を開催し、情報共有を図ったところです。引き続き、新たなビジネスの創出や起業の促進に官民連携で取り組んでまいります。

 国際交流・国際観光の推進につきましては、本年がブラジル・サンパウロ州との友好提携40周年にあたることから、今月、私を団長とする訪問団がサンパウロ州を訪問しました。現地ではサンパウロ州政府との間で人的交流の促進や経済交流の拡大、環境問題における相互理解の深化による両県州の関係強化について覚書を締結したほか、ブラジル富山県人会の創立65周年の記念式典に出席するなど次世代につながる友好交流を深めてきました。

 また、ニューヨークにおいて、現地旅行会社等を対象とした観光PRセミナーや伝統工芸の実演、県産食材を使用した寿司や日本酒の提供などを行いました。本県の豊かな自然、食、歴史文化など多彩な魅力を大いにアピールしたところであり、引き続き、インバウンド誘客の拡大に取り組んでまいります。

 農林水産業の振興につきましては、先月から今月にかけて、アメリカ・オレゴン州やフランス・パリにおいて、農林水産物や日本酒等のPRを実施したところです。今後、北陸三県が連携して、ニューヨークやブラジルなどでのプロモーションを実施することとしており、更なる輸出拡大に取り組んでまいります。

 また、本年の米の品質については、生産農家や関係機関と連携して取り組んだ結果、記録的な猛暑や渇水など厳しい気象条件のなかでも、9月末現在の1等比率は、87パーセントと概ね安定した品質が確保されています。引き続き、品質向上対策を進めるとともに、高温に強い富富富の更なる生産拡大に取り組んでまいります。

 中山間地域の活性化につきましては、中山間地域創生総合戦略の改定に向け、先月開催した有識者による検討会において素案を示し、ご意見をいただいたところです。現在、パブリックコメントを実施しているところであり、幅広くご意見をお聴きし、今年度中の策定に向けて取り組んでまいります。

 スポーツの振興につきましては、今月2日に富山マラソンを開催し、記念すべき第10回の節目を迎えました。今年はこれを記念し、全ての大会に参加したランナーやボランティアの方々を顕彰し、記念品を贈呈しました。また、国内外から過去最多となる1万4,800人余の参加をいただいたところであり、引き続き多くの方々に参加いただけるよう、内容の充実に努めてまいります。

 文化の振興につきましては、「放生津八幡宮祭の曳山・築山行事」が、今月11日、ユネスコの評価機関からの勧告を受け、来月のユネスコ政府間委員会での、無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」への追加登録に向けて大きく前進したところです。引き続き、国や射水市等と連携し、保存・継承に努めてまいります。

 ブランディングの推進につきましては、新たに11月を「寿司といえば、富山」月間とし、多様な飲食店において寿司の創作メニューを提供するなど、集中的にPRを展開したところです。引き続き、更なる認知度向上を図るため、官民一体で取り組んでまいります。

(3) 令和8年度予算編成方針について

 つぎに、令和8年度予算編成方針について申しあげます。

 本県財政につきましては、震災からの復旧・復興への対応、物価や人件費の上昇に加え、少子高齢化に伴う社会保障関係経費の増加や金利の上昇に伴う公債費の増加が見込まれるなど、厳しく予断を許さない状況にあります。一方で人口減少や県有施設・インフラの老朽化への対応など様々な課題にスピード感をもって対応していくことが必要です。

 このため、限られた人的・財政的資源を効果的に活用することを基本的な考え方とし、引き続き、既存事業の抜本的見直し・再構築を徹底するとともに、優先度を意識した重点施策へのメリハリある配分を進め、これらを両輪とした一層の「選択と集中」、「改革と創造」により、持続可能で未来への希望を持てる県政運営につながる予算を編成してまいります。

 まず、最優先課題として、能登半島地震からの復旧・復興の加速化に取り組みます。また、「人材確保・活躍の富山モデル」の構築に向け、斬新で先駆的かつ分野横断の事業に優先的に予算を配分します。さらに、新たな総合計画について、人口減少対策を緩和と適応の両面から戦略的に行う事業や、「未来に向けた人づくり」・「新しい社会経済システムの構築」に向けた12の政策分野ごとの成果目標の達成に寄与する事業に対し、重点的に予算を配分します。加えて、既存事業の見直しを行うとともに、物価や人件費の上昇については、適切に反映することとしています。

2.提出案件について

 つぎに、今回提出しました案件について申しあげます。

(1) 補正予算について

 議案第129号から第135号までは、一般会計、特別会計および企業会計の補正予算です。

 補正予算の規模は、

一般会計 24億2,245万円

企業会計 5億7,441万円

となっています。

 以下、補正予算の概要について申しあげます。

 地域経済の活性化につきましては、県内中小企業・小規模事業者の稼ぐ力を高め、経済の好循環を加速させるため、生産性向上、持続的賃上げ、物価高対応・消費喚起の3本の柱からなる「経済の好循環加速化パッケージ」により、国の経済対策に先行した県独自の支援を実施します。まず、県制度融資に生産性向上・賃上げ支援枠を創設するとともに、経営力強化のため、中小企業・小規模事業者が専門家からの助言等を受ける際の初回費用を無料化します。また、価格転嫁による経営改善に向けた課題解決に要する費用や、国等の賃上げ支援制度の活用に必要な就業規則の整備等を支援します。これらを先行して実施したうえで、今後、国の経済対策にスピード感を持って対応し、有機的な連携により施策効果を最大限に引き出し、県内経済の好循環を生み出してまいります。

 未来への投資につきましては、新たな総合計画において目指す将来像の共有を図るため、次世代を担う若年層へのPRを強化します。また、夜間中学について、令和9年4月の雄峰高校内での開校に向け、環境整備のための実施設計を行います。さらに、新川こども施設に係る準備工事を一部前倒しして進めるほか、富山‐台北便の定期便再開に向け、この冬の臨時便を対象とした利用促進のための支援を充実してまいります。

 安全・安心の確保につきましては、潜在保育士を保育補助者として雇用する施設への支援を行うほか、県立中央病院について、厳しい経営状況のなかでも資金繰りに支障が生じないよう、新たに制度化された経営改善推進事業債の発行に加え、一般会計から無利子貸付を行い、安定的な医療サービスの提供に努めてまいります。

 このほか、冬期に損傷した道路の補修や農業農村整備等の工事に早期に着手するため、県単独建設事業等に関する債務負担行為を設定し、年度間の切れ目のない発注と計画的な執行に努めてまいります。

 いずれも、前回議会後に生じた事情の変化に対応するものであり、以上が補正予算の概要となります。

(2) 予算以外の議案等について

 つぎに、予算以外の議案について申しあげます。

 条例としましては、改正するものとして、「富山県附属機関条例の一部を改正する条例」など6件を提案しています。

 条例以外の議案としましては、工事請負契約の締結に関するものなど39件を提案しています。

 報告案件につきましては、地方自治法第179条および同法第180条の規定による専決処分について報告しています。

 

 以上をもちまして、今回提出しました諸案件の説明といたします。

 なにとぞ、慎重ご審議のうえ、適正な議決をいただきますようお願い申しあげます。

お問い合わせ

所属課室:議会事務局  

〒930-8501 富山市新総曲輪1-7 

電話番号:076-444-3405

ファックス番号:076-444-3471

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