更新日:2021年2月24日

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工芸品の見方

工芸品は、絵画や彫刻と同列の用語として用いられていますが、その内容は、多岐にわたっています。金工、漆工、陶磁、刀剣類、石造品、染織等に分類されています。いずれも実用的なものというよりは美術品的な価値が認められるものばかりなので、実に繊細で華美な美しさを堪能する事が出来ます。反面、大変脆いものですから、取り扱いには慎重を期す必要があり、温湿度、照明の管理はもとより、日常の保存管理が大変重要となってきます。

材質では、金工(刀剣を含む)、漆工、染物、陶器、竹、牙角等があり、機能・用途では、仏具、服装類、武器、武具、神饌具、調度、飲食器等と多種多様なものがあります。

これらは、単品でも大変美しく素晴らしいものですが、所有者の手に渡った歴史的経緯を知ることや、工芸品を保存している箱や包み紙などにも着目すると、誰が誰のために何の目的で作ったかなどを知ることができ、一層工芸品の理解を深めることができます。

工芸品の分類

金工の分類

金属または合金類を加工、成形してできたものです。金工を技法から、鋳もの、打ちもの、彫りもの、錺(かざり)等に大別されます。これらに滅金(めっきん)、挽物等の仕上げ技法が加わり作品が完成します。

  • 【鋳もの】
    鋳型を作り、これに溶かした金属を流し込んで製品を作る方法で、梵鐘(ぼんしょう)、鰐口(わにぐち)等はこの方法で製作される
  • 【打もの】
    延展性のある金属を打ち延ばし、打ちしめて製品を作る方法で、押出し仏、鉄鉢、銅鑼(どら)等はこの方法で製作される
  • 【彫りもの】
    金属に鑿(たがね)を用いて彫り込み、切り透し、象嵌(ぞうがん)を施すもので、古くから用いられている方法である
  • 【錺(かざり)】
    箱や容器等を金属板の素材を用い、鑞(ろう)づけして複雑な器物を形成したり、鑞を用いて文様や形状を作り出す方法である

漆工の分類

木材、皮、竹等の素地に漆を用い加工、成形したものをいいます。器面に漆を塗る塗漆(としつ)と加飾に分けられます。塗漆とは漆を塗ることで、下塗り、中塗り、上塗りなどの工程があります。加飾とは装飾することで、いろいろな方法があります。また、漆は塗装用以外に接着剤、防錆としても用いられています。

  • 【蒔絵(まきえ)】
    漆で文様を描き、その上に金粉、銀粉を蒔いていく方法で、平蒔絵・研出蒔絵がこれにあたる
  • 【密陀絵(みつだえ)】
    油に密陀僧(一酸化鉛)を加え、絵具と混ぜて文様を描く方法
  • 【螺鈿(らでん)】
    貝殻から平板をすりだし、これを文様のかたちに切って漆地や木地にはめ込む方法

陶磁の分類

陶磁とは陶器と磁器を総称した用語です。

  • 【陶器】
    粘土を主原料とし素地に吸水性があり、透光性のない焼き物のこと
  • 【磁器】
    素地が焼き締まってガラス化し、吸水性のない純白透光性の焼き物で、陶器より硬いもの

刀剣の分類

日本刀は洗礼された姿、鍛えられた地鉄、美しい刃文等から世界無比の鉄の芸術品といわれています。その形、長さから分類されています。

  • 大刀(たち)…平安時代以前の直刀のこと
  • 太刀(たち)…日本刀で湾曲し60cm以上の長さで刃を下にして脇に差すもの
  • 刀(かたな)…日本刀で湾刀で60cm以上の長さで刃を上にして腰に差すもの
  • 脇指(わきざし)…刃が30~60cmの小刀
  • 短刀(たんとう)…刃が30cm以下のもの
  • 剣(けん)…長短問わず刃が左右対称なもの
  • 薙刀(なぎなた)…長柄をつけて用いるもので、広くて長いそりをもつ槍(やり)柄をつけて突く武器

富山県内の例

銅錫杖頭附鉄剣(国指定 立山町)

銅錫杖頭附鉄剣

明治40年(1907)、人跡未踏と信じられていた剣岳頂上で発見されたもの。奈良時代後半から平安時代初期の作と目され、すでにこの時期に立山登山(修験者)が行われていたことを示す。
現在は、立山博物館で展示保管されている。

お問い合わせ

所属課室:教育委員会生涯学習・文化財室 

〒930-8501 富山市新総曲輪1-7  県庁南別館4階   

電話番号:076-444-3434

ファックス番号:076-444-4434

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