更新日:2021年2月24日

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彫刻の見方

彫刻には、最も数の多い仏像や神像のほか、変わったところでは、狛犬や厨子・仮面なども含むみます。名の通った仏師が製作した仏像などは実に美しい造形を見せてくれます。しかし、仏像や神像の多くは、現在も寺院や神社の御本尊や御神体でありますので、拝観する場合にはその宗派のしきたりに従い、敬意をもって接するようにしなければなりません。また、秘仏や秘宝となっているものもあり、無理に拝観を強要しないことも、文化財そのものの持つ歴史的価値を尊重することになります。

制作時代の区分は政治史に準じますが、仏像の場合、代表的な年号をとって、飛鳥時代である670年頃からの仏像を白鳳仏、奈良時代のものを天平仏、平安時代初期のものを弘仁・貞観仏と呼んだりもします。平安時代後期の制作ならば藤原仏ともいいます。

形状による分類

仏像

仏像は題材として大きく分類して「如来」「菩薩」「明王」「天部」に分けることができます。

  • 「如来(にょらい)」・・・お釈迦様が最高の悟りに達した境地で、35歳出家後のお姿。肉けい、螺髪(らほつ)、白毫(びゃくごう)に特徴があり、薄い衣に飾りなしのお姿です。指の間に水かき(諸衆を漏れなく救う意味)がついています。
    宗派によって阿弥陀如来(浄土系)、釈迦如来(禅宗系)、大日如来(真言宗)、薬師如来(現世利益)の名がついています。
  • 「菩薩(ぼさつ」・・・29歳で出家したお釈迦様の修行中のお姿。インドの貴族の姿とも言われ、宝冠、長い髪、天衣、装飾品を身につけています。阿弥陀如来に付随するのが観世音菩薩と勢至菩薩で、釈迦如来には文殊菩薩と普賢菩薩、薬師如来には日光菩薩と月光菩薩がつきます。単体の菩薩様としては、弥勒菩薩、地蔵菩薩がおられます。
  • 「明王(みょうおう)」・・・出家前の若い王子姿のお釈迦様。武勇に優れており、人間に直接反省を促し仏の教えを指導するため、動きのある姿が多くなっています。元はヒンズー教の神々であったものも多く、不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金色夜叉明王、孔雀明王、愛染明王などが多くの明王がおられます。
  • 「天部(てんぶ)」・・・如来や菩薩、明王を邪魔する敵を戦って追い払う守護神を総合的に捉えたもの。お釈迦様が王子だった頃の家来とも言われ、元はヒンズー教やバラモン教の神々が混在しています。梵天、帝釈天、四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)、鬼子母神、吉祥天、韋駄天などで、広義的には十二神将、金剛力士、七福神なども含むこともあります。

神像

神社の御神体であることが多く、秘宝として長く秘蔵された場合は製作年代が古いものがあるのが特徴です。主に人の形をしている事が多く、男神、女神と呼ばれるものがあります。

肖像

主に高僧や始祖の姿を現したものです。寺院や集落に祀られていることが多いものです。

狛犬・仮面類

ちょっと変わったところでは神社の入り口に立つ狛犬があります。左右で阿吽(あうん)をあらわし、新しいものでは石造が多いのですが、古いものは木造のものがあります。
仮面類には、獅子舞の頭や芸能に用いる仮面があります。古い獅子頭は箱獅子と言って箱形の形状をしているのが特徴です。

素材による分類

金属

外型(雌型)と中型(雄型)の隙間に溶かした金属を流し込んで製作する、鋳造によるものが大半です。大きいものでは奈良や鎌倉の大仏のようなものから、手のひらに乗るような小型のものまで様々なものが作られました。

  • 1:銀…きわめて稀
  • 2:金銅…銅と錫の合金である青銅が材料。金メッキを施したものを金銅といい、大きさは大仏のように巨大なものから、個人礼拝用の小金銅仏まで様々
  • 3:鉄…中世に、東日本で制作が多い

粘土

粘土を用いて盛り上げたり削ったりしながら成形していくものです。比較的造形しやすいものですが、反面脆いという特性があります。小型のものは焼き上げるものもあります。

  • 1:塑造(そぞう)…木の心棒をたて粘土を盛るもの
  • 2:せん仏(せんぶつ)…粘土を型取りして焼き締めるもの。多数の同型製作が可能

最終成形を漆を用いて仕上げる手法です。芯に何を用いるかによって下記のとおりやり方が異なりますが、総じて重量が軽く、細かい造形が可能です。

  • 1:脱活乾漆造(だつかつかんしつづくり)…粘土の原型に、麻布を巻いて漆でぬった後、粘土を掻き出して、張り子を作り、表面は漆とおがくずを混ぜた乾漆(木屎漆(こくそうるし)ともいう)で成形
  • 2:木心乾漆造(もくしんかんしつづくり)…おおまかな形を木で作り、表面を乾漆で成形

最も一般的で量的にも多いタイプです。材質は檜が多く、ほかに楠、カヤ、桂、桜、桐などもあります。最も単純なのは一つの木から切り出していく一木造りですが、次第に複数の材を組み合わせていく寄木造が多く見られるようになります。これによりより大きな像を作る事ができるうえ、内部を空洞にできるので重量も軽くする事が出来ます。

  • 1:一木造(いちぼくづくり)…一本の材木から作り出すもので、完全な一木造は重く、割れやすい手だけが別材であったり、内刳(うちぐ)りを施して背板を貼ったりしたものも、頭と胴体が一本の木なら一木造りという
  • 2:寄木造(よせぎづくり)…二本以上の別材を組み合わせて作り出すもので、小さな木でも大きな像が造れるし、割れにくい表面は漆などでおおわれ見えにくいが、木目が通っていない
  • 3:割矧造(わりはぎづくり)…一本の材を途中で縦に割り、内刳りしてからつなぐので、よく見ると木目が通っている

富山県内の例

木造阿弥陀如来立像(国指定 砺波市)

木造阿弥陀如来立像

最高の悟りに達した仏です。髪の毛は螺髪(らほつ)という巻き貝風で、頭のてっぺんが肉髻といって、大きく盛り上がって表わされています。1枚の大衣を着て、飾りもつけません。多くの人を救うため、両手の指の間に水鳥のような膜があります。釈迦の出家後の身なりを基本としています。

常福寺に安置されている寄木造りの像で、鎌倉時代初期の作。

木造千手観世音菩薩立像(県指定 富山市(旧大沢野町))

木造千手観世音菩薩立像

悟りをめざして、懸命な努力している仏です。また、多くの人々を救うことを目的としています。長い髪を束ねて、冠をかぶり、体にはネックレスやブレスレットなどの飾りをつけた、インドの貴族の姿をした仏像です。出家する前の王子時代の釈迦の姿を基本としたものです。

帝龍寺に安置されている寄木造りの像で、鎌倉時代後期の作。

木造不動明王坐像(県指定 富山市(旧大山町))

木造不動明王坐像

明王は、どんな力にも打ち勝つ強い仏で、教えに従わない人々を導くために、如来から強い力を与えられた仏です。邪魔をするものを恐れさせる怖い顔と恐ろしい姿をしています。手には武器を持っています。

東薬寺に安置されている一木造りの像で、矜羯羅童子像(こんがらどうじぞう)、制迦童子像(せいたかどうじぞう)を伴う。不動明王の見本的な像で、鎌倉時代初期の作。

木造毘沙門天立像(県指定 富山市(旧大山町))

木造毘沙門天立像

天とは、仏あるいは仏法を守ったり、福をもたらす仏で、元はインドの神様でした。その姿は貴人や武将に表されたりします。また、男女の区別があり、吉祥天や弁財天のように女性形に表されるのは、天の独特といえます。

馬瀬口の天満宮に安置されている寄木造りの像で、鎌倉時代の作。県内最古で最も美しい天部である。

木造男神坐像(国指定高岡市)

木造男神坐像

二山射水神社の安置されているケヤキの一木造りの像。平安時代中期の作と考えられている。顔面には丸ノミ、身体には平ノミの痕跡が残る。これはナタ彫りと呼ばれるもので、関東地方に広く分布する技法である。

大岩日石寺磨崖仏(国指定 上市町)

大岩日石寺磨崖仏

不動堂の正面が岩壁であり、その壁に浮掘りした3m程の不動明王坐像がある。不動明王の右には阿弥陀如来坐像、矜羯羅童子像(こんがらどうじぞう)、左には僧形坐像、制たか迦童子像(せいたかどうじぞう)が浮掘りされている。平安時代の作で、県内最古で最大で美しい石仏である。

木造慈興上人坐像(国指定 立山町)

木造慈興上人坐像

芦峅寺の雄山神社境内の開山堂に安置されている坐像。立山を開き、後に慈興上人となった佐伯有頼の肖像といわれる。立山杉からなる6つの部材を組合わせた高さ90cm余りの寄木造りの像で、鎌倉時代の傑作である。

お問い合わせ

所属課室:教育委員会生涯学習・文化財室 

〒930-8501 富山市新総曲輪1-7  県庁南別館4階   

電話番号:076-444-3434

ファックス番号:076-444-4434

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