令和6年度富山県原子力防災訓練実施結果等について
1 概要
(1)日時
令和6年11月24日(日曜日) 7時00分~14時00分頃
(2)実施場所
<図上訓練>
富山県防災危機管理センター、氷見市役所、石川県志賀オフサイトセンター
<実動訓練>
旧速川小学校、旧久目小学校、氷見運動公園、西の杜学園、鵜坂公民館(富山市)
(3)参加者等
60機関、約630名(氷見市住民約255名を含む)
※その他、UPZ(志賀原子力発電所からおおむね30km)内全域において屋内退避訓練を実施 (対象者約12,500名)
2 訓練内容
(1)訓練の想定
- 石川県志賀町で震度7の地震が発生し、志賀原子力発電所2号機において、原子炉が自動停止するとともに外部電源を喪失。その後、非常用の炉心冷却装置による注水が不能となり、全面緊急事態となる。さらに、事態が進展し、放射性物質が放出され、その影響が発電所周辺地域に及ぶ。
(2)主な訓練
<図上訓練>
1.災害対策本部等の設置運営訓練(県防災危機管理センター、氷見市役所)
- 防災危機管理センターにおいて、大型マルチディスプレイや映像情報システム等の機能を活用した災害対策本部運営や本部員会議を開催
2.県現地災害対策本部及び志賀オフサイトセンターの設置運営訓練(志賀オフサイトセンター)
<実動訓練>
3.住民の屋内退避、一時移転訓練(氷見市内)
- 自宅が全壊した想定で一時集合場所における屋内退避訓練を初めて実施
- Yahoo!防災速報アプリや氷見市公式LINEを活用した住民広報により、屋内退避及び一時移転訓練の実施を呼びかけ
4.一時集合場所参集・安定ヨウ素剤緊急配布訓練(旧速川小学校、旧久目小学校)
- 地域や一時集合場所の特性に応じた住民への安定ヨウ素剤の配布
5.避難退域時検査の実施訓練(氷見運動公園)
- 氷見運動公園において、バスや自家用車の車両検査、住民検査を実施
- 鳥取県から車両用ゲート型モニタの借用及び機器操作要員の派遣を受け、検査を実施
6.避難所開設・運営訓練(鵜坂公民館)
- 地震等の複合災害を想定した県東部(富山市)への広域避難訓練を実施
- 県防災士会による防災講演会を開催
7.緊急時モニタリング訓練(氷見市内等)
- スマートフォン等を利用した情報共有によるモニタリングポストの早期復旧
- モニタリングポストやモニタリングカーによる空間放射線量率の測定
8.交通誘導・警戒準備訓練(氷見市内)
9.社会福祉施設における屋内退避訓練(氷見市内)
- 社会福祉施設において、放射線防護施設の異常の有無の確認や入所者の屋内退避訓練を実施
10.被ばく医療措置訓練(富山県立中央病院)
- 避難中に負傷し汚染した可能性のある住民への被ばく医療措置を実施
11.複合災害対応訓練(氷見市内)
- 地震により避難経路上の道路が寸断し孤立集落が発生した想定で自衛隊にヘリの派遣要請を行い、空路での避難を実施
3 実施結果
- 図上訓練では、防災危機管理センターにおいて、災害対策本部で把握した情報を映像情報システム等によりリアルタイムに災害対策本部員会議室や関係機関と情報共有し、迅速適切な意思決定につなげる訓練、避難退域時検査や志賀オフサイトセンターなど現場の映像を本部に共有する際にセンターの機能を活用するとともに、実際に運用することで課題を確認できた。また、副知事を志賀オフサイトセンターに派遣し、県現地災害対策本部を運営するとともに情報収集等に努め、防災危機管理センターと映像を含めた情報共有を行った。
- 屋内退避・一時移転・安定ヨウ素剤緊急配布訓練では、自宅での屋内退避が困難という想定で、一時集合場所での屋内退避訓練を実施し、屋内退避のポイントを確認した。また、Yahoo!防災速報アプリや氷見市公式LINEを活用した広報、地域や一時集合場所の特性に応じた安定ヨウ素剤の配布方法の確認、県バス協会との災害時応援協定に基づく住民の輸送訓練などを実施できた。
- 避難退域時検査の実施訓練では、計画上の避難退域時検査場所が地震等により使用不可という想定で、氷見運動公園において約80台の車両が参加し、より実践的な訓練を行うことができた。検査は概ねスムーズに進み、実際の運用や検査方法を確認するとともに、より実災害時に沿った対応への課題を把握できた。また、複合災害の発生等、あらゆる状況を想定し、鳥取県から車両用ゲート型モニタの借用及び機器操作要員の派遣を受け、検査を実施し、他県からの受援も想定した訓練を実施できた。
- 避難所開設・運営訓練では、地震等の複合災害により第1避難先(県西部)での受入れが困難という想定で、バックアップの第2避難先(県東部、富山市)へ避難し、代替の避難所での開設運営が可能であることを確認できた。また、県防災士会の協力により、参加者が多様性に配慮した避難所の運営について学ぶことができた。
- 緊急時モニタリング訓練では、連絡手段にチャット機能を利用し、屋外活動の際の状況説明に画像を用いることで、より正確に状況が把握でき、情報共有を円滑に行うことができた。また、緊急時モニタリングセンターに職員を派遣し、原子力規制庁や石川県と連携した実践的な訓練を実施できた。
- 交通誘導・警戒準備訓練では、警察車両の先導による避難車両の誘導、円滑な交通規制ができた。
- 社会福祉施設における屋内退避訓練では、放射線防護施設の点検手順の確認や入所者の屋内退避の流れについて確認できた。
- 被ばく医療措置訓練では、被ばく傷病者が来院した際の対応手順について確認できた。
- 複合災害対応訓練では、ヘリによる孤立住民の空路避難は原子力防災訓練ではこれまで実施したことがなく、訓練を通じて離発着地点や搭乗手続きなどを確認できた。
≪評価結果≫
原子力防災に関する最新の知見を有している者による外部評価(第三者評価)を実施しました。評価結果報告書は添付を参照ください。
評価結果報告書(PDF:918KB)
≪ビデオ映像≫
今回行った訓練のダイジェスト映像については、以下を参照ください。