更新日:2021年2月24日

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入善平野を巡る用水路

江戸時代初期に開拓が本格化した黒部川流域では、長い年月をかけて分流や氾濫流路をつづり合わせて水路が作りあげられました。明治期の治水工事で河道が落ち着き、昭和初期には安定した取水のために堰えんてい堤の築造が行われ、その後、低水温と流域の砂質浅耕土の克服、昭和中期からのほ場整備、堰堤の被災復旧、国や県による水路の改修工事等を経て、現在に至っています。そして今日、かんがいが中心であった用水路の役割は多様化。とりわけ富山県では小水力発電への活用を推進しています。

発電所テープカットの様子
(平成29年10月24日)

用水路がもつ三種の神器(力)

その1 作物を育てる力

黒部川河川水は、かんがい用水として田畑にくまなく行き渡り、黒部川流域に豊かな穀倉地帯を形成しています。コシヒカリや新ブランド米「富富富」など国内消費米のみならず輸出用米、加工用米のほか、チューリップ球根、入善ジャンボ西瓜、白ネギなど地域の特産物も生産されています。

その2 日常生活を支える力

用水路の役割はかんがいだけではありません。防火用水や冬の消雪・流雪のほか、農家では作物や農機具の洗浄にも使われています。また、各所に整備されている水と親しむ公園は、散策や休憩場所として人々に憩いを与えています。さらに、水田に蓄えられた水には、地下に浸透し地下水を涵養する働きもあり、様々な場面で暮らしを支えています。

その3 発電の力(浦山新発電所)

3つ目は、最近注目されている再生可能エネルギーを生み出す役割です。水力発電は、太陽光や風力ほど気候に左右されず安定した発電が行えるうえ、最も二酸化炭素排出量が少ないのが長所。特に富山県は地形勾配が急なことに加え、年間を通じ豊富で安定した農業用水が確保できることから、農業用水路を利用した小水力発電所は30か所にも上ります。そのうちの一つが、平成29年9月から入善土地改良区により運営されている浦山新発電所です。

人々の憩いの場となっている「せせらぎ水路」(入善町浦山新)

水車と発電機(浦山新発電所)

桜並木は、昭和42年に入善町民の手で植えられたもの。
当時70本だったが、今では170本、1.2kmに及ぶ。

黒部川扇状地の扇頂部に位置する愛本堰堤で取水された水は、黒東合口用水を流れ下り水田を満たしていきます。しかし、春先に取水する雪解け水は水温が低く苗の生育には適しません。そこで、黒東合口用水は、川幅を広げ勾配を緩くし流れを穏やかにすることで水温が上昇するよう工夫された「温照水路」となっています。

黒東合口用水を流れる水は、右岸連絡用水路に分水された後、その一部は小水力発電に利用するため、地中の水圧管を通って1.1km下流の浦山新発電所に到達。この間約11mの高低差で勢いを増した水流で発電用の水車を回し、最大274kWを出力します。年間発電量は約180万kWhで、これは一般家庭約600世帯分の年間使用電力量に相当。また、火力発電と比較すると、二酸化炭素の年間削減量は992tと試算され、これは森林134haの年間吸収量に相当します。

発電に利用された水はそのまま右岸連絡用水路に戻され、無駄なく下流の水田に引き込まれます。また、この発電で得られる売電収益は、入善土地改良区が管理する用水路や農道等の維持管理に充てられ、組合員である農家の皆さんの負担軽減にもつながっています。

水の力を未来に引き継ぐために

農業用水路は、農家を中心とする地域が共同で管理しています。春先の江ざらいに始まり、夏期の草刈り、秋の簡易修繕、冬場の通水障害巡回など年間を通じたたゆまぬ維持活動があってはじめて、地域の暮らしを支えてくれます。美しい黒部川扇状地に、用水路を開削しながら農地を開いた先人の苦労と足跡を心に留め、水の大切さやその力を未来に引き継いでいくことが大切です。

土地改良用語辞典

氾濫流路〈はんらんりゅうろ〉

洪水時に河川の自然堤防が壊され、地表面を掘削してできる流れのこと。

堰堤〈えんてい〉

河川から水を取るために、河川を横断して築く堤防。ダムよりも小規模。

江ざらい〈えざらい〉

水が滞らないよう用水路に溜まった土砂、枯木、水草等を取り除く作業。

住民による江ざらいの様子(入善町新屋)

お問い合わせ

所属課室:農林水産部農村振興課 

〒930-0004 富山市桜橋通り5-13 富山興銀ビル4階

電話番号:076-444-3380

ファックス番号:076-444-4427

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