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更新日:2026年3月9日
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Toyama Prefectural Museum of Art and Design
発表日 2026年3月9日(月曜日)
富山県美術館の重要な作品の一つ、マルセル・デュシャンの《トランクの箱(特装版)》は、海外を含め多くの展覧会への貸し出し依頼のある作品ですが、作品パーツの経年劣化のため、長らく展示・貸出が困難となっていました。
この度、その作品が修復され、国際巡回展へ貸し出しすることとなりましたので、ご案内いたします。
富山県美術館の《トランクの箱(特装版)》は、作品のセルロイドのパーツが経年劣化したため、展示・貸出を控えていました。しかし、2023年8月からパリのマルセル・デュシャン協会と協議を重ね、このたび、修復の機会を得ました。2026年2月11日~13日に、パリより、マルセル・デュシャン協会の担当者と協会指定の修復家2名が富山県美術館に来館し、作品のセルロイド部分の修復を行いました。修復後の作品はMoMAでの展示のため、3月上旬に富山からニューヨークへ輸送されました。
海外3か所での展示が終了し、2027年に富山に作品が戻ったのち、今後は富山県美術館の重要作品の一つとしてコレクション展で展示する予定です。また、今後は依頼があれば国内外の展覧会にも貸出可能となります。
(※写真は修復の様子)
同作品は、今春から、ニューヨーク近代美術館とフィラデルフィア美術館が共催するマルセル・デュシャンの回顧展に貸し出しいたします。また同展は2027年にはフランス・パリ開催も予定されています。
今日のアーティストたちに多大な影響を与えたマルセル・デュシャンの大回顧展は、アメリカでは約50年ぶりの開催となります。フランスに生まれ、アメリカ国籍を取得したデュシャンの回顧展が両国で開催されることも、注目を集めています。
当館の《トランクの箱(特装版)》を含む、「トランクの箱」シリーズは、本回顧展の中心的な作品となる予定です。
マルセル・デュシャン展
1)4月12日~8月22日/ニューヨーク近代美術館(MoMA)
2)10月10日~2027年1月31日/フィラデルフィア美術館(PMA)
3)2027年3月16日~7月25日/グラン・パレ(Grand Palais)※ポンピドゥー・センターとグラン・パレの共同開催
《トランクの箱(特装版)》1946年
革製のトランクに納められたデュシャンの主要作品の複製69点及びオリジナル作品
トランクの中には、自身の代表作を複製した模型や印刷物などが納められています。デュシャンは1936年から41年にかけ、自らの作品のコピーを印刷会社や金具屋に依頼、それらの部品を用い、20年以上にわたりこの作品集を制作しました。自分の作品のミニチュアが収められたトランクは、移動可能なデュシャンのミニ美術館ともいえ、とてもユニークです。
革製の特装版が限定20部(後に4部追加)作られ、本作は番号12番にあたり、本作のみに付属する《罪のある風景》という絵画作品がトランク部分にあります。愛人であったブラジル出身の彫刻家マリア・マルティンスに贈られた作品であり、オリジナル作品《罪のある風景》は、デュシャンの没後に行われた化学分析により、精液で描かれたものだと分かりました。デュシャンの代表作、通称《遺作》同様に、謎めいてスキャンダラスな作風が全世界の研究者、現代美術愛好家たちの注目を集めています。現代を生きるアーティストたちにも大きな影響を与えているデュシャンの代表作の一つといえます。
(※)本作品は、原題はフランス語で《La boite-en-valise》(※iの上はアクサンシルコンフレックス)であり、日本語では《トランクの箱》、《トランクの中の箱》と訳されますが、当館では《トランクの箱》と表記しています。
【マルセル・デュシャン(1887~1968)】
フランス出身の芸術家。長兄のジャック・ヴィヨンが画家、次兄のレイモン・デュシャン=ヴィヨンが彫刻家という芸術一家に育ち、画家として活動を始めましたが、1912年以降は、絵画の制作をやめて、実験的な作品を残しました。15年ニューヨークに渡り、既製品を用いた作品(レディ・メイド)を発表、男性用便器を《泉》と名付けて展覧会に出品し、新しい芸術のあり方を提示しました。
部局・担当名 |
電話番号 |
担当者 |
|---|---|---|
生活環境文化部 富山県美術館 |
076-431-2711 |
広報担当:川浦、本件担当:渡辺 |
