統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
全国からみた富山市の全世帯の特徴

  (平成14年、15年、16年の3か年平均)
 家計調査で「住居費」として分類されるのは、家賃地代と設備修繕・維持費であり、その特徴は次のとおりである。
 家賃地代については、持ち家率が高いことと(富山県79.3%:「平成12年国勢調査」全国第1位)、 家賃が大都市に比べて比較的安いことなどにより、1か月の消費支出に占める割合は1.2%と低く全国47位(最下位)である。 一方、設備修繕・維持費の割合は3.3%と全国8位になっているが、住居費全体としては4.4%で全国47位となった。(表4)
 富山市の1世帯当たりの消費構造をみるとき、大きなウエイトを占めていると考えられる家や土地の取得に関する費用(「財産購入」)は、「実支出以外の支出」の「預貯金」等とともに集計される。(土地や住宅に係る借入金返済額から借入額を控除した額は、「土地家屋借金純減」として黒字の一部となる。)
表4 住居費の内訳と支出割合(全世帯、平成14, 15, 16年平均)    単位:%、円
都市名 支出金額 消費支出に占める住居費の割合(全世帯)
住 居 費 家 賃 地 代 設備修繕・維持 住 居 費 家賃地代 設備修繕
・維持
月平均額 順位 月平均額 順位 月平均額 順位 割合 順位 割合 順位 割合 順位
富山市 16,456 39 4,360 47 12,096 2 4.4 47 1.2 47 3.3 8
金沢市 23,361 18 11.421 29 11,939 3 6.8 24 3.4 34 3.4 3
福井市 15,808 41 8,123 40 7,685 31 5.6 40 2.9 39 2.7 26
                          
全国平均 19,989   11,349   8,640   6.6   3.8   2.8  



交 通・通 信 費
 電話通信料は、携帯電話やPHS、インターネットが急速に普及したことなどにより平成7年頃から急激に増加している。移動電話通信料は、平成14年に固定電話通信料を上回り逆転した。平成16年の電話通信料の62.9%が移動電話通信料で、全国の60.1%より高い。勤務先からや通勤途中でも気軽にかけられる利便性から、1世帯当たりの有業人員が1.59人(全国1位、全国1.39人)と多い富山市の世帯では、移動電話が愛用されていると考えられる。(図11、表5)

    図11 電話通信料の年間支出金額(全世帯、3年移動平均)

表5 電話通信料の内訳と支出割合(全世帯)   単位:円、%

都市名 平成16年 平成14,1516年平均
電話通信料 固定電話 移動電話 電話通信料 固定電話 移動電話
年間支出
金額
年間支出
金額
割合 年間支出
金額
割合 年間支出
金額
年間支出
金額
割合 年間支出
金額
割合
富山市 138,321 51,349 37.1 86,972 62.9 131,323 51,844 39.5 79,478 60.5
全国順位 7位 7位 8位 5位 20位 5位
全 国 122,453 48,829 39.9 73,624 60.1 117,241 51,564 44.0 65,677 56.0
 自動車等関係費については、平成16年の支出金額は全国6位、うち、自動車購入が全国20位、ガソリン代が全国2位になっている。自動車購入について、平成14、15、16年の3か年の平均でみると全国5位となっており、自家用車の保有台数が多く(富山県1世帯あたり1.72台:「平成15年度北陸信越運輸局富山運輸支局『富山県陸運概況』」全国2位)、道路整備率が高いこと(富山県71.2%:「平成15年国土交通省『道路統計年報』」全国1位)などにより、自家用車での通勤、移動が便利であるためと考えられる。(表6)
表6 自動車等関係費の内訳(全世帯)   単位:円

都市名 平成16年 平成14,15,16年平均
自動車等
関係費
自動車購入 ガソリン代 自動車等
関係費
自動車購入 ガソリン代
富山市 316,593 81,601 79,748 310,317 103,738 73,399
全国順位 6位 20位 2位 5位 5位 2位
全 国 255,383 80,933 58,545 242,785 72,176 54,940


教育費と仕送り金 (平成13年、14年、15年の3か年平均)
 富山市の1世帯当たりの消費支出に占める教育費への支出割合は、「図5−2構成比の全国格差」 からもわかるように全国平均を大きく下回り、全国43位となっている。これは、富山県の小・中学校が公立のみであること、高等学校生徒数に占める公立学校生徒数の割合が79.7%(全国12位、全国70.3%「平成16年学校基本調査」)であることから授業料の支出が少ないことと、本調査の分類上、県外で暮らす大学生等への教育費用が教育費には含まれず仕送り金となることが要因と思われる。
 県外大学への進学率は83.3%(全国9位、全国59.0%「平成16年学校基本調査」)と非常に高く、 大学生の5人のうち4人は、県外の大学で学生生活を送っていることになる。この場合、 調査上はその生活費だけでなく、通常なら教育費に含まれる大学の授業料なども仕送り金として分類される。富山市ではこの仕送り金の支出金額は全国1位、支出割合は4.8%(全国2位)で、全国平均(2.6%)を大きく上回っている。
 教育費と仕送り金に学校給食費や制服、通学用かばんなどを加えた教育関係費は全国2位、支出割合は8.2%で、全国14位となっている。(表7)
表7 教育費及び教育関係費支出金額と支出割合 (全世帯、平成14,15,16年平均)   単位:%、円
 都市名  支出金額 消費支出に占める教育費の割合
教 育 費 仕 送 り 金 教 育 関 係 費 教育費 仕送り金 教育関係費
月平均額 順位 月平均額 順位 月平均額 順位 割合 順位 割合 順位 割合 順位
富山市 12,678 22 17,856 1 30,188 2 3.4 43 4.8 2 8.1 14
金沢市 15,357 9 10,412 23 27,129 5 4.5 15 3.0 28 7.9 23
福井市 10,810 38 9,951 26 20,930 35 3.8 34 3.5 22 7.4 27
全 国 13,226 7,821 21,812 4.4 2.6 7.2


教 養 娯 楽 費 (平成14年、15年、16年の3か年平均)
 富山市の1世帯当たりの教養娯楽費への支出割合は(図5−2構成比の全国格差)、全国に比べて低い。なかでも教養娯楽サービス、書籍・他の印刷物への支出割合の全国平均との乖離が目立っている。(表8)
表8 教養娯楽費支出金額と支出割合 (全世帯、平成14,15,16年平均)   単位:%、円
都市名 支出金額 消費支出に占める教養娯楽費の割合
教養娯楽費 うち
書籍・他の印刷物
うち
教養娯楽サービス
教養娯楽費 うち
書籍・他の印刷物
うち
教養娯楽サービス
月平均額 順位 月平均額 順位 月平均額 順位 月平均値 順位 月平均値 順位 月平均値 順位
富山市 31,697 17 4,565 29 17,333 20 8.6 46 1.2 47 4.7 43
金沢市 34,596 6 4,982 9 19,913 6 10.1 24 1.4 34 5.8 9
福井市 28,322 38 3,826 45 15,398 34 10.1 25 1.4 43 5.5 24
全国平均 30,832 4,612 16,754 10.1 1.5 5.5

 「教養娯楽費」について主な品目の支出金額を全国平均と比べてみる。

「教養娯楽用耐久財」では、ビデオカメラ、パソコンが全国平均を上回り、テレビは下回っている。

「教養娯楽用品」では、テレビゲーム、切り花、園芸品・同用品などが全国平均を上回り、ペットフード、他の愛がん動物・同用品のペット関連商品は下回っている。

「書籍・他の印刷物」については、雑誌、週刊誌、書籍は全国平均をやや上回っているが、新聞はやや下回っている。

「教養娯楽サービス」については、NHK放送受信料が全国2位、ケーブルテレビ受信料が全国5位といずれも上位であり、インターネット接続料も全国平均を上回り、富山市の家庭ではIT化(情報化)が進んでいると考えられる。

「パック旅行費」についてみると、外国パック旅行費は全国平均を下回っているが、国内パック旅行費は全国平均をかなり上回っている。(表9)


表9 教養娯楽費における品目別の支出の傾向
(平成14、15、16年平均品目別支出金額、同指数及び全国順位)

    ※ 主な品目を掲載した。()内は支出金額、指数(全国=100)、全国順位


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