統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
4 二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計


 (1) 実収入の概況

 ―実収入は1か月平均 659,834円(全国第2位 都道府県庁所在市別順位 以下同じ)、
  対前年比実質2.1%の減少

 
  平成17年の富山市二人以上の世帯のうち勤労者世帯(平均世帯人員3.62人、世帯主の平均年齢47.7歳)の実収入は、1世帯当たり1か月平均659,834円(全国平均524,585円)で、前年に比べ名目、実質とも2.1%の減少(全国実質0.9%減少)となった。
 富山市の実収入が全国2位(昨年全国1位)と上位になっているのは、調査世帯の1世帯当たり有業人員(特に配偶者の有業率)や65歳以上人員(年金受給者)が全国上位にあり、配偶者収入や公的年金給付が多いことによる。
 しかし、実収入は全国平均では実質0.9%の減少だが、富山市平均では実質2.1%の減少と大きい。その主な要因として、富山市の調査世帯の有業人員が1.89人から1.84人に減少し、世帯主収入や配偶者の収入が減少したことが挙げられる。
 近年の動きをみると、平成12年に実質4.6%減少した後、平成13年、14年、15年は1.6%、1.2%、1.2%と3年連続の増加となった。しかし、平成16年は9.8%の減少となった。平成17年は他の世帯員収入、公的年金等の社会保障給付が増加したが、世帯主収入や、配偶者の収入が減少したことから名目で2.1%減少し、消費者物価指数の変動がなかったため、実質でも2.1%の減少となった(図4)。

図4 実収入の対前年実質増減率の推移(富山市勤労者世帯)


 (2) 実収入の内訳

  ―勤め先収入、社会保障給付とも減少―
 平成17年の富山市二人以上の世帯のうち勤労者世帯の実収入の内訳をみると、勤め先収入のうち、世帯主収入は1か月平均441,894円となり、臨時収入が増加したものの、定期収入、賞与の減少により前年に比べ名目、実質とも4.3%の減少となった。実収入に占める割合は67.0%となり、前年より1.5ポイント低下した。 一方、世帯主の配偶者の収入は63,363円で、名目、実質とも23.0%の減少となり、実収入に占める割合は前年より2.6ポイント低下し9.6%となった。また、他の世帯員収入は76,684円で、前年に比べ名目、実質とも29.6%の増加となり、農林漁家世帯を含めた調査結果の公表開始以来、初の実質増加となった。実収入に占める割合は11.6%となり、前年より2.8ポイント上昇した。事業・内職収入、社会保障給付や財産収入などの「その他の収入」の実収入に占める割合は11.8%で、前年より1.3ポイント上昇した(図16、表12)。

図16 実収入に占める割合の推移(富山市二人以上の世帯のうち勤労者世帯)

表12 実収入内訳の推移(富山市二人以上の世帯のうち勤労者世帯)

単位:人、歳、円
年次 世帯人員 有業人員 世帯主の年齢 実収入 勤め先
収入 
うち
世帯主収入
うち
配偶者の収入
うち
他の世帯員収入
うち
事業・
内職収入
他の経常収入 特別収入 可処分所得
昭和55年 3.91 1.56 42.9 374,407 351,414 305,787 26,962 18,665 5,939 6,553 10,500 326,206
昭和60年 3.93 1.66 44.9 452,163 419,437 339,334 52,957 27,146 7,674 16,957 8,095 386,531
平成2年 3.74 1.86 47.7 603,289 546,931 427,960 59,351 59,620 4,571 33,367 18,420 517,031
平成7年 3.51 1.76 47.9 674,909 600,474 469,291 60,545 70,638 10,263 44,518 19,654 579,047
平成13年 4.07 1.89 46.2 740,857 649,023 480,723 89,361 78,939 5,592 66,843 19,399 636,256
平成14年 3.52 1.91 47.8 741,435 662,665 491,414 97,543 73,709 10,232 53,166 15,371 629,668
平成15年 3.65 1.91 48.6 747,355 640,453 458,820 112,495 69,139 5,140 73,479 28,283 640,158
平成16年 3.69 1.89 46.9 673,744 603,278 461,812 82,282 59,184 10,113 44,786 15,567 576,992
平成17年 3.62 1.84 47.7 659,834 581,941 441,894 63,363 76,684 3,882 62,303 11,708 572,547

  注: 表示した数値は、その1桁下位を四捨五入しているので、内訳の合計は必ずしも計に一致しない。
     平成2年以前は、配偶者収入=妻の収入


 (3) 可処分所得の概況
  ―可処分所得は前年に比べ、実質で0.8%の減少―
 平成17年の富山市の二人以上の世帯のうち勤労者世帯の可処分所得(実収入から社会保険料、税等の非消費支出を差し引いた、いわゆる手取り収入)は1か月平均572,547円(全国平均441,156円)で、前年に比べ名目、実質とも0.8%の減少(全国平均実質0.7%減少)となったが、全国2位(都道府県庁所在市別順位)である。


 (4) 消費支出の概況

  ―消費支出は対前年実質0.6%の減少―
 
  ア 消費支出
 平成17年の富山市の二人以上の世帯のうち勤労者世帯の1か月平均消費支出は396,640円で、前年に比べ名目、実質とも0.6%の減少(全国平均実質0.2%減少)となった。
 近年の動きをみると、平成12年に減少に転じたが、13年、14年は増加となった。15年から3年連続の減少となった(図6)。

図6 消費支出の対前年実質増減率の推移(富山市勤労者世帯)

 費目別にみると、「食料」、「住居」、「光熱・水道」、「家具・家事用品」、「保健医療」、「その他の消費支出」が増加となった。一方、「被服及び履物」、「交通・通信」、「教育」、「教養娯楽」は減少となった。

 イ 非消費支出

 税金、社会保険料などの非消費支出は、1か月平均87,288円(全国平均83,429円)で、前年に比べ名目9.8%の減少(全国平均名目2.3%減少)となった。


 (5) 平均消費性向、黒字率、平均貯蓄率等の推移
  ―平均貯蓄率は全国10位(都道府県庁所在市別順位 以下同じ)―
 平成17年の富山市の二人以上の世帯のうち勤労者世帯の平均消費性向(可処分所得に占める消費支出の割合)は69.3%(全国平均74.7%)となり、前年より0.1ポイント上昇した。
 近年の動きをみると、12年、13年は低下したが、14年は可処分所得の落ち込みにより上昇した。15年は可処分所得の増加により低下し、16年、17年は再び上昇した。
 黒字(可処分所得−消費支出)は、175,907円(全国平均111,657円)となり、全国3位である。
 黒字率(可処分所得に占める黒字額の割合)は30.7%(全国平均25.3%)となり、前年より0.1ポイント低下した。
 黒字のうち貯蓄純増は140,392円(全国平均71,798円)となり、平均貯蓄率(可処分所得に占める貯蓄純増の割合)は、24.5%(全国平均16.3%)で、前年より1.2ポイント低下し、全国10位となった(図17、図18)。

図17 平均消費性向及び平均貯蓄率の推移(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)

図18 家計収支バランス(富山市二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
平成17年平均1世帯当たり1か月の収入と支出



 (6) 全国からみた富山市の勤労者世帯の特徴
  ―実収入 全国2位(都道府県庁所在市別順位 以下同じ)、消費支出 5年連続全国1位の背景―
  

 平成17年富山市二人以上の世帯のうち勤労者世帯の1世帯当たりの実収入は、全国2位となっている。平成15、16、17年の3か年平均で実収入の内訳を全国と比較すると、勤め先収入のうち、世帯主収入が全国平均を上回っていること、配偶者の収入は全国の約1.5倍、他の世帯員の収入は全国の約7.0倍と全国を大きく上回っていることに加え、他の経常収入の中の公的年金給付も全国の約3.8倍程度となっている。これは有業人員が1.88人(全国1.65人)と多く、世帯内に年金受給対象となる65歳以上の人員も0.38人(全国0.23人)と多世帯同居の多い富山市調査世帯の構成の特徴によるものである。
 一方、消費支出も平成13年(423,628円)、14年(444,010円)、15年(416,286円)、16年(399,182円)、17年(396,640円)で5年連続1位となっている。しかし、平均消費性向は低く、平成15年65.0%(全国47位)、平成16年69.2%(全国42位)、平成17年69.3%(全国36位)となっている。消費にまわらない残りは、貯蓄と住宅ローンの返済等に向けられるが、そのうち、平均貯蓄率は15年29.8%(全国1位)、16年25.7%(全国4位)、17年24.5%(全国10位)と高い水準にある(表13、表14、図19、図20)。

表13 1世帯当たり1か月間の主な収入(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)

                                                                単位:円
年次 富 山 市 全 国
実収入 う ち 勤 め 先 収 入 うち
他の経常収入

他の経常収入
のうち
社会保障給付
実収入 う ち 勤 め 先 収 入 うち
他の経常収入

他の経常収入
のうち
社会保障給付
世帯主
収入
配偶者収入 他の
世帯員収入
世帯主
収入
配偶者
収入
他の
世帯員収入
平成17年 659,834 441,894 63,363 76,684 62,303 60,588
(57,404)
524,585 425,706 57,338 10,785 17,959 16,862
(14,224)
平成
15、16、17年
3か年平均
693,644 454,175 86,047 68,336 60,189 58,551
(54,102)
527,028 430,849 55,699 9,799 17,811 16,644
(14,080)
 注:( )書きは、社会保障給付のうち公的年金


表14 世帯構成(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
                                                        

                                                単位:人、歳
年次 富 山 市 平 均 全 国 平 均
世帯人員 有業人員 世帯主の
年齢
65歳以上
人員
世帯人員 有業人員 世帯主の
年齢
65歳以上
人員
平成17年 3.62 1.84 47.7 0.38 3.46 1.66 46.9 0.23
平成
15、16、17年
3か年平均
3.65 1.88 47.7 0.38 3.48 1.65 46.6 0.23


図19 実収入の内訳の推移(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)


図20 世帯人員と有業人員の推移(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)

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