主な費目の特徴

　食料費は、エンゲル係数（消費支出に占める食料費の割合）が緩やかに低下を続ける中、食料費に占める米の割合も年々低下し、富山市では30年間で３分の1以下まで落ち込んだ（昭和45年14.1％から平成11年は4.7％）。一方、パンの割合は25年間で約２倍に上昇した（昭和45年1.5%から平成８年は3.0%）。
　米消費の減少の背景には、家族構成の変化が挙げられている。また、食生活が欧米化するなど多様化が進み、デフレ経済下で食品の価格や外食代が下落したこともあって、世帯の選択肢がますます広がった。その結果、家庭での米の消費が低下し続けてきた。
　しかし、ここ数年は米、パンとも概ね同水準で推移し、平成17年は、米4.0％、パン3.1%となった（全国平均：米4.1%、パン3.2%）。
　米離れとはいえ、富山市の米への平成15〜17年の１年間平均支出金額（品目分類・・・よその世帯へ贈った分も含む）は42,242円で全国３位（都道府県庁所在市別順位　以下同じ）、数量は109.66�sで１位となっている。
　昨今の無洗米のヒットや生活習慣病の予防対策として、「日本型食生活の良さを見直そう」という運動が広がってきていることから、今後の米の消費動向が注目される（図10）。

　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
図10　食料費に占める米・パンの割合（二人以上の世帯の全世帯、用途分類、
　　　　　　　　　　　　　　　平成７年以降は３年移動平均）

　 富山市の生鮮魚介への支出金額は、常に全国のトップレベルに位置する。特に「ぶり」「いか」(さしみを含む)は連続して全国1位を保っている。
　また、｢魚介の漬物｣（魚の味噌漬け、昆布じめ等）も連続して全国１位である。保存目的の他に多様な食べ方として、魚がいかに富山市の食生活に密接に関わっているか、うかがい知ることができる。
　食料費に占める魚介類と肉類の割合を全国比較すると、富山市では魚介類の割合が全国平均を上回り、反対に肉類は全国平均を下回って、魚介類が副食の中心となっている。
　その他、平成15、16、17年の３か年平均の支出金額が大きいものや購入数量が多いものとして、「米」、「もち」、ばい、はまぐり等の「他の貝」、「かまぼこ」、「昆布」、「たけのこ」、「コロッケ」、「カツレツ」等があり、そのうち「昆布」の支出は富山が突出している。
　また、購入数量が上位で、支出金額が下位のものに「豆腐」、「バナナ」があげられ、安価で提供されることにより購入数量を伸ばしている（平成15、16､17年の３か年平均、豆腐：購入数量全国２位、支出金額41位、バナナ：購入数量全国１位、支出金額40位）（表２、図11−１、11−２、11−３）。

表２　食品における富山市民の嗜好（二人以上の世帯、品目分類、
　平成15、16、17年　都道府県庁所在市別ランキングより）

図11−１　食料費に占める魚介類と肉類の割合
（二人以上の世帯、品目分類、平成７年以降は３年移動平均）

　近年、健康に対する関心の高まりから、世帯における健康食品への支出の動向が注目されている。健康に効用があるといわれている食品のうち、ヨーグルト、納豆及び酢についての富山市（全世帯）の平成７年を100とした１世帯あたり支出金額指数を見ると、平成17年にはヨーグルトは158.9、酢が143.0、納豆が149.3と上昇しており、健康食品への志向の高まりが見られる。
　また、健康保持用摂取品についてみると、医療費の社会保険被保険者本人負担割合が平成９年度に1割から２割に、平成15年度には２割から３割にと段階的に上昇したこともあって、平成17年には平成７年の３倍以上の301.6と高い水準となった（図12）。

図12　健康食品の品目別支出金額指数の推移
（富山市二人以上の世帯、品目分類、３年移動平均指数）（平成７年＝100）

※　健康保持用摂取品とは、栄養成分の補給など保健、健康増進のために用いる食品であって、錠剤、
　　　カプセル、顆粒状、粉末状、粒状、液（エキス）状など、通常の医薬品に類似する形態をとるもの。

　近年、｢外食｣と家庭で素材を調理する｢内食(うちしょく)」の中間の、｢中食(なかしょく)｣と呼ばれる弁当や惣菜などの半調理食品や調理済み食品を利用する食形態が増加してきた。これは、既婚女性の就業が多くなったことや、高齢化社会の進展が、簡便志向を高め、調理食品の購入拡大に結びついたといえる。また、一人で食事をする「個食」の広がりも見逃せない要因となっている。さらに良質でより安く提供する供給側の条件も整って、食の外部化が加速的に進んできた。
　富山県は共働きの世帯が多く(女性就業率は51.5％：全国４位。共働き率は58.3％：全国３位。平成12年国勢調査)、富山市の食料に占める「外食」の割合は徐々に増えて平成17年では16.1％となり、全国平均（15.3％）を上回っている（３年移動平均）。
　一方、食料費のなかで外食費、野菜・海藻、魚介類に続いて調理食品への支出が多く、｢カツレツ｣、｢コロッケ｣、「天ぷら・フライ」が常に上位にランクしている。
　食料を、穀類、魚介類、肉類、野菜・海藻などの｢内食｣、弁当、冷凍調理食品、惣菜などの｢中食｣、飲食店などを利用する｢外食｣と、油脂・調味料、菓子類、飲料、酒類などの｢その他｣に分けてみると、食料に占める｢中食｣（図の中では、調理食品としている）の割合は昭和55年の5.1％から平成13年には11.3％に上昇したが、14年以降は、概ね同水準で推移している（図13−1、13−２）。

図13−1　食料費に占める外食・調理食品の割合
（二人以上の世帯、用途分類、昭和63年以降３年移動平均）

図13−２　食料費の内訳の推移（富山市二人以上の世帯、用途分類）

　　オ　富山市民はお酒好き（平成15年、16年、17年の３か年平均）

　富山市の酒類への支出金額は清酒（11,220円、全国３位）、ビール（18,310円、14位）、発泡酒（10,060円、３位）では全国平均を上回るが、焼ちゅう（5,288円、31位）、ワイン（2,164円、32位）では全国平均を下回る。
　富山市の酒類への購入数量は清酒が減少した分、焼ちゅうが増加してきている。ビールは減少傾向にあり、発泡酒は14年以降同水準で推移している（表３、図14）。

表３　酒類の年間支出金額（二人以上の世帯、品目分類、平成15、16、17年の３か年平均）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　単位：円

　図14　酒類の年間購入数量（二人以上の世帯、品目分類、３年移動平均）

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