統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
富山市の家計収支(非農林漁家世帯)

1 全世帯の家計

(1)消費支出の概況
―消費支出は、対前年比実質0.2%の減少(全国は1.8%の減少)−
 平成13年の富山市全世帯(平均世帯人員3.52人、世帯主の平均年齢52.2歳)の消費支出は、1世帯当たり1か月平均378,274円(全国平均308,692円)で、前年に比べ名目1.5%の減少(全国平均2.7%減少)となった。また、消費者物価指数が(-)1.3%(全国平均(-)0.9%)下落したことから、実質では0.2%の減少(全国平均1.8%減少)となった。
 全世帯の最近の動きをみると、全国平均の対前年増加率は、依然厳しい所得環境が消費の重しとなって、平成5年以来9年連続の実質減少(調査開始以来初めてのこと)となった。
 それに対し、富山市の消費支出は実質で平成元年から8年までは増減を繰り返し、9年から3年連続の実質増加の後、12年、13年は2年連続の実質減少となった。
                                                        (図1)

図1 消費支出の対前年増加率(富山市全世帯)

 1か月の消費支出を1人当たりでみると、平成13年は107、464円で前年に比べ実質6.5%の減少となった。(全国平均95、867円、1.2%の減少)
 元年と比較すると1人当たりの消費支出は、全国平均が1.16倍の伸びに対し、富山市は1.31倍と大きく伸びた。
                                                    (図2ー1、図2−2)
図2−1 1人当たりの消費支出の推移(全世帯)


図2−2 消費支出の対前年増加率と世帯人員の推移(全世帯)

 


(2)消費支出の内訳と対前年実質増加率

―交通・通信が大幅増加、家具・家事用品が大幅減少―

ア 食 料 <実質増加>
 1世帯当たり77,453円で、名目0.4%の減少、実質0.5%の増加となった。穀類、肉類、乳卵類、油脂・調味料、飲料、酒類が実質増加となる一方、魚介類、果物、菓子類、調理食品、外食が実質減少となった。また、野菜・海藻は実質で前年と同水準になった。
イ 住 居 <実質減少>
 1世帯当たり15,284円で、名目9.4%、実質8.2%の減少となった。家賃地代が大幅な実質増加となったが、設備修繕・維持が大幅に実質減少し、全体として実質減少となった。
ウ 光熱・水道 <実質増加>
 1世帯当たり25,319円で、名目7.5%、実質5.2%の増加となった。電気代、灯油などの「他の光熱」が実質減少となったが、ガス代、上下水道料が実質増加となったため、全体として実質増加となった。
 なお、光熱・水道は平成8年以来6年連続して実質増加となっている。
エ 家具・家事用品 <実質減少>
 1世帯当たり9,295円で、名目22.4%、実質18.3%の大幅減少となった。寝具類が大幅な実質増加となったものの、家庭用耐久財、室内装備・装飾品、家事雑貨、家事用消耗品、家事サービスが実質減少となったため、全体としても大幅な実質減少となった。
 なお、家具・家事用品は平成11年以降3年連続して実質減少となっている。
 
オ 被服及び履物 <実質増加>
 1世帯当たり17,207円で、名目2.5%の減少、実質0.5%の増加となった。洋服、下着類、生地・糸類、マフラー・スカーフなどの「他の被服」が実質減少となったが、和服、シャツ・セーター類、履物、洗濯代などの被服関連サービスが実質増加となった。
カ 保健医療 <実質減少>
 1世帯当たり10,594円で、名目3.0%、実質2.4%の減少となった。医薬品、保健医療用品・器具が実質減少、保健医療サービスは実質増加となった。
キ 交通・通信 <実質増加>
 1世帯当たり44,229円で、名目16.3%、実質17.2%の増加となった。交通、自動車等関係費、通信すべてが実質増加となった。
ク 教 育 <実質増加>
 1世帯当たり12,300円で、名目5.3%、実質4.3%の増加となった。補習教育が大幅な実質減少となったものの、授業料等が大幅な実質増加、教科書・学習参考教材が実質増加となって、全体として実質増加となった。
ケ 教養娯楽 <実質増加>
 1世帯当たり32,956円で、名目1.9%の減少、実質1.2%の増加となった。書籍・他の印刷物、パック旅行費などの教養娯楽サービスが実質減少となったものの、パソコンなどの教養娯楽用耐久財が大幅な実質増加となったため、全体として実質増加となった。
コ その他の消費支出 <名目減少>
 1世帯当たり133,637円で、名目6.0%の減少となった。 仕送り金が大幅な実質増加となったものの、こづかいが大幅な減少となったほか、諸雑費、交際費も減少となった。
                                                      (図3、表1)

                       図3 消費支出の費目別対前年実質増加率(富山市全世帯)

        
(注)交際費の実質増加率は、消費者物価指数(持家の帰属家賃除く総合)で実質化した。


                   表1  費目別対前年実質増加率(富山市全世帯)
   

項    目 平成13年 12年 11年 10年
月平均額(円) 構成比(%) 増加率(%) 増加率(%) 増加率(%) 増加率(%)
消   費   支  出 378,274 100.0 -0.2 -5.4 9.3 0.6
 食         料 77,453 20.5 0.5 -1.8 -2.9 2.4
  穀       類 7,827 2.1 4.5 -4.8 -2.5 3.6
  魚   介   類 10,369 2.7 -2.0 -6.2 -6.5 -0.8
  肉       類 6,092 1.6 3.6 -4.9 5.6 -2.1
  乳   卵   類 3,597 1.0 1.0 -14.7 3.1 11.6
  野  菜 ・ 海 藻 10,045 2.7 0.0 -5.1 6.3 -5.5
  果       物 3,232 0.9 -0.4 4.3 -7.9 4.8
  油 脂 ・調 味 料 3,148 0.8 1.6 1.9 1.7 -3.4
  菓   子   類 4,834 1.3 -1.2 -2.6 -0.6 1.0
  調 理  食 品 8,496 2.2 -1.6 3.4 2.9 2.8
   飲      料 3,411 0.9 1.5 -11.2 14.3 -7.4
   酒      類 4,258 1.1 1.6 11.8 -11.6 12.6
   外      食 12,144 3.2 -0.2 8.3 -17.6 10.4
 住        居 15,284 4.0 -8.2 -3.7 10.4 -44.1
  家  賃  地  代 8,192 2.2 55.0 -17.4 4.0 -24.5
  設 備 修 繕 ・維 持 7,091 1.9 -37.5 4.6 15.7 -52.5
 光  熱 ・ 水  道 25,319 6.7 5.2 2.8 8.1 2.5
  電   気   代 10,704 2.8 -0.7 5.3 9.3 1.1
   ガ   ス   代 5,917 1.6 8.1 -10.1 6.8 -2.1
 家 具 ・  家事用品 9,295 2.5 -18.3 -13.6 -11.5 41.7
  家 庭 用 耐 久 財 3,006 0.8 -22.2 -18.5 -5.5 52.0
 被 服 及 び 履 物 17,207 4.5 0.5 -3.0 -7.5 9.4
   洋       服 6,164 1.6 -7.6 -2.1 4.9 4.2
 保  健    医  療 10,594 2.8 -2.4 1.8 -3.0 -2.6
 交  通  ・  通  信 44,229 11.7 17.2 17.8 -9.1 2.6
   交        通 4,308 1.1 1.5 -16.3 -15.0 15.4
   自動車等 関係費 29,176 7.7 18.1 33.3 -14.6 -5.0
   通        信 10,745 2.8 24.5 6.5 9.4 19.4
 教          育 12,300 3.3 4.3 -14.5 17.9 16.7
 教   養   娯  楽 32,956 8.7 1.2 3.4 5.6 -3.7
  教養娯楽用耐久財 4,331 1.1 88.6 -26.5 29.0 1.2
   教養娯楽サービス 17,288 4.6 -8.9 10.6 10.4 -7.5
  その他の消費支出※ 133,637 35.3 -6.0 -13.7 29.1 4.5
   諸    雑   費 23,440 6.2 -0.3 -16.2 -1.4 10.3
   こ づ か い   ※ 55,521 14.7 -15.2 -15.8 95.7 -15.3
   交    際   費 37,219 9.8 -1.0 1.9 0.0 4.9
   仕 送 り 金  ※ 17,458 4.6 17.6 -29.6 -3.7 55.2


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(注)1.※印は、名目増加率
   2.交際費の実質増加率は、消費者物価指数(持家の帰属家賃除く総合)で実質化した

(3)消費支出の費目別構成比の推移
―交通・通信が上昇、その他の消費支出が低下―
  平成13年の消費支出の費目別構成比をみると、食料の占める割合(エンゲル係数)は 、前年に比べ0.3ポイント上昇して20.5%となった。また、光熱・水道(6.7%)が0.6ポイント、交通・通信(11.7%)が1.8ポイント、教育(3.3%)が0.3ポイント上昇した。一方、住居(4.0%)が0.4ポイント、家具・家事用品(2.5%)が0.6ポイント、被服及び履物(4.5%)が0.1ポイント、こづかい、交際費などの「その他の消費支出」(35.3%)が1.7ポイント低下となったほか、保健医療(2.8%)、教養娯楽(8.7%)が前年と変わらなかった。
 昭和55年以降の推移をみると、大筋では「その他の消費支出」が上昇し、「食料」「被服及び履物」が低下してきたが、平成12年からの消費支出の減少に伴い、「食料」「その他の消費支出」の動きが変化してきた。
 また、「交通・通信」は携帯電話の利用者増加やインターネットの普及により、消費支出に占める割合は急速に上昇した。
                                                       (図4-1、4-2)

                   図4−1 消費支出費目別構成比の推移(富山市全世帯)



                      図4−2 エンゲル係数の推移(全世帯)

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