代表的な食中毒の 原因と特徴

  おもな原因食品 菌の特徴 症状・潜伏期間 予防のポイント
サルモネラ 食肉およびその加工品、鶏卵。また、二次的に汚染された食品。 動物やヒト腸管に時々、鶏卵内に稀に 分布している。
低温や乾燥に強い。
下痢、腹痛、悪寒、発熱、頭痛、嘔吐。

発病までの時間
5〜72時間
(平均12時間)

  • 食肉類の生食はさける。
  • 鶏肉、牛肉、豚肉の加熱処理は75℃、1分以上。
  • 卵は必ず冷蔵庫に保管し、加熱調理は十分な温度で。
腸炎ビブリオ 海産魚介類と、その加工品。二次的に汚染された食品。 6〜11月の海水域に 多く分布している。塩分を好み、塩分2〜5%でよく発育。他の食中毒菌と比較して発育が速い。 下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱。

発病までの時間
10〜24時間程度

  • 低温流通の徹底(漁獲から調理直前まで)。
  • 魚介類は真水でよく洗う。
  • 夏期から秋口に多発。
病原大腸菌
(腸管出血性大腸菌O157を含む)
原因食品は多種にわたる。未消毒の井戸水やレバー刺し等の生肉は要注意(とくにO157)。 ヒト、動物の腸管に分布している。発症機序によって、病原性大腸菌、侵入性大腸菌、毒素原性大腸菌、腸管集合性大腸菌、腸管出血性大腸菌(O157等)の5種類に分けられている。O157はウシとの関係が深い。 下痢、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐。

発病までの時間
12時間〜8日

なお、O157は溶血性尿毒症で死亡する例も。

  • 他の細菌性食中毒と同じ。食品(とくに食肉等)は75℃、1分以上中心部まで加熱する。
  • 定期的な水質検査の実施。
カンピロバクター 食肉(特に鶏肉)。また、二次的に汚染された食品。飲料水。 鶏腸管内に最も多く分布する。少量の菌で食中毒を起こす。
熱や乾燥に弱い。
発熱、下痢、腹痛。

発病までの時間2〜7日と長い。
(平均2〜3日)

  • 生肉からの汚染を避ける。
  • 十分な加熱。
  • 二次汚染の防止。
  • 井戸水などは塩素消毒を励行。
ウェルシュ菌 肉や野菜の煮物、カレー、シチュー。弁当、仕出し関連食品。 嫌気性菌で、ヒトや動物の腸管内、土壌に分布している。大量に加熱調理された食品中(酸素が少ない状態)で菌が増える。他の食中毒菌に比較して発育が速い。 腹痛、下痢。

発病までの時間
6〜24時間

  • 煮物、食肉等の調理には十分加熱する。
  • 加熱食品は短時間で冷却した後低温保存。
  • 喫食時、再加熱する。
黄色ブドウ球菌 穀類の加工品、弁当、にぎりめし(おもに家庭で調製されたもの)、菓子類。 ヒトや動物の化膿創や手指・鼻咽喉等に広く分布する。食品中で毒素を作ると加熱しても無毒化できない。 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛。

発病までの時間
1〜5時間
(平均2.5時間)

  • キズや化膿創のある手で調理をしない。
  • 手指の洗浄消毒の励行。
  • 調理後は速やかに食べる。
セレウス菌 米飯、焼飯、スパゲッティなど(嘔吐型)。
肉類、スープ類(下痢型)。
日本では米飯類によるものがもっとも多い。
自然環境中に広く分布する。食品中で増殖すると毒素を産生する。4〜48℃で発育する。 吐き気、嘔吐。

発病までの時間1〜5時間

(下痢型の報告はほとんどみられない)
  • 一度に大量の炊飯をしない。
  • 米飯や焼飯、ゆでたスパゲッティなどは室温放置しない。
ボツリヌス菌 魚肉発酵食品(イズシやキリコミ等)、野菜、果実類のびん詰。 嫌気性菌で、土壌などに分布し、食肉、魚介類、野菜などを汚染する。
食品の中で毒素(神経性)を産生。これが食中毒の原因となる。
嘔吐、下痢につづき、めまい、かすみ目、嚥下困難、四肢の麻痺、呼吸困難などが現れる。
呼吸筋麻痺での死亡例は多い。

発病までの時間
5〜72時間

  • 新鮮な原材料を用いて洗浄は十分に行い、調理は低温下で素早く行う。
  • 低温保存。
  • 加熱後喫食するものについては加熱後早期に食べきる。

ノロウイルス
(かつてSRSVやNorwalk-like virusと
呼ばれていたもの)

養殖の二枚貝(カキやハマグリ)、特にカキ。十分加熱調理されていない食べものなど。) 10月から4月頃にかけて発生。 下痢、嘔吐、腹痛、吐き気、発熱。

発病までの時間
 24〜48時間
 (平均32時間)

  • 手洗いの励行(個人衛生の徹底)。
  • 食材の十分な加熱
  • 汚染食材(二枚貝など)を調理した手、あるいは器具を介した2次汚染の予防。


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