統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
富山市の勤労者世帯の家計の特徴

U 勤労者世帯の家計

 1 実収入の概況
  ―実収入は1か月平均 664,643円(7年連続全国1位)、対前年比実質9.4%の減少―
 
 平成16年の富山市勤労者世帯(平均世帯人員3.58人、世帯主の平均年齢47.1歳)の実収入は、1世帯当たり1か月平均664,643円(全国平均530,028円)で、前年に比べ名目、実質とも9.4%の減少(全国実質1.0%増加)となったが、7年連続全国1位となった。
 富山市の実収入が連続して全国1位となっているのは、調査世帯の1世帯当たり有業人員(特に配偶者の有業率)や65歳以上人員(年金受給者)が全国上位にあり、配偶者収入や公的年金給付が多いことによる。
 しかし、実収入は全国平均では増加しているが、富山市平均では逆に減少している。その主な要因として、富山市の調査世帯の世帯主平均年齢が前年に比べ1.9歳低下(全国0.1歳上昇)したこと、有業人員が1.87人から1.85人に減少したこと、65歳以上人員が0.43人から0.32人に減少し、公的年金収入が減少したことなどが上げられる。
 近年の動きをみると、平成10年には実質12.6%の大幅な増加となったが、11年、12年は実質5.9%、4.6%の減少に転じ、13年、14年、15年は実質0.1%、2.2%、1.4%の3か年連続の増加となった。
 平成16年は世帯主収入が増加したが、配偶者の収入や、公的年金等の社会保障給付が減少したことから名目で9.4%減少し、消費者物価指数の変動がなかったため、実質でも9.4%の減少となった。(図14)
図14  実収入の対前年増減率(富山市勤労者世帯)



 2 実収入の内訳
  ―勤め先収入、社会保障給付とも減少―
 平成16年の富山市勤労者世帯の実収入の内訳をみると、勤め先収入のうち、世帯主収入は1か月平均459,373円となり、定期収入、臨時収入が減少したものの、賞与の増加により前年に比べ名目、実質とも0.9%の増加となった。実収入に占める割合は69.1%となり、前年より7.1ポイント上昇した。 一方、世帯主の配偶者の収入は80,183円で、名目、実質とも24.7%の減少となり、実収入に占める割合は前年より2.4ポイント低下し12.1%となった。また、他の世帯員収入は56,400円で、前年に比べ名目、実質とも13.7%減少し、6年連続の減少となった。実収入に占める割合は8.5%となって、前年より0.4ポイント低下した。
 事業・内職収入、社会保障給付や財産収入などの「その他の収入」の実収入に占める割合は10.3%で、前年より4.3ポイント低下した。(図15、表12)

図15  実収入内訳の推移(富山市勤労者世帯)
  


表12 実収入内訳の推移(富山市勤労者世帯)      単位:人、歳、円
          

年次 世帯人員 有業人員 世帯主の年齢 実収入 勤め先
収入 
事業・
内職収入
他の経常収入 特別収入 可処分所得
世帯主収入 配偶者の収入 他の世帯
員収入
昭和55年 3.91 1.56 42.9 374,407 351,414 305,787 26,962 18,665 5,939 6,553 10,500 326,206
昭和60年 3.93 1.66 44.9 452,163 419,437 339,334 52,957 27,146 7,674 16,957 8,095 386,531
平成2年 3.74 1.86 47.7 603,289 546,931 427,960 59,351 59,620 4,571 33,367 18,420 517,031
平成7年 3.51 1.76 47.9 674,909 600,474 469,291 60,545 70,638 10,263 44,518 19,654 579,047
平成12年 3.56 1.85 46.8 727,871 649,971 496,090 73,558 80,324 7,107 47,417 23,376 619,633
平成13年 3.73 1.84 46.6 718,949 632,566 471,862 88,191 72,513 4,708 61,893 19,782 617,000
平成14年 3.40 1.87 47.9 726,991 649,629 487,569 94,404 67,656 9,389 53,100 14,873 616,444
平成15年 3.51 1.87 49.0 733,970 627,087 455,295 106,453 65,340 5,302 75,180 26,400 627,946
平成16年 3.58 1.85 47.1 664,643 595,956 459,373 80,183 56,400 9,409 44,079 15,200 568,732

  注: 表示した数値は、その1桁下位を四捨五入しているので、内訳の合計は必ずしも計に一致しない。
     平成2年以前は、配偶者収入=妻の収入


 3 可処分所得の概況
  ―可処分所得は前年に比べ、実質で9.4%の減少―



     平成16年の富山市の勤労者世帯の可処分所得(実収入から社会保険料、税等の非消費支出を差し引い
    た、いわゆる手取り収入)は1か月平均568,732円(全国平均444,966円)で、前年に比べ名目、実質とも9.4%
    の減少(全国平均実質1.0%増加)
となったが、実収入と同様全国1位(8年連続)である。
 


4 消費支出の概況
  ―消費支出は対前年実質3.2%の減少―
 
  ア 消費支出
  平成16年の富山市勤労者世帯の1か月平均消費支出は395,804円で、前年に比べ名目、実質とも3.2%の減少(全国平均実質1.5%増加)となった。
 近年の動きをみると、平成7年以降5年連続の増加となった後、平成12年に減少に転じたが、13年は物価の下落により実質増加となった。14年は名目、実質とも大幅に増加となったが、15年から2年連続の名目、実質ともの大幅な減少となった。(図16)

図16 消費支出の対前年増減率(富山市勤労者世帯)

 

 費目別にみると、「住居」、「家具・家事用品」、「被服及び履物」、「保健医療」、「交通・通信」が増加となった。
 一方、「食料」、「光熱・水道」、「教育」、「教養娯楽」、「その他の消費支出」は減少となった。

  イ 非消費支出
  税金、社会保険料などの非消費支出は、1か月平均95,912円(全国平均85,063円)で、前年に比べ名目9.5%の減少(全国平均名目1.2%増加)となった。
 5 平均消費性向、黒字率、平均貯蓄率等の推移
  ―平均貯蓄率は全国4位―
  平成16年の富山市勤労者世帯の平均消費性向(可処分所得に占める消費支出の割合)は69.6%(全国平均74.4%)となり、前年より4.5ポイント上昇した。
 近年の動きをみると、平成10年の大幅低下の後、11年から14年までは可処分所得の落ち込みにより上昇傾向にあったが、15年は可処分所得の増加により低下した。16年は可処分所得が減少したため、再び上昇した。
 黒字(可処分所得−消費支出)は、172,928円(全国平均114,129円)となり、全国2位である。
 黒字率(可処分所得に占める黒字額の割合)は30.4%(全国平均25.6%)となり、前年より4.5ポイント低下した。
 黒字のうち貯蓄純増は143,900円(全国平均74,639円)となり、平均貯蓄率(可処分所得に占める貯蓄純増の割合)は、25.3%(全国平均16.8%)で、前年より4.6ポイント低下し、全国4位となった。(図17

図17 平均消費性向の推移(勤労者世帯)




図18 家計収支バランス(勤労者世帯)
(平成16年平均1世帯当たり1か月の収入と支出)


 6 全国からみた富山市の勤労者世帯の特徴
  ―実収入 7年連続全国1位、消費支出 4年連続全国1位の背景―

 平成16年富山市勤労者世帯の1世帯当たりの実収入は、7年連続全国1位となっている。平成14、15、16年の3か年平均で実収入の内訳を全国と比較すると、勤め先収入のうち、世帯主収入が全国平均を上回り、配偶者の収入は全国の1.7倍、他の世帯員の収入は全国の6.6倍と全国を大きく上回っていることに加え、他の経常収入の中の公的年金給付も全国の1.7倍程度となっている。これは有業人員が1.86人(全国1.63人)と多く、世帯内に年金受給対象となる65歳以上の人員も0.37人(全国0.23人)と多世帯同居の多い富山市調査世帯の構成の特徴によるものである。
 一方、消費支出も平成13年(414,457円)、14年(428,877円)、15年(408,678円)、16年(395,804円)で4年連続1位となっている。
 しかし、平均消費性向は低く、平成13年67.2%(全国37位)、平成14年69.6%(全国40位)、平成15年65.1%(全国47位)、平成16年69.6%(全国42位)となっている。
 消費にまわらない残りは、貯蓄と住宅ローンの返済等に向けられるが、そのうち、平均貯蓄率は14年24.7%(全国4位)、15年29.9%(全国1位).16年25.3%(全国4位)と高い水準にある。(表13、表14、図19、図20)

 

表13 1世帯当たり1か月間の主な収入

                                                                  単位:円
富 山 市 全 国
実収入 う ち 勤 め 先 収 入 うち
他の経常収入
実収入 う ち 勤 め 先 収 入 うち
他の経常収入
世帯主 収入 配偶者収入 他の
世帯員収入
うち
社会保障給付
世帯主 収入 配偶者収入 他の
世帯員収入
うち
社会保障給付
平成16年 664,643 459,373 80,183 56,400 44,079 44,911
(42,519)
530,028 436,616 55,507 8,999 16,725 15,542
(12,956)
平成14,15,16
年平均
708,535 467,412 93,680 63,132 57,453 56,890
(52,018)
530,949 435,583 54,605 9,551 17,853 16,616
(14,036)
 ( )書きは、社会保障給付のうち公的年金

                                              
表14 世帯構成

単位:人、歳
富 山 市 平 均 全 国 平 均
世帯人員 有業人員 世帯主の年齢 65歳以上人員 世帯人員 有業人員 世帯主の年齢 65歳以上人員
 平成16年 3.58 1.85 47.1 0.32 3.48 1.63 46.4 0.21
平成14,15,16
年平均
3.50 1.86 48.0 0.37 3.48 1.63 46.4 0.23


図19 実収入の内訳の推移(全国との比較)


図20 世帯人員と有業人員の推移(勤労者世帯)

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