統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
富山市の家計収支(非農林漁家世帯)

T 全世帯の家計

 1 消費支出の概況
  ―消費支出は、対前年比実質3.9%の減少(全国は0.5%の増加)−
 平成16年の富山市全世帯(平均世帯人員3.35人、世帯主の平均年齢52.8歳)の消費支出は、1世帯当たり1か月平均357,558円(全国平均304,203円)で、前年に比べ名目3.9%の減少(全国平均0.5%増加)となった。また、消費者物価指数が前年と同水準(全国平均も同水準)となったことから、実質でも3.9%の減少(全国平均0.5%増加)となった。
 全国平均の対前年増減率について、最近の動きをみると、厳しい所得環境の中、平成5年から平成13年まで、9年連続の実質減少となったが、平成14年は景気回復の兆しから消費マインドが改善したことなどにより、実質0.3%と10年ぶりの増加となった。平成15年は、再び0.8%の実質減少となったが、平成16年は実質0.5%と2年ぶりの増加となった。
 一方、富山市の消費支出は実質で平成元年から8年までは増減を繰り返し、9年から3年連続の実質増加、12年から2年連続の実質減少となった後、14年は実質増加となったが、平成15年、16年と2年連続の実質減少となった。(1) 

          

 1か月の消費支出を1人当たりでみると、平成16年は106,734円で、前年に比べ実質6.8%の減少となった。(全国平均95,361円、1.2%の増加)
 1人当たりの消費支出を元年と比較すると、全国平均の1.15倍の伸びに対し、富山市は1.30倍と大きく伸びた。(図2−1、2−2)



図2−2 消費支出の対前年増減率と世帯人員の推移(全世帯)
     
 


 2 消費支出の内訳と対前年実質増減率

  ―被服及び履物、交通・通信が増加、保健医療、その他の消費支出が大幅減少

  ア 食 料 <実質減少>
 1世帯当たり74,745円で、名目2.5%、実質3.0%の減少となった。乳卵類、油脂・調味料、飲料、外食が実質増加となったが、これを除く全ての費目が実質減少となった。とりわけ、穀類、魚介類、果物、酒類が大幅に減少した
  イ 住 居 <実質減少>
 1世帯当たり15,624円で、名目5.4%の減少、実質4.3%の減少となった。家賃地代が実質増加となったが、設備修繕・維持が実質減少となったため、全体として実質減少となった。
  ウ 光熱・水道 <実質減少>
 1世帯当たり24,960円で、名目2.6%の増加、実質0.4%の減少となった。電気代、ガス代が実質減少となったが、「他の光熱(灯油など)」、上下水道料が実質減少となったため、全体として実質減少となった
  エ 家具・家事用品 <実質増加>
 1世帯当たり10,149円で、名目1.1%の減少、実質0.6%の増加となった。家庭用耐久財、家事用消耗品、家事サービスが実質減少となったものの、室内装備・装飾品、寝具類、家事雑貨が実質増加となったため、全体として実質増加となった。
 
  オ 被服及び履物 <実質増加>
 1世帯当たり15,378円で、名目3.0%、実質3.4%の増加となった。シャツ・セーター類、生地・糸類、マフラー・スカーフ、男子用靴下などの「他の被服」、履物類が実質減少となったが、和服、洋服、下着類、洗濯代などの被服関連サービスが実質増加となったため、全体としても実質増加となった。
  カ 保健医療 <実質減少>
 1世帯当たり11,546円で、名目10.4%、実質8.9%の減少となった。医薬品、健康保持用摂取品が増加したが、保健医療用品・器具、保健医療サービスが実質減少となったため、全体としても実質減少となった。
  キ 交通・通信 <実質増加>
 1世帯当たり43,358円で、名目4.9%、実質も4.9%の増加となった。鉄道通勤定期代などの交通、自動車等関係費、移動電話通信料などの通信の全てが実質増加となった。
  ク 教 育 <実質減少>
 1世帯当たり12,412円で、名目1.6%、実質3.3%の減少となった。教科書・学習参考教材、補習教育が実質増加となったものの、授業料等が実質減少となった。
  ケ 教養娯楽 <実質増加>
 1世帯当たり31,241円で、名目0.6%の減少、実質0.3%の増加となった。宿泊料や入場・観覧・ゲーム代などの教養娯楽サービスが実質減少となったものの、教養娯楽用耐久財、教養娯楽用品が実質増加となった。
  コ その他の消費支出 <名目減少>
 1世帯当たり118,145円で、名目10.0%の減少となった。交際費が増加となったが、理美容サービスなどの諸雑費、こづかい、仕送り金が減少となった。(図3、表1)


                            

  図3 消費支出の費目別対前年実質増減率(富山市全世帯)

               

      表1  費目別対前年実質増加率(富山市全世帯)   

項 目 平成16年 15年 14年 13年
月平均額 構成比 増減率 増減率 増減率 増減率
(円) (%) (%) (%) (%) (%)
消 費 支 出 357,558 100.0 -3.9 -1.6 1.6 -0.2
食       料 74,745 20.9 -3.0 5.6 -5.4 0.5
    穀類 7,297 2.0 -10.3 9.5 -8.1 4.5
    魚介類 8,653 2.4 -15.5 7.5 -7.3 -2.0
     肉類 5,736 1.6 -2.7 3.7 -9.2 3.6
     乳卵類 3,309 0.9 0.5 -3.3 1.3 1.0
    野菜・海藻 9,629 2.7 -4.9 1.0 -5.0 0.0
    果物 2,946 0.8 -11.8 -0.8 -2.3 -0.4
    油脂・調味料 3,000 0.8 6.4 2.2 -8.9 1.6
    菓子類 5,072 1.4 -4.6 13.8 -2.8 -1.2
    調理食品 8,139 2.3 -3.7 3.7 -0.6 -1.6
    飲料 4,103 1.1 19.1 13.3 -2.7 1.5
    酒類 3,056 0.9 -17.3 -1.2 -8.7 1.6
    外食 13,804 3.9 10.6 9.5 -5.5 -0.2
住      居 15,624 4.4 -4.3 -3.6 13.4 -8.2
    家 賃 地 代 4,680 1.3 32.7 -26.6 -40.6 55.0
    設備修繕・維 持 10,944 3.1 -14.5 5.7 75.7 -37.5
光 熱 ・ 水 道 24,960 7.0 -0.4 0.8 -4.1 5.2
    電気代 10,821 3.0 2.5 0.4 1.9 -0.7
    ガス代 5,850 1.6 1.4 3.3 -10.4 8.1
家具 ・家事用品 10,149 2.8 0.6 -4.1 24.5 -18.3
    家庭用耐久財 3,163 0.9 -6.0 7.3 31.4 -22.2
被服 及び 履物 15,378 4.3 3.4 -15.1 5.8 0.5
    洋服 6,079 1.7 4.7 -6.0 3.4 -7.6
保 健 医 療 11,546 3.2 -8.9 8.4 10.9 -2.4
交 通 ・ 通 信 43,358 12.1 4.9 -1.5 -4.5 17.2
    交通 4,500 1.3 9.3 -9.1 4.7 1.5
    自動車等関係費 26,126 7.3 6.5 -7.7 -8.5 18.1
    通信 12,732 3.6 0.9 17.0 3.2 24.5
教     育 12,412 3.5 -3.3 -5.9 4.5 4.3
教  養  娯  楽 31,241 8.7 0.3 -1.7 2.8 1.2
    教養娯楽用耐久財 3,302 0.9 41.0 -24.0 8.6 88.6
    教養娯楽サービス 16,902 4.7 -6.2 6.7 3.8 -8.9
その他の消費支出※ 118,145 33.0   − -4.6 3.0 -6.0
    諸 雑 費 22,398 6.3 -20.9 -9.2 31.7 -0.3
    こ づ か い ※ 44,745 12.5 - -2.1 -6.9 -15.2
    交 際 費 35,486 9.9 9.2 -11.1 -0.2 -1.0
    仕 送 り 金 ※ 15,516 4.3   − 9.7 3.9 17.6
            この表のダウンロード

 3 消費支出の費目別構成比の推移
  ―食料が上昇、その他の消費支出が低下―
 平成16年の消費支出の費目別構成比をみると、「食料」の占める割合(エンゲル係数)が肉類、野菜・海藻、調理食品、飲料、外食の増加で前年に比べ0.3ポイント上昇し、20.9%となった。また、「光熱・水道」(7.0%)が0.5ポイント、「被服及び履物」(4.3%)が0.3ポイント、「交通・通信」(12.1%)が1.0ポイント、「教育」(3.5%)が0.1ポイント、「教養娯楽」(8.7%)が0.3ポイントそれぞれ上昇した。
 一方、諸雑費、こづかい、仕送り金の減少で「その他の消費支出」(33.0%)が2.3ポイント、「保健医療」(3.2%)が保健医療用品・器具、保健医療サービスの減少で0.3ポイントとそれぞれ低下した。「住居」、「家具・家事用品」は変わらなかった。
 昭和55年以降の推移をみると、大筋では「その他の消費支出」、「交通・通信」が上昇し、「食料」、「被服及び履物」が低下してきたが、平成12年からの消費支出金額全体の減少傾向に連動して、「食料」、「その他の消費支出」の動きも鈍化してきた。
  また、「交通・通信」は携帯電話の利用者増加やインターネットの普及により、消費支出に占める割合は急速に上昇してきた。(図4-1、4-2)


図4−1 消費支出費目別構成比の推移(富山市全世帯)

                      図4−2 エンゲル係数の推移(全世帯)
prevPREV  NEXTnext