統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
富山市の勤労者世帯の家計の特徴

U 勤労者世帯の家計

 1 実収入の概況
  ―実収入は1か月平均 733,970円(6年連続全国1位)、対前年比実質1.4%の増加―
 
 富山市勤労者世帯(平均世帯人員3.51人、世帯主の平均年齢49.0歳)の実収入は、1世 帯当たり1か月平均733,970(全国平均524,542)で、前年に比べ名目で1.1%の増加、 実質では1.4%の増加(全国実質2.3%減少)となり、6年連続全国1位となった。
 実収入は全国平均では減少しているが、富山市平均では逆に増加している。富山市の1世帯当たりの実収入が多くなった要因は、富山市の調査世帯の世帯主平均年齢が前年に比べ1.1歳大幅に上昇(全国0.1歳低下)したことに加え、1世帯当たりの有業人員が1.87人(全国3位)と多く、配偶者、他の世帯員の収入についても全国1位となったことが考えられる。
 近年の動きをみると、平成6年と7年が実質1.7%4.8%と2年連続の減少となった後、8年、9年は回復して実質2.8%2.2%の増加、 10年には実質12.6%の大幅な増加となったが、11年、12年は実質5.9%4.6%の減少に転じ、13年、14年は実質0.1%2.2%の増加となった。
 15年は世帯主の定期収入、臨時収入が減少したが、配偶者の収入や、公的年金等の社会保障給付が増加となったことなどから名目で1.0%増加し、消費者物価指数が0.4%下落したことにより、実質でも1.4%の増加となった。(14

図14  実収入の対前年増加率の推移(富山市勤労者世帯)



 2 実収入の内訳
  ―世帯主収入、他の世帯員収入は減少したが、世帯主の配偶者収入は増加―
 世帯主の勤め先収入は1か月平均455,295円となり、定期収入、賞与の減少により前年に比べ名目で6.6%、実質で6.2%の減少となった。実収入に占める割合は62.0%となり、前年より5.1ポイント低下した。
 一方、世帯主の配偶者の収入は106,453円で、名目で12.8%、実質で13.3%の増加となり、実収入に占める割合は前年より1.5ポイント上昇し14.5%となった。 
 また、他の世帯員の収入は65,340円で全国平均(8,968)を大幅に上回り全国1位であるが、前年に比べ名目で3.4%、実質で3.0%と5年連続で減少し、実収入に占める割合は8.9%となって、前年より0.4ポイント低下した。(図15、表12



図15  実収入内訳の推移(富山市勤労者世帯)
  


                           表12 実収入内訳の推移(富山市勤労者世帯)          単位:人、歳、円
          
            平成2年以前は、配偶者収入=妻の収入
            注:表示した数値は、その1桁下位を四捨五入しているので、内訳の合計は必ずしも計に一致しない。



 3 可処分所得の概況
  ―可処分所得は前年に比べ、実質で2.3%の増加―
 可処分所得(実収入から社会保険料、税等の非消費支出を差し引いた、いわゆる手取り収入)は1か月平均627,946(全国平均440,461)で、前年に比べ名目で1.9%の増加、実質でも2.3%の増加(全国平均実質2.4%減少)となって、実収入と同様全国1位(7年連続)である。
 4 消費支出の概況
  ―消費支出は対前年実質4.3%の減少―
 
  ア 消費支出
 勤労者世帯の1か月平均消費支出は408,678円で、前年に比べ名目で4.7%の減少、実質でも4.3%の減少(全国平均実質1.2%減少)となった。 
 近年の動きをみると、平成7年以降5年連続の増加となった後、平成12年に減少に転じたが、13年は物価の下落により実質増加となった。14年は名目、実質とも大幅に増加となったが、15年は名目、実質とも大幅に減少した。(図16

図16 消費支出の対前年増加率(富山市勤労者世帯)
 費目別にみると「食料」、「光熱・水道」が増加となった。
 一方、「住居」、「家具・家事用品」、「被服及び履物」、「保健医療」、「交通・通信」、「教育」、「教養娯楽」、「その他の消費支出」は減少となった。
  イ 非消費支出
 税金、社会保険料などの非消費支出は、1か月平均106,023(全国平均84,081)で、前年に比べ名目4.1%の減少(全国平均名目2.0%減少)となった。
 5 平均消費性向、黒字率、平均貯蓄率等の推移
  ―平均貯蓄率は全国1位―
 平均消費性向(可処分所得に占める消費支出の割合)は65.1%(全国平均74.0%)となり、前年より4.5ポイント低下した。
 富山市の近年の動きをみると、平成10年は大幅に低下し全国最下位となったが、11年からは可処分所得の落ち込みにより上昇してきた。15年は可処分所得が増加し、消費支出が減少したため低下した。
  黒字(可処分所得−消費支出)は、219,268(全国平均114,638)で、前年に比べ名目で、16.9%の増加(全国平均5.9%減少)となり、全国1位である。
 黒字率(可処分所得に占める黒字額の割合)は34.9%(全国平均26.0%)となり、前年より4.5ポイント上昇した。
 黒字のうち貯蓄純増は187,601円(全国平均73,727円)で、前年に比べ名目で23.4%の増加(全国平均7.7%減少)となった。この結果、平均貯蓄率(可処分所得に占める貯蓄純増の割合)は29.9%(全国平均16.7%)で、前年より5.2ポイント上昇し、全国1位となった。(図17)
図17 平均消費性向の推移(勤労者世帯)



図18 家計収支バランス(勤労者世帯)
(平成15年平均1世帯当たり1か月の収入と支出)


 6 全国からみた富山市の勤労者世帯の特徴
  ―実収入 6年連続全国1位、消費支出 3年連続全国1位―

 平成15年富山市勤労者世帯の1世帯当たりの実収入(733,970円)は、全国平均(524,542円)の1.4倍にもなり、2位の福島市の634,820円からも大きく乖離し、6年連続全国1位となった。
 これは、世帯主の勤め先収入が全国16位で、世帯の中の有業人員も1.87(全国3位)と多くなったことに加え、配偶者の収入は全国1位他の世帯員の収入も全国1位となったことが大きく貢献していることによる。
 また、世帯内に65歳以上の人員も多いことから、他の経常収入の中の公的年金給付が多い(66,273円:全国1)ことも見逃せない要因のひとつとなっている。
 一方、消費支出も平成12年全国2位、13年1位、14年(428,877円)1位、15年(408,678円)1位と常に全国トップレベルに位置している。
 しかし、平均消費性向は低く、消費にまわらない残りは、貯蓄と住宅ローンの返済等に向けられ、平均貯蓄率は前年より上昇して全国1位となった。また、黒字の中の土地家屋借金純減*(8,633)は全国平均(28,079)より低い水準となった。(表13、表14(* 土地家屋借金純減=土地家屋借金返済―土地家屋借入金)
 
表13 世帯構成


                          表14 1世帯当たり1か月間の主な収入の推移                単位 : 円
        
         ( )書きは、社会保障給付のうち公的年金
 


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