特集

南砺市の移住・定住施策について

南砺市 市民協働部 南砺で暮らしません課

 

1 はじめに


南砺市は、人口約50,700人。富山県の南西端に位置し、北部は砺波市と小矢部市、東部は富山市、西部は石川県金沢市と白山市、南部は1,000〜1,800m級の山岳を経て岐阜県飛騨市、白川村と隣接しています。

面積は668.86km2(東西約26km、南北約39km)で、そのうち約8割が白山国立公園等を含む森林であるほか、岐阜県境に連なる山々に源を発して庄川や小矢部川の急流河川が北流するなど、豊かな自然に恵まれています。

また、本市北部の平野では、水田地帯の中に美しい「散居村」の風景が広がり、独特の集落景観を形成しています。

気候は、典型的な日本海側気候で、散居村が広がる平野部では西風や冬の雪、夏の暑い日差しを遮る屋敷林(カイニョ)で家屋を守っています。また、特別豪雪地帯に指定されている山間部では積雪が多く、最大3mを越えることもあります。

< 散居村の風景 >

2 移住・定住事業への取り組み


事業を所管している「南砺で暮らしません課」は、庁舎ではなく、ショッピングセンターの中にある市民活動の拠点「南砺市協働のまちづくり支援センター」内にあります。

年末年始のみ休館しますが、土日祝日・平日ともに毎日午前10時〜午後7時までオープンし、きめ細やかな相談体制を整え、定住・空き家対策や婚活支援、協働のまちづくり事業に取り組んでいます。

移住・定住事業は、次の図にありますように、①「知る・伝える」(情報発信事業)、②「体験する、受入れる」(移住準備事業)、③「移住・定住へ」(定住サポート事業)の3つの段階でそれぞれの施策を実施しています。

なかでも、②「体験する、受入れる」(移住準備事業)では、日程の特定される移住体験ツアーのほか、いつでもご希望の日程でご案内する「わがまま移住ガイド」事業を通年実施し、移住希望者個々の思いに沿ったオーダーメイドの現地案内を行っています。

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このような取り組みから、「田舎暮らしの本」などで発表される「住みたい田舎」ベストランキングでは、常に上位にランクインし、反響を得ています。最新の2020年度版第8回住みたい田舎ベストランキングでは、北陸エリアで5年連続1位を獲得しました。豊富な移住支援策や古くからの街並みを残しつつ、生活施設が充実している点など、子育てや移住に対する手厚いサポートなどが評価されたものです。また、「婚活に熱心な田舎」部門でも全国3位に選ばれるなど、さまざまな取り組みが評価され、知名度の高まりを実感しています。

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3 関係人口への取り組み


近年、「関係人口」というキーワードが関心を集めていますが、南砺市ではこれに先立ち平成28年度から「応援市民」という仕組みをスタートしています。

これは、市外に住みながらも南砺市を愛し、地域課題の解決に取り組んでくれる人を応援市民として登録し、市の振興やまちおこしなどに貢献してもらうものです。登録者数は昨年12月末現在で前年比211人増の767人に達しており、今後もさらに登録者数の増加を目指しています。

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また、平成30年度からは、副業人材に焦点を当てたプロジェクトである「Skill Shift(スキルシフト)」事業を実施しています。市内の中小企業の不足人材(スキル)と、都市部企業の中核人材を「副業人材」として繋ぐもので、南砺市商工会、南砺市、副業プラットフォーム運営事業者の3者で連携協定を結び、都市部人材と地域企業のマッチングを促進しています。経営企画やマーケティング、商品開発などの専門分野における高スキルの人材が得られ、事業マッチング率も非常に高く、掲載企業の募集にはすべて応募がある状況です。うち、1名は移住にも結びつきました。このように「副業」を通じた良質で継続的な関係人口の創出を目指しています。

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さらに、令和元年10月からは、地方に関心を持っている人や、地域課題の解決に興味のある人と地方を結びつけるマッチングサイトである「SMOUT(スマウト)」を運用しています。担い手不足など地域の抱える課題をマッチングサイトに地域プロジェクトとして掲載できるため、地域が主体性をもった事業の企画が可能であり、かつ、それに見合った人材を直接スカウトできる仕組みであることから、反響も大きく、手応えを感じています。

この事業は、南砺市地域づくり協議会、南砺市、マッチングサイト運営事業者の3者で連携協定を結び実施しており、地域課題解決を通じ生まれた関係人口の将来的な移住・定住の促進が期待されます。

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このように、応援市民、スキルシフト、スマウトなどそれぞれのターゲットに向けた中長期的な関係人口の創出に向け、取り組みを進めています。


4 おわりに


今後も移住・定住施策を積極的に推進し、関係人口事業への取り組みもさらに発展させ、関係を深めながら選ばれる「一流の田舎」を目指していきます。




とやま経済月報
令和2年2月号