ジニ係数の値について、どれくらいで格差が大きく、どれくらいなら許容範囲かなどの評価は直感的にはわかり難い。
しかし、ジニ係数がgで、社会全体が富裕層と貧困層に分かれ r:1−r の比だとした場合、富裕層の所有割合が、r+gとなることを目安に考えると、ある程度の感覚的把握が可能になる。
例えば、ジニ係数が 0.3で、富裕層が2割なら、富裕層は全体の5割を所有していることとなる。
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このジニ係数は、面積で決まり、ローレンツ曲線の型に拘わらない。このため、例えば、富裕層と貧困層の比率が異なっていても、同じ係数となることがある。
上記の例で言えば、一人の王様が全体の3割を所有し他の全ての国民について格差がない社会でも、逆に3割の何も持たない奴隷層とその他7割の格差のない市民層の社会の場合でもジニ係数は、0.3である。
なお、この場合について、どちらがより平準度が高いかという明確な定義があるわけではない。
右の表は、筆者の頭の中にある1つの目安であり、実際には、さらに、個々の具体的ケースに当てはめて検討する必要がある。 例えば、住宅・土地に関する資産格差は、借家を積極的に選択する人が一定割合いれば、ジニ係数が大きいだけで問題があることにはならない。 他方、ジニ係数について地域間の比較をする場合、ジニ係数の格差が単にそれぞれの地域の構成員の属性の格差を表している可能性があることに、留意する必要がある。 例えば、単身の学生等が多い学園都市と家族が住む新興住宅都市で世帯資産のジニ係数を比較すれば、学園都市のジニ係数が大きくなることが事前に予想されよう。 |
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