統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
1 総世帯の家計   


 (1) 消費支出の概況

  ―消費支出は、対前年比実質4.2%の減少(全国は1.7%の減少

 平成20年の富山市総世帯(平均世帯人員2.68人、世帯主の平均年齢57.9歳)の消費支出は、1世帯当たり1か月平均293,755円(全国平均261,306円)で、前年に比べ名目2.8%の減少(全国平均0.1%減少)となった。また、消費者物価指数が前年比1.5%の上昇(全国平均1.6%上昇)となったことから、実質でも4.2%の減少(全国平均1.7%の減少)となった。
 総世帯のうち二人以上の世帯(平均世帯人員3.18人、世帯主の平均年齢56.5歳)の消費支出は、1世帯当たり1か月平均342,736円(全国平均296,932円)で、前年に比べ名目4.2%の減少(全国平均0.3%の減少)、実質でも5.6%の減少(全国平均1.9%の減少)となった。

          
図1 消費支出額と対前年実質増減率の推移(富山市)
(1) 平成11年の実数及び平成1112年の増減率は、農林漁家世帯を除いた結果による。
(2) 総世帯については、平成12年から集計が開始されたため、平成11年の実数及び平成1112年の増減率はなし。
※注1、注2については以下の図及び表でも同じ。


    また、二人以上の世帯の消費支出を総世帯の消費支出と比較すると、約1.2倍となった(図2)。

図2 消費支出の内訳



 (2) 消費支出の内訳と対前年実質増減率

  ―住居、交通・通信が増加、教育、教養娯楽が減少
平成20年の総世帯の1か月平均消費支出(293,755円)を費目別にみると、次のような特徴がみられる。

  ア 食 料 <実質減少>
 1世帯当たり61,993円で、名目4.5%、実質5.5%の減少となった。穀類、魚介類、果物、油脂・調味料が実質増加となったが、肉類、乳卵類、野菜・海藻、菓子類、調理食品、飲料、酒類、外食が実質減少となり、全体として実質減少となった。
  イ 住 居 <実質増加>
 1世帯当たり18,866円で、名目36.8%、実質35.3%の増加となった。家賃地代が実質減少となったが、設備修繕・維持が大幅に実質増加したため、全体として実質増加となった。
  ウ 光熱・水道 <実質減少>
 1世帯当たり23,557円で、名目7.6%の増加、実質0.5%の減少となった。電気代、ガス代、上下水道料が実質増加となったが、他の光熱(灯油など)が実質減少となったため、全体として実質減少となった。
  エ 家具・家事用品 <実質増加>
 1世帯当たり8,368円で、名目0.3%、実質3.5%の増加となった。室内装備・装飾品、寝具類、家事雑貨、家事サービスが実質減少となったものの、家庭用耐久財、家事用消耗品が実質増加となったため、全体として実質増加となった。
  オ 被服及び履物 <実質減少>
 1世帯当たり11,135円で、名目5.7%、実質7.6%の減少となった。和服、履物類、被服関連サービスが実質増加となったが、洋服、シャツ・セーター類、下着類、他の被服(靴下など)が実質減少となったため、全体として実質減少となった。
  カ 保健医療 <実質増加>
 1世帯当たり8,915円で、名目0.8%、実質1.0%の増加となった。保健医療用品・器具、保健医療サービスが実質減少となったが、医薬品が実質増加となったため、全体として実質増加となった。
  キ 交通・通信 <実質増加>
 1世帯当たり40,317円で、名目13.2%、実質10.2%の増加となった。交通(鉄道通勤定期代など)、通信(移動電話通信料など)が実質減少となったが、自動車等関係費が実質増加となったため、全体として実質増加となった。
  ク 教 育 <実質減少>
 1世帯当たり7,704円で、名目24.2%、実質24.7%の減少となった。
  ケ 教養娯楽 <実質減少>
 1世帯当たり26,252円で、名目20.8%、実質20.6%の減少となった。教養娯楽用耐久財、教養娯楽用品、書籍・他の印刷物、教養娯楽サービス(宿泊料や入場・観覧・ゲーム代など)のすべてが実質減少となった。
  コ その他の消費支出 <名目減少>
 1世帯当たり86,650円で、名目7.6%の減少となった。諸雑費(理美容サービスなど)、交際費が増加したが、こづかい(使途不明)、仕送り金が減少となった。                  
図3 消費支出の対前年実質増減率に対する費目別寄与度(富山市総世帯)
     (注)1.グラフ中の黒棒の部分は10大費目を表す。                      
         2.「その他の消費支出」、こづかい、交際費、仕送り金の増減率の実質化には、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く
        総合)を用いた。        
           

 

表1 消費支出の費目別対前年実質増減率(富山市総世帯、二人以上の世帯)−平成20年−
項 目 総世帯 二人以上の世帯
月平均額
(円)
構成比
(%)
増減率
(%)
月平均額
(円)
構成比
(%)
増減率
(%)
消費支出 293,755 100.0 -4.2 342,736 100.0 -5.6
食     料 61,993 21.1 -5.5 71,618 20.9 -6.7
 穀類 6,101 2.1 1.6 7,021 2.0 -3.4
 魚介類 7,110 2.4 4.5 8,431 2.5 2.7
 肉類 4,941 1.7 -5.6 6,074 1.8 -10.3
 乳卵類 2,634 0.9 -0.5 3,036 0.9 -6.1
 野菜・海藻 7,649 2.6 -2.8 8,784 2.6 -7.4
 果物 2,496 0.8 12.2 2,832 0.8 15.4
 油脂・調味料 2,598 0.9 1.0 3,012 0.9 -6.3
 菓子類 4,561 1.6 -7.5 5,159 1.5 -13.4
 調理食品 7,887 2.7 -11.2 8,911 2.6 -9.0
 飲料 3,193 1.1 -16.8 3,614 1.1 -9.1
 酒類 3,103 1.1 -3.3 3,782 1.1 2.0
 外食 9,720 3.3 -15.3 10,961 3.2 -14.5
住      居 18,866 6.4 35.3 19,997 5.8 53.5
 家賃地代 5,615 1.9 -0.7 3,631 1.1 -28.7
 設備修繕・維持 13,251 4.5 60.0 16,367 4.8 106.4
光 熱 ・ 水 道 23,557 8.0 -0.5 26,514 7.7 -5.1
 電気代 9,818 3.3 0.8 11,188 3.3 -1.3
 ガス代 5,016 1.7 6.2 5,258 1.5 -1.8
 他の光熱 3,526 1.2 -8.6 3,960 1.2 -19.8
 上下水道料 5,196 1.8 0.3 6,109 1.8 -1.2
家 具 ・家 事 用 品 8,368 2.8 3.5 8,901 2.6 -4.4
 家庭用耐久財 3,215 1.1 22.4 3,114 0.9 4.7
 室内装備・装飾品 766 0.3 -3.2 742 0.2 -24.0
 寝具類 449 0.2 -16.2 560 0.2 -16.0
 家事雑貨 1,562 0.5 -14.2 1,762 0.5 -16.9
 家事用消耗品 1,869 0.6 4.6 2,185 0.6 -0.6
 家事サービス 507 0.2 -7.4 537 0.2 29.4
被 服 及 び 履 物 11,135 3.8 -7.6 12,986 3.8 -5.4
 和服 905 0.3 687.0 1,179 0.3 593.5
 洋服 4,064 1.4 -17.7 4,674 1.4 -11.5
 シャツ・セーター類 2,073 0.7 -22.4 2,463 0.7 -19.0
 下着類 779 0.3 -21.8 926 0.3 -25.1
 生地・糸類 129 0.0 - 136 0.0 -
 他の被服 777 0.3 -11.6 848 0.2 -5.0
 履物類 1,341 0.5 3.0 1,426 0.4 -13.7
 被服関連サービス 1,066 0.4 7.5 1,333 0.4 6.3
保 健 医 療 8,915 3.0 1.0 9,491 2.8 -12.6
 医薬品 1,355 0.5 20.8 1,595 0.5 20.5
 健康保持用摂取品 975 0.3 - 1,027 0.3 -
 保健医療用品・器具 1,638 0.6 -4.1 1,812 0.5 -21.7
 保健医療サービス 4,946 1.7 -1.4 5,057 1.5 -18.0
交 通 ・ 通 信 40,317 13.7 10.2 48,348 14.1 12.5
 交通 3,744 1.3 -2.7 4,220 1.2 -7.3
 自動車等関係費 26,284 8.9 18.6 32,519 9.5 27.9
 通信 10,289 3.5 -2.0 11,609 3.4 -10.2
教     育 7,704 2.6 -24.7 9,947 2.9 -30.0
教 養 娯 楽 26,252 8.9 -20.6 30,256 8.8 -15.5
 教養娯楽用耐久財 2,764 0.9 -38.8 3,521 1.0 -24.2
 教養娯楽用品 5,158 1.8 -16.7 5,957 1.7 -16.1
 書籍・他の印刷物 3,892 1.3 -6.8 4,224 1.2 -8.3
 教養娯楽サービス 14,437 4.9 -18.1 16,553 4.8 -12.3
その他の消費支出 86,650 29.5 -9.0 104,678 30.5 -12.1
 諸雑費 23,160 7.9 6.9 27,330 8.0 7.7
 こ づ か い 30,444 10.4 -21.3 39,507 11.5 -26.3
 交際費 26,714 9.1 1.7 29,836 8.7 4.0
 仕 送 り 金 6,332 2.2 -22.8 8,005 2.3 -28.1
   (注)  「その他の消費支出」、こづかい、交際費、仕送り金の増減率の実質化には、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く
      総合)を用いた。

(3) 消費支出の費目別構成比


 住居、交通・通信が上昇、食料、教育、教養娯楽が低下

 平成20年の総世帯の消費支出の費目別構成比をみると、「食料」の占める割合(エンゲル係数)は、調理食品や飲料の減少などにより、前年に比べ0.4ポイント低下して21.1%となった。
 また、自動車等関係費が上昇した「交通・通信」(13.7%)が1.9ポイント、設備修繕・維持が上昇した「住居」(6.4%)が1.8ポイント、「光熱・水道」(8.0%)が0.8ポイント、「保健医療」(3.0%)が0.1ポイントそれぞれ上昇した。
 一方、教養娯楽サービスが低下した「教養娯楽」(8.9%)が2.1ポイント、こづかいが低下した「その他の消費支出」(29.5%)が1.5ポイント、「教育」(2.6%)が0.8ポイント、「被服及び履物」(3.8%)が0.1ポイントそれぞれ低下した。
 なお、「家具・家事用品」(2.8%)は前年と変わらなかった。

図4 消費支出費目別構成比の推移(富山市総世帯)

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