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鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)感染症患者に関する情報

 A(H7N9)感染症患者に関する投稿論文等の情報をお知らせします。なお、邦訳したタイトルや概要については、富山県感染症情報センターで作成したものであり、原文を直訳したものではないこと申し添えます。



1. 中国における新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスによる死亡例(掲載日2013/4/11)
 雑誌「Emerging Microbes & Infections」に掲載された初めての症例報告の論文の紹介です。患者は上海在住の52歳の女性で、発病日(3月27日)から亡くなるまで(4月3日)の臨床症状と胸部CT画像、治療内容が記されています。発病当初は、悪寒・発熱(40.6度)の症状が中心で、後半になり、咳や息切れなどの症状が伴うようになります。最後は、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を伴い亡くなっています。 

(原文)Feifei Yang et al. A fatal case caused by novel H7N9 avian influenza A virus in China. Emerging Microbes & Infections (2013) 2, e19; doi:10.1038/emi.2013.22

▼当該論文については、次のサイトで閲覧できます。▼

http://www.nature.com/emi/journal/v2/n4/full/emi201322a.html


2.新型の鳥由来のインフルエンザA(H7N9)ウイルス感染事例(2013/4/15)
 雑誌「The New England Journal of Medicine」に掲載された症例報告の論文の紹介です。
 中国で鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染して亡くなった3名の患者(@87歳男性、上海市在住、A27歳男性、上海市在住、B35歳女性、安徽省在住)の臨床症状と胸部CT画像、治療内容が記されています。全ての患者は、発熱・咳・呼吸困難の症状を示しました。内2人(AB)は、発症前1週間にニワトリへの暴露歴がありました。最後は、急性呼吸促迫症候群(ARDS)と多臓器不全を伴い亡くなっています。
(原文)
Rongbao Gao, et al. Human infection with a novel avian-origin influenza A (H7N9) virus. The New England Journal of Medicine April 11, 2013
▼当該論文については、次のサイトで閲覧できます。▼
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1304459?query=featured_home
▼当該論文のPDFはこちらになります▼
http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1304459

3.初期の報告:中国における鳥インフルエンザA(H7N9)発生の疫学(2013/4/25)
 雑誌「The New England Journal of Medicine」に掲載された論文の紹介です。
 中国で鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの感染が確認された82名のデータの疫学的特徴をまとめたものです。年齢の中央値は63歳(2〜89歳)で、男性が73%、都市部居住者が84%です。解析が可能であった者77名のうち、家禽農場の労働者が4名で、動物への暴露歴があった者は77%でした(そのうち、ニワトリへの暴露は76%)。暴露者は「生きた動物を販売する市場」で働く人やそこを訪れた人です。17名(21%)は亡くなっており、発症から死亡までの期間は中央値11日でした。重症者60名は治療中で、軽症者4名は既に退院しています。
(原文)
Qun Li, M.D., et al. Preliminary report: Epidemiology of the avian influenza A (H7N9) outbreak in China. The New England Journal of Medicine April 24, 2013
▼当該論文については、次のサイトで閲覧できます。▼
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1304617?query=featured_home
▼当該論文のPDFはこちらになります▼
http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1304617

4.ヒトに重篤な病気をもたらす鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの出現(2013/5/2)
 米国CDC-MMWRに掲載された報告です。4月29日までに確認された鳥インフルエンザA(H7N9)患者(126例)に関するまとめです。疫学デー タについては、4/24付けのNEJMの内容とほぼ同じです。米国における「中国を旅行して帰国後に発熱等の症状を示した症例」は、4/29までに37例 報告されていますが、A(H7N9)ウイルスの感染は確認されていません。検査の結果、季節性インフルエンザ(7例)、ライノウイルス(1例)、RSウイ ルス(1例)、インフルエンザA型B型ともに陰性(28例)でした。
(原文)
CDC. Emergence of avian influenza A(H7N9) virus causing severe human illness ― China, February-April 2013. MMWR Early Release/Vol.62 May 1, 2013

▼当該論文については、次のサイトで閲覧できます。▼
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm62e0501a1.htm?s_cid=mm62e0501a1_e
▼当該論文のPDFはこちらになります▼
http://www.cdc.gov/mmwr/pdf/wk/mm62e0501.pdf

5.鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの感染源は「生きた鳥を扱う市場」が重要(2013/5/2)
 国際獣疫事務局(OIE)と中国農業省は4月30日までに、鳥インフルエンザA (H7N9)の現地調査を合同で実施し、ウイルスが家禽農場ではなく「生きた鳥を扱う市場(生鳥市場)」が人への感染と関連しているとの結果を発表しました。これまでの調査では家禽農場においては人や動物の感染は確認されていないとのことです。調査チームは、人への感染は、生鳥市場でウイルスに感染した鳥やウイルスに汚染された環境に暴露した際におこると考えています。
http://www.oie.int/for-the-media/press-releases/detail/article/oie-expert
-mission-finds-live-bird-markets-play-a-key-role-in-poultry-and-human-infections-with-infl/


6.生鳥市場から分離された鳥インフルエンザH7N9ウイルスの特徴―H7N9ウイルスのヒトへの感染源を示唆(2013/4/15)
 上記OIEの情報に関連して、この文献中でも「上海の生鳥市場の検体(280)中20検体(7.1%)からA(H7N9)ウイルスを検出したが、上海市や安徽省の家禽農場からはA(H7N9)ウイルスを検出できなかった」ことが記されています。
(原文)
JianZhong Shi, et al. Isolation and characterization of H7N9 viruses from live poultry markets―Implication of the source of current H7N9 infection in humans. Chinese Science Bulletin April 15, 2013
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11434-013-5873-4