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(2) 主な費目の特徴
主な費目について富山市の家計の特徴を見ると、次のようになる。なお、特に「富山県」の記載がない限り、全国順位は都道府県庁所在市別順位である。
エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合)が、緩やかな低下の後、近年横ばいの傾向にある中、食料費に占める米の割合も低下し、平成18〜20年平均では、富山市3.8%(全国平均3.6%)と、約30年前の水準の2分の1以下まで落ち込んだ。米消費の減少の背景には、家族構成の変化や、食生活の多様化により世帯の選択肢が広がったことなどがあると考えられる。一方、食料費に占めるパンの割合は緩やかに上昇してきたが、近年は横ばい傾向にあり、平成18〜20年平均では富山市3.1%(全国平均3.3%)となった(図11、12)。
なお、米離れとはいえ、富山市の米への平成18〜20年平均の1世帯当たり年間の支出金額は35,715円(全国平均 30,959円、品目分類)で全国4位、年間の購入数量は104.18s(全国平均 86.33s、品目分類)で全国2位である。
図11 エンゲル係数の推移(二人以上の世帯、用途分類)
図12 食料費に占める米とパンの割合(二人以上の世帯、用途分類、3年移動平均)
イ 副食では魚が中心
富山市の魚介類への1世帯当たり年間の支出金額は、常に全国のトップクラスに位置する。平成18〜20年平均では、ぶり、いか、えび、魚介の漬物(みそ漬、昆布締め等)が全国1位となっている(表2)。特にぶりや魚介の漬物は単年で見ても全国1位を保っており、ぶりは37年連続、魚介の漬物は20年連続して全国1位である。
富山湾を臨み、豊富な水産資源に恵まれ、新鮮な食材が手に入りやすいことに加え、主として保存を目的として工夫されてきた多様な食べ方が地域に根づいていることなども背景にあると考えられる。魚は富山市の食生活に密接に関わっているといえる。
食料費に占める魚介類と肉類の割合を全国比較すると、富山市では魚介類の割合が全国平均を上回り、反対に肉類は全国平均を下回っている(図13)。
表2 食品における富山市民の嗜好(二人以上の世帯、品目分類)
平成20年 | 平成18〜20年平均 | ||
支出金額 | 1位 | ぶり いか 魚介の漬物(みそ漬、昆布締め等) こんぶ コーヒー飲料 |
もち ぶり いか えび 魚介の漬物(みそ漬、昆布締め等) ソーセージ こんぶ コーヒー飲料 |
2位 | さしみ盛り合わせ ハム カツレツ 清酒 ビール |
他の貝(つぶ貝、蛤等) だいこん漬 はくさい漬 オレンジ ゼリー チョコレート チョコレート菓子 カツレツ ビール |
|
3位 | もち かまぼこ ソーセージ たけのこ だいこん漬 はくさい漬 他の調理食品のその他(焼肉、魚の照焼等) ココア・ココア飲料 |
カップめん さしみ盛り合わせ かまぼこ ハム たけのこ こんぶつくだ煮 せんべい 天ぷら・フライ |
|
45位 | ミネラルウォーター 焼ちゅう | 鶏肉 | |
46位 | かつお 鶏肉 バター 卵 食用油 | かつお節・削り節 食用油 酢 ケチャップ | |
47位 | 干しのり ケチャップ マヨネーズ・ドレッシング | マヨネーズ・ドレッシング | |
購入数量 | 1位 | ぶり さしみ盛り合わせ ハム こんぶ ビール |
もち ぶり ハム ソーセージ こんぶ だいこん漬 |
2位 | チーズ | 米 カップめん いか えび さしみ盛合わせ ばれいしょ 豆腐 はくさい漬 こんぶつくだ煮 オレンジ ビール |
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3位 | 豆腐 こんぶつくだ煮 オレンジ 清酒 | 卵 たけのこ | |
45位 | ピーマン 食用油 ケチャップ | バター 酢 マヨネーズ・ドレッシング | |
46位 | 他のめん類(ワンタンの皮、ビーフン等) 鶏肉 バター たまねぎ |
鶏肉 ピーマン | |
47位 | 酢 マヨネーズ・ドレッシング | ― |
図13 食料費に占める魚介類と肉類の割合(二人以上の世帯、用途分類、3年移動平均)
魚介類のほか、平成18〜20年平均の1世帯当たり年間の支出金額や購入数量が多いものとして、こんぶ、もち、ソーセージ、コーヒー飲料がある。とりわけ、こんぶの支出金額は富山市が突出しており、単年でみても、49年連続で全国1位となっている(表2、図14)。
ソーセージとハムが分類される「加工肉」は支出金額が全国1位となっており、カツレツと天ぷら・フライが分類される「他の調理食品」は全国3位となっている。この背景として、女性の就業率が高いことが一つの要因として考えられる(富山県 50.8%、全国5位:総務省「国勢調査」(平成17年))。
また、購入数量が上位で、支出金額が下位のものに豆腐、卵があり、低価格のものを多く購入していると考えられる(豆腐:購入数量 全国2位、支出金額 全国37位。卵:購入数量 全国3位、支出金額 全国39位。)。
富山市の平成18〜20年平均の酒類への1世帯当たり年間の支出金額は、55,484円で全国3位となっている。内訳をみると、清酒(11,857円、全国4位)、ビール(22,248円、全国2位)、発泡酒(8,145円、全国8位)が全国上位である。
酒類の1世帯当たり年間の購入数量の推移は図15のとおりであるが、清酒・ビールとも全国的に減少傾向にあるなかで、富山市の年間の購入数量は、ここ数年、増加傾向にある。特にビールについては、購入数量は42.6g(全国平均32.3g)で全国2位となっている。
なお、平成19年度の富山県の成人一人あたりの清酒消費数量は10.3g(全国平均6.4g)と全国平均を大きく上回っており、全国3位である(国税庁「酒のしおり」(平成21年3月))。
表3 1世帯当たり年間の酒類の支出金額(二人以上の世帯、品目分類、平成18〜20年平均)
酒類 | ||||||||
うち 清酒 | うち ビール | うち 発泡酒 | ||||||
金額 | 順位 | 金額 | 順位 | 金額 | 順位 | 金額 | 順位 | |
富山市 | 55,484 | 3 | 11,857 | 4 | 22,248 | 2 | 8,145 | 8 |
全 国 | 44,473 | − | 7,183 | − | 16,733 | − | 5,997 | − |
図15 1世帯当たり年間の酒類の購入数量(二人以上の世帯、品目分類、3年移動平均)