統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
1 総世帯の家計


 (1) 消費支出の概況
  ―消費支出は、対前年比実質2.9%の減少(全国は0.1%の減少)−
 平成17年の富山市総世帯(平均世帯人員2.79人、世帯主の平均年齢55.7歳)の消費支出は、1世帯当たり1か月平均319,685円(全国平均266,508円)で、前年に比べ名目2.9%の減少(全国平均0.5%減少)となった。また、消費者物価指数が前年と同水準(全国平均は0.4%の減少)となったことから、実質でも2.9%の減少(全国平均0.1%の減少)となった。
 全国平均の対前年増減率について、最近の動きをみると、消費マインドの悪化や所得の減少などから、平成13年から平成15年まで総世帯の集計開始(平成12年)以来3年連続の実質減少となった。平成16年はゴールデンウィークの曜日配列が良かったこともあって、外国パック旅行費などの教養娯楽に対する支出が増えたことなどから、総世帯の集計開始以降初めての実質増加(0.5%)となった。平成17年は、前年がうるう年だったことによる日数減などから実質0.1%の減少と再び実質減少となった。
 一方、富山市の消費支出は総世帯の集計開始以来、平成13年から17年まで増減を繰り返している(図1)。
          
図1 消費支出の対前年実質増減率(富山市)
        (注1)平成11年以前の実数及び平成12年以前の増減率は、農林漁家世帯を除いた結果による。
        (注2)総世帯については、平成12年から集計が開始されたため、平成11年以前の実数及び平成12年以前の増減率はなし。
        ※
注1及び注2については、以下の図及び表でも同じ。


 (2) 消費支出の内訳と対前年実質増減率

  ―食料、光熱・水道、保健医療が増加、住居、教育が大幅減少
平成17年の総世帯の1か月平均消費支出(319,685円)を費目別にみると、次のような特徴がみられる。

  ア 食 料 <実質増加>
 1世帯当たり65,649円で、名目0.7%の減少、実質0.6%の増加となった。魚介類、肉類、野菜・海藻などの費目が実質減少となったが、菓子類、酒類、外食が実質増加となり、全体として実質増加となった。
  イ 住 居 <実質減少>
 1世帯当たり15,676円で、名目44.4%、実質44.3%の減少となった。家賃地代が実質増加となったが、設備修繕・維持が実質減少となったため、全体として実質減少となった。
  ウ 光熱・水道 <実質増加>
 1世帯当たり23,397円で、名目3.4%、実質0.2%の増加となった。電気代、ガス代が実質減少となったが、他の光熱(灯油など)、上下水道料が実質増加となったため、全体として実質増加となった。
  エ 家具・家事用品 <実質減少>
 1世帯当たり9,165円で、名目4.0%、実質1.5%の減少となった。家庭用耐久財、室内装備・装飾品、家事サービスが実質増加となったものの、寝具類、家事雑貨、家事用消耗品が実質減少となったため、全体として実質減少となった。
  オ 被服及び履物 <実質減少>
 1世帯当たり11,539円で、名目10.5%、実質11.5%の減少となった。男子用靴下などの「他の被服」、履物類が実質増加となったが、これを除く全ての費目が実質減少となったため、全体としても実質減少となった。
  カ 保健医療 <実質増加>
 1世帯当たり12,405円で、名目20.5%、実質22.1%の増加となった。すべての費目が実質増加となった。
  キ 交通・通信 <実質減少>
 1世帯当たり34,672円で、名目5.9%、実質7.4%の減少となった。移動電話通信料などの通信が実質増加となったが、鉄道通勤定期代などの交通、自動車等関係費が実質減少となったため、全体としても実質減少となった。
  ク 教 育 <実質減少>
 1世帯当たり7,083円で、名目29.3%、実質29.5%の大幅な減少となった。
  ケ 教養娯楽 <実質増加>
 1世帯当たり28,938円で、名目0.4%、実質0.3%の増加となった。教養娯楽用耐久財、書籍・他の印刷物が実質減少となったものの、教養娯楽用品、宿泊料や入場・観覧・ゲーム代などの教養娯楽サービスが実質増加となったため、全体として実質増加となった。
  コ その他の消費支出 <名目増加>
 1世帯当たり111,162円で、名目6.9%の増加となった。理美容サービスなどの諸雑費、交際費、仕送り金が減少となったが、こづかいが増加となった(図2、表1)。                            


  図2 消費支出の費目別対前年実質増減率(富山市総世帯)
  
表1 費目別月平均額及び構成比、月平均額の対前年実質増減率(富山市総世帯)

項 目 平成17年 16年 15年 14年
月平均額
(円)
構成比(%) 増減率(%) 増減率(%) 増減率(%) 増減率(%)
消  費  支  出 319,685 100.0 -2.9 7.7 -6.2 3.0
  食    料 65,649 20.5 0.6 -0.6 3.1 -8.2
    穀 類 5,900 1.8 1.2 -5.9 9.3 -11.0
    魚 介 類 7,577 2.4 -0.9 -7.7 3.8 -9.4
    肉 類 4,661 1.5 -1.5 -1.5 4.1 -13.3
    乳 卵 類 2,839 0.9 -3.2 7.6 -8.1 -4.2
    野 菜 ・ 海 藻 7,803 2.4 -1.5 3.6 -2.3 -5.8
    果 物 2,661 0.8 -2.3 -1.2 -4.5 0.3
    油 脂 ・調 味 料 2,525 0.8 -2.3 11.4 2.2 -11.2
    菓 子 類 4,446 1.4 3.1 2.5 8.6 -3.0
    調 理 食 品 7,717 2.4 -0.3 -0.6 3.3 -10.0
    飲 料 3,597 1.1 -2.0 18.6 12.8 -12.4
    酒 類 3,259 1.0 20.7 -10.0 -5.1 -14.5
    外 食 12,664 4.0 3.0 -4.3 5.1 -4.6
  住    居 15,676 4.9 -44.3 66.2 14.5 11.8
   家 賃 地 代 6,944 2.2 50.1 -35.8 36.6 -35.5
    設 備 修 繕 ・維 持 8,731 2.7 -62.9 140.9 2.4 85.2
  光 熱 ・ 水 道 23,397 7.3 0.2 4.6 -0.2 -4.2
   電 気 代 9,119 2.9 -3.9 8.9 -4.6 1.7
    ガ ス 代 5,136 1.6 -8.1 -1.3 10.7 -8.9
  家具 ・ 家事用品 9,165 2.9 -1.5 23.7 -10.1 21.7
    家 庭 用 耐 久 財 3,181 1.0 6.6 38.1 -4.0 29.5
  被 服 及 び 履 物 11,539 3.6 -11.5 3.6 -15.3 12.3
    洋 服 3,886 1.2 -22.8 1.6 -9.4 18.6
  保 健 医 療 12,405 3.9 22.1 5.7 -7.3 15.2
  交 通 ・ 通 信 34,672 10.8 -7.4 8.3 -10.3 0.7
    交 通 3,736 1.2 -4.4 13.4 -21.3 5.8
    自動車等 関係費 20,264 6.3 -11.5 14.3 -20.2 -0.9
    通 信 10,673 3.3 4.2 -2.7 19.9 3.0
  教 育 7,083 2.2 -29.5 0.5 -6.6 1.3
  教 養 娯 楽 28,938 9.1 0.3 12.0 -9.9 5.1
   教養娯楽用耐久財 2,250 0.7 -21.5 80.2 -36.5 32.5
    教養娯楽サービス 16,382 5.1 6.6 3.4 -2.4 4.9
  その他の消費支出※ 111,162 34.8 6.9 2.4 -11.7 6.6
    諸 雑 費 20,942 6.6 -4.6 -4.8 -12.2 32.9
    こ づ か い ※ 51,471 16.1 45.2 -6.4 -7.3 -9.2
    交 際 費 28,046 8.8 -19.8 31.7 -19.6 10.9
    仕 送 り 金 ※ 10,703 3.3 -8.5 -17.3 -5.5 13.7
(注1) ※印は名目増減率
(注2) 交際費の実質増減率は、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で実質化した。

          
また、総世帯の消費支出を二人以上の世帯(375,747円)と比較すると、0.85倍となった(図3)。

図3 消費支出の内訳


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