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平成12年の富山市全世帯(平均世帯人員3.30人、世帯主の平均年齢52.3歳)の消費支出は、1世帯当たり1か月平均384,129円(全国平均317,133円)で、前年に比べ名目(-)5.8%の減少(全国平均(-)1.8%減少)となった。また、消費者物価指数が(-)0.5%(全国平均(-)0.9%)と下落したことから、実質でも(-)5.4%の減少(全国平均(-)0.9%減少)となった。
全世帯の最近の動きをみると、全国平均の対前年増加率は、依然厳しい所得環境が消費の重しとなって、平成5年以降8年連続の実質減少(調査開始以来初めてのこと)となった。
それに対し、富山市の消費支出は実質で平成元年から8年までは増減を繰り返し、9年から3年連続の実質増加の後、12年は減少に転じた。(図1)
1か月の消費支出を1人当たりでみると、平成12年は116、403円で前年に比べ実質(-)2.8%の減少となった(全国平均97、881円 (+)0.9%の増加)。
元年と比較すると1人当たりの消費支出は、全国平均が1.18倍の伸びに対し、富山市は1.42倍と大きく伸びた。 (図2)
1世帯当たり77,750円で、名目(-)3.9%、実質(-)1.8%の減少となった。果物、油脂・調味料、調理食品、酒類、外食が実質増加となる一方、穀類、魚介類、肉類、乳卵類、野菜・海藻、菓子類、飲料が実質減少となった。イ 住 居 <実質減少>
1世帯当たり16,864円で、名目(-)3.9%、実質(-)3.7%の減少となった。設備修繕・維持が実質増加となったものの、家賃地代が大幅に実質減少し、全体として実質減少となった。ウ 光熱・水道 <実質増加>
1世帯当たり23,551円で、名目0.0%、実質(+)2.8%の増加となった。ガス代、上下水道料が大幅な実質減少となったが、電気代、他の光熱が実質増加となったため、全体として実質増加となった。エ 家具・家事用品 <実質減少>
なお、光熱・水道は平成8年以降5年連続して実質増加となっている。
1世帯当たり11,977円で、名目(-)16.1%、実質(-)13.6%の大幅減少となった。家事雑貨、家事用消耗品が実質増加となったものの、家庭用耐久財、寝具類、家事サービスが大幅な実質減少となったため、全体としても大幅な実質減少となった。オ 被服及び履物 <実質減少>
1世帯当たり17,643円で、名目(-)2.8%、実質(-)3.0%の減少となった。生地・糸類、マフラー・スカーフなどの「他の被服」が実質増加となったものの、それ以外すべて実質減少となった。カ 保健医療 <実質増加>
1世帯当たり10,919円で、名目(+)1.7%、実質(+)1.8%の増加となった。医薬品、保健医療用品・器具が実質増加、保健医療サービスは実質減少となった。キ 交通・通信 <実質増加>
1世帯当たり38,043円で、名目(+)18.9%の増加、実質(+)17.8%の増加となった。鉄道運賃などの交通が実質減少となったものの、自動車等関係費、電話通信料や通信機器などの通信が実質増加となったため、全体としては実質増加となった。ク 教 育 <実質減少>
1世帯当たり11,683円で、名目(-)13.8%、実質(-)14.5%の減少となった。教科書・学習参考教材、補習教育が実質増加となったものの、授業料等が大幅な実質減少となったため、全体で実質減少となった。 なお、教育は平成9年以降3年連続して実質増加となっていたが、今回減少に転じた。ケ 教養娯楽 <実質増加>
1世帯当たり33,602円で、名目、実質ともに(+)3.4%の増加となった。パソコン・ワープロなどの教養娯楽用耐久財が大幅な実質減少となったが、ウエイトの大きいパック旅行費などの教養娯楽サービス、教養娯楽用品、書籍・他の印刷物が実質増加となり、全体で実質増加となった。コ その他の消費支出 <名目減少>
1世帯当たり142,096円で、名目(-)13.7%の減少となった。交際費が実質増加となったものの、諸雑費、こづかい、仕送り金が大幅な実質減少となったため、全体として実質減少となった。(図3、表1)
(注)交際費の実質増加率は、消費者物価指数(持家の帰属家賃除く総合)で実質化した。
項 目 | 平成12年 | 11年 | 10年 | 9年 | ||
月平均額 (円) |
構成比 (%) |
増加率 (%) |
増加率 (%) |
増加率 (%) |
増加率 (%) |
|
消 費 支 出 | 384,129 | 100.0 | -5.4 | 9.3 | 0.6 | 2.4 |
食 料 | 77,750 | 20.2 | -1.8 | -2.9 | 2.4 | -1.6 |
穀 類 | 7,636 | 2.0 | -4.8 | -2.5 | 3.6 | -4.3 |
魚 介 類 | 10,420 | 2.7 | -6.2 | -6.5 | -0.8 | -3.3 |
肉 類 | 5,909 | 1.5 | -4.9 | 5.6 | -2.1 | -1.0 |
乳 卵 類 | 3,604 | 0.9 | -14.7 | 3.1 | 11.6 | -6.2 |
野菜・海藻 | 9,899 | 2.6 | -5.1 | 6.3 | -5.5 | 9.9 |
果 物 | 3,370 | 0.9 | 4.3 | -7.9 | 4.8 | -1.6 |
油脂・調味料 | 3,130 | 0.8 | 1.9 | 1.7 | -3.4 | 10.7 |
菓 子 類 | 4,979 | 1.3 | -2.6 | -0.6 | 1.0 | 2.2 |
調理 食品 | 8,857 | 2.3 | 3.4 | 2.9 | 2.8 | 4.8 |
飲 料 | 3,414 | 0.9 | -11.2 | 14.3 | -7.4 | 0.3 |
酒 類 | 4,280 | 1.1 | 11.8 | -11.6 | 12.6 | -12.7 |
外 食 | 12,253 | 3.2 | 8.3 | -17.6 | 10.4 | -9.0 |
住 居 | 16,864 | 4.4 | -3.7 | 10.4 | -44.1 | 16.1 |
家 賃 地 代 | 5,339 | 1.4 | -17.4 | 4.0 | -24.5 | 16.3 |
設備修繕維持 | 11,525 | 3.0 | 4.6 | 15.7 | -52.5 | 16.3 |
光 熱・水 道 | 23,551 | 6.1 | 2.8 | 8.1 | 2.5 | 1.0 |
電 気 代 | 10,981 | 2.9 | 5.3 | 9.3 | 1.1 | 2.3 |
ガ ス 代 | 5,147 | 1.3 | -10.1 | 6.8 | -2.1 | -8.5 |
家具・家事用品 | 11,977 | 3.1 | -13.6 | -11.5 | 41.7 | -5.8 |
家庭用耐久財 | 4,383 | 1.1 | -18.5 | -5.5 | 52.0 | 17.9 |
被服及び履物 | 17,643 | 4.6 | -3.0 | -7.5 | 9.4 | -13.8 |
洋 服 | 6,852 | 1.8 | -2.1 | 4.9 | 4.2 | -18.3 |
保 健 医 療 | 10,919 | 2.8 | 1.8 | -3.0 | -2.6 | 24.9 |
交通・通信 | 38,043 | 9.9 | 17.8 | -9.1 | 2.6 | -2.4 |
交 通 | 4,233 | 1.1 | -16.3 | -15.0 | 15.4 | -5.7 |
自動車等関係費 | 24,616 | 6.4 | 33.3 | -14.6 | -5.0 | 0.3 |
通 信 | 9,195 | 2.4 | 6.5 | 9.4 | 19.4 | -7.7 |
教 育 | 11,683 | 3.0 | -14.5 | 17.9 | 16.7 | 0.1 |
教 養 娯 楽 | 33,602 | 8.7 | 3.4 | 5.6 | -3.7 | 2.6 |
教養娯楽用耐久財 | 2,959 | 0.8 | -26.5 | 29.0 | 1.2 | -14.1 |
教養娯楽サービス | 19,096 | 5.0 | 10.6 | 10.4 | -7.5 | 11.2 |
その他の消費支出※ | 142,096 | 37.0 | -13.7 | 29.1 | 4.5 | 8.4 |
諸 雑 費 | 23,711 | 6.2 | -16.2 | -1.4 | 10.3 | -3.3 |
こづかい※ | 65,446 | 17.0 | -15.8 | 95.7 | -15.3 | 30.0 |
交 際 費 | 38,097 | 9.9 | 1.9 | 0.0 | 4.9 | -4.1 |
仕送り金※ | 14,841 | 3.9 | -29.6 | -3.7 | 55.2 | 0.5 |
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(注)1.※印は、名目増加率 2.交際費の実質増加率は、消費者物価指数(持家の帰属家賃除く総合)で実質化した |
平成12年の消費支出の費目別構成比をみると、食料の占める割合(エンゲル係数)は前年に比べ0.4ポイント上昇して20.2%となったほか、「住居」が0.1ポイント、「光熱・水道」が0.3ポイント、「被服及び履物」が0.1ポイント、「保健医療」が0.2ポイント「交通・通信」が2.1ポイント、「教養娯楽」が0.7ポイント上昇した。
一方、前年に比べ「家具・家事用品」が0.4ポイント、「教育」が0.3ポイント、「その他の消費支出」(諸雑費、こづかい、交際費、仕送り金)が3.4ポイント低下した。
また昭和55年以降の推移をみると、大筋で「その他の消費支出」が上昇し、「食料」、「被服及び履物」が低下している。
エンゲル係数の低下は、世帯構造の変化や食に対しての意識の変化が背景にある。
また、昨今の輸入野菜の増加、ハンバーガー、牛丼など外食費を中心として消費者の低価格志向が顕著になったことも支出金額の減少を助長している。 (図4-1、4-2)