統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書

 

全世帯の家計
1消費支出の概況
消費支出の内訳と対前年実質増加率
3消費支出の費目別構成比の推移

1.消費支出の概況


―消費支出は、対前年比実質(+)9.3%の増加(全国(−)1.2%の減少)−

 平成11年の富山市全世帯(平均世帯人員3.39人、世帯主の平均年齢54.3歳)の消費支出額は、1世帯当たり1か月平均407,929円(全国平均323,008円)で、前年に比べ名目(+)9.3%の増加(全国平均(-) 1.6%減少)となった。また、消費者物価指数が0.0%(全国平均(-)0.4%)の同水準だったことから、実質でも(+)9.3%の増加(全国平均(-)1.2%減少)となった。
 全世帯の最近の動きをみると、全国平均の対前年増加率は、景気の低迷の影響を受けて賞与の減少などにより所得の減少が続いたことから平成5年以降7年連続の実質減少(調査開始以来初めてのこと)となった。富山市の消費支出額は平成6年、8年に低下が見られるが、9年以降3年連続の実質増加となった。(図1)

図1 消費支出の対前年増加率(富山市全世帯)

2.消費支出の内訳と対前年実質増加率


―教育、住居が大幅実質増加、家具・家事用品が大幅実質減少―

ア 食 料 <実質減少>

 1世帯当たり80,914円で、名目(-)2.8%、実質(-)2.9%の減少となった。肉類、乳卵類、野菜・海藻、油脂・調味料、調理食品、飲料が実質増加となる一方、穀類、魚介類、果物、菓子類、酒類、外食が実質減少となった。

イ 住 居 <実質増加>

 1世帯当たり17,556円で、名目(+)9.1%、実質(+)10.4%の大幅増加となった。家賃地代、設備修繕・維持がいずれも大幅に実質増加し、特に設備修繕・維持が大きく実質(+)15.7%となった。

ウ 光熱・水道 <実質増加>

 1世帯当たり23,544円で、名目(+)6.2%、実質(+)8.1%の増加となった。電気代、ガス代、他の光熱、上下水道料が実質増加となった。なお、光熱・水道は平成8年以降4年連続して実質増加となっている。

エ 家具・家事用品 <実質減少>

 1世帯当たり14,276円で、名目(-)12.4%、実質(-)11.5%の大幅減少となった。家事用消耗品、家事サービスが実質増加となったものの、寝具類、室内装備・装飾品が大幅な実質減少となったほか、家庭用耐久財、家事雑貨が実質減少となったため、全体として実質減少となった。

オ 被服及び履物 <実質減少>

 1世帯当たり18,155円で、名目(-)5.3%、実質(-)7.5%の減少となった。被服関連サービス、履物類、洋服が実質増加となったものの、和服が大幅に実質減少し、生地・糸類、マフラー・スカーフなどの「他の被服」、シャツ・セーター類、下着類においても実質減少となったため、全体として実質減少となった。

カ 保健医療 <実質減少>

 1世帯当たり10,741円で、名目(-)3.0%、実質(-)3.0%の減少となった。医薬品、保健医療用品・器具が実質増加、保健医療サービスは実質減少となった。

キ 交通・通信 <実質減少>

 1世帯当たり31,983円で、名目(-)9.2%の減少、実質(-)9.1%の減少となった。電話通信料や通信機器などの通信が増加となったが、交通、自動車等関係費が実質減少となったため、全体としては実質減少となった。

ク 教 育 <実質増加>

 1世帯当たり13,549円で、名目(+)20.2%、実質(+)17.9%の大幅増加となった。補習教育が実質減少となったものの、授業料等、教科書・学習参考教材が実質増加となり、全体で実質増加となった。なお、教育は平成9年以降3年連続して実質増加となっている。

ケ 教養娯楽 <実質増加>

 1世帯当たり32,488円で、名目(+)4.5%、実質(+)5.6%の増加となった。パソコン・ワープロなどの教養娯楽用耐久財が大幅な実質増加となったほか、教養娯楽サービスが実質増加となった。一方、書籍・他の印刷物、教養娯楽用品が実質減少となった。

コ その他の消費支出 <名目増加>

 1世帯当たり164,724円で、名目(+)29.1%の増加となった。こづかいが大幅な増加となったため、全体として大幅な増加となった。(図2、表1)

図2 消費支出の費目別対前年実質増加率(富山市全世帯)

表1 費目別対前年実質増加率(富山市全世帯)
平成11年 (単位:%)
項           目 8年 9年 10年 11年 月平均額
(円)
構成比
(%)
消費支出 -0.1 2.4 0.6 9.3 407,929 100.0
食           料 -1.5 -1.6 2.4 -2.9 80,914 19.8
   穀         類 -8.7 -4.3 3.6 -2.5 8,428 2.1
   魚    介    類 -4.3 -3.3 -0.8 -6.5 11,314 2.8
   肉 類 -8.3 -1.0 -2.1 5.6 6,206 1.5
  乳 卵 類 15.1 -6.2 11.6 3.1 4,233 1.0
  野 菜 ・ 海 藻 -8.5 9.9 -5.5 6.3 11,003 2.7
  果 物 7.1 -1.6 4.8 -7.9 3,546 0.9
  油 脂 ・調 味 料 -4.0 10.7 -3.4 1.7 3,073 0.8
  菓 子 類 -6.4 2.2 1.0 -0.6 5,165 1.3
  調 理 食 品 1.0 4.8 2.8 2.9 8,860 2.2
   飲 料 11.1 0.3 -7.4 14.3 3,853 0.9
   酒 類 -7.9 -12.7 12.6 -11.6 3,836 0.9
   外 食 12.4 -9.0 10.4 -17.6 11,398 2.8
住 居 38.8 16.1 -44.1 10.4 17,556 4.3
  家 賃 地 代 47.0 16.3 -24.5 4.0 6,540 1.6
   設 備 修 繕 維 持 35.4 16.3 -52.5 15.7 11,016 2.7
光 熱 ・ 水 道 3.6 1.0 2.5 8.1 23,544 5.8
  電 気 代 4.3 2.3 1.1 9.3 10,414 2.6
   ガ ス 代 12.4 -8.5 -2.1 6.8 5,590 1.4
家具 ・ 家事用品 0.4 -5.8 41.7 -11.5 14,276 3.5
   家 庭 用 耐 久 財 -21.9 17.9 52.0 -5.5 5,730 1.4
被 服 及 び 履 物 -0.8 -13.8 9.4 -7.5 18,155 4.5
  洋 服 2.5 -18.3 4.2 4.9 7,086 1.7
保 健 医 療 -4.6 24.9 -2.6 -3.0 10,741 2.6
交 通 ・ 通 信 7.9 -2.4 2.6 -9.1 31,983 7.8
   交 通 25.9 -5.7 15.4 -15.0 5,058 1.2
   自動車等 関係費 2.0 0.3 -5.0 -14.6 18,014 4.4
   通 信 18.2 -7.7 19.4 9.4 8,911 2.2
教 育 -23.6 0.1 16.7 17.9 13,549 3.3
教 養 娯 楽 7.3 2.6 -3.7 5.6 32,488 8.0
  教養娯楽用耐久財 60.1 -14.1 1.2 29.0 4,337 1.1
   教養娯楽サービス -1.9 11.2 -7.5 10.4 17,061 4.2
  その他の消費支出※ -6.8 8.4 4.5 29.1 164,724 40.4
   諸 雑 費 51.4 -3.3 10.3 -1.4 28,356 7.0
   こ づ か い ※ -15.4 30.0 -15.3 95.7 77,695 19.0
   交 際 費 17.0 -4.1 4.9 0.0 37,587 9.2
   仕 送 り 金 ※ -53.1 0.5 55.2 -3.7 21,086 5.2
 (注)1.※印は名目増加率
    2.交際費の実質増加率は、消費者物価指数上昇率で実質化した。

3.消費支出の構成比推移


―その他の消費支出、教育が増加―

 平成11年の消費支出の費目別構成比をみると、食料の占める割合(エンゲル係数)は前年に比べ2.5ポイント低下して19.8%となった。「その他の消費支出」(諸雑費、こづかい、交際費、仕送り金)が前年に比べ6.2ポイント、「教育」が0.3ポイント上昇した。
 一方、前年に比べ「食料」が2.5ポイント、「交通・通信」が1.6ポイント、「家具・家事用品」が0.9ポイント、「被服及び履物」が0.6ポイント、「保健医療」が0.4ポイント、「教養娯楽」が0.3ポイント、「光熱・水道」が0.1ポイント低下した。なお、「住居」は前年と同水準となった。
 また昭和55年以降の推移をみると、「その他の消費支出」が上昇し、「食料」、「被服及び履物」が低下している。(図3-1、3-2)


図3−1 消費支出(構成比)の推移(富山市全世帯)
図3−2 エンゲル係数の推移(全世帯)
第1表 富山市の1世帯当たり年平均1ヶ月間の支出(全世帯)
第3表 全国の1世帯当たり年平均1ヶ月間の支出(全世帯)