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平成30年住宅・土地統計調査の結果から

統計調査課 人口労働係

 

1 はじめに

住宅・土地統計調査は、我が国の住宅とそこに居住する世帯の居住状況、世帯の保有する土地等の実態を把握し、その現状と推移を明らかにすることにより、住生活関連諸施策の基礎資料を得ることを目的としています。調査は昭和23年以来5年ごとに行われており、平成30年調査はその15回目に当たります。今回の調査は、平成30年10月1日を調査期日として、全国の約370万住戸・世帯(県内は約32,000住戸・世帯)を対象に実施されました。

2 住宅・土地統計調査の結果から

調査の結果は、平成31年4月から令和2年3月まで4回にわたり公表されています。ここでは、その結果をもとにとりまとめた富山県の概要をご紹介します。

※各図表の数値は、表章単位未満の位で四捨五入しているため、総数と内訳の合計は一致しないことがあります。

(1) 住宅・世帯の概況
平成30年10月1日現在における富山県の総住宅数は452,600戸で、平成25年に比べ13,600戸(3.1%)増となっています。
総世帯数は394,000世帯で、平成25年に比べ12,300世帯(3.2%)増となっています。
図1 総住宅数及び総世帯数の推移−富山県(昭和33年〜平成30年)

居住世帯のある住宅は390,900戸(総住宅数に占める割合86.4%)、居住世帯のない住宅は61,600戸(同13.6%)となっています。
居住世帯のない住宅のうち「空き家」は60,000戸で、平成25年に比べ3,800戸増加しています。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.3%で、平成25年から0.5ポイント上昇し、過去最高となっています。
表1 居住世帯の有無別住宅数及び空き家率の推移−富山県(昭和38年〜平成30年)
図2 空き家数及び空き家率の推移−富山県(昭和38年〜平成30年)
空き家の内訳をみると、「その他の住宅」が53.7%と最も多くなっています。平成20 年からの10年間で9.1ポイント上昇しています。

※空き家の「その他の住宅」とは、「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」「二次的住宅」以外の住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅のほか、空き家の区分の判断が困難な住宅などを含みます。

図3 空き家の内訳別割合の推移−富山県(平成20年〜平成30年)
(2) 住宅の状況
居住世帯のある住宅に占める「持ち家」の割合(持ち家住宅率)は76.8%で、平成25年から2.6ポイント低下し、全国2位となっています。「民営借家」の割合は上昇傾向にあり、17.0%となっています。
図4 住宅の所有の関係別割合の推移−富山県(昭和53年〜平成30年)

平成26年以降に住宅の耐震診断が行われた持ち家の割合は6.2%となっています。耐震診断の結果、「耐震性が確保されていた」は89.2%、「耐震性が確保されていなかった」は10.8%となっています。
表2 平成26年以降における住宅の耐震診断の状況別持ち家数及び割合
−富山県(平成30年)
(3) 世帯の居住状況
持ち家に居住する主世帯の普通世帯全体に占める割合(持ち家世帯率)は76.5%で、全国2位となっています。家計を主に支える者の年齢階級別にみると、全国に比べ、若いうちから持ち家志向が高くなっています。

※主世帯:1住宅に1世帯が住んでいる場合はその世帯が「主世帯」。1住宅に2世帯以上住んでいる場合には、そのうちの主な世帯(家の持ち主や借り主の世帯など)が「主世帯」、他の世帯は「同居世帯」。

※普通世帯:住居と生計を共にしている家族などの世帯。家族と一緒に間借りや同居している世帯及び一人で一戸を構えて暮らしている世帯も含まれる。

※持ち家世帯率=持ち家に居住する主世帯数/普通世帯数、持ち家住宅率=持ち家数/居住世帯のある住宅数

図5 家計を主に支える者の年齢階級別持ち家世帯率−富山県、全国(平成30年)

家計を主に支える者が雇用者である普通世帯について、家計を主に支える者の通勤時間をみると、「30分未満」の世帯が約7割を占めています。「30分未満」の通勤時間は、全国平均では約5割、関東大都市圏では約3割であり、富山県の通勤事情が比較的恵まれていることが分かります。
図6 家計を主に支える者(雇用者)の通勤時間別割合
−富山県、全国、3大都市圏(平成30年)
(4) 高齢者のいる世帯の状況
高齢者等のための設備のある住宅の割合は57.9%で、全国で2番目に高くなっています。設備の状況をみると、「手すりがある」が最も多く、51.5%となっています。
図7 高齢者等のための設備がある住宅の割合−富山県(平成30年)

片道15分未満の場所に子が居住している割合は、高齢単身普通世帯で約4分の1、高齢者のいる夫婦のみの普通世帯で約3割となっています。

※高齢単身普通世帯:65歳以上の単身の普通世帯

※高齢者のいる夫婦のみの普通世帯:夫婦とも又はいずれか一方が65歳以上の夫婦のみの普通世帯

図8 子の居住地別高齢者普通世帯の割合−富山県(平成30年)

3 おわりに

ここでご紹介した以外の富山県分の結果は、「とやま統計ワールド」に掲載されています。また、詳細なデータや全国の結果については、総務省統計局ホームページでご覧になれます。

とやま統計ワールド「住宅・土地統計調査」
http://www.pref.toyama.jp/sections/1015/lib/jutaku/index.html
総務省統計局ホームページ「平成30年住宅・土地統計調査」
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.html



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令和2年6月号