特集

富山きときと空港の利用促進に向けた取組みについて

富山県 総合交通政策室 航空路線利用促進班

 


富山きときと空港は、富山県のみならず北陸、飛騨・高山、信越エリアにおいても、国内外への空の玄関口として、必要不可欠な社会基盤であります。

現在、国内便は、羽田便が4便と札幌便が1便、国際便は、ソウル便(週3便)、大連便(週3便)、上海便(週2便)、台北便(週4便)が運航しており、地方自治体が管理している54空港の中ではトップクラスの4つの国際定期路線を有しています。

航空路線ネットワークの維持・安定化、発展、さらなる利便性の向上などを図ることは、富山県の発展に大きく貢献することから、今後も利用促進に向け、様々な取組みを行ってまいります。

1 富山きときと空港を取り巻く状況


これまで、新幹線の開業によって、新潟や仙台など、首都圏と2時間程度で結ばれた地域の航空路線は3〜4年ですべて廃止されました。しかしながら、富山きときと空港では、平成27年3月の新幹線開業後、利用者が大幅に減少し、羽田便の路線廃止も危惧されましたが、減便、小型化があったものの、現在でも1日4便体制を維持しています。

また、羽田経由での国内外へのアクセスも充実し、国内では37区間と乗継接続、海外へも同日接続により20都市へのアクセスが可能な利便性の高い空港となっています。

※図をクリックすると大きく表示されます

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ただし、羽田便の利用客数は北陸新幹線開業前に比べて半減しており、少しでも好転させるために、官民を挙げ、様々な利用促進策に取り組んでいきます。

2 富山きときと空港の活性化に向けた様々な取り組み


県内外の個人・企業等に富山きときと空港サポーターズクラブへの加入を促しています。会員向けに、搭乗回数に応じて空港施設等で使えるクーポン券を進呈するなど、富山きときと空港のファンを増やす取組みを行っています。(富山きときと空港サポーターズクラブ:個人会員2,337人、法人会員389企業・団体(平成31年3月現在))

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昨年9月、羽田便の利用促進を目指す緊急大会を富山市内で開催しました。県議会、県内15市町村、経済団体、企業、飛騨・高山地域の行政、商工関係団体等から関係者ら約380人が集まり、1日4便体制の維持への官民挙げての利用拡大に努めることを誓い、利用の機運を高める「マイエアポート55宣言」が採択されました。

「富山―羽田便」利用促進キックオフ大会(平成30年9月18日)

羽田便の利用者数は、平成29年10月から連続して対前年度割れの状況が続いていましたが、本大会開催を契機に対前年度超えに転じました。引き続き官民一体となった利用の促進に努めてまいります。


従来から、冬期間の富山きときと空港では、荒天による欠航や遅延が増えることから、利用低迷する傾向にあります。これまでも除雪体制には、万全を期しているところでありますが、昨年度、冬ダイヤにおいて、荒天候時における空港進入方式に対応した機材を投入するなどし、着陸精度の向上と就航率の改善が実現しました。

空港内では富山の新鮮な食材を使用したレストランでお食事を楽しんでいただけるほか、昨年末にリニューアルした展望デッキからは離発着する飛行機はもちろん、雄大な立山連峰の見晴らしを楽しんでいただけます。

また、年間200万人を超す観光客が訪れている「飛騨・高山エリア」との関係を強化するため、全日空機内誌「翼の王国」の空港名称を「富山きときと」(飛彈・高山)と併記するなど、利用ターゲットの拡大にも努めていきます。

なお、今年9月には、富山きときと空港と飛騨・高山エリアとのアクセスを改善するための実証実験バスの運行も計画しており、その準備を進めてまいります。

3 結びに


富山きときと空港の活性化のために、羽田便の維持・安定に注力するのは、羽田空港の国際便が増加しているからです。

県内企業は他地域に比べて海外の企業との取引が多く、当便を維持・安定することは、首都圏のみならず世界との関係をより緊密にすることであり、 ひいては富山県の発展に大きく貢献することに繋がると考えています。




とやま経済月報
令和元年5月号