特集

高岡市の観光について

高岡市 産業振興部 観光交流課

 

1 はじめに


高岡市は、富山県の北西部に位置し、人口約17万人、面積209.57km2の富山県西部の中核都市です。市域の西側は山間地域で西山丘陵や二上山が連なり、北東側は富山湾、東側は庄川・小矢部川によって形成された良質な地下水を有する扇状地が広がるなど、深緑と清らかな水に包まれたとても自然豊かな地域です。日本の渚百選に選ばれた雨晴海岸からは、海越しに3,000メートル級の立山連峰の大パノラマを見ることができます。

交通軸には、道路網として南北に東海北陸自動車道と能越自動車道が整備され、鉄道網としては県西部の交通結節点として、東西に北陸新幹線やあいの風とやま鉄道、北に氷見線、南に城端線が整備されています。伏木富山港が総合的拠点港として選定されたことなどを機に、飛越能地域の玄関口、環日本海沿岸地域における交流拠点都市として、新たな飛躍を目指しています。

また、高岡市は、県内を代表とする工芸都市であり、高岡銅器や高岡漆器が、伝統産業として、藩政期以来の長い歴史の中で受け継がれており、「ものづくりの技」が今もなお脈々と息づいています。この「ものづくりの技」を継承しつつ洗練させ、アルミ、化学・薬品、紙・パルプなどの近代工業がこの地に根付いています。その他、市内の福岡町では菅笠作りが有名で、生産量は全国の9割以上を占め、全国一の高品質な菅笠を出荷しています。近年では、市内企業が、柔軟性のある錫の特性を活かした酒器やテーブルウエアなどの金属製品を開発するなど、デザイン性の高い新しいクラフト商品が次々と発表され、注目を集めています。

2 観光客入込数の変化


平成27年3月に北陸新幹線が開業し、高岡市には新高岡駅が整備されました。新幹線開業により、首都圏からの時間的距離が大幅に短縮されたことや、近年の訪日外国人増加の影響もあり、本市を訪れた観光客数は、新幹線開業前の3,471千人から、平成30年は3,850千人と北陸新幹線開業前に比べ、約10%増加しています。

3 高岡市の観光


(1)万葉のふるさと高岡

高岡市の北西部にある伏木地区は、奈良時代に越中国府が置かれた地であり、万葉集の代表的歌人である大伴家持が越中国守として赴任し、多くの優れた歌を詠み、万葉集に残した地であります。高岡市は、平成の時代を通じて「万葉のふるさとづくり」に取り組んでおり、伏木地区には、万葉集を中心テーマに据えた全国初の専門施設「万葉歴史館」があり、伏木地区を中心に市内には、万葉集歌碑や大伴家持像が点在しています。万葉集が新元号「令和」の典拠となったことから「万葉歴史館」は注目を集め、多くの観光客でにぎわっています。

また、毎年10月の第1金曜日から日曜日まで、「高岡万葉まつり」を実施しており、メーンイベントの「万葉集全20巻朗唱の会」は、万葉集全4,516首を三日三晩通して歌い継ぐイベントであります。参加者が万葉衣装を着て、高岡古城公園お堀の水上舞台の上で、万葉集の世界に思いを馳せながら朗唱を楽しんでいます。

高岡万葉まつり「万葉集全20巻朗唱の会」


(2)海越しに3,000メートル級の山並みを望む雨晴海岸

富山湾に面した雨晴海岸は、海越しに3,000メートル級の立山連峰を望むことができ、万葉集にも詠まれた白砂青松の景勝地であります。「雨晴」の地名の由来となった源義経が奥州へ落ち延びる途中、にわか雨の晴れるのを待ったという岩「義経岩」もあります。また、俳聖松尾芭蕉が「おくのほそ道」に詠んだ由緒ある地でもあり、「おくのほそ道の風景地−有磯海−」として、国の名勝に指定されています。平成30年には、雨晴海岸の展望を楽しむことができる施設「道の駅雨晴」を整備し、展望デッキからは遮る物がない開放的な雨晴海岸の景色をお楽しみいただけます。

雨晴海岸から望む立山連峰


(3)加賀前田家ゆかりの歴史的・文化的資産が数多く残るまち

高岡市は、慶長14年(1609)、加賀前田家二代当主・前田利長公によって高岡城の城下町として開かれました。「高岡」の地名は、利長が「詩経」の一節「鳳凰鳴けり彼の高き岡に」から引用し、この地の繁栄を願って名付けたと伝えられています。

市内には、加賀前田家ゆかりの歴史的・文化的資産が数多く残されています。

国宝「瑞龍寺」は、前田利長公の菩提寺で、壮大な伽藍配置様式の禅宗寺院であり、平成9年(1997)山門、仏殿、法堂が国宝の指定を受けました。

重要伝統的建造物群保存地区に指定された「山町筋」には、明治期に建てられた土蔵造商家や民家が立ち並び、高岡鋳物の発祥地である「金屋町」には、現在も千本格子と呼ばれるさまのこが特徴的な町屋が残り、高岡らしい情緒ある風情を醸し出しています。

雅な桃山文化を今に伝える「高岡御車山祭」は、重要有形・無形民俗文化財、両方の指定を受ける国内5件のうちのひとつであり、毎年5月1日には、高岡の金工、漆工、染色などの優れた工芸技術の装飾が施された豪華絢爛な山車(やま)が市街地を巡行し、多くの市民や観光客で賑わいます。

平成27年4月には、これらの歴史的・文化的資産を中心としたストーリー「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡―人、技、心―」が日本遺産として認定を受けました。また、高岡御車山祭は、全国「山・鉾・屋台行事」の1つとしてユネスコ無形文化遺産の登録を受けています。

御車山を通年展示する「高岡御車山会館」

4 おわりに


高岡市は、歴史・文化、景勝地のほか、前田文化から由来する和菓子、高岡市出身の漫画家である藤子・F・不二雄氏のゆかりの作品を展示した「藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」やドラえもんにラッピングした路面電車「ドラえもんトラム」など、様々な魅力が満載です。美しい町並みを散策したり、遥か遠景を楽しんだり、日々の喧騒から離れ、ゆったりとした時間を過ごしに高岡にお越しください。




とやま経済月報
令和元年7月号