特集

富山県の工業、商業について
〜平成28年経済センサス−活動調査 産業別集計から〜

統計調査課 商工係

 

1 はじめに


経済センサス−活動調査は、全産業分野の売上(収入)金額や費用などの経理項目を同一時点で網羅的に把握し、我が国における事業所・企業の経済活動を全国的及び地域別に明らかにするとともに、事業所及び企業を対象とした各種統計調査の母集団情報を得ることを目的としています。

平成24年に第1回調査が実施され、2回目となる平成28年経済センサス−活動調査は6月1日現在で実施されました。

今回は既に公表された産業別集計の中から、県内の製造業と卸・小売業についてご紹介します。

2 経済センサス−活動調査の概要


(1)調査の対象

以下に掲げる事業所を除く全国全ての事業所及び企業が対象です。

  • 国・地方公共団体の事業所
  • 日本標準産業分類大分類A−農業、林業に属する個人経営の事業所
  • 日本標準産業分類大分類B−漁業に属する個人経営の事業所
  • 日本標準産業分類大分類N−生活関連サービス業、娯楽業のうち、小分類792−家事サービス業に属する事業所
  • 日本標準産業分類大分類R−サービス業(他に分類されないもの)のうち、中分類96−外国公務に属する事業所

(2)調査の内容

経営組織、事業所の開設時期、従業者数、事業内容、売上及び費用の金額、事業別売上金額、電子商取引の割合、設備投資の有無、資本金、決算月など


(製造業固有の調査事項)

人件費及び人材派遣会社への支払額、原材料使用額等、有形固定資産、リース契約及び支払額、製造品在庫額等、製造品出荷額等、工業用地及び工業用水など


(卸・小売業固有の調査事項)

年間商品販売額等、年初及び年末商品手持額、年間商品仕入額、小売販売額の商品群別割合、小売販売額の商品販売形態別割合、セルフサービス方式の採用、売場面積、営業時間、店舗形態、チェーン組織への加盟など


(3)結果の公表

以下のような集計体系によって公表されます。

図表
※サービス関連産業A・・・
「電気・ガス・熱供給・水道業」、「通信業」、「放送業」、「映像・音声・文字情報制作業」及び「運輸業、郵便業」
サービス関連産業B・・・
「情報サービス業」、「インターネット付随サービス業」、「不動産業、物品賃貸業」、「学術研究、専門・技術サービス業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「その他の教育、学習支援業」、「廃棄物処理業」、「自動車整備業」、「機械等修理業(別掲を除く)」、「職業紹介・労働者派遣業」、「その他の事業サービス業」及び「その他のサービス業」

3 富山県の工業


ここでは、平成26年工業統計調査結果と比較しています。

(1)産業別の状況

ア 事業所数

事業所数は3,001事業所、平成26年比+6.7%(+189事業所)となりました。産業別構成比では、「金属製品」(16.3%)、「食料品」(12.6%)、「生産用機械」(11.7%)、「プラスチック」(7.9%)、「繊維」(5.9%)と、この上位5産業で54.3%を占めています。


イ 従業者数

従業者数は121,049人、平成26年比+1.2%(+1,386人)となりました。産業別構成比では、「金属製品」(14.5%)、「化学」(11.6%)、「生産用機械」(9.5%)、「電子部品」(7.4%)、「食料品」(7.2%)と、この上位5産業で50.2%を占めています。


ウ 製造品出荷額等

製造品出荷額等は3兆8,116億円、前年比+6.9%(+2,444億円)となりました。産業別構成比では、「化学」(18.7%)、「非鉄金属」(10.2%)、「金属製品」(10.0%)、「電子部品」(8.7%)、「生産用機械」(8.7%)と、この上位5産業で56.3%を占めています。


エ 付加価値額

付加価値額は1兆3,644億円、前年比+9.2%(+1,154億円)となりました。産業別構成比では、「化学」(20.9%)、「電子部品」(12.2%)、「金属製品」(10.6%)、「生産用機械」(8.7%)、「はん用機械」(5.7%)と、この上位5産業で58.0%を占めています。


図表

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図表


(2)地域別の状況

ア 事業所数

事業所数は、富山地域(1,137事業所、構成比37.9%)、高岡・射水地域(1,125事業所、同37.5%)、砺波地域(411事業所、同13.7%)、新川地域(328事業所、同10.9%)の順となっています。平成26年に比べ、12市町村で増加、3市で減少しました。


イ 従業者数

従業者数は、富山地域(53,318人、構成比44.0%)、高岡・射水地域(36,407人、同30.1%)、新川地域(17,927人、同14.8%)、砺波地域(13,397人、同11.1%)の順となっています。平成26年に比べ、10市町村で増加し、5市町で減少しました。


ウ 製造品出荷額等

製造品出荷額等は、富山地域(1兆8,083億円、構成比47.4%)、高岡・射水地域(1兆1,074億円、同29.1%)、新川地域(4,537億円、同11.9%)、砺波地域(4,423億円、同11.6%)の順となっています。前年に比べ、11市町村で増加し、4市町で減少しました。


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図表

4 富山県の商業


ここでは、平成24年経済センサス−活動調査結果と比較しています。


(1)産業別の状況

ア 事業所数

事業所数は13,858事業所(前回比▲5.4%)となり、卸売業・小売業別にみると、卸売業は3,288事業所(同▲5.9%)、小売業は10,570事業所(同▲5.2%)となりました。

産業別構成比(注)では、卸売業では、「産業機械器具卸売業」(13.0%)が最も多く、次いで、金物、肥料・飼料、ジュエリー製品等が含まれる「他に分類されない卸売業」(10.5%)、「建築材料卸売業」(9.9%)などとなっており、小売業では、コンビニエンスストアや料理品小売業などが含まれる「その他の飲食料品小売業」(11.4%)が最も多く、次いでホームセンターやペット・ペット用品小売業などが含まれる「他に分類されない小売業」(10.0%)、「医薬品・化粧品小売業」(8.2%)などとなっています。


イ 従業者数

従業者数は91,866人(前回比+0.9%)となり、卸売業・小売業別にみると、卸売業は26,570人(同▲1.9%)、小売業は65,296人(同+2.1%)となりました。

産業別構成比では、卸売業では、「食料・飲料卸売業」(12.4%)が最も多く、次いで「産業機械器具卸売業」(11.4%)、「農畜産物・水産物卸売業」(10.6%)などとなっており、小売業では、「その他の飲食料品小売業」(13.4%)が最も多く、次いで「各種食料品小売業」(11.8%)、「自動車小売業」(9.6%)などとなっています。


ウ 年間商品販売額

年間商品販売額は3兆3,110億円(前回比+14.1%)となり、卸売業・小売業別にみると、卸売業は2兆1,045億円(同+8.3%)、小売業は1兆2,065億円(同+26.0%)となりました。

産業別構成比では、卸売業では、「食料・飲料卸売業」(12.2%)が最も多く、次いで「産業機械器具卸売業」(10.1%)、「農畜産物・水産物卸売業」(同10.1%)などとなっており、小売業では、「各種食料品小売業」(15.3%)が最も多く、次いで「自動車小売業」(15.2%)、ガソリンスタンドなどが含まれる「燃料小売業」(11.5%)などとなっています。


エ 売場面積

小売業の売場面積は、1,400,735u(前回比▲1.0%)となりました。

産業別構成比では、「他に分類されない小売業」(16.5%)が最も多く、次いで「各種食料品小売業」(14.9%)、「百貨店、総合スーパー」(11.5%)などとなっています。


(注)産業別構成比は、産業細分類の格付に必要な数値が得られた事業所を対象に集計しています。



図表

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図表

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図表

(注)業細分類の格付に必要な数値が得られた事業所を対象に集計している。



(2)市町村別の状況

ア 事業所数

事業所数は、富山市が5,469事業所(構成比39.5%)と最も多くなっており、次いで、高岡市が2,563事業所(同18.5%)、射水市が1,103事業所(同8.0%)と続き、全10市で全体の93.9%を占めています。


イ 従業者数

従業者数は、富山市が40,827人(構成比44.4%)と最も多くなっており、次いで、高岡市が17,381人(同18.9%)、射水市が7,834人(同8.5%)と続き、全10市で全体の95.3%を占めています。


ウ 年間商品販売額

年間商品販売額は、富山市が1兆7,346億円(構成比56.3%)と最も多くなっており、次いで、高岡市が5,300億円(同17.2%)、射水市が2,886億円(同9.4%)と続き、全10市で全体の97.5%を占めています。


エ 売場面積

売場面積は、富山市が544,522u(構成比38.9%)と最も多くなっており、次いで、高岡市が287,350u(同20.5%)、射水市が102,215u(同7.3%)と続き、全10市で全体の94.5%を占めています。


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図表

5 おわりに


図表

本稿では富山県の集計結果について要約していますが、詳細なデータや全国の結果につきましては、総務省統計局のホームページをご覧ください。

総務省統計局ホームページ「経済センサス−活動調査」
http://www.stat.go.jp/data/e-census/2016/index.html


経済センサス−活動調査は平成30年6月28日の産業横断的集計結果をもって全ての統計表が公表されます。

経済センサス−活動調査の実施にあたり、ご回答いただきました事業所・企業の方々に深く感謝申し上げます。

とやま経済月報
平成30年6月号