特集

女性活躍推進調査の結果について

富山県 総合政策局 少子化対策・県民活躍課

 

1 はじめに


少子高齢化の進行に伴い、生産年齢人口が減少するなか、魅力と活力あふれる富山県として持続・発展していくためには、若者や女性、高齢者など、誰もが意欲や能力に応じて活躍できる環境づくりを進めることが大変重要です。

国においても、「働き方改革」を一億総活躍社会に向けた最大のチャレンジと位置づけ、昨年3月には、長時間労働の是正、柔軟で多様な働き方や女性の活躍推進などを盛り込んだ「働き方改革実行計画」をまとめられ、さらに、6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017(骨太の方針)」においても、働き方改革や女性の活躍推進に積極的に取り組むこととされたところです。

こうした状況を踏まえ、本県においても、昨年8月、女性活躍推進調査を実施しました。本調査は、県内の企業経営者およびその従業員を対象に、採用、登用、能力開発、子育て支援等の女性の活躍推進の状況を調査するとともに、働き方改革や生産性向上の取組事例を把握することにより、女性がその能力を十分発揮し、活躍できる職場環境づくりの一層の推進を図るものです。

なお、本調査の結果および対応については、今年度改訂する「富山県民男女共同参画計画(第4次)」にも反映します。

2 調査の概要


(1)調査対象
① 県内企業から従業員規模別に抽出した1,000社
うち508社回答(回答率50.8%)
② ①の企業の従業員3,000人
うち1,310人回答(回答率43.7%)
(2)調査期間
平成29年8月4日〜8月21日
(3)調査方法
郵送返送方式
(4)調査機関
一般財団法人 北陸経済研究所
(5)調査項目
① 女性活躍推進への意識について
<企業・従業員>
② 自社の女性活躍の推進状況について
<企業・従業員>
③ 女性活躍の取組み状況について
<企業>
④ 働き方改革の取組み状況について
<企業>
⑤ 県の施策・事業等について
<企業>
⑥ 女性活躍を推進するうえでの課題について
<企業・従業員>
⑦ 国や県への要望について
<企業・従業員>

3 調査結果の概要


(1)回答者の属性
<企業向け調査>

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<従業員向け調査>

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(2)企業における女性の活躍に関する状況

<管理職に占める女性の割合>

全体では7.7%となっている。業種別にみると、「医療・福祉」が60.2%で最も高く、次いで「サービス業」9.6%となっています。一方、最も低いのは「運輸業」3.6%で、次いで「製造業」4.0%、「建設業」4.7%となっています。


<自社での女性活躍推進の評価>

企業、従業員とも、10点満点中「5点」が最も多く、平均では、企業は5.5点、従業員は5.2点となっています。


<職場で女性活躍を推進することについて>

「積極的に推進するべきだ」と「どちらかというと推進するべきだ」を合わせると、企業では91.9%、従業員では85.6%となっています。


<管理職登用への意欲>※従業員向け

「なりたい(又はすでに管理職である)」23.7%、「どちらかといえばなりたい」11.5%を合わせると35.2%となっている一方、「どちらかといえばなりたくない」31.8%、「なりたくない」19.4%を合わせると51.2%となっています。性別にみると、「なりたい(又はすでに管理職である)」は、男性47.3%に対し、女性は9.5%と大きな差が見られます。一方、「なりたくない」は、男性8.8%に対し、女性は25.8%と多くなっています。


<管理職になりたくない理由>※従業員向け

「責任が重くなるのが嫌だから」が53.7%で最も多く、次いで「自分の能力に自信がないから」(50.3%)、「仕事と家庭の両立が困難だから」(36.0%)の順となっています。性別にみると、特に「仕事と家庭の両立が困難だから」「自分の能力に自信がないから」は女性の割合が高くなっています。


<女性活躍を推進するうえでの課題について>

企業、従業員とも、「男性と比べ、女性は家庭の負担が重い」が最も多くなっています。

性別にみると、「時間外労働、深夜勤務をさせにくい」、「一般的に女性の就労意識が低い」は男性の割合が高くなっており、「男性と比べ、女性は家庭の負担が重い」、「上司や同僚の意識、理解が不十分」などは女性の割合が高くなっています。

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<国や県への要望について>

企業では、「子育てインフラの充実」が33.9%と最も多く、次いで「経営者、管理職の意識啓発を目的とした講演会、セミナー等の開催」28.7%、「支援制度の紹介など、より積極的な情報の提供」27.0%の順となっています。

従業員では、「子育てインフラの充実」が40.2%と最も多く、次いで「結婚・出産を機に退職した女性の再就職を支援するセミナーの充実」36.7%、「経営者、管理職の意識啓発を目的とした講演会、セミナー等の開催」29.4%の順となっています。

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4 おわりに


今回の調査から、企業、従業員とも女性の家庭の負担の重さが女性活躍推進の課題であると認識していることがわかりました。これは、仕事と家庭の両立の困難さが女性に管理職になりたくないと思わせる大きな要因となっているという結果とも一致しています。

一方、管理職になりたくない理由として「自分の能力に自信がない」という回答も女性は男性よりも割合が高くなっており、育児との両立支援など、女性が働き続けるための取組みに加え、育成や評価・登用など、女性が活躍していくための取組みの充実が求められています。

とやま経済月報
平成30年1月号