特集

第68回全国植樹祭とやま2017
富山県農林水産部 森林政策課

はじめに


本年5月28日(日)、「かがやいて 水・空・緑のハーモニー」を大会テーマに「第68回全国植樹祭」を富山県で開催いたします。

「全国植樹祭」は豊かな国土を支える森林や緑に対する理解を深めるために行われる、国土緑化運動の中心的行事で、富山県では、昭和44年に砺波市頼成で第20回大会を開催して以来、48年ぶり2回目の開催となります。



優良無花粉スギ「立山 森の輝き」

富山県は標高3,000メートル級の北アルプス立山連峰から、森林・里山地域、平野、そして水深1,000メートルの神秘の海富山湾まで高低差4,000メートルのダイナミックで変化に富んだ地形を有しています。「森は海の恋人」といわれるように、豊かな森が豊かな水と豊かな海を育みます。県では、平成18年に「富山県森づくり条例」を制定し、翌年から導入した「水と緑の森づくり税」を活用して、里山の整備・保全を県民との協働で進めています。また、国民病ともいわれている花粉症対策として、花粉を全く飛ばさない優良無花粉スギ「立山 森の輝き」を全国に先駆けて開発し普及を進めております。

また、平成27年10月に開催した「第35回全国豊かな海づくり大会〜富山大会〜」や、平成28年5月に開催された「G7富山環境大臣会合」において、本県が進める「森・川・海を一体とした環境保全の取組み」を国内外に発信しており、北陸新幹線開業まもない時期に全国から多くの林業関係者をお迎えして本大会を開催することから、 この機会を活かして、本県の豊かな森づくりの取組みを大きく前進させたいと考えております。

1 大会の概要


(1) 開催理念

本大会を契機として、県民参加による健全な森づくりの一層の推進と、森林資源の循環利用の促進による林業再生を図り、森づくりと海づくりを一体的にとらえ、豊かな自然を守り育てる県民の活発な実践活動や、そこで育まれた歴史・文化など富山県の数多くの魅力を全国に発信し、緑あふれる自然といきいきと人が輝くふるさとを未来へとつなげることとしております。


(2) 大会基本方針

「豊かな森を育て、林業・木材産業の明るい未来へつなげていく大会」とすることとし、「県民参加による多様な森づくりの推進」、「持続可能な森づくりの推進と県産材活用による林業・木材産業の振興」、「優良無花粉スギ『立山 森の輝き』の発信」により、県民参加の森づくり活動をさらに広げる契機とし、豊かな森を県民共通のかけがえのない財産として、次の世代に引き継いでいきます。また、「森づくりと海づくりの連携の推進」、「雄大な自然など富山県の魅力発信」、「『おもてなしの心』で『温かみ』のある大会」としております。


(3) 開催規模・開催会場

開催規模

県内外からの招待者等を合わせて7,500人程度の規模で開催します。

式典会場

雄大な立山連峰と美しい富山湾を眺望できる絶好のロケーションである魚津市の「魚津桃山運動公園」で開催します。

※図をクリックすると大きく表示されます

植樹会場


第68回全国植樹祭プレ大会(平成28年5月22日)
の植樹の様子

式典会場でもある魚津桃山運動公園に加えて、朝日町、入善町、黒部市、滑川市、上市町に設けられた植樹会場では、招待者による記念植樹を行います。植樹は、コナラ、ホオノキ、イタヤカエデ、クロマツ、優良無花粉スギ「立山 森の輝き」、コシノフユザクラなど合わせて10,000本を予定しています。

サテライト会場

式典参加者のみならず、多くの県民の方々に第68回全国植樹祭を身近に感じていただくため、魚津市内の海の駅「蜃気楼」にサテライト会場を設置し、式典の放映や各種出展ブースを設置します。また、来場者の方々にそれぞれの地域や家庭で植樹してもらうため、本大会で植樹する樹木と同種の苗木を約1,000本無料配布する予定です。

2 大会開催に向けた機運醸成等の取組み


(1)第68回全国植樹祭プレ大会(平成28年5月22日)

第68回全国植樹祭を多くの県民に知っていただき、大会への機運を盛り上げるため、従来から春に開催してきた「とやま森の祭典」を1年前イベントとして位置づけ、本大会の会場である魚津桃山運動公園においてプレ大会を開催しました。

当日は、林業関係者、花とみどりの少年団、漁業関係者や一般の方々約3,000人が参加し、優良無花粉スギ「立山 森の輝き」とコナラの苗木約1,000本の植樹や、大会に設置される県産材プランタカバーの製作などを行いました。

(2)「地域リレー植樹」イベント

第68回全国植樹祭の開催に向けた全県的な機運の醸成と県民参加による森づくり活動を進めるため、全市町村においてリレー形式で植樹イベント等を実施しました。全イベントにおいて、PRキャラバン隊による全国植樹祭のPR及び本大会の会場に飾るのぼり旗へのメッセージの寄せ書きを実施しました。

(3)カウントダウンイベント

県庁や魚津市役所の正面玄関において、カウントダウンイベントを実施するとともに、あいの風とやま鉄道富山駅・魚津駅、魚津桃山運動公園にもカウントダウンボードを設置しました。

3 式典行事計画


まず、プロローグでは“世界に誇るとやまの自然と文化”をテーマに「高低差4,000m」のダイナミックで変化に富んだ地形がもたらす豊かな自然や文化を、映像や、洋舞による創作舞踊で披露します。



木製地球儀

式典では、お手植え・お手播き、越中万葉の歌唱や中学生によるメッセージの発表による大会テーマのアピール、大会宣言、次期開催県へのリレーセレモニーなどが行われます。式典の中で次期開催県に引き継がれる「木製地球儀」は、21世紀最初の全国植樹祭の開催にあたり、新たな歴史を築いていく象徴として井波彫刻協同組合で製作されたものです。「第52回全国植樹祭やまなし2001」において、綿貫民輔大会会長(当時)から山梨県知事に交付され、以来、全国植樹祭のシンボルとして開催県に引き継がれています。


エピローグではユネスコ無形文化遺産登録されたとやまの伝統芸能を紹介し、森づくりボランティアから富山の森に対するメッセージを発信していただきます。グランドフィナーレでは出演者全員が登場し、「ふるさとの空(富山県ふるさとの歌)」を大合唱します。

【式典プログラム】

ユネスコ無形文化遺産登録された「魚津のタテモン行事」

エピローグ〜グランドフィナーレイメージ

4 会場整備計画



式典会場イメージ図

会場等の整備にあたっては、土地形状の変更などにより自然環境に負荷を与えないよう、極力現地形を有効に利用し、経費の節減を図ることを基本とします。

また、周辺の景観との調和を図ることはもとより、安全性や機能性を考慮し、高齢者等に配慮し、工作物等の整備にあたっては、原則として県産材を活用します。


お野立所は県産のスギ丸太を使い、「立山連峰」や「散居村の屋敷林」、本県の林業を象徴する「杉木立」、「こきりこのササラ」などを表現し、「富山らしい」デザインにするとともに、周辺の景観と調和のとれたものとなっております。

お野立所完成予定図



井波彫刻のパネルがあしらわれた演台

また、県産材の骨組みによる特別招待者席の木製テントや、「第35回全国豊かな海づくり大会〜富山大会〜」で両陛下の御放流台として使用された県産材を再利用したウェルカムボード、招待者が座るベンチ、式典に使用する御机やお手播き箱なども県産材を使用して製作します。特に、演台や御種入れには、井波彫刻や庄川挽物木地の伝統技法を取り入れ製作しています。

ウェルカムボードのデザイン図

このほか、おもてなし広場では、県産材をふんだんに使って製作した屋台、陳列台、テーブルを配置し、温かみのある雰囲気で来場者をお迎えいたします。

5 植樹計画


植樹用の苗木は、県内で採取した種子等から育成することを基本とし、『苗木のホームステイ』などにより、子どもたちが自らの手で育てた苗木も使用します。


※「苗木のホームステイ」

全国植樹祭で植樹する苗木の一部をとやまの森づくりサポートセンターの登録団体、登録企業、県内の小・中学生や「花とみどりの少年団」に育成してもらう取組み

(1) お手植え、お手播き

本県が「環境先端県」や「サクラの宝庫」であることをアピールでき、県民に親しみのある樹種を選定しました。

※図をクリックすると大きく表示されます

《お手植え樹種》

※図をクリックすると大きく表示されます

《お手播き樹種》
(2)招待者記念植樹計画

富山県の気候風土や会場特性に適した樹木を植樹し、県民参加による健全な森づくりと森林資源の循環利用の促進による林業再生を目指します。また、それぞれの植樹会場においては、地元の方々と招待者との交流の機会をつくることとしています。

おわりに


大会開催まであと約2ヶ月となりましたが、多くの県民の皆様や来県された方々の心にいつまでも記憶される素晴らしい大会となるよう、今後も全力で準備を進めていく所存ですので、皆様方のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

とやま経済月報
平成29年3月号