特集

平成26年商業統計調査の結果から

統計調査課 商工係
漁業センサス

○ 商業統計調査とは・・・


1 調査の目的及び沿革

商業統計調査は、我が国の商業の実態を明らかにすることを目的とし、経済産業省が実施しています。昭和27年に調査を開始して以来、昭和51年までは2年ごと、平成9年までは3年ごと、平成19年までは5年ごとに本調査を実施し、その中間年(本調査の2年後)には簡易調査を実施することとなっていましたが、平成19年以降は経済センサス-活動調査の実施の2年後に実施することとなっており、平成26年商業統計調査は、総務省所管の「経済センサス-基礎調査」と同時に実施されました。


2 調査の方法及び経路
【調査の方法】
調査員調査方式…報告者(事業所)が自ら調査員によって配布された調査票に記入(自計方式)し、調査員が回収する又はオンラインで提出する。
経済産業省→都道府県→市町村→調査員→報告者
本社等一括調査方式…商業事業所の本社・本店等が傘下の商業事業所の調査票を事業所ごとに作成し、一括して経済産業省へ郵送又はオンラインにより提出する。
経済産業省→民間事業者→報告者
【配布方法】 郵送、調査員
【収集方法】 郵送、オンライン、調査員

3 調査期日  平成26年7月1日現在

4 調査の範囲
【調査の対象】
  • 地域:全国
  • 単位:事業所
  • 属性:日本標準産業分類に掲げる「大分類I−卸売業,小売業」に属する全国の事業所。
  • 調査対象数:1,407,235事業所 平成26年調査結果
【抽出方法】 全数調査

※調査は、民営の事業所を対象としました。例えば、商業以外の会社、官公庁、学校、工場などの構内にある別経営の事業所(売店等)、また、店舗を有しないで商品を販売する訪問販売、通信・カタログ・インターネット販売などの事業所も調査の対象とし、さらに、調査期日に休業若しくは清算中、季節営業であっても専従者がいる事業所は対象としました。


5 調査結果の活用例
国や地方公共団体が、中小商業施策を中心とする流通関連施策を立案、実施するための基礎資料
  • 大規模小売店舗立地法、小売商業調整特別措置法、中小小売商業振興法の運用
  • 都市計画、市街地再開発計画、都市の特性分析
国や地方公共団体による所得推計、構造分析等の基礎資料
  • 産業連関表及び地域産業連関表の作成
  • 国民経済計算、県民所得の推計
  • 各種白書(経済白書、中小企業白書、厚生労働白書など)、その他県勢要覧等の作成
国や地方公共団体による各種調査の標本設計への母集団の提供
民間、学術研究団体における研究、市場予測、需要予測等
6 調査事項
【卸売業、小売業について】
事業所の名称及び電話番号、所在地
経営組織及び資本金額又は出資金額
本店・支店の別及び本店の所在地・電話番号
事業所の開設時期
従業者数等
年間商品販売額等
年間商品販売額の販売方法別割合
【小売業に限っての事項について】
年間商品販売額のうち小売販売額の商品販売形態別割合
セルフサービス方式採用の有無
売場面積
営業時間等
来客用駐車場の有無及び収容台数
チェーン組織への加盟の有無

○ 商業統計調査の結果概要


本稿は、平成27年12月に経済産業省が公表した「平成26年商業統計調査結果の概要(確定値)」に基づき、富山県分についてまとめたものです。

1 商業全体について 〜 事業所数、年間商品販売額は減少傾向 〜

富山県における事業所数は、14,339事業所、従業者数は92,349人、年間商品販売額は2兆7,584億円となりました。前回の調査として経済センサス−活動調査(平成24年)の結果と比較すると、従業者数は増加していますが、事業所数及び年間商品販売額は減少しています。一方、全国値では、事業所数は1,407,235事業所、従業者数は11,618,054人、年間商品販売額は478兆8,284億円となり、平成24年と比較すると、事業所数及び従業者数は増加していますが、年間商品販売額は減少するという結果となりました。

(注)ここでは、産業大分類「I−卸売業,小売業」に格付けられた事業所(調査対象事業所)を全て集計していますが、年間商品販売額及び売場面積については、数値が得られた事業所について集計しています。以下、本稿2においても同じ集計方法です。

【表1】富山県と全国の事業所数、従業者数及び年間商品販売額

※表をクリックすると大きく表示されます

表

※管理、補助的経済活動を行う事業所、産業細分類が格付不能の事業所、商品販売額及び仲立手数料のいずれの金額もない事業所を含む。

※「24年」とは、「平成24年経済センサス−活動調査」確報集計結果をいう。

【図1】事業所数構成比

※図をクリックすると大きく表示されます

図
【図2】従業者数構成比

※図をクリックすると大きく表示されます

図
【図3】年間商品販売額構成比

※図をクリックすると大きく表示されます

図

富山県では、各項目において、全国と比較すると小売業の割合が高くなっている。特に年間商品販売額については、その差が大きくなっている。

2 都道府県別の状況 〜 事業所数第34位、従業者数第36位、年間商品販売額第32位〜

各項目の都道府県別の状況をみると、卸売業及び小売業の計で、富山県の事業所数は全国第34位、従業者数は第36位、年間商品販売額は第32位となっています。小売業のみの集計となる売場面積は、第35位でした。卸売業、小売業のそれぞれの数値は、以下のとおりです。

【表2】事業所数の都道府県順位

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【表3】従業者数の都道府県順位

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【表4】年間商品販売額の都道府県順位

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【表5】 売場面積の都道府県順位

※表をクリックすると大きく表示されます

表
  • 富山県の順位がもっとも高くなっているのは、卸売業のみの年間商品販売額で第29位、その他は第30位台である。
  • 上位5都道府県、下位2県の顔ぶれは、どの項目においてもほぼ同じである。
3 卸売業の状況 〜食料・飲料卸売業がトップ〜

富山県では、卸売業の事業所数は2,550事業所、従業者数は21,385人、年間商品販売額は、1兆6,993億円となりました。業種別(産業小分類別)の数値は以下のとおりです。

(注)ここでは、産業大分類「I−卸売業,小売業」に格付けられた事業所(調査対象事業所)のうち、管理、補助的経済活動のみを行う事業所、産業細分類が格付不能の事業所を除いて集計しているため、本稿1と事業所数、従業者数については一致しません。以下、本稿4についても同様の集計方法です。


(1)事業所数

富山県の構成比は、食料・飲料卸売業(295事業所、構成比11.6%)が最も高く、以下、産業機械器具卸売業(278事業所、同10.9%)、農畜産物・水産物卸売業(266事業所、同10.4%)、金物、肥料・飼料、ジュエリー製品等が含まれる他に分類されない卸売業(266事業所、同10.4%)、建築材料卸売業(233事業所、同9.1%)の順になっており、上位5業種で52.4%を占めています。

【表6】卸売業の産業小分類別事業所数

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【図4】卸売業の産業小分類別事業所数の構成比

※図をクリックすると大きく表示されます

図
(2)従業者数

富山県の構成比は、食料・飲料卸売業(2,896人、構成比13.5%)が最も高く、以下、農畜産物・水産物卸売業(2,576人、同12%)、建築材料卸売業(2,126人、同9.9%)、産業機械器具卸売業(1,970人、同9.2%)、他に分類されない卸売業(1,808人、同8.5%)の順になっており、上位5業種で53.1%を占めています。

【表7】卸売業の産業小分類別従業者数

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【図5】卸売業の産業小分類別従業者数の構成比

図をクリックすると大きく表示されます

図
(3)年間商品販売額

富山県の構成比は、食料・飲料卸売業(2,247億円、構成比13.2%)が最も高く、以下、農畜産物・水産物卸売業(1,954億円、同11.5%)、建築材料卸売業(1,757億円、同10.3%)、産業機械器具卸売業(1,619億円、同9.5%)、鉄鋼製品卸売業(1,541億円、同9.1%)の順になっており、上位5業種で53.6%を占めています。

【表8】卸売業の産業小分類別年間商品販売額

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【図6】卸売業の産業小分類別年間商品販売額の構成比

図をクリックすると大きく表示されます

図

※グラフは、分類項目の富山県の構成比が多い順に、左から富山県と全国の産業小分類を並べている。


業種別にみると、富山県では、事業所数、従業者数、年間商品販売額の全てにおいて、食料・飲料卸売業が最も多くなっている。

業種別の割合において、全国と富山県で第1位、第2位が同じであるのは従業者数の構成比のみであり、第1位が食料、飲料卸売業、第2位が農畜産物・水産物卸売業となっている。

事業所数では、産業機械器具卸売業について、年間商品販売額では、建築材料卸売業や産業機械器具卸売業について、富山県の構成比が全国に比べて高くなっている。

4 小売業の状況 〜 販売額では、燃料小売業がトップ〜

富山県では、小売業の事業所数は8,543事業所、従業者数は51,284人、年間商品販売額は1兆591億円となりました。業種別(産業小分類別)の数値は以下のとおりです。

(1)事業所数

富山県の構成比は、コンビニエンスストアや料理品小売業などが含まれるその他の飲食料品小売業(920事業所、構成比10.8%)が最も高く、以下、ホームセンターやペット・ペット用品小売業などが含まれる他に分類されない小売業(867事業所、同10.1%)、医薬品・化粧品小売業(674事業所、同7.9%)、婦人・子供服小売業(580事業所、同6.8%)、自動車小売業(570事業所、同6.7%)の順になっており、上位5業種で42.3%を占めています。

【表9】小売業の産業小分類別事業所数

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【図7】小売業の産業小分類別事業所数の構成比

図をクリックすると大きく表示されます

図
(2)従業者数

富山県の構成比は、その他の飲食料品小売業(6,142人、構成比12%)が最も高く、以下、各種食料品小売業(5,538人、同10.8%)、書籍・文房具小売業(5,450人、同10.6%)、自動車小売業(4,534人、同8.8%)、医薬品・化粧品小売業(3,673人、同7.2%)の順になっており、上位5業種で49.4%を占めています。

【表10】小売業の産業小分類別従業者数

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【図8】小売業の産業小分類別従業者の構成比

図をクリックすると大きく表示されます

図
(3)年間商品販売額

富山県の構成比は、ガソリンスタンドなどが含まれる燃料小売業(1,594億円、構成比15%)が最も高く、以下、自動車小売業(1,571億円、同14.8%)、各種食料品小売業(1,398億円、同13.2%)、医薬品・化粧品小売業(930億円、同8.8%)、その他の飲食料品小売業(772億円、同7.3%)の順になっており、上位5業種で59.1%を占めています。

【表11】小売業の産業小分類別年間商品販売額

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【図9】小売業の産業小分類別年間商品販売額の構成比

図をクリックすると大きく表示されます

図
(4)売場面積

富山県の構成比は、他に分類されない小売業(24万u、構成比15.8%)が最も高く、以下、各種食料品小売業(19万u、同13%)、百貨店・総合スーパー(17万u、同11.4%)、医薬品・化粧品小売業(13万u、同8.4%)、機械器具小売業(10万u、同6.7%)の順になっており、上位5業種で55.3%を占めています。

【表12】小売業の産業小分類別売場面積

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【図10】小売業の産業小分類別売場面積の構成比

図をクリックすると大きく表示されます

図

※グラフは、分類項目の富山県の構成比が多い順に、左から富山県と全国の産業小分類を並べている。


業種別にみると、富山県では、事業所数及び従業者数は、その他の飲食料品小売業が第1位であるが、年間商品販売額では、燃料小売業が第1位となっている。

事業所数、従業者数の第1位は、富山県、全国ともに、その他の飲食料品小売業であるが、年間商品販売額については、全国の第1位が各種食料品小売業、富山県の第1位が燃料小売業と違いがある。全体的にみると、食料関係の分類は事業所数、従業者数において上位にあるが、年間商品販売額では、燃料、自動車などの分類が上位となっている。

売場面積については、富山、全国とも第3位までの順位は同じである。

5 市町村別の状況
(1)事業所数

市町村別にみると、富山市が卸売業1,720事業所(構成比49.8%)、小売業3,964事業所(同36.4%)でともに最も多く、次いで高岡市、射水市の順となっています。特に、卸売業では、この上位3市で8割(同80.0%)を占めています。

【表13】市町村別、卸売業・小売業別事業所数

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【図11】市町村別、卸売業・小売業別事業所数の構成比

図をクリックすると大きく表示されます

図
(2)従業者数

市町村別にみると、富山市が卸売業14,639人(構成比52.9%)、小売業26,719人(同41.3%)でともに最も多く、次いで高岡市、射水市の順となっています。事業所数と同様に、卸売業では、この上位3市で8割以上(同84.7%)を占めています。

【表14】市町村別、卸売業・小売業別従業者数

※表をクリックすると大きく表示されます

表
【図12】市町村別、卸売業・小売業別従業者数の構成比

図をクリックすると大きく表示されます

図

(注)ここでは、産業大分類「I−卸売業,小売業」に格付けられた事業所(調査対象事業所)を全て集計しています。(本稿1と同じ集計方法です。)

○ おわりに


ここでは、富山県についての主な結果について掲載しましたが、全国、都道府県別の詳細なデータにつきましては、経済産業省のホームページをご覧ください。


○経済産業省ホ−ムペ−ジ(商業統計調査)
   http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/index.html

とやま経済月報
平成28年10月号