特集

住宅・土地統計調査の結果から

統計調査課 人口労働係

1 住宅・土地統計調査とは


(1)調査の目的及び沿革

「住宅・土地統計調査」(5年ごと)は、我が国の住宅とそこに居住する世帯の居住状況、世帯の保有する土地等の実態を把握し、その現状と推移を明らかにする調査です。この調査の結果は、生活基本法に基づいて作成される住生活基本計画、土地利用計画などの諸施策の企画、立案、評価等の基礎資料として利用されています。

この調査は、昭和23年以来5年ごとに実施してきた「住宅統計調査」の調査内容等を平成10年調査時に変更したものであり、平成25年調査はその14回目に当たります。

(2)調査の対象

平成25年10月1日を調査期日として、調査単位区内から抽出した住宅及び住宅以外で人が居住する建物並びにこれらに居住している世帯を対象として、全国では約350万住戸・世帯、富山県では29,000戸・世帯に対し調査を実施しました。

(3)調査の方法
1調査の流れ
総務省統計局を主管部局とし、総務大臣−都道府県知事−市町村長−指導員−調査員−調査世帯の流れにより実施
2調査の方法
調査員は、9月22日までに受持ち調査単位区内を巡回して調査対象の把握を行い、調査対象名簿及び単位区設定図を作成した上で、9月23日から30 日までの間に、調査対象となった世帯に調査票を配布
その後、10月上旬に調査票を配布した世帯を再度訪問して、調査票の取集と内容検査等の事務を実施
今回の調査では、調査票の提出に代えてインターネットによる回答(オンライン調査)も実施

2 住宅・土地統計調査から


この調査の結果(確報値)については、平成26年11月から平成27年3月まで計8回に渡り総務省統計局で公表しておりますが、今回は、富山県の結果の概要や全国との比較も含めて、ご紹介します。


総住宅数は43.9万戸と3.5%の上昇

平成25年10月1日現在における富山県の総住宅数は43.9万戸と、5年前と比較すると1.5万戸の増加で、増加率は3.5%となりました。
世帯数は38.1万世帯と、5年前と比較すると1.1万世帯の増加となっています。
図1 富山県の総住宅数及び世帯数の推移
図
空き家率は12.8%と前回より0.5ポイント上昇

富山県の居住世帯のある住宅は38万戸で、空き家、建築中の住宅など居住世帯のない住宅は5.9万戸でした。居住世帯のない住宅のうち空き家の数は、5.6万戸と5年前と比較して0.4万戸増加しました。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は、12.8%となり、5年前(12.3%)から0.5ポイント上昇しました。
図2 富山県の空き家数及び空き家率の推移
図
別荘などの二次的住宅を除いた空き家率を全国で見ると、山梨県の17.2%が最も高く、愛媛県、高知県、徳島県、香川県と四国4県が16%台と続いています。
また、空き家率が低いのは宮城県で9.1%、次いで沖縄県、山形県、埼玉県、神奈川県の順になっています。
富山県は、全国では34位で、全国平均と比べると若干低く推移していますが、調査年毎に増加傾向に推移しています。
表1 都道府県別空き家率(二次的住宅を除く)
表
富山県の空き家の種類別割合をみると、その他の住宅が54.8%ともっとも多くなっています。平成15年の結果と比較すると、約10ポイント上昇してします。
一方、全国平均では、賃貸用の住宅の割合が50%を超えています。
図3 富山県の空き家の種類別割合の推移
図

※ 空き家の「その他の住宅」とは、「賃貸用の住宅」、「売却用の住宅」、「二次的住宅」以外の住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期に渡って不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅のほか、空き家の区分の判断が困難な住宅などを含みます。


持ち家率は79.4%と1.9ポイント上昇で全国1位

富山県の持ち家数は30.2万戸と前回調査時より1.6万戸増加しました。
持ち家率でみると、79.4%と1.9ポイント上昇しています。
図4 富山県の持ち家数及び持ち家率の推移
図
また、富山県の持ち家の建て方別割合を全国平均と比較すると、富山県では一戸建てが97.4%とほぼすべてであるのに対し、全国平均では一戸建てが81.8%、共同住宅が17.0%と共同住宅の割合が若干高くなっています。また、大阪府では一戸建てが67.9%、共同住宅が28.7%、東京都では一戸建てが52.4%、共同住宅が45.1%と、持ち家の半数近くが共同住宅となっています。
表2 富山県の持ち家の建て方別割合の推移(全国、東京、大阪)
表
次に、富山県の居住世帯のある住宅の所有関係別の割合について、全国平均、東京都及び大阪府と比較すると、富山県では持ち家の占める割合が8割近くあるのに対し、全国平均、東京都、大阪府では民営借家の割合が多くなっています。特に東京都では民営借家が37.6%と約4割が民営借家という状況となっています。
図5 富山県の住宅(居住世帯あり)所有関係別割合の推移
図
また、富山県の居住世帯のある住宅の建て方別の割合について、全国平均、東京都及び大阪府と比較すると、富山県では一戸建て割合が79.7%と約8割を占めているのに対し、全国平均では54.9%、大阪府では40.7%、東京都では27.8%と占める割合が下がっています。一方、共同住宅の割合が全国では42.4%、大阪では55.2%、東京都では70%であり、東京都は居住世帯のある住宅のうち7割が共同住宅という状況となっています。
図6 富山県の住宅(居住世帯あり)建て方別割合の推移
図
耐震診断をした住宅数は1.7万戸

富山県の持ち家のうち、平成21年以降の5年間で耐震診断をしたことのある住宅は1.7万戸と、持ち家全体の5.6%となっています。
また、耐震診断をしたことのある住宅を、建て方別にみると、一戸建のうち耐震診断をした住宅の割合は5.1%、共同住宅では29.2%となっています。
表3 富山県の平成21年以降に耐震診断をしたことがある住宅数(持ち家)
総数 一戸建 長屋建 共同住宅
1.7万戸
(5.6%)
1.5万戸
(5.1%)
0戸
(0.0%)
0.2万戸
(29.2%)
耐震診断をした住宅の割合を、東京都、宮城県及び福島県についてみると、東京都が最も多くなっています(全国1位)。また、住宅の建て方別でみると、共同住宅での割合が大きく、特に、宮城県、福島県では5割を超えています。
表4 平成21年以降に耐震診断をしたことがある住宅数(持ち家)の割合
   (建て方別 全国平均、富山、東京、宮城、福島)
  総数 一戸建 長屋建 共同住宅
東京都 17.8% 8.4% 11.2% 28.9%
宮城県 16.2% 11.0% 18.2% 51.8%
全国 8.4% 6.2% 5.4% 19.4%
福島県 7.7% 6.3% 12.5% 58.2%
富山県 5.6% 5.1% 0.0% 29.2%
太陽光を利用した発電機のある住宅の戸数が急増

富山県の居住世帯のある住宅で、太陽光を利用した発電機のある住宅数は0.9万戸と前回調査時と比較すると3倍と急増しており、居住世帯のある住宅総数の中では少ないが、普及率は大幅に増加していることが分かります。
図7 富山県の太陽光を利用した発電機のある住宅数及び割合
図
富山県の省エネルギー設備等のある住宅についてみると、「太陽光を利用した温水機器等のある住宅」は0.9万戸で富山県の居住世帯のある住宅全体の2.4%、「太陽光を利用した発電機器のある住宅」は0.9万戸で2.5%、「二重サッシ又は複層ガラスの窓がある住宅」は17万戸で44.7%と、ほぼ半数が設置しています。
図8 富山県の省エネルギー設備等のある住宅数
図
住宅・土地の主要指標は

以下の表は富山県の住宅・土地の主要指標となります。
表5 富山家の住宅・土地の主要指標

※表をクリックすると大きく表示されます

表
終わりに

ここでは、富山県の主な集計結果のみ掲載しましたが、都道府県別、市町村別等の詳細なデータについては、総務省統計局のホームページの住宅・土地統計調査のホームページをご覧いただければと思います。
総務省統計局ホームページ「平成25年住宅・土地統計調査」
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.htm
最後に、
表
とやま経済月報
平成27年5月号