特集

魅力的な観光商品づくりについて
〜富山の新しい過し方〜

観光課 魅力創出係

1 はじめに


今年3月に、北陸新幹線が開業しました。観光客の来訪による経済効果を高めるには、県内により長く宿泊・滞在していただくとともに、大満足の笑顔で帰っていただき、「また来たい」とリピーターになっていただくことが重要です。

県ではこれまで、県内市町村や観光事業者等と連携し、富山ならではの観光資源を活かした観光商品づくりや、食の魅力・お土産のブラッシュアップ、観光地までの交通アクセス整備、観光に携わる人材の育成やおもてなし力の向上など、観光客の受入態勢整備に取り組んできました。

今回は、県内でより長く滞在していただくための、富山での過ごし方をつくる取組みについてご紹介します。

2 富山の観光の課題


大手宿泊予約サイト「じゃらん」の調査によると、富山県を訪れた観光客が、県内に入った時間は平均で15:15、出て行った時間は11:49です(表1)。全国平均に比べ、県内滞在時間が48分少ない状況です。また、宿泊旅行1回あたりに現地で消費した額は13,300円で、全国平均の16,000円に比べ2,700円少なくなっています(表2)。

仮に、観光客があと1〜2時間分県内に滞在し3,000円お金を使っていただくことができれば、県内に落ちる直接の消費額は、約87億円増加するという試算結果もあります。

観光客の滞在を促すためには、富山のおいしい食や、ガイドツアー・バスツアー等の観光商品を豊富に用意し、富山での過ごし方を具体的に提案することが必要です。

(表1)
平均のIN/OUT時間
図
(表2)
宿泊旅行1回あたりにかかった費用
図
出典:じゃらん宿泊旅行調査2014

3 食の魅力のブラッシュアップ


富山県の魅力の一つは、美味しい海の幸。富山湾は、日本海に分布する約800種のうち約500種の魚が生息する水産資源の宝庫です。また水深が海岸近くから急激に深くなるため、漁場と漁港が近く、網から船に揚げられた魚は、鮮度が落ちる暇もなく港に運ばれるため、県内では鮮度抜群の魚が味わえます。

また、環境省の名水百選に全国最多の8箇所が選ばれるなど、水が美味しい富山では、山菜や鮎、ジビエ等の山の幸も美味しく育ちます。

こうした美味しい海の幸・山の幸を堪能できる企画を実施しています。


(1)富山湾鮨

天然の生簀・富山湾で獲れた新鮮な魚を堪能できるのが「富山湾鮨」。富山湾の地魚をネタに使った鮨10貫と富山らしい汁物のセットです。価格はお店ごとに固定価格で2,000円〜3,500円(税抜き)。県鮨商生活衛生同業組合と連携し、県内約60店舗で提供しています。旅先で初めての寿司店に入るのは少し勇気がいりますが、富山湾鮨は予め価格が設定されているので安心です。また、提供時には鮨ネタの紹介を行い、お客様の満足度アップを図っています。

さらに、より海の幸を満喫したい方向けに、魚を知り尽くした鮨屋ならではの逸品地魚料理と富山湾鮨がセットになった「富山湾鮨会席 餐」も県内約20店舗で楽しめます。


富山湾鮨HP  http://www.toyamawan-sushi.jp/
画像


(2)とやまのおいしい朝ごはん

県内宿泊を促すため、「泊まらないと食べられない」地元にこだわった朝ごはんを提供する取り組みを、県ホテル旅館生活衛生同業組合と連携し、県内約40の宿泊施設で実施しています。

朝炊きのご飯と富山のおいしい水に加え、おかずには地元の食材を多く使うとともに、県内を7エリアに分け、エリア内の各旅館共通で、地域に根ざした季節の郷土料理(例えば、砺波の「よごし」)を1品提供しています。


とやまのおいしい朝ごはんHP  http://yado-toyama.jp/asagohan/
画像


(3)とやまの山幸(やまさち)

今年3月からスタートした「とやまの山幸」。山の幸を贅沢に使った料理と特別なおもてなしで幸せな時間を過ごしていただくことをコンセプトに、県内8店舗で提供しています。以下の3つの共通ルールを設けています。

1
県内でとれた山の幸を使用した1万円以上のコース料理
その中の一品は、「多喜込み(炊き込み)」料理。訪れる方や生産者、山の恵みに感謝を表す、趣向をこらした一品です。
2
山の幸の食材は、県内の産地をお品書きなどに明記
3
料理とあわせて、各店独自の特別なおもてなしを実施
おもてなしの一例
  • 店主との会話が楽しめるカウンター席をご用意し、食材や水のうんちくを説明。
  • 食後に、地元産のアロマが薫る部屋で、地元産の薬草茶を提供。

とやまの山幸HP  http://www.yamasachi.jp/
画像

4 着地型観光商品の造成・販売


富山での滞在を手軽に楽しめる、富山ならではの観光資源を生かした観光商品づくりも、市町村や観光事業者と連携して行っています。

これまでに造成された商品の一例をご紹介します。


(1)ぐるっとグルメぐりクーポン

富山を代表するお土産の一つ、ます寿し。富山市内にはます寿し専門店が数多くあり、お店ごとに、ますの締め具合やシャリの味付けに違いがあります。ます寿し1/8切れまたは甘味と交換できる券3枚と、セントラムと市内電車の1日乗り放題券がセットになったクーポン(1,000円)を使えば、路面電車を乗り降りしながら、各店舗で食べ比べができます。富山駅周辺で2〜3時間過ごす際にお薦めです。

画像
ぐるっとグルメぐりクーポン  http://www.chitetsu.co.jp/?p=16397


(2)黒部峡谷パノラマ展望ツアー

黒部峡谷トロッコ電車の終着駅・欅平の先にある、これまで一般公開されていなかった関西電力施設内を訪れる体験ツアーが、今年5月からスタートしました。黒部ダム建設時に造られた高低差が約200メートルある竪坑エレベーターや、昭和10年から活躍している凸型機関車等を乗り継げば、ダムを建設した先人たちの技術力の高さを改めて実感できます。パノラマ展望台から望む北アルプスの山々の風景も見事です。

画像
黒部峡谷パノラマ展望ツアー  http://kurobe-panorama.jp/


(3)ぐるっと富山観光バス

県内の主要駅を発着しおススメの観光地を回る、とっておきのバスツアー。公共交通機関ではアクセスしづらいところも、バスツアーなら楽々です。

≪2015年夏のラインナップ≫
  • 弥陀ヶ原湿原と美女平散策ガイドツアー
  • 越中八尾おわら風の盆ステージ鑑賞と富山湾のきときと寿司ランチ
  • YKKセンターパークと名水の里黒部
  • 北前船ゆかりの地 岩瀬巡りの旅
  • 富山の夜景と富山湾鮨の旅
  • 国宝・瑞龍寺と食の都・氷見の旅
  • 夏浪漫 となみ野紀行(木彫りの里井波のまち歩きと鮎料理、五箇山散策) など

詳しくは、パンフレットをご覧ください。



(4)VISIT富山県

これらの観光商品が旅行前に購入できるよう、24時間インターネットで予約・販売するサイト「VISIT富山県」を設けています。ぜひ、ご利用ください。

画像

VISIT富山県  http://visit-town.com/toyama/
とやま経済月報
平成27年7月号