地域親交
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上市町では、昨年度に上市町雇用創造協議会を設立し、町や経済団体等の創意工夫により地域経済の活性化と雇用機会の創出を図るため、富山労働局の委託を受け、県内では初めて平成24年12月より「実践型地域雇用創造事業」を実施している。 本事業は地域の実情に応じた雇用創造の取り組みをより効果的に推進するために、地域内の企業や求職者向けの人材育成セミナー等を開催するとともに、求職者の就職促進や創業に結びつく商品開発等の実践的な取り組みを複合して行う事業である。 元気な地域は、地域に暮らす人、働く人が親しく交わることで互いに呼応し、それが大きなうねりとなり様々な物事が起き上がる。地域振興には人々の親交が必要不可欠との思いから事業名を「地域親交」とした。 |
1 趣旨・目的
表1 上市町の事業所数、従業員数の推移
表2 上市町の業種別商店数、従業者数及び商店販売額
「第7次上市町総合計画」では「『確かな地域力』で創る 存在感あふれる上市」を町の将来像と定めている。全体として地域の産業が疲弊してきている中で、本事業を活用することにより、事業所の体力づくりへの支援、多様なビジネス展開の促進、勤労者の就労環境の向上、特産品開発の促進、潜在的な観光資源の発掘と既存観光資源の強化による商品開発、滞在型観光・交流機会の充実、そしてUIJターン等による商業・農林業の後継者問題及び人材不足の解消など、町の産業基盤の強化を図るものである。 町では平成23年に町長が観光元年キックオフ宣言を行い、観光に力を入れ始めた所であるが、振興にあたっては「ないものねだり」ではなく、町の宝を活かすことに主眼を置いている。 上市町は町のシンボルである剱岳の麓に雄大に広がる森林を有し、そこに多くの動植物が生息している。この風土が町民の日々の生活を豊かで実りあるものにしている。 このことから、地域に住む人々が地域の宝である自然環境や自然と密接にかかわる伝統・文化などの資源を探し出し、また見つめ直し磨き上げることにより、それらを観光に活かしていく取り組みを行っているところである。 この取り組みの一環として、平成24年度から環境省の地域コーディネーター活用事業交付金(現 生物多様性保全推進交付金(エコツーリズム地域活性化事業))の採択を受け、専門家のアドバイスを仰ぎながら、エコツーリズム推進法に掲げる目的に沿って、自然環境の保全、地域における創意工夫を生かした観光の振興及び環境の保全に関する意識の啓発等に取り組んでいるところである。 また、上市町出身のアニメーション映画監督、細田守氏の最新作「おおかみこどもの雨と雪」(上市町HPにバナー掲載中)には上市町をモデルに、美しい里山の情景とそこに暮らす人々が描かれており、まさに現在進めているエコツーリズムに合致した内容であることから、観光振興に際して大きな宣伝効果が期待できると考えている。いずれにせよ、長期的な効果を継続するためには、何度も観光客が足を運びたくなるような仕掛けや仕組み作りが必要不可欠である。 しかしながら、観光分野のみを活性化しようとしても部分・個別的な活性でしかないため、町全体の経済効果には繋がらない。観光分野を起爆剤に、商工業、農林業といった他の分野との連携による経済効果と雇用効果が必要である。他分野との連携で大きな雇用を生み出し、町全体の最適化を図っていくことが重要となる。 |
2 重点分野
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3 おわりにまた、実践メニューとしては豊かな自然資源から生まれる特産品や農林業産品を活用した上市ならではの商品を開発する「市のまち復興・魅力創出事業」、地域にある素材を体験型旅行商品としてまとめ、その商品を扱うプロガイド組織の構築・ガイドの生計安定を支援する「ガイド+αの仕組みづくり事業」を行っている。 これら事業と並行して商品の販路確保、求職者の就職支援、創業支援を行うとともに、企業間の連携を目指すことにより、内外の交流促進と地域産業の育成と雇用の拡大を図り、平成26年度までの事業期間において140名の雇用創出を図ることを目標とし、関係者が精一杯日々の業務を行っているところであり、今後の動きと成果に注目していただきたい。 |