外国人観光客を富山へ富山県 観光・地域振興局 観光課 |
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東日本大震災及び原子力発電所事故に端を発する食の安全の問題や風評、さらに空前の円高等により、富山県の国際観光も大きな影響を受けました。 一方、今年4月に富山−台北便が就航し、また、日本海側の総合的拠点港に選定された伏木富山港には外国からのクルーズ船の寄港が相次ぎました。 富山県では、本県の陸海空の基盤整備が着実に進むなか、国のビジット・ジャパン事業や近隣の県、観光事業者等と連携して観光プロモーションを実施し、震災前の水準への早期回復をめざしています。 |
1. 富山県を訪れた外国人旅行者数(1) 台湾が最大市場、東南アジアが急増 (表1、グラフ1参照)立山黒部アルペンルートを団体のツアーで訪れた外国人観光客は、過去順調に増加し、平成20年には最高の127,774人を記録しました。しかし、平成21年は新型インフルエンザや世界同時不況の影響により激減し(68,517人)、平成22年はやや回復したものの(96,966人)、昨年は再び減少しました(54,357人)。 国・地域別では、台湾からの観光客が最も多く、春の雪の大谷や秋の紅葉など「立山黒部」は台湾でも高い知名度を誇り、台湾は本県にとって最も重要な市場となっています。 震災直後の昨年春は台湾からの観光客も大幅に減少しましたが、台湾の旅行会社・メディア等を緊急招へいし、知事自ら県内の観光地の魅力や富山の安全性をアピールするなど、官民一体となって早期回復に取り組んだ結果、昨年夏以降、台湾からの観光客は確実に回復しました。 一方、以前は台湾に次いで来訪の多かった韓国については、放射能汚染に対する根強い警戒感や円高・ウォン安等の影響を受け、回復が遅れています。 このほか、香港、タイ、シンガポールなど、一年を通じて暖かい国・地域からの観光客が、近年、急激に増加しています。 なお、表1(及びグラフ1)は、アルペンルートを団体のツアーで訪れた外国人観光客数を表しており、欧米や東南アジアからの旅行者に多く見られる個人旅行客は含まれていないことに留意してください。 |
<グラフ1>立山黒部アルペンルートの訪日団体観光客数
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(2) 県内での宿泊がカギ (表2参照)外国人旅行者の来訪による経済効果を高めるためには、県内により長く滞在・宿泊してもらうことが重要です。 このためには、観光事業者と連携し、富山湾鮨(※)や地酒などの食の魅力、温泉、ショッピングなど、富山で宿泊することによる付加価値を高め、旅行者にアピールすることが重要と考えています。
昨年、台湾から立山黒部アルペンルートを訪れた団体観光客は45,942人でした(表1)。一方、同年に県内で宿泊した台湾からの旅行者は、ビジネス等での利用も含め、24,121人でした(表2)。台湾からの旅行者の大部分がアルペンルートを訪問している可能性が高いことを考慮すると、台湾から本県を訪れた観光客の約半数が、県内で宿泊したものと考えられます。 中国本土からの来訪については、宿泊者数は平成23年で11,288人と台湾に次いでいますが(表2)、アルペンルートの団体観光客数はわずか309人にとどまっており(表1)、本県へはビジネス目的での来訪が多いことがうかがえます。 |
(3) 今年の動向アルペンルートを運行する立山黒部貫光株式会社からの情報によると、本年9月までの実績では、訪日団体観光客数は、震災前の平成22年の水準におおむね回復しつつあるようです。 内訳としては、台湾からの観光客が回復するとともに、タイ、インドネシア等の東南アジアからの来訪が過去最高を記録し、回復が遅れている韓国等の減少をカバーしているとのことです。 我が国全体の回復状況については、日本政府観光局(JNTO)の9月21日の発表によると、タイ、マレーシア、インドネシア等で震災前の水準を大幅に上回っているものの、円高や放射能汚染に伴う食の安全への懸念等の影響で、韓国、シンガポール、欧州等の回復が依然として遅れており、「市場全体の回復は足踏み状態にある」とされています(表3参照。訪日外国人旅行者の平成23年までの推移は表4を参照。なお、いずれもビジネス目的等での来訪者数を含みます)。 |
<表3>訪日外客数の回復状況
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2. 誘客の取組み海外からの観光客は、日本国内を広域で移動し観光することが一般的ですので、誘客にあたっては、それぞれの国・地域の旅行動向やニーズを踏まえつつ、広域的なモデルコースを設定し、関係する近隣の自治体等と連携してプロモーションを実施しています。 とりわけ、本県にとって最大の観光市場である台湾については、台北市内の地下鉄でラッピング広告をした電車を走らせるなど大規模な屋外広告を実施するとともに、メディアや著名なブロガーを招へいし発信してもらうなど、積極的なプロモーションを展開しています。 また、アルペンルートや黒部峡谷鉄道が営業を休止する冬場の誘客を図るため、温泉や食の魅力などに加え、雪景色やスキー・雪遊びなど冬の観光資源のPRを強化し、年間を通じた来訪を促進することとしています。 |
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中国本土からの誘客については、現在は、中国からの観光客の約6割が初めての訪日であり(平成23年訪日外国人消費動向調査:観光庁)、東京、富士山、関西の有名観光地を結ぶ、いわゆる「ゴールデンルート」に人気が集中しています。 このため、中部北陸が連携して、昇龍道プロジェクト(能登半島を龍の頭に見立て、東海から北陸を南北に結ぶ広域観光ルートをPR)などを通じ、中国での認知度向上と来訪促進に取り組むこととしています。 さらに、本県への来訪が急速に増加している東南アジアについては、本県の雪の魅力を活かせる有望な市場であることから、現地での観光説明会の開催や旅行博への出展等を通じ、来訪を促進することとしています。 |
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一方、近年、欧米の船会社が東アジアに大型のクルーズ客船を配置し、上海から釜山等を経由して九州・関西へ寄港するクルーズが増えています。 県では、海外のクルーズ見本市への出展や国内外の船会社等への働きかけを通じ、本県の優れた観光資源をアピールし、外航クルーズの誘致を推進しています。 |
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今後は、団体でのツアー客に加え、海外からの個人旅行者もさらに増加することが予想されます。 このため、駅・バス停・観光地等における多言語表記やピクトグラム(絵文字)による案内、ウェブサイト等におけるきめ細かな情報提供など、個人旅行者に快適に観光していただけるよう、受入環境の整備も進めています。 |
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