平成22年国勢調査「人口等基本集計」「産業等基本集計」
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国勢調査について
平成22年調査は、人口減少社会を迎えて、人口と世帯の動向のほか、産業構造や雇用形態の状況などを把握するものとなっています。ここでは、これまでに公表された人口等基本集計と産業等基本集計の富山県に関する結果から、特徴的なものをいくつか紹介します。 なお、平成22年国勢調査の結果は、24年11月公表予定の職業等基本集計をはじめ、今後も順次公表される予定です。 |
(平成22年国勢調査の調査期日は、平成22年10月1日です) |
1.人口(1)総人口 〜人口の減少が加速している〜平成22年10月1日現在の富山県の総人口は1,093,247人で、前回調査(平成17年)に比べて、18,482人、1.7%減少(全国 0.2%増加)しましたが、全国順位(都道府県別順位)は1つ上がり、37位となりました。 5年ごとの人口及び人口増減率の推移をみると、昭和40年に一時減少したものの、国勢調査における富山県の人口が最多であった平成7年までは増加が続きましたが、その後は減少に転じたうえ減少率が徐々に大きくなっています。(表1-1) 全国の人口は128,057,352人で平成17年に比べ0.2%増(但し、日本人人口は0.3%減)と調査開始以来最低の人口増加率となりました。人口が増加したのは9都府県で、増加率が最も高いのは東京都の4.6%、減少率が最も高いのは秋田県の△5.2%でした。(表1-2) |
(2)年齢別人口 〜15歳未満人口は過去最低、65歳以上人口は過去最高〜総人口を年齢3区分別にみると、15歳未満人口は141,936人(総人口の13.0%)、15歳〜64歳人口は662,072人(同60.8%)、65歳以上人口は285,102人(同26.2%)で、平成17年に比べて15歳未満人口は5.1%減少、15歳〜64歳人口は5.8%減少し、65歳以上人口は10.4%増加しました。 全国、富山県とも、15歳未満人口の割合は調査開始以来最低、65歳以上人口の割合は調査開始以来最高となりました。(図1-1、表1-3) |
他県の状況をみると、沖縄県は、15歳未満人口割合は17.8%でトップ、65歳以上人口割合は17.4%で最下位でした。東京都は、15歳未満人口割合は11.4%で最下位、15〜64歳人口割合は68.2%でトップでした。 秋田県、島根県、高知県は、65歳以上人口割合では上位3県、15〜64歳人口割合では下位3県を占めています。(表1-4) |
(3)配偶関係 〜比較的若い世代の未婚率上昇が目立つ〜15歳以上人口を配偶関係別にみると、男性は「未婚」が28.0%、「有配偶」が65.2%、「死別」が3.4%、「離別」が3.4%となっています。 女性は「未婚」が18.1%、「有配偶」が59.2%、「死別」が17.9%、「離別」が4.8%となっています。(表1-5) |
未婚率は、男性全体では28.0%、女性全体では18.1%で、全国順位は低い方から数えて男性12位、女性4位となっています。 しかしながら、年齢層を分けて未婚率をみると、状況は一様ではありません。25歳〜49歳について、5歳階級別に平成22年の未婚率を平成2年と比べてみます。 (男性)25〜29歳では9.9ポイントの上昇ですが、30〜34歳は19.1ポイント上昇し、35〜39歳、40〜44歳、45〜49歳では17.7〜16.3ポイントの上昇となっています。 全国の未婚率と比べると(平成22年)、どの年齢階級においても全国より低く、また、25〜29歳と30〜34歳では差が1ポイント未満で、全国順位はそれぞれ36位、35位となっていますが、35〜39歳以降は全国との差が徐々に開いて、全国順位も上がってゆきます。 (女性)25〜29歳で25.7ポイント、30〜34歳で23.2ポイントと大きく上昇し、35〜39歳でも15.2ポイント上昇しました。男性と同様どの年齢階級においても全国より低く、また、全国順位は25〜29歳では27位ですが、年代が上がるとともに順位が上がり、45〜49歳では3位となっています。(図1-2、表1-6) |
(4)外国人人口 〜最も多い外国人はブラジル人から中国人へ〜県内に在住する外国人は11,002人で(全人口の1.0%)、平成2年以降の急速な増加はおさまって、平成17年に比べて415人(3.9%)の増加に留まりました。 外国人の割合を国籍別にみると、ブラジルが平成17年に比べて15.7ポイント減の17.8%となる一方、中国が8.9ポイント増えて40.9%となり、県内に在住する外国人で最も多いのはブラジル人にかわり中国人となりました。(図1-3、1-4) |
図1-3 富山県の外国人人口の推移 ![]() |
図1-4 富山県の国籍別外国人割合の推移 ![]() |
(2)世帯の種類、家族類型 〜単独世帯の増加が続く〜一般世帯を家族類型別にみると、「夫婦と子供から成る世帯」が全体の26.6%と最も多く、次いで「単独世帯(一人暮らし世帯)」が24.2%などとなっています。 「単独世帯」をはじめとして、「夫婦のみの世帯」、「ひとり親と子供から成る世帯」の割合が増えてきているのに対して「夫婦と子供から成る世帯」の割合は徐々に減少しており、「単独世帯」と「夫婦と子供から成る世帯」の差は縮まっています。(全国では、「単独世帯」が「夫婦と子供から成る世帯」を上回って最多となりました。) また、「3世代世帯」の割合は減少が続いて16.1%となったものの、全国順位は平成17年と同じ5位でした。(図2-1) |
他県の状況をみると、「単独世帯」の割合が全国トップの東京都は「3世代世帯」の割合では最下位となり、「単独世帯」の割合が最下位の山形県は「3世代世帯」の割合ではトップとなっています。(表2-2,2-3) |
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(3)高齢者世帯65歳以上の世帯員のいる世帯は、平成17年に比べて8.9%増加の182,851世帯でした。 うち、「単独世帯(一人暮らし高齢者)」は、平成17年に比べて24.4%増の31,441世帯で、男女別では男性7,739人、女性はその3倍の23,702人となっています。 65歳以上人口の中で一人暮らし高齢者が占める割合は、男性6.6%、女性はその2倍余りの14.2%でした。 また、65歳以上人口のうち、老人ホーム等の「社会施設の入所者」は、平成17年に比べて57.3%増加して13,355人となる一方、「病院・療養所の入院者」は37.5%減少の5,593人でした。(表2-4、2-5) |
3.住宅の状況(1)住宅の所有の関係 〜持ち家率は、全国1位を維持〜持ち家率(住宅に住む一般世帯に占める「持ち家」の割合)は78.35%で、昭和35年調査以来連続で全国1位を維持しました。 しかし、富山県では持ち家が増加する一方で民営の借家も増加しており、持ち家率は緩やかな低下が続いて、2位(秋田県、78.34%)との差は僅かになりました。(図3-1、表3-1) |
(2)1世帯あたりの住宅の延べ面積について〜3分の2の世帯が100㎡以上〜
全国と比べると、全国では3分の2の世帯が99㎡以下ですが、富山県では3分の2の世帯が100㎡以上となっています。(図3-2) |
4.産業(1)労働力人口 〜総人口同様、減少傾向が続く〜15歳以上人口(労働力状態が不詳の者を除く)は、平成17年に比べて2.3%減(全国は2.2%減)の931,143人となりました。 うち、労働力人口は、平成17年に比べて4.7%減と全国(2.6%減)よりも大きく減少して576,413人となりました。労働力人口も、総人口と同じく平成7年をピークに減少が続いています。(表4-1) |
表4-1 労働力人口・労働力率等の推移 ![]() |
※労働力人口とは | 就業者と完全失業者の計(専業主婦、学生等は非労働力人口) |
※労働力率とは | 15歳以上人口(労働力状態が不詳の者を除く)に占める労働力人口の割合 |
(2)労働力率 〜女性の状況に変化〜労働力率は61.9%(全国61.2%)で、平成17年に比べ1.6ポイント低下しました。男女別にみると、男性は73.1%(全国73.8%)、女性は51.8%(全国49.6%)で、平成17年に比べ男性は2.4ポイントの低下、女性は0.8ポイントの低下となりました。 近年、女性の労働力率には変化がみられます。女性の年齢階級別労働力率は、折れ線グラフでは2つの山を持つM字型ですが、25〜29歳と30〜34歳の労働力率が上昇してM字の谷が浅くなっています。 50〜54歳、55〜59歳、60〜64歳でも上昇し(特に60〜64歳は平成17年から22年の間に6.0ポイントも上昇)、グラフの形が男性と似たものになってきています。(図4-1、表4-2) 全国でも、上述の年齢階級で労働力率の上昇が目立つ状況になっています。 |
(3)就業者数就業者数は546,363人で、平成17年に比べると5.5%減少(全国 3.1%減少)しました。男女別にみると、男性は302,575人、女性は243,788人で、平成17年に比べ男性が6.6%減(全国 4.6%減)、女性が4.1%減(全国 1.0%減)となりました。 @産業3部門別就業者就業者を産業3部門別にみると、第1次産業は18,916人、第2次産業は182,225人、第3次産業は334,233人となり、平成17年に比べていずれも減少しました。(表4-3) 第1次産業と第2次産業の就業者割合は低下傾向が続いていますが、富山県の第2次産業の就業者割合は、平成17年に引き続き全国1位でした。(図4-2) |
A産業大分類別就業者就業者を産業大分類別にみると、製造業(131,878人)が最も多く、2位は「卸売業、小売業」(86,300人)、次いで平成17年より大きく人数が増えた「医療、福祉」(60,302人)が「建設業」(50,031人)を抜いて3位となりました。 平成17年よりも就業者数が増えた産業分類は5つのみで、8千人余り増加した「医療、福祉」のほかは、68〜251人の増加にとどまっています。 逆に、就業者数が減少した産業は、「卸売業、小売業」の△10,673人をはじめ、「サービス業」△9,297人、「製造業」△8,135人、「建設業」△7,985人などとなっています。(表4-3) なお、製造業は就業者を減らしたものの、就業者全体に占める割合は24.1%で全国4位でした。 |
(4)夫婦の労働力状態
平成17年と比べると、共働き世帯は8,774世帯(6.1%)減少、共働き率は2.1ポイント低下して全国順位は3位から5位に下がりました。(表4-4) |
(5)外国人の労働力状態県内に在住する外国人(11,002人)のうち就業者は6,469人で、平成17年に比べ520人減少しており、全就業者に占める外国人就業者の割合は1.2%となりました。 産業大分類別にみると、製造業が3,692人で全体の57.1%を占め、全国とは23.5ポイントもの差があります。(表4-5) |
表4-5 産業大分類別外国人の状況 ![]() |
(6)従業上の地位就業者を従業上の地位別にみると、雇用者が442,193人で就業者の80.9%を占めています(全国77.6%)。平成17年に比べて就業者数が増えたのは「役員」のみで、他の区分は減少しています。(表4-6) |
雇用者のうち、「正規の職員・従業員」の割合は70.6%(全国65.8%)で、山形県に次いで全国2位でした。非正規では、「派遣社員」が2.6%、「パート・アルバイト・その他」が26.9%となりました。(表4-7、図4-3) |
「正規の職員・従業員」の割合を男女別でみると、男性85.0%、女性54.0%となっており、男性就業者の割合が高い産業で正規従業員割合が高い傾向がみられます。(図4-4、表4-7) |
5.おわりに今回は人口等基本集計と産業等基本集計の結果から紹介しましたが、国勢調査にはこのほかにも様々な集計があります。 |
☆職業等基本集計(平成24年11月公表予定) 地域の職業別の就業者数や、就業者の産業と職業の関係のほか、母子(父子)世帯の状況、親子の同居の状況などもわかります。 |
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☆抽出詳細集計(平成25年10月公表予定) 市町村別の就業者数を、産業と職業の別に小分類まで分けて詳しく集計。地域の産業や雇用の実態を詳しく把握することができます。 |
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☆従業地・通学地集計(平成24年6月、25年3,10月公表予定) 昼間人口や、就業者や学生がどの市町村に通勤・通学しているかなどがわかります。人口・産業・職業基本集計の結果に対応して、3段階で公表されます。 |
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☆人口移動集計(平成24年1,7月、25年4月公表予定) 人口の転出入状況等の集計で、都市部への人口流入などの実態がわかります。人口・産業・職業基本集計の結果に対応して、3段階で公表されます。 |
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☆小地域集計 市町村より小さい単位である町丁・字等の別に人口や世帯数等を集計するもので、詳細な地域分析を行うことができます。人口・産業・職業基本集計等に対応しており、それぞれの集計公表後に公表されます。 |
これらの結果は、年金・医療費の負担と給付の審議、高齢者福祉、保育所等子育て施設の充実度評価、防災計画作成・被害予測をはじめ多くの行政施策に利用されているだけではなく、研究機関や民間企業などでも幅広く利用されています。 また、国勢調査では非常に多くの統計表が作成されて総務省統計局のHPで公開されており、誰もがパソコンに統計表を取り込み、自由に加工して使うことができます。 はじめての方には、HPに「ユーザーズガイド」のコーナーが用意されており、統計表の見方や統計表検索機能の利用方法などを知ることができるだけでなく、「国勢調査からわかったこと」もわかりやすく掲載されています。 |
総務省統計局HP「ユーザーズガイド」http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/users-g.htm![]() |
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