特集

〜癒しの山里から雲上の楽園まで〜
世界へと飛躍する「立山」の宝物!

立山町商工観光課

富山県の中央部から東南に細長く位置する立山町。

「立山黒部アルペンルート」の“お膝元”として、年間100万人もの観光客が訪れる、富山県を代表する観光地です。

四季を通じて美しく雄大な景色を映し出す立山連峰は、立山町内のいたるところから望むことができ、立山町民の「誇り」であり、また「心のよりどころ」にもなっています。

屏風のようにそびえ立つ立山連峰は、ふもとに豊かな清流をもたらし、県内でも有数の米どころを形成し、ブランド米「立山米」を育んでいます。

<雲上の楽園  立山黒部アルペンルート>

北アルプス「立山」は、富士山、白山と並び、「日本三霊山」として、古くから日本中の人々の信仰を集めています。

立山には神々が住み、人々の霊魂が鎮まる聖地とされ、長い間、厳しい修行の場とされており、一般の人たちは近づくことのできない峻険な地域でした。

しかし、1971年には、日本の屋根北アルプスを貫き、立山直下を横断する全長90kmの「立山黒部アルペンルート」が全線開通しました。

黒部ダム  立山黒部アルペンルートは、ケーブルカーや高原バス、ロープウェイなど様々な乗り物を乗り継ぎ、標高2,450メートルの「雲上の楽園」へ、誰もが気軽に訪れることができる観光ルートです。

高さ20メートルにも及ぶ雪の壁を通り抜ける「雪の大谷ウォーク」や世紀の大事業のもとに完成した迫力満点の「黒部ダム」など、他に類を見ないスケールの大きな景観が魅力となり、年間100万人もの観光客が訪れています。

昨年は東日本大震災により、入り込み数が例年の約80%まで落ち込みましたが、春の「雪の大谷」、「高山植物が咲き誇る夏の高原」、「五色の錦が広がる秋の紅葉」など、美しい立山のPRを全国で展開し、より多くの方に訪れていただきたいと思っております。

また、今年度は、写真ブームの高まりにちなんで、雄大な立山の自然をより美しく撮影されたい方へのプロカメラマンによる写真講座や、黒部ダムの夕暮れどきのライトアップによって、昼の爽やかな姿とはまた違う幻想的な黒部ダムをお楽しみいただけるイベントなど、普段と異なった角度から立山を楽しんでいただくための企画も開催する予定です。

立山トンネルウォーク  昨年度は、立山黒部アルペンルート全線開業40年となり、様々な特別イベントを開催しました。

特に、通常は歩くことのできないトロリーバス専用軌道の「大観峰〜室堂」間を、オリンピック・メダリストと共に歩いて通過する「立山トンネル・ウォーク」の開催は、立山黒部アルペンルートの偉業を多くの参加者が共に体感され、好評をいただきました。

これらの企画により、立山の魅力がより広く告知され、今年4月の立山黒部アルペンルート入り込み数は前年比の183%となりました。

今年5月のゴールデンウィークは天候にも恵まれ、立山黒部アルペンルート沿線各所が賑やかな声に溢れ、国内外より大変多くの観光客にお越しいただきました。

<10万人の外国人観光客>

雪の大谷 立山黒部アルペンルート  立山黒部アルペンルートは、世界各国から年間約10万人の外国人観光客が訪れる、世界規模での山岳観光地です。

特に、雪の少ないアジア圏からの旅行者にとって、高さ20mにも及ぶ「雪の大谷」は日本観光におけるハイライトの一つとして位置づけられており、訪日観光を取り扱う外国の旅行会社にとって、販売促進のための主軸になっています。

台湾では、雪の大谷に代表される立山黒部アルペンルートは、海外旅行のブランドとして取り扱われ、現地レジャー誌において「一生に一度は行きたい28の観光地」に選定されるほどの人気を博しており、立山黒部アルペンルートへ訪れる外国人旅行者の約6割が台湾からの観光客となっています。

<富山空港の台湾直行便が就航〜
 “団体旅行客”から“個人旅行客”の獲得へ>

平成24年4月、富山空港と台湾・台北間の国際線定期便が就航しました。

立山黒部アルペンルートの全線開通に合わせ、開通日前日の4月16日に、記念すべき第一便が就航し、台湾からたくさんの観光客がいらっしゃいました。

富山県では、平成24年5月現在、週2便の運行を、搭乗率の増加に合わせ増便する計画をたてています。

富山空港との直行便により、これまでは「団体旅行」が主体だった立山黒部アルペンルートが、「個人旅行」による来訪も増加することが見込まれます。

そこで、立山町及び立山黒部貫光株式会社、長野県大町市等で構成する「立山黒部アルペンルート広域観光圏協議会」では、今年度、観光庁の「訪日外国人受入環境整備事業」を活用し、多言語によるWebサイトの一層の充実や、外国において同ルートの乗車券購入が可能となるシステムの開発等、個人旅行者やリピーターに配慮した様々な整備を図ることとしています。

<「立山弥陀ヶ原・大日平」がラムサール条約湿地の登録へ>

今年、立山の台地に広がる「立山弥陀ヶ原・大日平湿原群」が、ラムサール条約に登録される見込みとなっています。

ラムサール条約とは、失われつつある湿地環境を国家の間で協力し合い、湿地を守っていくためのものです。

湿地を守ることは、貴重な生物多様性を保全することに加え、二酸化炭素の吸収など、環境保護においてとても大切な意味を持ちます。

平成24年5月現在、世界で160カ国がラムサール条約に締結し、日本では37箇所が登録湿地となっています。

「立山弥陀ヶ原・大日平湿原群」が登録されれば、富山県で初のラムサール条約湿地となります。

古来、弥陀ヶ原は高山植物が咲き誇る様子から、阿弥陀如来が住む浄土として命名され、また点在する池塘(ちとう)は、立山の地獄に落ちた餓鬼が飢えをしのぐために田植えをした場所として「餓鬼の田」と命名されたと言われています。

弥陀ヶ原は、これまでは雪の大谷や黒部ダムを訪れる際の「通過地点」として捉えられていましたが、ラムサール条約における登録により、今後は立山信仰の歴史を体感しながら、緑豊かな「雪田草原(せつでんそうげん)」を散策できるスポットとして、注目を受けることとおもわれますので、それにより、自然保護と観光が融合した富山県の新たな魅力を世界に発信できる機会へと繋がり、富山を訪れる人々が増えることも期待されます。

今年の7月には、ルーマニアのブカレストにおいて、ラムサール条約締約国会議が開催される際、立山町長が出席し、授与式に合わせ、立山の魅力を世界に向け発信することとしています。

ラムサール条約登録予定の弥陀ヶ原湿原

<癒しのイベント「布橋灌頂会」が日本ユネスコ連盟の未来遺産登録へ>

立山の麓の集落「芦峅寺」において開催される「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」が、平成24年2月日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」に登録され、登録証書授与式が行われました。

布橋灌頂会は、かつて立山への登山が禁じられた女性の極楽往生を願い、江戸時代に行われていた女人救済の儀式で、浄土への架け橋とされる布橋を、目隠しした女性が白装束で渡るものです。

明治時代の廃仏毀釈により廃止されていた儀式が、平成17年9月に「癒しのイベント」として本格的に復活し、全国から多くの参加者が訪れることとなりました。

日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」は、地域の文化や自然を守る取り組みを、100年後の子どもたちに伝えることを目的に、2009年から認定が始まりました。

芦峅寺地域住民の世代を超えた深い理解と積極的な活動により、この歴史と伝統に培われた美しいイベントが継承されていることから、布橋灌頂会を守り継承する活動が「第3回プロジェクト未来遺産(平成24年12月19日登録決定)」への登録に繋がりました。

今後は、数年に一度、布橋灌頂会を開催することとしており、次回開催を待ち望む声が高まっています。

また、立山信仰を象徴する儀式として、海外の日本宗教学者らの間でも注目されていることから、今後は外国からの参加も期待されます。

日本ユネスコ協会連盟 プロジェクト未来遺産 布橋灌頂会

今年は、立山にとって、これまで以上に明るい話題が目白押しとなっています!

“元気なニッポン”を、ここ立山の地から、全国、そして世界へと発信していきたいと思います!


立山町 HP
http://www.town.tateyama.toyama.jp/

立山町観光協会
http://www.tateyamakankoukyoukai.jp/

とやま経済月報
平成24年6月号