平成12年度歩行者通行量調査結果の概要
富山市/富山商工会議所

 

 平成12年度歩行者通行量は、前年調査と比べると平日、日曜日ともに10%以上の減少となり、平日、日曜日ともに増加となったのは中心商店街地区の旧清文堂書店前、ミスタードーナツ富山店前の2つの地点のみであった。特に、旧清文堂書店前は平日90.2%の増加となり、これはユニー西町店のあとにアピタ食品館がオープンし、平日の主婦層の買い物客が増加したためと思われる。
 また、富山周辺地区ではJR富山駅地下道南口(日曜日の前年比16.4%)・北口(同20.6%)の日曜日の通行量が増加しており、これはJR富山駅北地区における「とやま都市MIRAI計画」の主要事業が、平成12年7月にほぼ完成したことなどが理由として考えられる。

【調査実施要領】
 富山駅周辺地区、中心商店街(総曲輪通り・中央通り・西町)地区の歩行者通行量を調査分析することにより、都市及び商業振興を図るための資料とする。

1.調査実施日時 平成12年8月20日(日)
平成12年8月24日(木)
いずれも午前8時〜午後7時(1時間毎に集計を行う11時間連続)
2.調査対象 中学生以上の歩行者(自転車も含む)
3.調査地点 富山商工会議所管内(旧の水橋町、和合町、呉羽町の地域を除く富山市の区域)の15調査地点(富山駅周辺地区6地点、中心市街地地区9地点)

地区 調査地点番号・地点名
富山駅周辺地区 (1)マリエとやま西側
(2)安田信託銀行前
(3)CiCビル東側
(4)JR富山駅長室前
(5)JR富山駅地下道南口
(6)JR富山駅地下道北口
中心商店街地区
 総曲輪通り (7)ファミリーマート南側(旧大黒や前)
(8)富山西武南側
 中央通り (9)マクドナルド南側
(10)サンハーティ前
(11)P.O.BOX前
 西町 (12)マツイ電器店前
(13)富士銀行前
(14)旧清文堂書店前
(15)ミスタードーナツ富山店前
(5)のJR富山駅地下道南口は、富山駅待合室前の地下道入口


【調査地区の特徴】

1.富山駅周辺地区
 富山駅前はJR、電車、バスなどの発着点であり、通勤・通学、旅行者、買物客が混在する地区である。昭和46年11月にユニー富山駅前店がオープンして以来、長らく商業施設面において大きな変化がみられなかったが、昭和62年以降の再開発事業により、マリエとやま、CiCがオープンし大きな変貌を遂げた。また、富山駅北地区では、高付加価値型都市形成を目指す再開発事業「とやま都市MIRAI計画」の主要事業がほぼ完成し、商業・業務・レクリエーションなどの機能を導入したビジネスパークに生まれ変わった。

2.中心商店街地区
 本地区の総曲輪通り商店街は西地区を含め全長 320メートル、中央通り商店街は全長 470メートルで両商店街を合わせて東西に 790メートルに及ぶ。また、西町商店街は黄金通り、平和通りを中心に店舗が集積している。百貨店や量販店・専門店などが数多く立地する本県を代表する広域型商店街である。
  総曲輪通り・中央通り・西町ともアーケード・カラー舗装等、商店街の環境整備事業が実施されてきた。

【調査実施日における気候・行事等諸環境】


3.調査地点・歩行者通行量地図

【富山駅周辺地区】

【中心商店街地区】

【調査結果】
1.概況 ―15地点全体で平日△12.6%、日曜日△12.3%と大幅減少―
 本年の調査は、昨年同様の15地点(富山駅周辺地区 6地点、中心商店街地区 9地点)において実施した。
 15調査地点全体では、昨年と比較して平日(前回比 △12.6%)、日曜日(同△12.3%)いずれも減少となったものの、調査地点によっては大きく増加している地点もある。
 地区別に見てみると、富山駅周辺地区(調査地点[1]〜[6]の合計)の歩行者通行量は、平日△17.2%、日曜日△18.2%の減少、中心商店街地区(調査地点[7]〜[15]の合計)は、平日△8.3 %、日曜日△9.0%の減少となった(表1)。

表1地区別歩行者通行量
調 査 地 区 平成12年 平成11年 前年比 H12/H11
平日(8/24) 日曜(8/20) 平日(8/19) 日曜(8/22) 平日 日曜
合計【(1)〜(15)の計】 92,775 97,682 106,096 111,369 -12.6% -12.3%
富山駅周辺地区((1)〜(6)) 41,736 32,434 50,412 39,666 -17.2% -18.2%
(1)マリエとやま西側 11,128 7,445 17,840 15,365 -37.6% -51.5%
(2)安田信託銀行前 4,327 2,853 4,606 2,699 -6.1% 5.7%
(3)CiCビル東側 6,882 4,101 7,075 5,478 -2.7% -25.1%
(4)JR富山駅長室前 6,803 6,505 7,448 6,353 -8.7% 2.4%
(5)JR富山駅地下道南口 8,037 6,990 8,275 6,007 -2.9% 16.4%
(6)JR富山駅地下道北口 4,559 4,540 5,168 3,764 -11.8% 20.6%
中心商店街地区((7)〜(15)) 51,039 65,248 55,684 71,703 -8.3% -9.0%
 総曲輪通り((7)〜(8)) 16,000 21,819 18,678 24,499 -14.3% -10.9%
 (7)ファミリーマート南側 6,565 7,393 7,596 8,309 -13.6% -11.0%
  (8)富山西武南側 9,435 14,426 11,082 16,190 -14.9% -10.9%
 中央通り((9)〜(11)) 22,903 31,394 25,722 35,576 -11.0% -11.8%
 (9)マクドナルド南側 9,910 13,918 11,265 15,133 -12.0% -8.0%
 (10)サンハーティ前 7,577 11,114 8,824 13,740 -14.1% -19.1%
 (11)P.O.BOX前 5,416 6,362 5,633 6,703 -3.9% -5.1%
 西町((12)〜(15)) 12,136 12,035 11,284 11,628 7.6% 3.5%
 (12)マツイ電器店前 4,485 5,387 4,672 6,037 -4.0% -10.8%
 (13)富士銀行前 3,312 2,893 3,517 2,964 -5.8% -2.4%
 (14)旧清文堂書店前 2,570 2,041 1,351 1,131 90.2% 80.5%
 (15)ミスタードーナツ富山店前 1,769 1,714 1,744 1,496 1.4% 14.6%


2.調査地点別通行量 
―平日のトップは「マリエとやま西側」、日曜日のトップは「富山西武南側」―

 今回調査した15地点において最も通行量が多かったのは、平日では、マリエとやま西側(富山駅周辺地区)の11,128人で、次いで、マクドナルド南側(中心商店街地区)の9,910人、富山西武南側(中心商店街地区)の9,435人の順となった。
 日曜日では、富山西武南側(中心商店街地区)の14,426人が最も多く、次いでマクドナルド南側(中心商店街地区)の13,918人、サンハーティ前(中心商店街地区)の11,114人の順となった。
 前年との対比では、平日・日曜日ともに増加したのは中心商店街地区の2地点(旧清文堂書店前、ミスタードーナツ富山店前)だけとなったのに対し、平日・日曜日ともに減少したのは9地点(富山駅周辺地区で2地点、中心商店街地区で7地点)となった。


図1 駅前周辺地区の地点別通行量

<富山駅周辺地区>
 富山駅周辺地区では、マリエとやま西側が大幅に減少したが、調査した6地点のうち、安田信託銀行前、JR富山駅長室前、JR富山駅地下道南口、JR富山駅地下道北口の4地点においては、日曜日の通行量が前年に比べ増加した。特にJR富山駅地下道南口(日曜日の前回比16.4%)・北口(同20.6%)が増加しており、これは[1]JR富山駅北地区における「とやま都市MIRAI計画」の主要事業がほぼ完成したこと、[2]2000年とやま国体に向けて駅舎正面の地下道入口にエスカレーターが設置されて地下道が利用しやすくなったこと、[3]猛暑の中、炎天下の通行を避け、地下道を利用する率が高くなったことなどが考えられる(図1)。

<中心商店街地区>
 中心商店街地区については、旧清文堂書店前(西町)で、平日(対前回比90.2%)、日曜日(同80.5%)ともに通行量が大幅に増加している。また、ミスタードーナツ富山店前においても平日(同1.4%)、日曜日(同14.6%)とも増加しており、これはアピタ食品館がユニー西町店跡地にオープンし、主婦層等の買物客が増加したためと考えられる。
一方、中央通り地区については、全体で平日(同△11.0%)、日曜日(同△11.8%)とも減少している。P.O.BOX前は前回、前々回調査と通行量を伸ばしてきたが、今回調査では平日(同△3.9%)、日曜日(同△5.1%)とも減少となった(図2)。

図2 中心商店街地区の地点別通行量


3.曜日間比較
 平日の通行量と日曜日の通行量を比較したのが図3である。なお、本調査は8月の夏休みの期間中に行われるため、帰省客や学生などの通行も多く、平日と日曜日の格差は通常時より少ないものと思われる。
<富山駅周辺地区>

 昨年同様、調査6地点全てにおいて平日の通行量が日曜日を上回る結果となり、平日の歩行者の中心が通勤者や通学者であるこの地区の特徴が表れている。

<中心商店街地区>
 調査9地点中6地点(昨年も6地点)において、日曜日の通行量が平日を上回る結果となり、買物客が中心でなるこの地区の特徴が見られる。特に、総曲輪通りや中央通りでは、全地点において日曜日の通行量が平日を上回っている。一方、西町では日曜日の通行量が平日を下回っている(図3)。


4.通行量全体に占める女性割合
 歩行者全体に占める女性の割合を、富山駅周辺及び中心商店街地区の代表的な2地点(マリエとやま西側、マクドナルド南側)について時間帯別に示したのが、図4である。
<マリエとやま西側>
通行量全体に占める女性の割合は日曜日の12時〜13時の間に若干低くなっているほかは、両日とも約50%前後でほぼ一定している。

<マクドナルド南側>

 平日・日曜日とも通行量全体に占める女性の割合は50%を超え、60〜70%を占めている。また、両日の比較においては、日曜日よりも平日の方が女性の割合が若干高いが、時間帯による大きな差は見られない。

図4 時間帯別の女性通行量の割合

5.時間帯別通行量
 富山駅周辺と中心商店街地区の代表的な2地点(マリエとやま西側、マクドナルド南側)の時間帯別通行量を示したのが、図5である。
<マリエとやま西側>
 平日は通勤・通学が中心となるため、朝夕のラッシュ時にピークを迎える概ね凹型のパターンを示すものの、昼食時間帯の12〜13時の間にも一時的に通行量が増えている。

<マクドナルド南側>

 日中にピークを迎える中心商店街地区特有の凸型パターンを示している。また、平日は帰宅途中の学生が中心となる14時〜16時にかけてピークを迎えるのに対し、日曜日は買い物客が中心となる15時〜16時の間にピークを迎えている。

図5 時間帯別通行量



平成13年2月号