特集＜H13.12＞

　ご存知のとおり、ウラジオストク市はロシア極東地域最大の都市であり、ロシアの東の窓口となっています。みなさんはロシアに対しどのようなイメージをお持ちでしょうか。一般的に考えられるのは「寒い」「危ない」「物がない」といったマイナスイメージではないでしょうか。私自身も少なからずそのようなイメージがありました。しかし、ウラジオストクで生活を始めて５ヶ月が経過した現在は幾分違ったものとなっています。ウラジオストクとはどのような街で、ロシアとはどのような国なのでしょうか。

　私が始めてウラジオストクの地を踏んだのが、１２年4月4日、ウラジオストク空港を出るとなんとも殺風景な雰囲気が広がり不安が広がったものですが、いざ中心街にはいるとがらりとイメージが変わり、自分が西洋にいることを十分に感じさせてくれる欧州風の建築物が立ち並び、生活する人の活気であふれていました。実際に街を回ってみてもその印象は変わらず、物が不足していたというのはすでに過去の話といった感じで、街には２４時間営業のスーパー、近代的な映画館、カフェが次々とオープンし、まさに発展中にあると言えます。ただし、外食産業は人口約６４万人の都市にしては発達しておらず、レストラン、食堂とも比較的少ないといえるのではないでしょうか。また意外に思われるかもしれませんが、バー、居酒屋はロシアでは非常に少ないように思います。一般的に友人などを家庭に招き料理をふるまうというスタイルが確立されていることが一因と言えるかもしれません。ちなみに、ロシア人がお酒に強いというのは事実で、何人かのロシア人と知り合いましたが、男性でお酒の弱い人は一人もいませんでした。リューマチカと言われる小さなグラスになみなみとウォッカを注ぎ、乾杯をする度にイッキに飲み干すのです。もちろん我々日本人でそのペースについていけるものはほとんどいません。
　
【衣食住】

　まずは、生活環境ですが、日本のような一戸建ての住居は非常に少なく、ほとんどの人が集団住宅（団地）に住んでいます。夏にはお湯の供給が非常に不安定になり、時には水が出ないこともあります。ちなみに自分の住んでいる寮でも、かなり頻度は減りますがお湯のでないことがしばしばありました。道路状況はあまり良くなく、所々に凹凸が見られ、決裂したまま放置されているところもあります。市民の足は自動車、路面電車、バス、トロリーバスで、中心地では昼は常に渋滞がみられます。

　次に食事ですが、私は基本的に寮にある食堂で食べています。しかし最初の頃はその独特なにおいに大変苦しみました。実際に食堂のそばを通るだけで気分が悪くなったこともあったくらいです（もちろん現在はおいしく食事しています）。基本的なメニューは、前菜（サラダ、あえ物）、スープ（ボルシチなど）、魚料理or肉料理、そしてライスorパンという感じで、値段は平均的な食堂より高めと言われていますが40ルーブルくらい（200円弱）です。あまりバリエーションが豊富とは言えませんが、素朴で毎日食べていても飽きない味わいがあります。また、アルコール飲料といえば、すぐにウォッカを思い浮かべられるかもしれません。実際にロシア人と飲むと必ずウォッカになるのですが、ビール、ワイン、シャンパンなどどれも非常に安くおいしいです。ただ、ロシアではビールを冷やして飲む感覚はないらしく、店に冷えたビールが売っていることはなく、レストランに行っても冷えてないビールが出されることもしばしばです。

　最後にロシアファッションですが、女性は大変おしゃれであり、そして非常に個性的であると言えます。ファッション雑誌もほとんどないためか、それぞれが創意工夫しおしゃれを楽しんでいる感じがします。衣類は、最近はブティックもたくさん出現してきましたが、市場で調達するというのが一般的なようです。ただ一つおもしろいのは、ロシアファッションが冬からいきなり夏になることです。初夏の日差しの強い日になれば、裸で浜辺で日光浴する人がいると思えば、街中をコートを着て汗だくで歩いている人もいるのです。

　ロシアでの一般的な買物場所といえば市場です。最も一般的なものが食料品市場で、野菜、魚、肉、その他の食料品、飲み物、生花などが購入でます。ウラジオストク市内には数十の市場があり、市民は生活雑貨品、衣料品、毛皮製品、電気部品、書籍、ビデオ、カセットなどを市場で調達します。

　娯楽施設は、ほぼひと通り揃っているのではないでしょうか。映画館では最新の映画が上映されていますし、その他ビリヤード、ボーリング、スポーツジムなどもあります。また、ロシア人は踊るのがたいへん好きでディスコがたいへんな賑わいなほか、部屋の中でも外でも音楽をかけ踊っています。そして、私のお気に入りは海辺の散歩です。夏には日光浴するロシア人であふれ、常にお祭り状態です。多数の屋台が立ち並び、シャシリク（豚肉などの串焼き）、ボイルした海老など売られ、それをつまみに夕日を見ながら飲むビールは最高です。

　基本的にウラジオストクに住んでいるロシア人は親日的な人が多く、何人かいる友人も皆良い人ばかりで日本人もロシア人もそれほど違いはないと思うこともしばしばあるのですが、その一方でやはり不思議に思う部分もあります。
　よく言われているのは、ロシア人は普段はとても愛想がいいのに、仕事中になると急に不機嫌になるということです。店の店員、ウェイトレス、ホテルの従業員でも皆このような傾向があると思います。日本では逆のような気もするのですが、ロシアではサービスの精神が根付いていないようで、それは共産主義をひきずっていることも一因であり、物不足の時代には、需要者より供給者の立場が上であったことも原因しているのかもしれません。それでも日本の生活に慣れている我々とすれば、店員さんに冷たい態度をとられると落ち込んだり、苛ついたりしてしまうのですが。また、時間にルーズである、昼間からブラブラしている人が多いなど日本に比べのんびりした国民性であるといえます。ロシア人の個々の能力は非常に高いだけに、実際彼らに日本人なみの勤勉さ、団結力あれば、ロシアはどの分野においても世界一の大国になれることでしょう。お互いに足りない部分を補い合っていけば日露はすばらしいパートナーになれるのではないでしょうか。

ウラジオストク物価表（購入実績より）

品名	現地価格（ルーブル）	日本円にすると（1ルーブル＝4.8円）	富山市での価格（小売物価統計調査等）
じゃがいも（１kg）	8.0	38	285
にんじん（１kg）	8.0	38	367
たまねぎ（１kg）	10.0	48	186
にんにく（３個）	3.0	14	100
中国産米（５００g）	12.0	58	240	《参考》うるち枚（コシヒカリ）10kg 4,801円
冷凍豚肉（５００g）	32.0	154	1180	《参考》ロース 100g 236円
韓国産カップラーメン	10.0	48	150
ミネラルウォーター（1.5ｌ）	9.0	43	207	(2l）
卵（10個）	20.0	96	276
コカコーラ（５００ml）	13.0	62	141
ロシア産ビール「バルチカ」（５００ml）	16.0	77	-
アサヒスーパードライ大瓶（６３３ml）	85.0	408	360
ウォッカ「イストーク」	70.0	336	-
タバコ「マイルドセブン」	32.0	154	250
ロシア産タバコ「ピョートル1世」	10.0	48	-
ロシア産トイレットペーパー（１ロール）	5.0	24	25	《参考》12ロール　300円
日刊紙「ウラジオストク」	4.0	19	110	北日本新聞　朝刊
日本産ティッシュペーパー（1箱）	35.0	168	74	《参考》5箱　370円
市内バス	5.0	24	-
路面電車、トロリーバス	無料	無料	200
ピロシキ（1個）	4.5	22	-
映画館観覧料	60.0	288	1700
ナイトクラブ入場料	150.0	720	-
CD	80.0	384	3150
本	25.0	120	384(新潮単行本）	732（岩波単行本）
食堂での食事	40.0	192	430	県庁食堂の定食
理容院（カット）	100.0	480	3900	大人調髪（洗髪含む）
インターネット（カード式、10時間）	200.0	960	-
国際電話（ロシア→日本、1分）	10.0	48	-
テレビ（韓国製）	6000.0	28,800	-
ビデオデッキ（韓国製）	3000.0	14,400	-

環日本海諸国図


この地図は富山県が建設省（現国土交通省）国土地理院長の承認を得て作成した地図を転載したものである。（平6総使第76号）

富山空港　ウラジオストク便

・運航曜日は水・土曜日の週２往復で通年運行している。
・所要時間は約２時間40分でウラジオストク航空のYAK－40が就航している。

時刻表（2001年12月のダイヤ）
〈富山発〉	〈ウラジオストク発〉

便名	富山	ウラジオストク	便名	ウラジオストク	富山
XF840	14:40	18:20	XF840	12:20	14:00

サマータイム実施期間は
　　　　　　　　　　　ウラジオストク着時間が　18：20　→　19：20
　　　　　　　　　　　ウラジオストク発時間が　12：20　→　13：20


（写真左：中央広場の革命戦士像　写真右：中央広場での毎週金曜日開催の定期市の様子）


（写真左：寮のそばにある市場「フォーキナ」　写真右：ロシアではキロ単位で肉を買うのが一般的）


（写真左：６月～９月初旬くらいまで海辺にでるシャシリク（豚の串焼き）の屋台写真右：ロシア人は日光浴が大好き。少々水温が低くても平気で泳ぎます。）


〈写真右：路面電車　写真左：バス〉