統計情報の提供について
総務庁統計局 統計情報課
高度利用企画室 松村 シズエ

1.インターネットによる統計情報の提供

 総務庁統計局・統計センターホームページは、これまで統計調査結果の概要などが主な掲載内容でした。平成11年度から日本統計年鑑などの総合報告書については全統計表、住宅・土地基本調査などの周期調査については全国編の統計表、月報及び年報については、12年3月公表分から統計表を掲載し、収録内容の拡充を進めています(表1)。

表1 インターネットの収録範囲
区 分 収録範囲 主な統計 収録期間
月次統計 報告書に掲載されている統計表及び利用者からの要望が多い統計表 家計調査(月次原表31表) 労働力調査(月次31表) 消費者物価指数(月報11表) など掲載 最新月及び前月
年次統計 住民基本台帳人口移動報告(9表) 貯蓄動向調査(48表) など掲載 最新年(主要な結果 については数年分)
周期統計 全国編報告書に収録されている統計表 住宅・土地統計調査(確報 全国編114表) 事業所・企業統計調査 国勢調査 など最新情報を順次掲載予定 最新回(主要な結果 については前回分も)
総合統計 各種総合統計書に収録されている統計表 日本統計年鑑(649表) 日本の統計(486表) 世界の統計(139表) など掲載 最新刊行文

 

◆統計情報インデックスシステム

  「統計情報インデックスシステム」は、中央省庁や民間機関などが実施または作成している統計調査、業務統計及び加工統計に関する主な刊行物(約1,100冊)についての情報を入手できるシステムです。 このシステムは、キーワードを入力することにより、どの刊行物に収録されているか、刊行物を作成している機関はどこか、刊行物の統計表題、その表章事項、分類事項などがわかります。また、刊行物を作成している機関にリンクを張っているので該当する統計情報が入手できます。

◆増えるホームページアクセス件数

 ホームページ開設当初(平成8年4月)のアクセス件数は月約1万件でしたが、最近では月約9万件に増え、11年末には、200万件を越えました(図1)。

◆ホームページのリニューアル

 ホームページへ掲載するデータの拡充とともに、「欲しいデータがどこにあるかわからない。」などの要望に応えるため、「初心者でもわかるホームページ」をモットーにリニューアルを行いました。ホームページのデザイン、機能などの改善は勿論ですが、なんといっても特徴はホームページを案内する「統計データ検索ガイド」でしょうか。あらゆる分野についてのボタンを表示し、統計局が実施している調査については主な内容を掲載し、他省庁で実施している調査については報告書名を紹介し、更にリンクも張っています。 これまでのアクセス件数を項目別に見ると、旧ホームページでは「世界の統計」がトップでしたが、新ホームページでは「国勢調査」が断然トップです。人口推計や労働力調査は相変わらず上位 を占めていますが、もともと利用者の多い家計調査は詳細な月次原表を掲載することで一挙にアクセス件数が増えました。2位 を占めていた他のWWWへのリンク集は、「統計データ検索ガイド」で他省庁にもリンクを張ったため、利用者が減り順位 (12位)が下がったと考えられます(図2、図3)。

 

◆安全対策の強化

 先頃、統計局も含め複数の省庁のホームページに不正アクセスがありました。いずれも公開情報のみの被害で、内部ネットワークへの侵入はありませんでしたが、今後ともセキュリティの向上等対策を図りつつ、データ提供の拡充を進めていきます。

2.その他の電磁的記録媒体での提供

 統計情報はインターネットで提供する他、CD−R、MO、FD、MTなどの電磁的記録媒体でも利用可能です。統計の種類やデータの容量 により媒体は異なります。

CD−R:データを1度だけ書き込めるコンパクトディスク
    (Compact Disk Recordable)
MO:光磁気ディスク(Magnetic Optical Disk)
FD:フロッピーディスク(Floppy Disk)
MT:磁気テープ(Magnetic Tape)

◆地域メッシュ統計

 地域開発,防災計画,公共施設配置計画などを進めるためには,市町村の区域よりも小さい小地域別 の統計が必要です。この小地域別統計の一つが地域メッシュ統計で、日本の国土を約1km四方の網の目状に細分した地域単位 を基準地域メッシュといい,地域メッシュ別に各種の統計データを表示したのが地域メッシュ統計です。
 統計局では,国勢調査や事業所・企業統計調査の結果などをこの地域メッシュごとに編成し,統計情報を土地利用状況などの情報と組み合わせて活用できるようにしています。
 この情報は磁気テープやマイクロフィルムの写しで提供するほか,主要なデータについては統計地図に表示して提供しています。

◆地図データの利活用

 統計地理情報システム:CMS(センサス・マッピング・システム)は、国勢調査の基本単位 区をベースとする統計データと図形データからなる地理情報システムで、総務庁統計局が開発したものです。
 基本単位区は、原則として街区に相当し、国勢調査の調査区の構成単位であり、また、国勢調査の集計結果 の最小地域単位でもあります。CMSデータを利用すると、調査区地図の作成が効率的にでき、また、統計を用いた様々な地域分析が可能です。CMSデータは、国勢調査の調査区設定事務や地域行政を推進する地方公共団体はもちろん、地域分析を行うユーザーにとって大変重要なものです。

3.ホームページ裏話あれこれ

(1)不正アクセス事件から

◆突然やってきた危機
 科学技術庁で不正アクセスがあったとテレビ報道していた頃、統計局のホームページでもアクセスできない状態が発生していました。業者による調査では「データが何もないし、メッセージもありません。もしかしたら、システムダウンかもしれません。すぐにバックアップデータを戻しましょう。」との報告です。午後1時には完全に復旧し、再開しましたがこれはその後の一連の苦労の1ページ目に過ぎませんでした。その後は、記者への対応、関係機関との連絡、その2日後に起こった改ざん事件への対応等、完全復旧まで、忙しい日々が続きました。これも一つの危機管理であり、スピードが問われるということを改めて感じました。

◆不便なほど安全?
 これまで担当者のパソコンからデータの登録を当然のようにしていたのですが、不正アクセス事件で警視庁ハイテク犯罪対策の担当警部から、「担当者のパソコンからデータの登録をしている?。あなた方が便利なことはハッカーも便利なのだから」と指摘されました。そこでデータの登録方法も見直すことになりました。作業する者にとって不便なほど安全が確保されると言うのも仕方がないのかもしれません。

(2)リニューアルから

◆石橋を叩けば渡れない!
 これは始めて南極で越冬した隊長の言葉ですが、まさにこの言葉のとおりでした。ホームページのリニューアル業務は、業者と1週間ごとにミーティングを行い、形ができたところで、幹部に紹介するのですが、皆さん色々の意見を言いますので、全て取り入れようとすると、業者から「検討の余地はありません。」「却下します。」と厳しい言葉が壁打ちのように返ってきます。
 また、ホームページ全体の表現を統一しようと意気込んでいても数多いHTML文のこと、そう簡単にはいきません。充分検討をした上で進めたいのは山々ですが…。心を鬼にしてどこかで打ち切らぜるを得ません。期限があってこそ仕事、期限がないのは趣味と心得ています。色々悩んだこともありましたが、なんとかリニューアルができ、この間のスケジュール管理の難しさを痛感しました。